特集

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TEXT:桂伸也、栗林啓 PHOTO:株本和美、桂伸也、栗林啓
ライブサウンドの新たな試み ~HEAD PHONES PRESIDENTのチャレンジの一幕より~
 
【HEAD PHONES PRESIDENT Special Event】HPP&EVI Live co-star special 2012/12/29 @新宿MARZ

「ロックと生きる」BEEAST編集部員による全力特集「Editor’s Note…PASSION」。第8回は桂がお届けする。今回はへヴィ・ロックの異端児、HEAD PHONES PRESIDENTが昨年末に新宿MARZにて行った音響機器ブランドのElectro-Voice(以下、EV)とのコラボレーションイベントの模様から、ライブハウスでの表現に対する新たな試みの情景を追った。
 
このイベントは、HEAD PHONES PRESIDENTのライブにおいてEV製品で構成されるサラウンドシステムを導入し、ライブを行うというコラボレーション企画だ。ライブハウスの音響設備は、ステージからフロアに向けて設置されたフロントスピーカーのみという構成が基本的に大方で導入されており、サラウンドシステムのような複雑な音響設備を導入した例はまだない。その大きな効果として期待できるのは、まるでヘッドフォンで聴いているようなサウンドの明瞭性と臨場感。それをサウンドに大きなこだわりを見せるHEAD PHONES PRESIDENTのステージで行うという特別企画で、非常に興味深いイベントとなった。またバンドサウンドだけではない、様々な要素を自己に積極的に取り入れようとする彼らの、一つの意向を現わした一幕であるだけに、このイベントはバンドこそも待ち望んでいた機会といえるだろう。
 
さらにこの日はもう一つのコラボレーションとしてヒューマンビートボックス(機器や楽器を使用しないで、自分の声で行うサウンドパフォーマンス)の第一人者であるTATSUYAを迎え、HEAD PHONES PRESIDENTとセッションを行うというプレミアムな企画も合わせて実現された。今回はその興味深いイベントの模様を、リハーサルの段階からステージまでの間に渡って追った。また、このシステムを体験したバンドおよびEV担当者へのインタビューを行い、具体的なシステム導入の所感や今後のシステムの実現性等をたずねてみた。
 
◆メンバーリスト:
Anza(Vocal)、Hiro(Guitar)、Narumi(Bass)、Batch(Drums)
◆ゲスト:
TATSUYA(ヒューマンビートボックス)
 
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サラウンドシステムとは:
 
音声の出力システムの構成の一つで、もともと映画館で臨場感のある音響効果を再現するために開発されたもの。近年ではDVD-Videoやデジタル放送などにも応用されている。
「モノラル」は1つのスピーカーで、「ステレオ」は2つのスピーカーで音声を再生するが、サラウンドでは3つ以上のスピーカーが使われる。ステレオ出力よりもはるかに立体的で臨場感のある音響環境が実現できる。

 

1.サウンドチェック、リハーサル(ライブ前)

 
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取材陣が現場入りした時は、ちょうどリハーサルの真っ最中だった。アーティストやスタッフたちの様子は一見、普段のリハーサルと何の変わりもない様子だった。フロアの端々に置かれた計6台の縦置きスピーカーを除いては。事前に聞かされていたマネジメントの話では、フル装備でのリハーサルはできなかったため、このイベントで使用されるフル実装のシステムで実際に音を出したのはこの時が初めてだという。フロアで聴こえる音とステージ上の音は全く条件が異なり、ステージ側ではサラウンドシステムの効果が確認できない。そのためリハーサルはフロアの音を確認し、かつステージ側の状況を確認しPA側と調整を行うキーパーソンが間を取りつなぐ格好で進める必要があった。この日はHEAD PHONES PRESIDENTのマネージャーがその役割として立ち、プレイを確認してはステージとPAの間を忙しく走り回っていた。
 
