特集

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TEXT&PHOTO:桂伸也
HEAD PHONES PRESIDENTの新たなチャレンジ~ロックとファッションの融合(Part 3)

「ロックと生きる」BEEAST編集部員による全力特集「Editor’s Note…PASSION」。第15回は前回の第14回に引き続き、2013年9月28日に東京・新宿BLAZEで行われたファッションとロックの融合イベント『Fuse the Soul』の模様をお送りする。前回はイベントの本編を時系列に従いレポートを行ったが、今回はその舞台裏となった事前リハーサル、当日のリハーサルやバックヤード等の様子を、筆者ができる限りの範囲で追ってみた。
 
ライブ本編では、基本的にアーティストと観衆という対立関係がどうしてもクローズアップされることになるが、果たしてこの日に参加したアーティストたち、バンド、ファッション関係者等の参加者はお互いの存在をどのように感じたのだろうか?音楽やファッションというカテゴライズ、同じ音楽でも異なるサウンドスタイル同士での共演という特殊なイベントだけに、出演者にとっては他の出演者のことは気になるであろうし、そうやって互いに新鮮な刺激を受け合うことこそ今回のイベントの趣旨であるため、このことは非常に重要なポイントであるともいえる。そんな一幕を、舞台裏の様々な側面から追ってみた。
 
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1.『Fuse the Soul』ファッションショー ゲネプロの模様

 

Fuse the Soul 事前ゲネプロの模様 
音楽:(C)魔王魂

 
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『Fuse the Soul』開催を目前に、都内某所でファッションショー部分の事前リハーサルが行われた。リハーサルはブランド毎でデザイナーとモデルの確認作業(会場の様式、導線の確認など)を行った上で、ゲネプロ(通し稽古:当日の順番通りによるリハーサル)が行われた。
 
『Editor’s Note…PASSION Mind12(桂伸也)』にもインタビューで登場してくれたデザイナーのRIHOは、この日RAZ-Rabbitの中心としてチームの誘導に奮闘。その傍らには、HEAD PHONES PRESIDENTAnzaが。このとき彼女の心境をたずねると、少し苦笑いをしながら「いやもう、こんな経験したことがないから、どう段取りをしていいものやらわけがわからなくて…」と言っていたが、しっかりとRIHOのバックアップをしながらRAZ-Rabbit全体のまとめに貢献していた。
 
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2.『Fuse the Soul』リハーサル
リハーサルの模様映像

 
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当日は朝早くから既にリハーサルが行われていた。合計7バンドの出演に加え4ブランドのファッションショーと長丁場のショーである上に、開場も15:00と早いため、早朝からの厳しいスケジュールとなっていた。リハーサルは各ファッションブランドのリハーサルから行われた。この日のショーに並々ならぬ思いを込めていたAnzaと、RIHOも入念な段取りの打ち合わせを繰り返しながらリハーサルを進めていた。
 
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ファッションショーのリハーサルが終わり、いよいよバンド側のリハーサルへ。バンドリハーサルはHEAD PHONES PRESIDENTからexist†trace、LIGHT BRINGER、fade、Gacharic Spin、ulma sound junction、Around the Nationの順に行われた。前のバンドのリハが始まるころに、次のバンドが会場に入るというスケジュールだ。
 
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続いてexist†trace。セッティングも終わり、リハーサル開始。事前にステージングを想定しかなり作り込んだ、完成したステージングを見せるようにも見えた。アクションから掛け声の一言まで、全て見せることを十二分に意識し、そこに神経を集中させるストイックな姿勢が見られた。
 
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fadeからはJonが早くも会場入りしステージの様子を確かめにステージに上がっていた。Jonをはじめとして各バンドで共通していた興味深い点は、やはりステージ中央に設置された花道の様子を確かめながらプレイしていたこと。やはり普段の横面一面のステージとは違い、また違う見せ方をアピールできるということで、様々な試行を考えていたようにも見えた。
 
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メンバー全てが超絶テクニックを持つツワモノ集団のLIGHT BRINGERは、淡々とセッティング、リハーサルと作業を進めていた。バンドとしての自信なのか、それともステージに向けて秘策を持っていたのか?ある意味興味深い光景だ。
 
そんな様子を見ながら、少し疲れた表情をフロアで見せていたAnzaたち。大きなイベントだけに要した苦労もかなりのものだったようだ。しかしこの後ステージで見せたはつらつとしたパフォーマンスには、そんな疲れなど微塵も見られなかった。画像にはないが、fadeを楽屋に見かけた際には少し眠そうな顔をしていた。たずねてみると「いや~昨晩は徹夜だったもので…」バンドそれぞれの労はありつつ、ステージではガラッと変わり素晴らしい緊張感を見せてくれるところに、彼らのプロ魂が感じられた。
 
