特集

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TEXT:鈴木亮介 PHOTO:三橋コータ

 
新たな時代の風雲児となるべく奮闘を続けているロック男子の姿を追う特集「ROCK SAMURAI STORY」。今年・2014年にデビュー25周年を迎える人間椅子についてここまでメンバー3名のパーソナルインタビューをお届けしてきたが、シリーズ最終回となる今回はメンバー3人が登場。6月25日にリリースしたニューアルバム『無頼豊饒』を中心に、発売後の反響やレコーディング時のエピソードなどを伺った。
 
インタビューを収録したのは7月7日。その2日前、7月5日にTOWER RECORDS渋谷店(地下1FのCUTUP STUDIO)にて行われたインストアライブでは、今作の収録曲の多くが初めて客前で披露された(参照:【PHOTOレポ】人間椅子 『無頼豊饒』CD発売記念ミニライブ)。そこでの観客の反応や、それを受けてのメンバーの心境、今後のライブに向けてのプランニングなども3人の口から語られた。
 
8月20日の仙台公演を皮切りに全国10都市をめぐる『二十五周年記念ツアー ~無頼豊饒~』がスタートするが、その予習という意味合いでも、メンバー本人たちのリアルな声に耳を傾けていただければと思う。
 

◆人間椅子 プロフィール
 
mandoroもともと高校の同級生であったギターの和嶋慎治と、ベースの鈴木研一により1987年頃結成。
 
コンセプトは、当時よくコピーしていたBLACK SABBATHなどの70年代ブリティッシュ・ハード・ロックの サウンドに、あえて日本語の歌詞を載せるというもの。バンド名は、江戸川乱歩の小説からとった。ドラマーは流動的であったが、鈴木の大学の先輩の友人であった上館徳芳(北海道出身)で固まる。 メンバー2人の出身地である津軽地方の方言を取り入れたり、津軽三味線の奏法を導入したりと、既にこの頃基本的サウンドも出来上がる。
 
1989年、TBSテレビ系列の「平成名物TVイカすバンド天国」に出演。演奏もさることながら、鈴木のネズミ男に扮した奇抜な衣装が評判を呼ぶ。翌・1990年7月、メルダックより『人間失格』でメジャー・デビューを果たす。
 
2004年6月、ドミンゴス等で活躍中のナカジマノブが、新ドラマーとして加わる。2009年、デビュー20周年にあたるこの年、『人間椅子傑作選~20周年記念ベスト盤』をリリース。2010年、満を持して初のライブアルバム『疾風怒濤~人間椅子ライブ!ライブ!!』(DVD付)を発表。
 
2013年5月12日、世界的ロックイベントである「Ozzfest JAPAN 2013」に出演。渾身のパフォーマンスを繰り広げ、大好評を博す。2014年6月25日、バンド生活25年を記念し、オリジナルアルバムとしては18枚目にあたる『無頼豊饒』を発表。 現在までにベスト盤も含めて22枚をリリース。

 

 

「『最近いいですねぇ』って言われるけど、ずっと前から変わってない」
—連日におよぶ取材やラジオ出演、CDの発売イベントなどハードスケジュールが続いているようですね。

 
ノブ:僕は今回の『無頼豊饒』が出てから、人生初の経験をしましたね。
 

—どんなことですか?

 
ノブ:つい昨日なんですけど、道を歩いていたらすれ違いざまに「おっ、人間椅子!」って言われました(笑)
 
一同:(爆笑)
 
ノブ:完全にプライベートで、中野ブロードウェイのおもちゃ屋さんに行こうと思っていて、さすがにそういう時って「えっ」って振り返れなかったですね。内心嬉しいなぁって思いつつ、聞こえないふりして歩いた方がいいのかなぁって…まさか「そうなんだよ。知ってる?」って言うわけにもいかないし(笑)。
 

—ブレイクを象徴するようなエピソードですね。やはり”忙しさ”は去年以上に実感しますか?