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そこから聴こえてきたサウンドは、飛び道具的に派手な効果を作り上げるものではなかったが、リハーサルの場にいただけで効果は実感できた。ライブハウスのフロアであるにもかかわらず、まるでプレイしたサウンドがヘッドホンで音源を聴いているように明瞭なものとして耳に入ってくる。その効果が最も強く実感できたのはヴォーカル。ヴォーカルのサウンドは、ライブハウス常設の一方向スピーカーでは音が大きくなればばるほど歌詞が聴きとれないどころか、他の楽器の音に埋もれてしまうこともある。どんなに音質を上げても限界があり、まずCDメディアの音質には到底及ばない。しかしここではそれがはっきりと認識できた。これが実際のライブの空気感の中でどのように聴こえてくるだろう?ステージでリハを行っていたメンバーたちも当然そのサウンド効果に強い興味を持っていたが、ステージでは確認ができない。そのためNarumiはリハーサル中にも何度かステージを降り、プレイしながらそのサウンドを確認していた。
 
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2.インタビュー

 
2.1 HEAD PHONES PRESIDENT インタビュー
 
今回このイベントを開催したHEAD PHONES PRESIDENTに、ステージ前にイベントまでの経緯とリハーサルの模様、そして今後の可能性などを、今後の抱負と共にインタビューにてたずねてみた。
 

 
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—今回のサラウンドシステムとビートボックスとのコラボレーションはどのような経緯で実現されることとなったのでしょうか?

 
Anza:実はEVさんとエンドース契約を結んだのですが、その経緯で今回、普通のライブではなく何か新しいことをやってみようと、サラウンドシステムをライブに導入してみようということになりました。
 
映画館ではよく使われているシステムですが、ライブハウスで、しかもバンドの演奏では使用実績がなく、新たな試みとしてやってみようと。ヒューマンビートボックスのTATSUYAさんは、EVのマイクの提供を受け、日本ヒューマンビートボックス協会主催のイベントに出演されたりしている方ですが、DJやヒップホップではなくロックバンドとのコラボレーションは興味深いということでEVさんより提案があり、今回の共演が実現しました。最初はどうなるか大丈夫かなと思いましたが、リハ-サルをしたらTATSUYAさんの方からバンドの世界観に合わせてもらえ、予想以上におもしろいコラボレーションが実現しました。
 

—EVさんとともに今回の企画が実現されることが決まった際、HEAD PHONES PRESIDENTのサウンドに対して何か新しいサウンドをイメージしましたか?

 
Anza:いえ、もともとバンド自身でサラウンドシステムの導入計画があったわけではないので。EVさんもバンド形式のライブにサラウンドシステムを導入した経験がないので、とりあえずは何かを狙うよりは、システムを導入して「今回はおもしろいものになればいいな」というくらいの感じで考えていました。
 

—今日はいつもより早い時間からサウンドチェックをされていましたが、プレイヤー側としては普段のセッティングと特に違いはないのでしょうか?

 
HPP3_H_I1_02Narumi:そうですね。自分たちはパーツのひとつ的な立場でしたので、いつも通り。特にサラウンドシステムが入るために準備があったわけではないです。
 
Anza:ただ、TATSUYAさんとのコラボレーションで第1部ではセッションタイムがあり、ビートボックスは声だけではない音もマイクで音を拾えるようにしているので、マイクの握り方の関係でハウリングを起こしやすいこともあり、その点に関しての音作りはリハーサルでの調整が必要でした。
 

—今回のライブまでに、サラウンドシステムを組んでリハーサルは行えなかったとお聞きしておりました。

 
Anza:そう、サラウンドのシステムのテストは全く出来なくて、PAさんより「こういう感じになります」という話は聞いていただけで、効果は全く想像の世界でした。今日のサウンドチェックで初めて試したのですが、予定のシステムを用意して事前にリハーサルスタジオで試すのは、さすがにいろいろな都合で出来ませんでした。スピーカーの数を減らして、という格好でも出来ればよかったのですが、それも出来なくて、今回は全くの想像の状態で準備を行いました。
 

—今日のサウンドチェックの段階で、ステージでは自分たちの音はどのように聴こえましたか?

