コラム
少年は音楽と恋に同時に目覚める
嘉門達夫
83年デビュー。「小市民/鼻から牛乳/替え唄メドレー」などヒット連発。第6回 日本ゴールドディスク大賞受賞。大阪城ホール/日本武道館公演やNHK紅白歌合戦にも出場。『時代の観察者/言葉の魔術師』異名をとる。テレビ東京ネットのお子様バラエティ番組「ピラメキーノ」で「アホが見るブタのケツ」シリーズがオンエアとなり、お子様人気沸騰中!!12/14にはシングル「アホが見るブタのケツ~ベスト~/鼻から牛乳~キッズバージョン~」発売。最新CDアルバムは「“青春”のさくら咲く~スクールセレクション~」。2012年1月~ツアースタート。詳しくは http://www.sakurasaku-office.co.jp/まで。

第11回「スキー場」


バイトしていたのは北志賀竜王高原のホテル・ホワイトイン北志賀。今もある。ここで朝食の仕込みから洗い物、部屋掃除にベッドメイキング、雪下ろしに喫茶店のカウンターの中、ありとあらゆる事をやった。

お客さんは関東、関西半々で、関西からのツアーで来る学生の中には「あ!笑光ちゃん?ヤンタン聞いてたよ!なんでここにいるん?」と声をかけてくれる人もいて、嬉しいやら情けないやらだった。ツアーのパーティーでなんかやって!という声がよくあがり、最初は落語家時代に身につけた小話や落語をやっていた。笑いは取れる、そこそこ。でも破門になってるのに、落語家時代のネタをやってる場合じゃない!そーか!中高時代にギターを弾いてオリジナル曲を作って歌ってたやん!落語家の修業も足掛け5年やった。ここからは歌で爆笑を取れるパターンを確立しよう!

と言う事で、実家に電話して「ギター送って!」と頼むと、なんとオヤジが持って来てくれると言う。信州中野の駅までギターをぶらさげて来てくれた父。その場で「しっかりやれ!」と1万円くれて大阪に引き返して行った。ありがたやー!そして「笑いの取れる歌」を本格的に作り出す。

FILENo.29「カワイコブリッコは今日も行く!」

君はとってもカワイイよ  カワイコブリッコ
チーズケーキとホットミルクにまったく目がない

君はとってもカワイイよ カワイコブリッコ
お花畑の真ん中でキラキラ輝いてる

小さい子供が寄って来たら必ず抱きかかえる
キキとララとキティちゃんがとっても大好きで

ルンルンランラン カワイコブリッコ
カワイコブリッコは今日も行く

ウソー!(ホンマやっちゅうねん!)
ヤダー!(イヤやったらやめとかんかい)
カワイイー!(どこがカワイイねん)
ヤメテー!(誰がやめるか)

ブリッコブリッコ カワイコブリッコ
カワイコブリッコは今日も行く

君はまったくカワイイよ カワイコブリッコ
ベッドに入る時はぬいぐるみと一緒に

君はまったくカワイイよ カワイコブリッコ
少女漫画の主人公カメラを意識して

最初は意識してやっていたカワイコぶりも
今はすっかり板に付いてカワイイよ

ルンルンランラン カワイコブリッコ
カワイコブリッコは今日も行く

キャー!(じゃっかしわい)
信じられない(信じていらんわ)
ひっどーい!(お前の顔がか?)
ハズカシー!(こっちがはずかしーわ)

ブリッコブリッコ カワイコブリッコ
カワイコブリッコは今日も行く

ブリッコブリッコブリッコブリッコ ブリッコブリッコ

一粒300メートル

そらグリコやがな!

考察:実際東京の女の子の言葉遣いが耳に付いた。カワイコブリッコという言葉は江口寿史さんの漫画にチラっと登場していた程度だった。この歌は本当に良くウケた。スキー場ライブの目玉だった。やがて「カワイコブリッコ」という言葉を、あのねのねが使い、B&Bが連呼する事によって、歌の鮮度が落ちてお蔵入り。ラストのオチは落語家的だが、今のスタイルの原形第1号の思いで深い歌だ。

FILENo.30「カワイコブリッコー大阪篇ー」

あんたはホンマにかいらしーわ 大阪のカワイコブリッコ
たこ焼きとみたらし団子にホンマに目がない

あんたはホンマにかいらしーわ 大阪のカワイコブリッコ

心斎橋のまん中をタラタラ歩いてる

ちっこいジャリが寄ってきたら適当にあしらう

さんまとぼんちとのりお・よしおがとっても大好きで
なをやらかんやら 大阪のカワイコブリッコ

サーファールックで今日も行く

えーうそやー(そらそやなー)
そんなんいややー(そらそやなー)
えーほんまにー(ほんまやで)
やめてーなー(やめたるがな)

ブリッコブリッコ 大阪のカワイコブリッコ

アメリカ村あたりを今日も行く

考察:自分の持ち歌を自分でパロディーにするパターン。のちの「ペンション」→「ペンション~ヤクザ篇~」、「ハンバーガーショップ」などに見られる原形だ。これもセットでよくウケた。大阪と言えばアメリカ村、丘サーファーがウジャウジャ闊歩していた時代だ。

FILENo.31「気分はぐんじょう色」

あー気分はどんどん落ち込んで
ブルーを通り越してぐんじょう色

今日は朝からブルーな気分
きのう女に振られたとこやし

窓を開けると雨が降ってて
口の中に出来モン出来て目にはメバチコ

風邪ひいたみたいやタバコがまずい
駅の階段けつまづいて弁慶の泣き所いやっちゅうほど打って

ホームへ降りたら丁度電車が出たとこで
隣のベンチではしょーもないオッサンがしょーもないシャレを言う

あー気分はどんどん落ち込んで
ブルーを通り越してぐんじょう色

肩を落として歩く地下街
ヤクザの兄ちゃんにぶつかってパチキ入れられて

そんな姿をこじきに見られて笑われて
レコード屋からは中島みゆきの歌が

気分直しのパチンコ屋 気付いた時には3000円も負けて
表に出たらどしゃぶり車にハネを飛ばされて 帰りの電車ではチカンに間違えられ

あー落ちて行け 落ちて行け とことん落ち込め俺の心
ぐんじょう色のぬかるみの中へ どっぷりのめりこめ

何とか抜け出そうと もがけばもがくほど
足がからまりアリ地獄 気分はぐんじょう色

考察:「ブルーな気分」という言葉が流行って、それを前提にさらにブルーという意味でぐんじょう色と歌った。いま思えば群青色は実に美しい色彩なのだけれどね。クレージーキャッツの歌に同じコンセプトの作品があった(チカンのところ)。それのフォーク版。至る所に関西限定ワードが散りばめられている。全国展開なんて考えてないあの時。大阪に戻っても、よくライブハウスで歌っていた。まだ何の実績もない時で、僕自身の日常もぐんじょう色だった。

つづく。


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