特集

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TEXT&PHOTO:ヨコマキミヨ
中津川 THE SOLAR BUDOKAN 2014@中津川公園(2014/09/27,28)

 
編集部員の入魂特集「Editor’s Note…PASSION」。今回はExtra Editonの第3回としてカメラマンのヨコマキミヨによる『中津川 THE SOLAR BUDOKAN 2014』のレポートをお届けする。今回のレポートではこのプロジェクトを、ライブステージとともに、プロジェクトで使用されているソーラーシステムをはじめとした電源供給システム、そして会場の様子という別の観点を加えて、イベントのテーマに込められた思いや熱気に迫ってみたい。
 
シアターブルック佐藤タイジがオーガナイザーを務める『THE SOLAR BUDOKAN』プロジェクト。BEEASTでも度々取り上げているこのプロジェクトは、今年2月より渋谷CLUB QUATTROで3回行われた『THE SOLAR BODOKAN 2014 IN SHIBUYA』(BEEAST記事『THE SOLAR BUDOKAN 2014 IN SHIBUYA Vol.3 ~シアターブルック× FLYING KIDS』参照)で、都内のライブハウスでもソーラー電力を使ったイベントができることを示してくれた。
 
そして通算2回となる『中津川 THE SOLAR BUDOKAN 2014』が2014年9月27日、28日と2日間に渡って開催された。2012年の『THE SOLAR BUDOKAN』の成功、そして今年に入ってからの東京国際フォーラムでの『SOLAR POWER FESTIVAL』、渋谷クアトロのシリーズを見てきた中で、佐藤タイジが抱く中津川への並々ならぬ思いを感じとっていた私は、昨年は行くことができず苦い思いをしたが、今年こそはどうしても行かなければという思いが日に日に募っていた。
 
さらにあるライブ会場で話した、昨年の中津川THE SOLAR BUDOKANに行ったというロックファン達は「今までいったフェスの中で一番良かった!」と皆、口をそろえて語っていた。彼らはイベントのどのような点に対して良いという評価をしたのだろうか?そして、ステージはもちろん、会場運営の全ての電力を太陽光エネルギーで行うというのはどれほどのことなのか?大きな期待と高鳴る好奇心を胸に、単なる傍観者としてではなく、この世界でもまれに見るユニークなロックフェスに、何かしらの形でも参加したいという一念を持ちつつ、中津川へ向かった。
 
hana
 

1.ソーラーシステム

 
昨年に引き続き『中津川THE SOLAR BUDOKAN 2014』は、コンサートの運営に関わるすべての電力が太陽光発電システムでまかなわれていた。会場全体の電源供給を、蓄電分を含めて120kwの電力供給見積もりとして、メインステージのREVOLUTIONステージのライブエリア両脇に、計570枚にもなる大量のソーラーパネルが設置された。
 
さらに今年はパネルからダイレクトに音源に供給するという新システムも導入された。蓄電設備をスルーすることが可能となり、電源供給路がシンプルになることで、システムの構築やメンテナンスがより容易になるメリットがある。また、その副産物的な効果ではあるが、音響機器への電源供給路に余計な機材を介入させないため、よりノイズの少ないフレッシュでクリアーな音の出力が可能となる。画像にはないが、バックステージの出演者通路には、アーティストへ向けた説明の看板も立っていた。

 

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蓄電池はリチウム蓄電池と鉛蓄電池を組み合わせて使用。総容量260kWh、全部で26台の構成だ。アコースティック中心のRESPECTステージには、やや小ぶりな蓄電池が4台。このステージでは、優しい音がのんびりとした中津川の雰囲気とマッチしていた。
 
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中規模のREDEMPTIONステージには、冷蔵庫大の蓄電池が並べられていた。パワフルなライブステージにも充分な電源を供給し、ライブを盛り上げていた。
 
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また今回のイベントでは、私の見た限りでは普通のライブイベントで時々見られる、セッティングの問題による中断や開始の遅れといったトラブルがまったくといっていいほど見られなかった。このイベントで構成されたシステムの安定性を物語っているようだ。また、電源供給に関しては太陽光発電のほかにも、バックアップとしてバイオディーゼル発電機(※1)が完備されており、あくまでエコにこだわる姿勢が見られた。
 