 
Anza:ステージでは普段のサウンドチェックと全く同じで、フロアでどういう風に聴こえていたのかはわかりませんでした。若干フロアから聴こえてくる音が大きいかなと感じましたが、演奏している本人たちは特に何かが変わったという認識はなく「サラウンドになっているの?」という感じでした。
 

—今後、サラウンドシステムを他のライブ会場で使用する予定はありますか?

 
Anza:あると思います。今回のライブの反応を見つつですが。天井の高さがある程度取れる大きめのホールで、スピーカーを上の方に設置して、聴く人の身の上の角度からどのように聴こえるか試してみたいと思っています。バンドサウンドで行うのか、またはアコースティック形式になるのか決まってはいませんが、ゆくゆくはまたやる予定で考えています。
 
Narumi:まずは小さいところから始めるしかないと思いますが、大きいところでやれるなら映像を絡めて音と映像を同期させるとおもしろいかな、等と考えています。
 

—話は変わりますが、HEAD PHONES PRESIDENT自体の活動について教えてください。来年に向けての意気込みをお聞かせいただけますか?

 
Hiro:来年は新しいアルバムですね。前回の作品を軽く超えるような作品を作りたいと思います(笑)。そうしないとアルバムを出す意味がないですし、それをし続けることが仕事だと思っていますから。いいものは作れて当然という気持ちでがんばりたいと思います。
 
HPP3_H_I1_03Anza:当たり前ですよね(笑)
 

—ライブ等の予定はいかがでしょう?

 
Anza:来年は、普通のHEAD PHONES PRESIDENTのライブだけじゃなく、いろいろな企画も予定しています。常に新しいことにチャレンジしていきたいです。また急にアコースティックをやるかもしれないし、全く違うものを融合してやるかもしれないし…
 

—新しいものへのチャレンジの一環が、今回のサラウンドシステムとビートボックスとのコラボレーションという感じでしょうか?

 
Anza:そうですね。お客さんがライブを観にくる楽しみをもっと提供したいと思っています。普通のライブパフォーマンスだけではなく、バンド側がもっと発信していかないと。バンドも楽しめてお客さんも楽しそうだから行ってみようとなるような。インディーズバンドでもやれば出来る範疇(はんちゅう)のことを一歩でも踏み出してチャレンジしていきたいと思っています。バンド=ライブだけではなくて、イベント企画ならばそこにもうプラスワンしたい。
 
例えばアメリカでは、バンドのライブでいきなりポールが出てきてストリップショウが始まったりするような、ライブだけではない様々な楽しみがあります。それをHEAD PHONES PRESIDENTのライブでやるわけではないけれど(笑)、お客さんが気軽にライブを観に来られるような環境作りがしたいので、それをHEAD PHONES PRESIDENTが先頭を切ってやっていきたいと思っています。

2.2 EV 山口氏 インタビュー
 
今回のコラボレーションにて使用された音響機器ブランド、EV。その担当者である株式会社イーブイアイオ ディオジャパンの山口由晃に、今回のシステムに関する説明と、音響機器メーカーの視点から見た今回のイベントの結果をたずねてみた。
 

—ライブで拝見したヒューマンビートボックスのTATSUYAさんとのコラボレーションも興味深いセッションでしたね。これはEVさんからの紹介とお聞きしましたが、その実現に至った経緯も合わせて教えていただければと思います。

 
山口:TATSUYAさんとは、2010年に開催されたJAPAN BEATBOX CHAMPIONSHIPへの協賛(公式マイク提供)時からのお付き合いで、今回のライブの打ち合わせ時にヒューマンビートボックスの話をしたところ、面白そうなので是非ということになり参加していただきました。
 
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—今後、このようなシステムの導入が一般的なライブハウスで増える可能性をお聞きしたいと思います。今回、HEAD PHONES PRESIDENTのライブで導入されたサラウンドシステムの特徴を教えてください。

