演奏

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TEXT:下村祥子 PHOTO:桂伸也

国内のラウド・ロックシーンではその追従を許さない、独特の世界観を持った唯一無二のバンド、HEAD PHONES PRESIDENT。結成10周年を越える活動の中では、海外での精力的な公演やLOUD PARK2008への出場など、そのサウンドとパフォーマンスには絶大な支持を受け続けている彼らだが、今年4人の構成としては初のアルバムとなる『Stand In The World』を発表、さらに彼らの求める世界を進化させた秀作として高い評価を得ている。さらにそのイメージを昇華させたライブとして、リリース・ライブ・ツアー『Stand In The World TOUR』を敢行。その集大成となるライブを、この日渋谷のO-WESTにて行った。常に新たな世界を意欲的に求め続けるHEAD PHONES PRESIDENT。その一端が、果たしてここで見られるのか?その模様を追った。
 
Head Phones President is:
Anza(Vocals)、Hiro(Guitar)、Narumi(Bass)、Batch(Drums)

ステージ最前列から埋まっていったフロアは、全国12ヵ所を巡った『Stand In The World TOUR』のツアーファイナルとなるワンマンの開演時間が近づくにつれ、徐々に静かな熱気を帯びてきた。金曜の夜19時半を少し過ぎた頃、不穏な空気をまとったSEが会場に流れ込み始める。ギターのフィードバック音とゆらめく女性の歌声に、時折デジタルチックな鋭いリズムが加わる。ステージ後方には、大きな丸い地球みたいに見えるオブジェが、色とりどりの照明によって浮き彫りにされていた。ここは宇宙のどこかなのだろうか―。
 
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一転、ディズニーアトラクションのテーマソング「It’s a small world」を連想させる明るい子供達の合唱が響く中、メンバーのHiro、Narumi、Batchが次々と客席の拍手に迎えられて登場。そして一旦、すべての音が止んだ静寂から、Anzaが何かをつぶやきながらゆっくりステージに現れた。黒いボレロに付いたフードを頭からすっぽり被り、赤と黒を基調にしたドレスを身にまとった姿は、まるで深遠の森をさまよう、ゴシック風な赤ずきんちゃんだ。彼女のその目の先に見えるものは何だろうか…?バックで打ち鳴らされる楽器の音が激しくなると共にAnzaの声が怒号へと変わっていき、切り裂くようなギターのリフでこの夜のパーティが始まった!「みんなぁ、用意はいいかぁー!?」
 
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6月にリリースした最新アルバム『Stand In The World』の「Dive」からライブはスタート。メタリックなギターの音色に、うねるバキバキのベースライン、パワー全開で重量級のリズムを連打するドラム。ゴリゴリにラウドなサウンドの中心に存在し、いきなり華やかにスカートの裾を舞い上げると、金髪サラサラのロングヘアーで激しくヘッドバンギングを繰り返すAnza。その“メタル・プリンセス”ともいうべきキュートな容貌から、もうすでに目が離せない!骨太に歌い上げる彼女の声は狂気に満ち、時にイジワルな魔女のような声色に変貌し、時に堂々たる声量のデス声を絞り出し、オーディエンスを魅了し会場全体を凌駕する。
 
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「ほら、踊れ踊れぇー!」と姉御然とした号令を客席に向けながら、「My Name Is」「Just A Human」「Enter The Sky」「In Scrying」と次々に最新アルバムからの楽曲を連発していく。重低音なサウンドは、ギターもベースもドラムもそれぞれが一筋縄ではいかない展開で、聴く者をまったく飽きさせない。ヘヴィーメタル、ミクスチャーロック、メロディック・ハードコア、ゴシック…ひとつのジャンルに彼らの音楽をカテゴライズするのは無粋なことかもしれない。ヘヴィな鉄壁サウンドがガツンと脳天を突き抜けて、絶叫が頭の中の雑然とした物事を一掃し、ギリギリで不協和音とは一線を画すメロディアスな旋律が心にグッとくる。
 