 
ノブ:日々実感しますね。取材もお陰様でいっぱいあるし、ラジオやテレビも今までにないくらいあるので、日々思いますね。
 
和嶋:ラジオもこんなに出たことはなかったし、たぶんこの多さはデビューして初めてなんですよ。イカ天の頃も忙しいなぁとは思ったけど、あの頃はライブが多かったので、取材の数は今が一番多いんじゃないかな。
 
鈴木:取材とかラジオは9割5分和嶋くんがしゃべってるので僕は楽だけど、和嶋くんはさぞかし大変だろうなぁって他人事のように(笑)、大したものだなぁと感心しています。よく口が動くなぁって。
 

—さてニューアルバム『無頼豊饒』が6月25日に発売されて(取材時点で)10日ほど経ちましたが、ここまでの反響というか手ごたえはいかがでしょうか。

 
和嶋:発売後、やっぱり気になってタワーレコードの売り上げとかを見たら上位に入っていて、良かったなというか報われたなという思いもありつつ、プレッシャーもありつつ…
 

—ランキング等もチェックされているのですね。

 
和嶋:みんなで頑張って苦労してアルバムを作っても、何事もなかったかのように過ぎ去るのはさびしいんですよ。以前はそういう時期もありましたが、今は反応が多くかえってきてすごく嬉しいし、インストアイベントにもたくさんお客さんが来てくれて…コール&レスポンスをね、イベントのたびにやれている気がして、発売してから日々充実していますよ。
 

—他のミュージシャンや取材記者、業界関係者などの反応はいかがでしたか?

 
和嶋:これまでの取材は「ハードロックを地道に続けてきている人間椅子」というスタンスでしたが、去年くらいから「今また”ややブレイク”している人間椅子」ということで取材に来てくれるんだよね。なぜ若い人たちのファンが増えているのか…という点に取材側も興味を持ちつつ、僕らも僕らなりに分析しつつ…。音楽誌以外の取材も増えました。
 

—「若い人たちへの支持の拡大」…改めて、どのように分析されているか教えてください。

 
和嶋:自分たちはハードロックが好きで、その時代時代の音楽にひよらずに…というのかな。自分たちが好きな、いいと思っている音楽をずっとやっていることが新鮮に映っているのかなと思います。
 

—反響というところでは、ライブでの反響、手ごたえはいかがですか?

 
鈴木:おととい(=7月5日。参照:【PHOTOレポ】人間椅子 『無頼豊饒』CD発売記念ミニライブ)新曲だけのライブをやって…初めてお客さんの前でやった曲が結構あるんですけど、自分たちの予想していた反応とずいぶん違うなぁと思いましたね。
 

—どういった「違い」がありましたか?

 
鈴木:こういう曲はみんな乗りにくいんだなぁとか、この曲は黙々と聴くかと思ったら意外と乗ってくれるなぁとか、自分たちが考えていることと聴く人の感想は違うんだなぁって。アルバムの感想も、取材などで「今回と前回の2枚は素晴らしいですね!」って言ってくれる人もいるけど、俺らとしてはずーっとずっと同じことをしてきて、同じくらいの出来で作ってるつもりなので、「最近いいですねぇ」って言われてもそんなことないんだけどなぁって。ずっと前からいいんだけどなぁって(笑)
 
和嶋:そうそう。今どうですか?って言われても、実際は前から同じようにやっているだけなので、今何か違っているかというとそんなことはなくて。確かに忙しくなってはきましたけど、音楽活動自体はずっと同じことを続けていて。逆に足元を見失わないようにしたいなって考えますね。同じことっていうかさ、音楽に対して同じスタンスでやっていきたいということですね。
 

—今波に乗ってきたので、今までできなかった何か新しいことをやっていくというのは…

 
和嶋:あぁそれをやるとだめ。だめだっていうかな…やっぱり、変に調子に乗らないほうがいいと思うんですよ。忙しくなったら忙しくなったなりにがんばるというだけで、あまり変わったことはやらないようにしようと思います。
 

—おとといのライブで「なまはげ」以外の曲は初披露されたわけですが、「思っていた反応と違った」というのは具体的にどのようなところですか?