 
山口:スピーカー自体は特に変わったものではなく、イベント等でも良く使用されているZX3というスタンド立てタイプのスピーカーです。左右に3か所、計6本のZX3と3台のQ1212というパワーアンプを使用し、全てライブハウスのミキサーから単独コントロールできるように信号を送っていました。
 
具体的には、メインの音を設置した6本のスピーカーから出したり出さなかったりするといったことを行っていました。リアの2本は常にメインと同じ信号が流れていたと思います。音響効果としては、厳密にはサラウンドシステムではなく、もっとも適した表現ではサテライトスピーカー(補助的スピーカー)になると思います。
 

—現段階でこのシステムは容易に導入可能なものなのでしょうか?それともまだ試作中で模索をしている段階なのでしょうか?

 
山口:システムの導入は(設置自体も金額的にも)さほど難しいとは思いませんが、どちらかというと今回のシステムではライブハウス側での卓操作による運営(ライブのどの段階で、どのスピーカーからどの音を出すのか、などのミキシング運営)が肝であり、実際に導入した際に運営をどのようにしていくかがカギになるのではないかと思います。
 

—具体的にはどのような課題があるのでしょうか?

 
山口:基本的に音はお客さんの前から聴こえてくるものであり、人間の耳もそのように出来ています。そこをあえて横や後ろから音を出すということを行うわけですから、一歩間違うとお客さんの居る場所によっては、音が二重にずれて聴こえることもあり、横からの音でステージに集中できにくくなる可能性もあります。そのため現段階では、今回のようにステージをある程度意識して導入しないと先述のような問題が発生する可能性があるため、まだ敷居は高いかもしれません。
 
実はこのあたりのシステムの運営については、ライブハウス側とアーティストサイドで行われていたので、どの音がいつどこから出ていたかは、私は把握していなかったんです(笑)。でもサラウンドプロセッサーを導入し映像も流せるようにするのであれば、面白い効果も得られるかもしれませんね。
 

—実際にライブを拝見し、非常に音像に対する印象が深くなったと感じましたが、もともと今回のシステムが音楽のジャンルや特徴的なところに想定したものがあるのかを教えていただければと思います。

 
山口:ジャンル等は問わないと思います。強いて言うなら、“遊び心がある方たち”でしょうか?今回はHEAD PHONES PRESIDENTのメンバーも含めて、皆試行錯誤だったと思います。その中で、次回同様の企画を行うのであれば、今度はこうやろうとか、こうしたほうがもっとお客さんが喜んでくれるんじゃないだろうかということが分かったライブだったと思います。そういった意味で言うと、HEAD PHONES PRESIDENTはこのシステムを「もっと楽しめるもの」へと昇華していってくれると期待しています。
 

—今回のイベントを実施した上で、今回のイベントの結果はメーカーとしてどのようなものになったと考えられましたでしょうか?

 
HPP3_H_I2_03山口:正直なところ、今回予定としてサラウンドスピーカーとしてではなく、単なるサテライトスピーカーとして使用する方向となったとき、若干の不安がありました。先程お話したとおり、音は前から聴こえてくるのが自然であって、同じ音源の出所が増えれば増えるほど明瞭度は下がり、ズレ(ディレイ)も出てくる、決して良くはないはずと予想されましたから。
 
でもライブが終わった後、結果としてお客さんが楽しめたのであれば、それは成功なんだと思いました。音響的に良い悪いではなく、ライブがショーとして良かったか悪かったか。そういう意味では今回は大成功だったのではないでしょうか。
 

—今後、このようなサラウンドシステムのライブ等への導入予定や新しい試み等あれば教えてください。

 
山口:新しい試みは未定ですが、今回のHEAD PHONES PRESIDENTTATSUYAさんのコラボレーションのように、「アーティストとアーティストが何かいつもと違うものを作り上げ、それが1+1以上のものになる」、そんなお手伝いが出来ればと思っています。