なお、このイベントでは、太陽光発電システムによる電源供給を行うにあたり、正式にグリーン電力証書システム(※2)に準拠した太陽光グリーン電力証書を取得し、地域活性化への貢献活動も行っている。このイベントのテーマが単に何らかの問題提起を行う運動ではなく、真剣に社会生活の向上に向けて取り組んでいる姿勢もうかがえた。
 

※1 バイオディーゼル発電機
バイオディーゼル燃料で稼動する発電機。バイオディーゼル燃料とは、植物油を原料とてメタノールと反応させてメチルエステル化等の化学処理をして製造された、ディーゼルエンジン用の液体燃料。廃食用油を利用して作れるため資源の有効活用が図れるだけでなく、軽油と比較して排ガス中の粒子状物質が極めて少なく、また植物が太陽の光をエネルギーとして用いて二酸化炭素(CO2)と水から繰り返し生産することができるため、トータルとしてCO2排出量の削減ができるなど、環境に優しい燃料として注目されている。
(参照サイト:http://biomass.jp/
 
※2 グリーン電力証書システム
自然エネルギーにより発電された電気の環境付加価値を、証書発行事業者が第三者機関(グリーンエネルギー認証センター)の認証を得て、「グリーン電力証書」という形で取引する仕組み。「グ リーン電力証書」を購入する企業・自治体などが支払う費用は、証書発行事業者を通じて発電設備の維持・拡大などに利用される。証書を購入する企業・自治 体などは「グリーン電力証書」の取得により、発電設備を持たなくても証書に記載された電力量(kWh)相当分の自然エネルギーの普及に貢献し、グリー ン電力を利用したとみなされるため、地球温暖化防止につながる仕組みとして関心が高まっている。
(参照サイト:http://www.natural-e.co.jp/green/about.html

ミニコラム1:食の安全

 
Photoフードコートの裏にもソーラーパネルが並び、フードコートエリアの電力をまかなっていた。またソーラーシステムというテーマからは外れるが、会場内で販売されているすべてのメニューに対して、放射線量がわかりやすく表記されていたことも注目したい。
 
このテーマは非常にセンシティブな課題であるがゆえ、世間一般に明確に主張することが、どちらかというとタブー視される傾向もある。しかし「ちゃんと知りたい」と思っている人がいる限り、明確に表記することも必要であることは間違いない。もちろん、それを気にしなくても、ここではテンションが上がるバラエティに富んだメニューがたくさん並び、たっぷりとお腹を満たすことができたが。
 

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hana
 

2.会場の様子

 
『中津川 THE SOLAR BUDOKAN』の会場となった中津川公園は、34.4ヘクタールという広大な敷地。その中にREVOLUTIONステージ、REDENPTIONステージ、RESPECTステージ、WELLCOMEステージ、Village of illusionという5か所のステージを中心にコンパクトにまとまっていていた。さらにブースや拠点などの配置も、各エリアにまわりやすいよう配慮がなされており、どこでも約2分~10分で移動が可能。また、もともとある公園のトイレに加え仮設トイレの設置もあり、お目当てのバンドの出番を見逃さずに済むよう、配慮がなされていた。
 
また、ふれあいセンターの中には救護や授乳室、手荷物を預けられるクロークが設置されていた。体育館のような大きなフロアーには、誰でも自由に出入りできる休憩所が設けられており、疲れたり暑さで具合が悪くなったりしそうになれば室内でゆっくり休むことができるようになっているなど、長時間のイベントの疲労を軽減する配慮も十分。
 

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競技練習場を利用しているキャンプエリアは広い敷地ながら、まわりはフェンスで囲まれており、入り口にはスタッフが配備されており、女性のキャンプ泊も安心。またもともと完備されているシャワー室もあり、ライブを楽しんだあとに、汗を流すこともできた。
 
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「小学生(12歳)まで保護者の同伴に限り入場無料」、「ママ応援プロジェクト」「親子で参加できるワークショップ」 など、「ファミリーで参加できるロックフェスティバル」を掲げているとおり、ファミリーの来場者を考慮した催し物も多く存在したのが目についた。ふれあいセンターの中には授乳室、RESPECTステージ近くには遊具広場もあり、子供を遊ばせる一方で、パパやママがのんびりライブに耳を傾けるといった光景も多く見られた。まさに子連れにも優しいロックフェスティバルだ。
 