 
鈴木:1曲目の「表徴の帝国」は、変拍子に乗ってくるかなと思ったら、やっぱり変拍子は乗らないんだなっていうことがわかりましたね(笑)
 
和嶋:改めてわかりました(笑)。そりゃあ自分たちですら拍子を数えながらやってますから。
 

—「この曲はこんな風に乗ってほしい」といったものはありますか?

 
鈴木:それは少しずつみんながやってくれればいいなぁと思っているので、こちらから「この曲はこう乗ってくれ」というようなことは言いたくないですね。「表徴の帝国」とは逆に、「ミス・アンドロイド」はミドルテンポで乗る要素が全くないと思ったんだけど、お客さんは乗ってくれていたし、一緒に歌ってくれていたのも嬉しかったですね。
 
和嶋:CDをみんな聴いてくれているなぁって思いましたよ。歌詞を一緒に歌ってくれているというのは、前より多くなったかもしれないね。それは(アルバムの制作過程において)意識せずともそうしたのかもしれません。
 

—曲作りに変化があったということでしょうか。

 
和嶋:今までのアルバムではハーモニーをやっていたこともあったんです。サビでハモるとか、Bメロにコーラスを入れるとか…でもやっぱり日本人はコーラスに向いてないなと常々思っていて。ユニゾンだったら合うんですよ。日本はモノフォニックの音楽だと思っているので。で、気がついたら今回のアルバムはハモりがほとんどなくて、サビはユニゾンでみんなで歌うという。それがお客さんに伝わりやすかったのかもしれませんね。期せずしてキャッチーになりました。
 

—お客さんの反応、歌ってくれてるなぁ…というのは、実際演奏していて見えるものなんですか?

 
ノブ:僕は全然見えません(笑)。というのも、僕の位置からだと最前か2列目までの人しか顔が見えないんですよ。それ以上後方が見えるくらいステージが高く広くなると、逆に遠すぎてわからなくなってしまいます。だから、ライブ会場全体がざわめいてるな、とか、熱気が上がっているな、とか…歓声は聞こえるので、和嶋くんとちゃんがガーッと行ってるときはお客さんが盛り上がってるんだなぁって実感しますね。あと、自分が歌ってるときはマイクに向かっちゃってるんで、お客さんの表情は全然わからなくて(笑)。「弥勒号」ってお客さんはどんな反応だった?
 
和嶋:いやぁもう、みんな乗ってくれてたよ。
 
鈴木:前向いて歌えばいいんじゃないの?
 
ノブ:やってみようか?Peter Crissみたいに?
 
鈴木:それか、EAGLESみたいに…
 
ノブ:ちょっと試してみようかな…インカムマイク付けて叩くのは変だしね。自分のドラムのセッティング上、前にマイクを置けないんだよね。
 
和嶋:叩きやすいのが一番いいっすよ。
 
鈴木:顔が見える方が楽しいと思うけど…
 

—ライブの盛り上がり方も最近は変わってきていますか?

 
ノブ:いや…ライブに足を運んでくださる人は僕らのことが好きで、ライブというものを一緒に実感して熱くなってくれている人だと思うので、ライブの盛り上がりで言うと去年も一昨年も変わらず盛り上がってくれていると思います。それに加えてちょっと感じるのは、人間椅子って名前は知ってたけどライブは観たことないんだよなという人が増えている気がして、そういう人たちにどういうスタンスで見えているのかなというのは直接聴いてみたいですね。「どうだった?」って(笑)
 

—今回初めて人間椅子のライブに行くという人、もしくはフェスなどで観て感銘を受けて、ワンマンツアーにも参加しようかと迷っている人もいると思います。改めて人間椅子のライブの魅力、特徴はどういったところにあると考えていますか?

 
和嶋:25年自分たちで演奏してきていますから、そこそこ演奏力はあると思うんですよ。それで向こうのロックを基本にやっているから、パワーみたいなものが出せると思っています。
 

—そうですね。その中で、若いお客さんも増えていて…

 
和嶋:女性もですが、最近は特に男性のお客さんが増えているように思います。おとといのインストアイベントも男性が多かったね。
 
ノブ:8割くらい男性じゃないかな?
 
