コラム
少年は音楽と恋に同時に目覚める
嘉門達夫
83年デビュー。「小市民/鼻から牛乳/替え唄メドレー」などヒット連発。第6回 日本ゴールドディスク大賞受賞。大阪城ホール/日本武道館公演やNHK紅白歌合戦にも出場。『時代の観察者/言葉の魔術師』異名をとる。テレビ東京ネットのお子様バラエティ番組「ピラメキーノ」で「アホが見るブタのケツ」シリーズがオンエアとなり、お子様人気沸騰中!!12/14にはシングル「アホが見るブタのケツ~ベスト~/鼻から牛乳~キッズバージョン~」発売。最新CDアルバムは「“青春”のさくら咲く~スクールセレクション~」。2012年1月~ツアースタート。詳しくは http://www.sakurasaku-office.co.jp/まで。

第9回「高校卒業」


今回で高校時代に作った歌はおわり(一応自分なりに選んでアップしてきたつもり、、、)。次のコーナーに進む(どこに進む気?)。中学高校に作った歌をあらためて眺めてみて、その不完全さが客観的に面白かった。恋にあこがれ成就せず、想像で歌詞を並べる。「恥ずかしいあの時代」に焦点を合わす面白さを自己満足的に感じている。読者諸君!あと3篇の辛抱だ。

FILENo.25「大人になれなかった少女」

早く大人になりすぎた 少女がひとり笑う

いちばん大切なものは 愛

男に全てを尽くす事が いちなんいい事と

少女はひとり笑う 恋

ああ お酒も煙草も彼との事も ああ 私の全ての青春なんだと

ああ 私を抱いてよ壊れるほどに 私の身体 心だから

大人になりきれなかった 少女は言う

いちばん大切なものは 夢

幼い少女の胸に抱いた 恋はプラトニック

あくまであこがれる事

ああ 私の恋はいつも片思い ああ 彼を遠くで見てるだけでしあわせ

ああ でたらめでまかせ少女マンガのように 私はいつでも悲劇の主人公

考察:これは明らかに井上陽水さんの「いつのまにか少女は」の影響か。 「大人になれなかった少女」とは高三の時に同じクラスだったあの娘の事だ。一瞬僕と付き合いかけたけど「やっぱり前から好きだった先輩の事が忘れられない」と、数回一緒に下校しただけで、交際には至らなかった。そんな事にたいしてちょっとイラッとした感情を歌っているのだ。わはは。

FILENo.26「こんな夜」

こんな夜 こんな夜は ひとりで港へ行きたい

んな夜 霧にむせぶ 海のあかりが見たい

こんな夜 こんな夜にゃ オンザロックがよく似合う

こんな夜 港の見える ちいさなスナックへ

おまえのハンカチひとつ 窓辺に残したままで

俺の目に写る 景色は紫 闇の色

こんな夜 こんな夜は いつかどこかで見たような

こんな夜 俺の耳に 寂しく汽笛が響く

こんな夜 こんな夜 グラスに涙がぼんやり光る

こんな夜 俺の胸は ブルースになってゆく

こんな夜 こんな夜 時計はいつからとまっている

こんな夜 ひとりぼっち あかりのないスナック

おまえのハンカチひとつ 窓辺に残したままで

俺の目に写る 景色は紫 闇の色

こんな夜 潮風に吹かれ ひとり歩いて帰ろう

こんな夜 誰も待たぬ ひとりの俺の部屋へ

考察:これもなぁ~。「スナック」はないよなぁ~。「あの店」でええんちゃう?海の近くに住んでいるのか?なぜ女はハンカチを窓辺に残したのか?謎が多い歌だ。でも気に入っていた。後年「壺」というアルバムで「ガラクタ」という歌に姿を変えた。

FILENo.27「道程」

俺が今から踏み込んでゆく道は どんな道だかわからないけど

俺が今から踏み込んでゆく土地の 土はどんなかわからないけど

一歩足を踏み入れたからにゃ
 
そこで芽を出し 大木になるまで

俺は必ず この土地で 大きな実のなる木になってみせる

嵐がこようと 雷がこようと 地震がこようと日照りがこようと

俺は負けない 育ってみせる いつかはきっと大きな木に

一歩足を踏み入れたからにゃ
 
そこで芽を出し 大木になるまで

俺は必ず この土地で 大きな実のなる木になってみせる

父さん母さん一生一度の 俺のわがまま許して下さい

そのかわり俺は 絶対負けない 俺が選んだ道だから

一歩足を踏み入れたからにゃ

俺は必ず この道で 大きな実のなる木になってみせる

考察:これは落語家に入門する意気込みを歌った歌だ。大木になる!と大層に公言しているのに、数年後に破門になったりしてねぇ~。ま、落語家通り越して、自己表現の世界で生きるという意味では、あれからずっと「道」は続いている。そろそろ本当に大きな実を実らせなければならない。

つづく。