最終回「デビュー前後」
長きに渡って、初期作品を引っ張り出し検証してきたけれど、今回で最終回。
1年の放浪の旅から帰ってきて、大阪のライブハウスに歌う場所を求める。「ALL(元OWL)」や「ITACHI」が2ステージこなす間にギター1本持って出て行って20分歌う。すでに「ヤンキーの兄ちゃんのうた」はあって、よく受けた。
FILENo.41「サーファー&イモカタログ」
夏でも冬でも浅黒い顔をして
鼻の下に口ひげはやして
髪は潮焼けストレート 脱色ヘアー
肩で風切り 胸はって歩く
ヒップアップの車にボード積み
山下達郎、石川セリ、くわえたタバコはサムタイム
サイフはお馴染みマジックテープ
ムスク香らせ瞳の奥が いつもギラッと光ってる
僕らは波乗り大好き少年だ なんて言っては女を口説く
ワイシャツのボタン首まで ピッチリしめて
かりあげかそれとも7・3ロングヘアー
ズボンはジーパンベルボトム ベルトはビニール
ジーパンのすそ内側に折り込んで
肩からは茶色のショルダーバッグ
靴下は黒 靴はパンサー 黒ぶちメガネは曇ってる
Tシャツの下にランニング着て
フケはタップリ ツメにはアカが 鼻くそほじりゲップする
冬になったら黒のトックリセーター
サファリジャケットにパッチをはくよ
考察:ヤンキーと言えば対極にサーファーがあった。ヤンキーの兄ちゃんのうたのあとに続けてよく歌っていた。ファッションに無頓着は「イモ」と呼ばれる人種も居て、そこいらの描写ソング。それなりにウケた。
FILENo.41「オバハンダー!」
電車の切符売り場で自分の番になってから財布を探す オバハンダー!
電車に乗ったら10センチぐらいの
すきまにクサビのように割り込む オバハンダー!
「今日は私が払うわ」「そんなん悪いわ私が」と 喫茶店で オバハンダー!
一方通行の道を当然のような顔して原付で逆行 オバハンダー!
バーゲン会場じゃ髪振り乱し ワキ毛剃らずにノースリーブ着る
椅子に座れば自然に股開き タダの粗品を必死で奪い合いあい
ダー!オバハンダー!人間じゃない オバハンダー!
ダー!オバハンダー!女じゃない オバハンダー!
大学受験の息子に付き添いめかしこんでイソイソやってくる オバハンダー!
参観日の前にはパーマあてときゃキレイだと思ってる オバハンダー!
今さらどうしようもないハラのまわりの肉
なんとかしなければとテニスに通い
ろうけつ染めに革細工七宝焼き アートフラワーが部屋を占拠するする
ダー!オバハンダー!強烈な香水 オバハンダー!
ダー!オバハンダー!ヒマにまかせて オバハンダー!
我が物顔だぜ オバハンダー!
正義の味方 オバハンダー!
考察:オバハンという人種に異常な嫌悪感を抱いていたあの頃。今や同世代はすっかりオッサン、オバハンになり、でもオッサン、オバハン化を拒絶回避し見事に若いポテンシャルをキープしている人が居る事にも気付く。当時もおそらくそうだったのだろうが、20代の未熟な眼力では、すべてオッサン、オバハンが一緒くたに見えていた。僕のテーマは、いかにオッサン化せずに人生をまっとうするかだ。
FILENo.42「こいつぁ愉快だ水戸黄門」
今日も一行は旅をする
助さん角さん弥七におしのさん
うっかり八兵衛は今日も腹すかし
茶店で団子を喉に詰める
ふと街道を見ると黒山の人だかり
若い娘が男に囲まれてる
お父っあんの薬代を払うために
借りた一分が今では十両に
行き着く町には必ず悪者が 悪徳商人悪代官
世直し漫遊水戸黄門
8時7分に娘が襲われる
8時22分に弥七が現れる
8時35分に娘の父が悪代官に捕らえられる
8時42分に黄門さまが乗り込んでゆく
8時47分出たぞ出た出た印籠だ
もう少し早く出せばあれほど人が死なないのに
弥七が風車に手紙を付けて飛ばす
そんな近くに居るんだったら
持ってきた方が早いのに
黄門さまはいつも黄色い 着物を着ているがいつ洗うのだろう
悪者の親玉は前にも出てた人
悪人達がまわりを囲むが
必ず一人ずつしかかかってこない
悪者の家来は個人的にはいい人かもしれないのに
真っ先に殺され残された家族が不憫
黄門さまが笑うと奥歯に金歯が光る
草むらの中にはジョージアの空き缶が
ラストシーンはなごやかに空は日本晴れ
キレイな空には飛行機雲が
遠くの山には電線が
時代劇のあら探し ストーリーより面白い
ワガママなオジンの自己満足水戸黄門
考察:これは「ゆけ!ゆけ!川口浩!!」の時期、いわゆるテレビシリーズのひとつだ。女性キャストは「おしのさん」。お銀さんの前?
テレビシリーズは「ザ・スチュワーデス物語」「スケバン刑事グラフィティ」など生まれるが、CD化はされていない。
このあとにも膨大な未発表曲を生んではお蔵入りさせる歴史が続く。おしなべると、作った1/20くらいが世の中に出て行くカンジかなぁ。
これからも時代を反映した歌を世に問い続けて行きたい。末永くよろしくね!
了。