和嶋:それで演奏を楽しんでくれているように思うんですよ。ロックサウンドを。乗っている人もいれば、食い入るように観ている人もいて、僕らが懸命に出しているサウンドを、本当に聴いてくれてるんだなぁって。で、ちょっと気がついたらでいいので、歌詞の内容も考えてくれると嬉しいかな。
 

「迷信」のサビに注目、全編アコギ曲/木魚も再現? ワンマンツアーの見どころは
—ニューアルバム『無頼豊饒』の中で皆さんが特にイチオシ!という曲を教えてください。この曲のここを聴いてほしいという…

 
和嶋:そういう質問って難しいんだよね。どの曲もベストを尽くしたので…。自分としては、僕はあまり速いパッセージが得意じゃなくて、それでも速くて勢いのある曲が作りたくて「迷信」という曲を作りました。左利きなので右手が左手に比べて苦労するのですが、その中で精一杯やっているところを聴いてほしいですね(笑)
 
ノブ:僕は「リジイア」が今までとちょっと違う感じがするなぁと自分自身受け止めていたので、皆さんに「こういう一面もあるんだ」と新鮮な気持ちで聴いてもらえたら嬉しいですね。ああいう歌い方は今までしていないよね。
 
和嶋:そうだね。初めてです。
 
ノブ:歌の感じもそうだし、全編アコースティックギターというのも初めてだし…
 
和嶋:バンド生活25年間で初の試みです。ライブでもチャレンジしますよ!
 
ノブ:あとはアルバムのどこかに木魚が入っているので、これから『無頼豊饒』を買う人はその”木魚サウンド”を探していただくのも楽しいかなと…それも、ライブでやろうと思って今3人で話してます。木魚どういう風にやろうか?って。
 
和嶋:(つぶやくように)そうか、結構新しいことやってるなぁ…
 
鈴木:僕も「迷信」という曲のサビがすごくいいなぁって思っています。なんてことはない、ありがちなメロディじゃないし、それがすごくいいと思うんですよね。みんなで歌ってほしいなぁと。初めてライブに来てくださるお客さんに一つ言うならば、僕らは絶対に同じセットリストでライブはやらないです。まぁでも「迷信」は毎回やると思いますが…。だから、今回のツアーも何カ所かに来てくれても違うライブが観られるので、楽しみにしてほしいと思います。
 

—確かに、毎回違うセットリストということで、地方遠征するファンも増えそうです。今回の「二十五周年記念ツアー ~無頼豊饒~」では久々に訪れる会場もあるようですね。

 
和嶋:広島は約10年ぶり、高松は20年ぶりになるかな。25周年ということで前回よりも回るところを増やそうと、久しぶりに行くところを入れようと話しました。
 

—それで四国ということなのかなと思いますが、高松という都市はどのようにして決まったのでしょうか?

 
ノブ:四国のライブハウス事情を全く知らないに等しかったので、関西方面の関係者に相談したんです。それでいくつかライブハウスを紹介していただいて、自分なりに調べていく中で「モンスター」の人と話して、ここに出演させていただこうと決めました。
 
和嶋:20年ぐらい前に高松を訪れたときは、四国のイベンターの人に良くしていただいていて、四国を2~3カ所回ったことがあったんですよ。
 
鈴木:松山と高松と…徳島も行ったかな?
 
和嶋:そのときはOUTRAGEUNITEDと一緒に回って、楽しかったなぁ。そんなこともあって、四国にはまた行きたいとずっと思っていたんです。
 
ノブ:僕は生まれて初めてです。四国。
 
和嶋:普通のライブでもないの?あんなにライブやってるのに!?
 
ノブ:1回もない!というか、四国という土地に行くのが初めて。
 
和嶋:おー…それは良かったです!
 
