コラム
少年は音楽と恋に同時に目覚める
嘉門達夫
83年デビュー。「小市民/鼻から牛乳/替え唄メドレー」などヒット連発。第6回 日本ゴールドディスク大賞受賞。大阪城ホール/日本武道館公演やNHK紅白歌合戦にも出場。『時代の観察者/言葉の魔術師』異名をとる。テレビ東京ネットのお子様バラエティ番組「ピラメキーノ」で「アホが見るブタのケツ」シリーズがオンエアとなり、お子様人気沸騰中!!12/14にはシングル「アホが見るブタのケツ~ベスト~/鼻から牛乳~キッズバージョン~」発売。最新CDアルバムは「“青春”のさくら咲く~スクールセレクション~」。2012年1月~ツアースタート。詳しくは http://www.sakurasaku-office.co.jp/まで。

第6回「高校生なりの違和感」


高校生活はパラダイスだった。地域では3番目くらいの偏差値のオリコウなみんなが集う大阪府立春日丘高校。ぼくらが入学した年から制服が廃止になり私服になった。先輩達が学園紛争の真似事で勝ち取った権利だ。当の僕らに問題意識はなく、私服で校門を自由に行き来出来る特権をフルに活用していた。そんな、楽しいけれどぬるま湯みたいな平和な学園生活に、僕なりの違和感も感じていた。そんな歌を3篇。

File NO.16「ディスコティックに花が咲く」

俺達は力をもて余してる 若い力を

俺達にゃ力が余っている 若い力が

俺達は明日の事など考えない 明日の事など

俺達は今を楽しく過ごすんだ 精一杯に

むずかしい事は大嫌いさ 考える事なんかもう忘れた

ディスコティック ディスコティック 汗ばむ背中

水割りを飲んでラークをふかし 髪ふり乱して踊り明けよう

こうして体を動かしていると すべて忘れられる

自分にこれといった 目的のない事も 毎日のむなしい日々も

ディスコティック ディスコティック 夢中さ今は

女の子とキャーキャーさわいでる時が 一番幸せ

金の心配なんてまるでない 親のすねかじり

文句のある奴は言ってみろ いつでも相手になってやる

ディスコティック ディスコティック もう夜が明ける

考察:ディスコブームだった。阪急東通り商店街の「ボトムライン」によく行った。ディスコに居ても違和感があった。「何がオモロイねん?」と思いながらも、タバコをくゆらし、チークタイムに女子を誘ってはアッサリと断られて、クソー!と思ってはまたフロアに出て、楽しいわけでもなく体でリズムを取る真似事をしていた。好きでもないディスコという空間に身を置くという事が、大人への入口であると思い込んでいたのかもしれない。

File NO.17「哀しみの愚連隊」

いつも授業を抜け出して みんな集まりソーダ水

俺たちゃ勉強が大嫌い こうしている時一番幸せ

遊んでいてもなんとかなるだろう 甘い考えぶらさげて

幼稚な頭で将来の話を 薄っぺらにもっともらしく

何の苦労も感じない 悩みと言えば恋の悩みだけ

今日はあの娘を紹介してくれ 明日はこの娘と踊りに行こう

授業をさぼる充実感に 今日も一日たむろする

先生は誰でも大キライ 集団生活まっぴらごめん

仲間と居ると強く感じる ひとりじゃ何も出来ないくせに

白い眼で見る奴ァ見るがいい 注意する奴ァすればいい

おかしな自信のその裏の 事など考えりゃ俺の負け

流行追って着飾って 千円札などはした金さ

俺たちゃ大人さ親もいらない さからう事はカッコいい事

女を従えバカ笑いして 慣れたもんだねライターさばき

いつも楽しければいいのさ いつもカッコよけりゃいいのさ

目的のない事はすばらしい事 どにかなるさがシブイのさ

世間知らずの愚連隊 世間を知ったらずべてがわかる

考察:春日丘高校の近くにあった「ピアジェ」というサテンの風景だ。なんやしらんが、こういう不良っぽい立ち振る舞いをカッコいいと思っていた。歌としてはやはり泉谷さんの影響が大きい。偉大なのだが偉ぶらず、みんなにたいして「泉谷しげる」を演じてくれる泉谷さんはカッコいい。

File NO.18「一方通行立入禁止」

あの娘を思ってもう2年 口に出さずに耐えしのんでた日

トンビが油あげかっさらうように あいつはあの娘に I love you

チクショウあいつと思ったが よく見てみれば勝てない相手

背は高いし男前 あの娘もあいつに首ったけ

別れろ別れろ 早く別れろ 中途半端はもうやめて

別れろ別れろ 早く別れろ 俺の身にもなってみろ

あの娘とあいつはお似合いのカップル 俺は入りようもなかったし

あの娘さえ幸せになればいいんだと 顔で笑って心で泣いて

だけど最近二人の仲が うまくゆかぬという噂

やった俺にも光が見えてきた もう少しのシンボウだ

別れろ別れろ 早く別れろ 中途半端はもうやめて

別れろ別れろ 早く別れろ 俺の身にもなってみろ

別れる別れると言いながら あれからかれこれ1ヵ月

だんだん光も薄くなってきた もうすぐ目の前真っ暗さ

いまじゃ二人は手をとり合って 幸せマンタンの顔してる

それを横目で見る俺は 涙にくれる悲しさよ

別れろ別れろ 早く別れろ 中途半端はもうやめて

別れろ別れろ 早く別れろ 俺の身にもなってみろ

考察:当然のことながら高校の時、好きな娘がいた。ところが歌詞のとおり彼女はサッカー部の男前のM君に恋をして、僕は越えられない壁にぶち当たった。そんな悔しさをちょいとしたバネにして、今を生きているのかもしれない。

つづく。


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