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前半と後半のインターバル的に、一度メンバーがステージから去ると、ひとり残されたHiroのアコースティック・ギターによるソロ・パフォーマンスが始まった。紡ぎ出すフレーズは、アイリッシュ風であり、フラメンコ風であり、哀愁を帯びたロックであり、これまでのライブの爆音をかき消したような静寂の中に染み入っていく。そして、白の衣装に着替えたAnzaがイノセントな歌声と共にステージに戻ってきた。ひざまずき祈るように天を仰ぐ姿は、なぜかウエディングドレスのようにも見えた。(ちなみに、前半のリボンやスパンコールも印象的な赤と黒のドレス、後半の白のダメージニットと白のオーガンジーのスカート等は、Anzaと彼女の衣装を担当しているデザイナーのオリジナル・ブランド「RAZ」で作っているのだそう。ステージに映える華やかな衣装は、特に女子必見!!)
 
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続く「Lost Place」では、Hiroが弾く唯一のピアノバラードを披露。後半は落ち着いてAnzaの歌唱力を味わえるひとときが増える。もちろん「後半戦いくぞーーー!」の掛け声で始まったツアータイトル曲「Stand In The World」では、再びフロアの熱量がグッと上がったのはいうまでもない。ベースのNarumiも攻撃的なアクションで終始ステージを動き回り、オーディエンスを激しく煽る。もちろんAnzaの絶叫まじりの歌声と、激しいヘッドバンギングもまだまだ止まらない!これほどまで振り切ったアクションのAnzaだが、さすが舞台女優としての顔を持つ彼女、その身のこなしと美しさは、おそらく他のバンドの追随を許さないだろう。
 
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ライブ本編が駆け抜けるように終了すると、会場にはアンコールの拍手が鳴り続けた。ようやくメンバーが登場すると、Batchはひとしきり貫禄のドラムソロを披露し、高揚感を再びあおっていく。そして黒のTシャツ姿で再登場したAnzaがあいさつを終えると、この日ラストに演奏した「Chain」で、なんとAnzaが客席にクラウド・サーフィング!「やってみたかったの」と無邪気にやりきった笑顔を見せながら、ワンマンのステージを後にした。
 
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◆ライブ情報:
2012/10/13 東京 club SEATA
G∀LMET Presents Metal Diva Festival 2012
<東京の陣>
Act: HEAD PHONES PRESIDENT / G∀LMET / exist†trace / METALLIC SPIN / Mary’s Blood / GANGLION
2012/11/11 台北 The WALL
Act: HEAD PHONES PRESIDENT / The Agonist / Eye Of Violence
◆ 公式サイト:
オフィシャルサイト
http://headphonespresident.com/
RADTONE MUSICオフィシャルサイト
http://www.radtone.jp/
RAZオフィシャルサイト
http://raz-rabbit.com/

◆セットリスト:
M01.Dive
M02.My Name Is
M03.Just A Human
M04.Enter The Sky
M05.In Scrying
M06.Desecrate
M07.Labyrinth
~Hiro solo~
M08.Crumbled(Acoustic)
M09.Rainy Star
M10.Lost Place
M11.Stand In The World
M12.Rise And Shine
M13.Reality
M14.Life Is Not Fair
M15.Nowhere
M16.Light to Die
M17.Eyes
M18.Where Are You
Encore
EN1.Chain

アンコールで登場したAnzaは、こう語った。「ツアーファイナル、今日は本当にありがとうございました!楽しかったです。以前このO-Westでやったときは、まだMARがいて5人のHEAD PHONES PRESIDENTでした。そして4人で再スタートを切って、2012年6月6日に『Stand In The World』をリリース、今日また新たなHEAD PHONES PRESIDENTをみなさまにお見せできたかなと思います。いかがでしょうか?本当にありがとうございました!」メンバー脱退という危機を乗り越え、5年ぶりのリリースとなった新作アルバムを携えて回ったツアーのファイナル公演。バンドにとっても、待ち望んでいたファンにとっても、次へとつながる重要なライブとなったに違いない。国内外での活動が期待されるHEAD PHONES PRESIDENT、今後もその活躍から目が離せそうにない。
 

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HEAD PHONES PRESIDENT 3rd Full Album
『Stand In The World』

RADC-073/2.625円(税込)
発売中

 

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