ノブ:嬉しいですよ。やっと行ける!って。
 

—四国はあまりダムがないイメージがありますが…

 
ノブ:実はいっぱいあるんですよ。有名なダムが結構ありますね。毎年夏に枯渇してしまうダムとか、西日本ナンバーワンの大きさのダムとか。ただ、街中には当然ないし、相当車でも行きにくい場所にしかないようで…
 
和嶋:まぁでも「ここの場所だから特別」っていうことはなくて、どこの場所でもライブはベストを尽くしますよ。
 
鈴木:毎回じゃなくていいけど、まだ行ったことがないところはいつかライブをしに行きたいね。
 
和嶋:気がついたら全部回っていた…というくらいにはしたいね。日本地図の白いところを塗りつぶすように。
 
鈴木:47都道府県あるってことは、1週間に1回ライブやって1年かかるってことだよね…
 
ノブ:毎週末2回ずつやれば?それでも半年かかるか。怒髪天が今まさに47都道府県ツアーをやってるけどね。
 

—広島が約10年ぶりというのも意外に思いました。広島という土地には皆さんはどのような印象を持っていますか?

 
和嶋:相当行ってないですね。僕と鈴木くんは東北出身だから、中国地方は未知のゾーンなんだよね。こちらが心を開かなかったというわけじゃないけど(笑)
 
鈴木:関西の人からしたら「東北でライブ」と言っても仙台でやっておしまい、でしょ。それと同じように僕らも「大阪でやって、次は福岡…」という感覚があるのかもしれないね。
 

—九州は昨年のツアーに引き続き今回も熊本と博多の2会場を回りますね。

 
和嶋:県民性というか、土地柄なんでしょうけど、九州は熱いですよね。ライブがすごく盛り上がります。かといって他の地方が九州より盛り上がらないというわけではないので、こういう「地域の印象」を語ることって難しいですね。
 

—確かに、それぞれの土地に違った雰囲気や魅力があるので「盛り上がり」のような統一の言葉で語るのは難しいですね。

 
ノブ:どこの土地も今聞いている感触だと前回より動員が伸びているので、本当にありがたい限りです。
 

—「動員」ということで言うと、今回の東京公演は恵比寿LIQUIDROOMの1日だけですが(インタビュー収録後にチケット完売)、今の勢いで言うと2日間でも良いのでは?と思ってしまいますが。

 
和嶋:いやぁ、LIQUIDROOMでやれるなんてすごいですよ。おととしくらいの自分たちでは想像もつかなかったからね。
 

—LIQUIDROOMでのライブ出演は初めてですか?

 
ノブ:和嶋くんは初めてじゃないよね?
 
和嶋:ゲストでは出たことがあるね。人間椅子としては初めてです。
 
鈴木:東京とは言え初めての会場なので、(やる側に限らず観る側も)普段とはまた違った新鮮さがあるんじゃないかな。
 
ノブ:僕もLIQUIDROOMに出るのは初めてなのでワクワクします!
 
和嶋:いいライブって――ここのところのライブは毎回そうなんだけど――流れるように進むんですよね。「あ、失敗した!」みたいな白ける瞬間が全くなくて、お客さんと一緒に作り上げているなぁと実感する。そういうライブが最近はできてきていますね。お客さんが乗って、僕らも乗って…という感じです。
 

—お客さんとともに作り上げていく…と言うことでいうと、「なまはげ」のPV撮影も(参照:【NEWS】人間椅子の新譜収録曲明らかに PV撮影で一足早くお披露目)たいへんな盛り上がりと一体感がありましたね。

 


 
 

 

 

 
和嶋:せっかく撮るのだったらみんなで盛り上がったほうが楽しいんじゃないかなと思って。YouTubeにアップしてもらって、「知り合いの知り合いがイイネ!って言ってた」みたいなメールが来たり、身近でも反応がありましたね。以前はそういう反応をダイレクトに知ることがなかったので、みんな見てくれてるんだなぁって思いました。
 

—PVをガッツリ作られたのは「品川心中」(2006年2月22日発売『瘋痴狂』収録曲)以来ですから、それから約8年経って、動画投稿やSNSなどネット環境もだいぶ変わってきていて、そうしたアクションがしやすくなっていますよね。

 
和嶋:そうですね、それはやっぱり思います。SNSはある種ちょっと苦手な部分もあるんですけど、僕たちの動員といいますか、受け入れられている感はそれによるところも大きいんだなって、恩恵はだいぶ受けていると思いますね。ここ数年間ほとんど宣伝をせずに(ライブの動員などが)徐々に増えてきたのは、みんなの横のつながりだと思うので。だから、感謝してますよ。
 

「やっぱりハードロックですから」バンド生活25年、次の一手は
—今回、アルバムタイトルの『無頼豊饒』には自由という意味があり、『萬燈籠』との対比的なところがある、ということですが…

 
和嶋:そうですね。
 

—前作『萬燈籠』収録曲「蜘蛛の糸」の歌詞に「【無頼】放蕩し放題」、そして「十三世紀の花嫁」の歌詞に「全てが自由で 全てが【豊饒】」と出てきます。これがタイトルの由来になっているのでしょうか?