 
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2.ライブ

 
ステージ前のHEAD PHONES PRESIDENTのメンバー達は、いつもの通り淡々とステージへの準備を進めていた。その表情は「新しいことをやる」という緊張した表情はない。インタビューで彼らが語った通り、プレイヤー側の準備は決して特別に変わったとこはないため、あくまでいつも通りのステージを迎えるだけ。それでも今回のこのコラボレーションがフロアの観衆にどうアピールするか?それは大きな課題であり、同時に楽しみな部分だった。
 
2.1 セッション(with TATSUYA(ヒューマンビートボックス))
 
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いよいよイベントはスタートした。SEは掃け、会場は静寂に包まれた。次にステージ前の幕に、何か明かりのような影が映し出され、幻想的なノイズ音が流れ始める。その音はすべてヒューマンビートボックスによる効果。吹雪の夜のような、不安で寂しい雰囲気を作り出す。そこに一人の少女の声がHEAD PHONES PRESIDENTの最新アルバム『Stand In The World』に収録されたラストナンバー「Purge」の、童謡のようなメロディを奏で始めた。幻想的なサウンドがあたりを包む。特にサラウンドシステムによる効果もあったのか、その光景はフロアの観衆から見ると「目の前のステージで起こっていること」というよりもそのシチュエーションがある中心に自らがいるような感覚を覚え、その不思議な世界に引き込まれていった。
 
そして幕は開かれ、イベントはスタートした。ステージに立っていた者たちには実験的な試みとか、気負ったセッションという雰囲気は見られない。すっかりTATSUYAHEAD PHONES PRESIDENTになじんだステージを展開した。そんな中で自己の世界観をうまくセッションの空気に融合させたTATSUYAのプレイも見事。ビートが観衆にもなじんでくると、最初はHiroと、そしてNarumi、Batchと見応え十分の掛け合いを披露してきた。そんな普段のステージでは見られない光景に大きな歓声と拍手が送られた。この時観衆が感じた臨場感は果たしてサラウンドシステムによるものであるのか、それともTATSUYAという普段のライブとは違う要素によるものなのか?探ること自体が無意味と感じられるほどに、グルーヴ抜群のセッションが会場を大きく揺らした。
 
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2.2 TATSUYA デモンストレーション
 
プレイが終わると、HEAD PHONES PRESIDENTのメンバーは一度ステージを降りた。そしてTATSUYAによるヒューマンビートボックスの説明およびデモンストレーションが始まった。まずよく問われるヴォイスパーカッションとの違い(ヴォイスパーカッションはあくまでパーカッション部分のみの表現であり、ヒューマンビートボックスは、例えばベースラインのような要素すべてを表現することをいう。)の説明から簡単なプレイ例、そしてデモパフォーマンスを披露。その音色的なセンスと自信でジャンルを超えた魅力をフロアにまきちらし、大きな賞賛の拍手を受けた。
 
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2.3 HEAD PHONES PRESIDENT ステージ
 
この日のステージでも、HEAD PHONES PRESIDENTは特にシステムを意識することなくいつも通りに全力投球でのプレイを見せたが、それに対する観衆の反応には、すさまじさすら感じさせられた。
筆者が実際にフロアで受けたのは、いつもはフロアの前で繰り広げられるステージがこの日はまるでステージのど真ん中に立って音を受けているような空気感だった。普段のライブステージと、リリースされた音源を聴く環境とのギャップがいかに大きなものであるかを、ここでははっきりと認識できた。ラウドなサウンドの中に細部までこだわりを見せるHEAD PHONES PRESIDENTの世界観が、ライブハウスの中でしっかりと実感できる。他の観衆たちも同じようにいつもと違うその感覚に大きな衝撃を受けたのではないだろうか?彼らもまた、音に溺れいつも以上に体を動かさずにいられない状況とさせられたようだった。