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Gacharic Spinの面々は前日に関西方面でのライブを終え、その足で関東方面に戻ってきたばかりというが、疲れた様子も見せずはつらつとした様子でリハーサルに臨んでいた。
 
また、ユニークなTOMO-ZOのギターに興味を持ったLIGHT BRINGERMAOJAYは、彼女に声を掛け楽器話に花を咲かせる場面もあった。今回のバンドは様々な趣向を持っていただけにお互いのバンドがどのような手の内を見せてくるのか?その様子を表すかのように互いのリハを興味深く見つめる彼らの様子がとても印象的だった。また、気軽に互いに声を掛け合い、アーティスト同士でつながりを作っていく姿も印象的だ。
 
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今回は絶好のチャンスをつかんだ格好で出演することが決まったulma sound junction、Around the Nationの面々は、リハーサルのラストに登場。彼らには今回のイベントは大きなチャンス。普段なかなかできないステージのサイズも手伝って、会場の様子にワクワクしているような様子を見せた。
 
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『Fuse the Soul EXTRA』でも活躍したDJ狂犬も会場入りし、入念な準備運動の後、即白熱のDJプレイへ。長丁場のイベントを最初から最後まで支えるタフなミッションを抱えているだけに、気合いも十分な様子がうかがえた。そしていよいよ開場へ。イベントの模様は、『Editor’s Note…PASSION Mind14(桂伸也)』の記事を参照してほしい。
 
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3.バックヤードの模様

 

バックヤードの模様映像

 

3.1 開演後の模様

 
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いくつかの動画コメントの方でもわかる通り、ステージに出る直前の彼らは、集中を高める一方で意外にもリラックスしている様子も見せてくれた。他愛もない冗談や素直な思いが言葉の中で出てくる。意外なところでは、fadekanseiが見せてくれたギター。「AKB48渡辺麻友が好きなんですよ」と、なんとギターに彼女の写真を貼っているという入れ込み様。fadeの知られざる一面を垣間見られたようで面白い。
 
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会場にはアーティストのグッズのほかにもBODY JEWEL(タトゥーシールの類)の出店など、ファッションにつなげて興味深い出店も見られた。イベントの趣旨としては「ロックとファッションの融合」であるが、基盤となるテーマがしっかりと行われただけに、そこに「こんなことも」と、様々なコラボレーションの可能性を見せていた。
 
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3.2『Fuse the Soul』終了後の様子

 
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様々な思いをそれぞれに持ち迎えた終演。アーティストとしての思いとしては、いつもの通りのステージを終えたというものだけかもしれないが、ファッションとの融合という一風変わった雰囲気、大がかりなショー的空気、そして普段それほど対バン回数もないバンド同士のイベントという経験は、個々がはっきり意識している以上に大きな刺激を受けたのかもしれない。このようなイベントであれば出演者がお互いにいい刺激を受け、それぞれがまた新たな活動に向けてのエネルギーを授かる。そんな雰囲気は交流を深めるメンバーたちの晴れやかな表情からも明らかだ。
 
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アーティスト活動はどうしても系統の似た性質のもの同士が固まって活動せざるを得ない傾向がある。それは本人が望む望まないを問わずそうせざるを得ない状況になるのだが、このイベントではそんな「壁」を取っ払ったということで大きな意義のあったイベントになった。
 
スタンダード的なハードロックスタイルを高いレベルで実現しているAround the Nation、個性的なサウンドで強いアピールを放ったulma sound junction、ファッション、パフォーマンスと、同世代の観衆に強くアピールする表現力を見せたexist†trace、プロフェッショナルの醍醐味をプレイで十二分に見せたLIGHT BRINGER、力強さとしなやかさ、和と洋、様々な要素を絶妙にミックスしたfade、そして「誰もやったことのない」領域をストイックに追及し観衆に衝撃を与えたGacharic Spinも、自分たちにはないスタイルを他のバンドに見出し、大きな刺激をもらったに違いない。
 
そして「壁」を打ち破ることに果敢に挑戦したHEAD PHONES PRESIDENTのプレイも見逃せない。強力なライバルたちの影響からか、この日のAnzaの動きはいつもにも増して鋭く華麗に見えた。HEAD PHONES PRESIDENTが主催したイベントとしては最大のイベント、イベントを成立させるための苦労も相当と見られたが、全くそれを感じさせないほどのはつらつとしたプレイをステージで見せてくれた。
 
今回ファッションとロックの融合という大きなテーマを見事に表現したバンドたちは、さらに表現の幅を広げた。このイベントから今後注目されるのは、やはりイベントに出演したアーティストたちの新たな挑戦、そしてこのイベントを発端とした新たなイベントへの発展とその広がり。果たして来年のロックの行方やいかに?

◆関連記事
Editor’s Note…PASSION Mind14(桂伸也)
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密着レポート第7弾 HEAD PHONES PRESIDENT プレビューライブ
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