 
和嶋:毎回新しい言葉を入れようと思ってるのですが…かぶる時もありますよ。「なまけ者の人生」という曲(4thアルバム『羅生門』収録)にも「無頼と書いた蒲団で見るのは」という歌詞が出てきますし。…元々普段から好きな言葉だったんです。「無頼派」とか。自由のことも表しやすいし、ロック的な言葉で口にしやすい言葉だなぁと思ってます。
 

—普段から好んで発している言葉がそのまま今回のアルバムのタイトルになったということなんですね。

 
和嶋:やっぱりずっと歌詞で言いたいことは基本的に同じことなんです。心が一番大事だということをまず言いたくて、それを色んな言葉で表現しています。
 

—今回は和嶋さん作詞の曲が多く収録されていますが、「生まれ出づる魂」や「宇宙船弥勒号」など、鈴木さんやノブさんが歌う曲でも和嶋さんが作詞されているものがあります。これらの曲はやはり歌い手を意識して…

 
和嶋:もちろん意識して書きますよ。「隷従の叫び」のような、かなりキツいことは自分が歌おうと思っています。鈴木くんが歌うときにはもうちょっと歩み寄った言い方にしてもいいなぁと思っていて…「生まれ出づる魂」でのストレートな表現とか。
 
鈴木:随分気を遣ってくれているなぁって思いますよ。なよなよした歌詞だとどうやって歌ったらいいかわからないし、難しい表現で来られても何だかわからない、覚えられないってなって終わりだけど、ちゃんと覚えられるように作ってくれるし。
 
和嶋:それは年数とともにわかってきたんですよ(笑)。歌詞を覚える人の立場になって、似たような表現が続かないようにして、ストーリーで覚えやすいようにしています。例えば「宇宙船弥勒号」も、一番から二番、三番と進むにつれて時間の経過を表現した方がわかりやすいと思って。その代わりに抽象的な内容は自分で歌うようにしています。
 
ノブ:きっと和嶋くんにしてもちゃんにしても、作詞するってとても大変な作業だと思うし、出てきた言葉は大切だと思うので、たとえ「てにをは」でも、「この表現の方がいいんじゃないか?」とか「この方が歌いやすい」ということは絶対に言わないですね。そこは尊重すべきところなので。譜割りがわからないときに尋ねることはありますが。
 

—「宇宙船弥勒号」は和嶋さんが作詞でノブさんが作曲されていますが、この曲はどのような経緯で作られたのですか?

 
ノブ:曲に関してはまずスタジオで僕が考えてきたリフをみんなに聴いてもらって、それを少しずつ広げていきました。最初からテーマやメロディが決まっていたというわけではなく、何となく自分の中では「ドラマーが作ったっぽい曲」になればいいなとは思っていました。
 
和嶋:やっぱりハードロックですから、基本的にはリフありきなんだよね。リフから作って格好いいドラムを乗せて、メロディができて、最後に歌詞が乗る。「こういうテーマで詩を書きたい」というストックはありますが、前提にはまず格好いい曲ありきで、その曲調に合った詩を乗せていきます。
 

—今後の展望を伺いたいと思います。『無頼豊饒』がリリースし多忙な日々を送られていますが、その中でも既に新曲の構想はあるのでしょうか?

 
和嶋:それは3人とも考えていると思うけど、『無頼豊饒』を作り終わった時点で「次はこういうものをやりたい」と思いましたよ。「ここはこういう風に録っておけば良かった」という反省点みたいなものもいまだにあるし。次回も頑張りますよ。
 

—バンド生活25年を経てもなお、「これでやりきった!」「完璧だ!」という境地には至らないですか?