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臨場感という点では、Hiroのソロパートも含め曲の展開に存在する静的なパート等の存在意義がより鮮明に表現させられ、今回の試みがHEAD PHONES PRESIDENTだからこそ有効に働いたことを示した。動的な激しいパートに至っても、逆にそこにアーティストが作品に対して配慮しているディテールが明確に聴くものに伝わり、ライブステージにこのシステムが有効に働く可能性を十分感じさせた。何よりもライブ中の音の中でAnzaのヴォイスが歌詞を認識できるくらいに明瞭に聴き取れたのは大きな驚きであり、改めて「HEAD PHONES PRESIDENTのステージはこんなにも繊細で壮大なイメージがあったのか」という印象を感じさせた。
 
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◆ライブ情報
名古屋CLUB UPSET【名古屋TOBASH!】
2013年04月27日(土) 【愛 知】 名古屋CLUB UPSET
ANZA Birthday Night
2013年05月04日(土) 【東 京】 新宿FROM DUSK TILL DAWN
『OZZFEST JAPAN 2013』
2013年05月12日(日) 【東 京】 幕張メッセ
Red Bull Live on the Road Qualify Stage
(ゲスト出演)

2013年05月20日(月) 【大 阪】 心斎橋CLUB DROP
◆公式サイト
HEAD PHONES PRESIDENT Official Web Site
http://headphonespresident.com
EVI AUDIO JAPAN
http://eviaudio.co.jp
TATSUYA Official Blog
http://profile.ameba.jp/tatsuya-beatbox/
日本ヒューマンビートボックス協会
http://www.japanbeatbox.com
 
◆セットリスト:
M01. Dive
M02. Just A Human
M03. My name is
M04. Enter The Sky
M05. Desecrate
M06. Labyrinth
M07. Nowhere
M08. Life is not fair
 
~Hiro Solo~
 
M09. Stand In The World
M10. Rise And Shine
M11. Rainy Star
M12. In Scrying
M13. Light to Die
M14. I will stay
M15. Eyes
M16. Where Are You
 
-encore-
E01. Chain

 
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今回のこのユニークな試みは、開催側の話では全くのトライアルであり、「HEAD PHONES PRESIDENTのライブだから」という点で何か特別な趣向や効果を狙ったものではないものということだった。しかし、現場を体験した筆者の印象としては、その言葉を納得できないくらいにHEAD PHONES PRESIDENTのイメージがシステムの効果にぴったりとマッチし、感性が膨らんだイベントだった。
 
今回ほぼぶっつけ本番のステージがこれ程にまで表現にピッタリとはまったのは、音像に詳細まで並々ならぬこだわりを持ったHEAD PHONES PRESIDENTのステージだったからこそともいえる。当然、メーカー側が語るようにいろんなアーティストの表現に対しての可能性は広げられることも考えられる。今後この好例が様々なライブステージのケースでうまく応用され、ライブの魅力を活性化しライブハウスへ行く楽しみが増えればまたロックシーンも面白い時代に突入するかもしれない。そんな一つの起爆剤として、今後様々な発展を期待したい。
 
また、今回このコラボレーション企画を実施したHEAD PHONES PRESIDENTに対しても、注目を続けていきたい。このイベントのみならず、先日BEEASTの『ROCK ATTENTION 19 ~DRAGON GUARDIAN~』でも報じたAnzaDRAGON GUARDIANとのコラボレーションの例もあり、彼らは自己のスタイルの発展を、自己完結したものからさらに、様々なスタイルとの融合を積極的にはかろうとしている。この日のインタビューでAnzaから読者に向け、メッセージをもらった。「HEAD PHONES PRESIDENTに『こんなことをしてもらいたい』というコラボレーションや企画のアイデアを、教えてほしい」と。もしこの呼びかけに対し提案があれば、ライブなどで彼らに直接でも、またはこのBEEAST経由でも面白い提案を聞かせてみてほしい。彼らの積極的に発展を望むその姿勢を、引き続き追っていきたい。
 

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Anzaの問いかけに対する提案やご意見は、本記事の感想などと含め以下に御願いいたします。:

 

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HEAD PHONES PRESIDENT『Stand In The World TOUR FINAL』 2012.9.7@渋谷O-West
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