 
和嶋:ないね。…ないでしょう?
 
鈴木:ないですね。お金がすごくあるバンドとそうじゃないバンドとの差がそこに出ているでしょうね(笑)
 
和嶋:そこは物の考えようで、有り余るほどお金と時間があったらいつまでたってもアルバムは作れないと思うんだよね。「次のアルバムが5年先」って言ったら自分たちのテンションも保てないし、そんなことをしていたら僕らみたいなバンドは世間から忘れ去られてしまう。締め切りがあって作り続けているのが一番自分たちに合っているのかなと思います。
 

—最後に、きょう(インタビュー収録日)は7月7日で七夕の日ということで…今「短冊に書きたいこと」を教えてください。

 
一同:……
 
和嶋:パッと思いつかないね(笑)。すごくくだらないことを言っていいですか?僕、今回「結婚狂想曲」という曲のレコーディングで、リズム録りを終えてギターのダビングだというところで、ジャジャジャジャーンと弾き出したらアンプからノイズしか出てこない。ヒューズを入れ替えてもまたすぐにブーン。何回やり直しても「結婚狂想曲」は録ることができなくて、「結婚できないんだ、俺は」って思いましたね(笑)。結局真空管を換えたら録れたのですが。結婚の道は遠いと言いますか…
 
鈴木:結婚する気はあるんだ(笑)
 
和嶋:だから…結局、短冊に何を書くかと言うと、結婚は生々しいので(笑)、世界中の家庭が円満でありますように、ということを書きたいですね。家内安全。
 
鈴木:なるほど。
 
ノブ:短冊か…思いつかないなぁ…ちゃん、先にどうぞ。
 
鈴木:まず7月7日と言うとパチンコ屋が一年で一番出す日なんだけど、そんな日に練習と取材っていう最悪な…
 
一同:(笑)
 
鈴木:で、短冊に書くとしたらそれとは関係なくて、健康って書きますね。
 
和嶋:家内安全、健康と来ました。
 
ノブ:学業成就?
 
和嶋:バンド成就でもいいですよ(笑)
 
ノブ:あぁ。まぁでも、だいたい神社とかお参りに行ってやることは家族の健康と音楽成就なんで、やっぱり「音楽成就」ですかね。
 
鈴木:音楽が成就するってどういうこと?すごい壮大なものだよね(笑)
 
和嶋:バンドで成功するとかそういうこと?
 
ノブ:人間椅子としての音楽が、要するに努力した分だけ返ってくればいいなっていう…というか、努力します、っていうことを言っているだけです。あとは陳腐なことしか出てこないんですよね…
 
鈴木:それでじゅうぶんだけど、そんなに何個も短冊に書くの?
 
ノブ:いやぁ短冊ってほとんど書いたことがないので。あとはおいしいものを腹いっぱい食いたいとか…
 
和嶋:今晩にでも実現しそうなことだね(笑)
 

◆人間椅子 公式サイト
http://ningen-isu.com/
◆人間椅子 公式ブログ
http://ningenisu.exblog.jp/
 
◆リリース情報
ニューアルバム 『無頼豊饒(ぶらいほうじょう)』

2014年6月25日~発売中

◆人間椅子ワンマンツアー
「二十五周年記念ツアー ~無頼豊饒~」
・2014年08月20日(水)【仙 台】enn 2nd
・2014年08月22日(金)【青 森】Quarter
・2014年08月24日(日)【札 幌】Bessie Hall
・2014年08月30日(土)【熊 本】B.9 V1
・2014年08月31日(日)【博 多】DRUM Be-1
・2014年09月03日(水)【広 島】BACK BEAT
・2014年09月04日(木)【高 松】モンスター
・2014年09月12日(金)【大 阪】Shangri-La
・2014年09月14日(日)【名古屋】Electric Lady Land
・2014年09月20日(土)【恵比寿】LIQUIDROOM
  ※SOLD OUT!!
 
◆『OTODAMA’14~音泉魂~』
・2014年09月07日(日)【大阪】泉大津フェニックス
http://www.shimizuonsen.com/otodama/14/
★読者プレゼント★
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