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会場全体を通して見ると、ボランティアスタッフをはじめ、どのスタッフも対応が手厚く親切なだけでなく、お客さん同士でも声を掛け合い、譲り合う光景も多く見られた。マナーが良く、心からイベントを楽しむという意識が会場全体に広がっていた印象だ。他のフェスティバルにも行ったことがあるロックファンからは「他のフェスティバルに比べてのんびりしていていい。」というコメントも多くあった。「ソーラーエネルギー」という、このイベントの趣旨がはっきりしていることで、エコに対する意識だけでなく社会的な共有意識が高い人が多く集まっていることが、その要因なのかもしれない。
 
それはまさに、佐藤タイジが掲げるTHE SOLAR BUDOKANのポリシー、「客席もステージ上も同じ目標を目指す仲間だ」という「一体感」、すなわち「WE AS 1」という今回の合い言葉の指す意味そのものではないだろうか。
 
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ミニコラム2:来場者インタビュー

野外イベントということもあり、当日来場した観衆は真にロックステージを堪能すべく集まった人だけでなく、イベントの雰囲気を楽しむ人など、様々な人々が訪れていた。彼らに、イベントの感想を語ってもらった。
 


1.豊橋市から来られた、おかべさんご夫婦
(昨年に続いて2回目の参加)

Photo2日間の予定で来ました。山と自然に囲まれたロケーションがいい。他のフェスティバルはもっとステージを見ることに対してガツガツした人もいるけど、このフェスティバルはのんびりしていて、みんな思い思いに楽しんでいていいですね。
 
去年に比べて、若者に人気のバンドもたくさん出ているし、お客さんも増えて盛り上がっていると思う。素晴らしい取り組みなので、これからもっとたくさんのバンドに出てもらってさらに盛り上がって続いてほしいと思います。

 


2.中津川市から来られたみおさんご一家
(今年初来場)

Photo美味しいお店がたくさん出ているし、お酒もいろいろあって楽しいです。太陽光という自然エネルギーで、こういうイベントを地元でやってもらえるのは嬉しい。これからも続いて、もっとたくさんの人が来てくれて、さらに地元が盛り上がってくれたらいいなと思っています。
 


3.岐阜県内より来られたゆきのさん、あすかさん、いくみさん
(いくみさんは2回目、他2人は初来場)

Photoゆるくて、のんびりしていて楽しいですね。もっと有名な人などにも来てもらって、大きなイベントになっていけばいいなと思います。なかなかない機会だと思ったので、加山雄三さんを楽しみに見にきました!
 


4.名古屋市より来られたハンサムさん、カルロス近藤さん
(今年初来場)

Photoもともと中津川が好きで、よく釣りに来ていました。自然がいっぱいあって本当にいいところです!エコなら正直アンプラグドでもいいと思うけど、ソーラー発電の良い音でミュージシャンが気持ちよく演奏して、いいものを聴かせてくれるなら、それに越したことはないよね。
 
ロックだからこそできる本当にいい取り組みだと思います。もっと新しいところを見せてほしい。挑戦すること、それがロックじゃん!

 
hana
 

3.ステージレポート

 

3.1 2014年9月27日

 
Photoその週半ばまで台風が接近し天候が心配されたが、この日は残暑がぶり返すほどの晴天となり、中津川の空はまるでこの開催に合わせた、まさに「ソーラー日和」といえる天候となった。RESPECTステージより初日のトップを務めた佐藤タイジ(Vocal &Guitar)、うつみようこ(Vocal &Guitar)、高野哲(Vocal &Guitar)の3人によるアコースティックユニット、インディーズ電力の開会宣言によって、いよいよ開幕。
 
この日は昨年も出演した堂珍嘉邦FLiPSOIL&“PIMP”SESSIONSDJダイノジTHE MANに加えて、Char森山威男などのレジェンドともいえるベテラン勢も登場し、その風格で観衆を魅了した。さらに昨年はボーカル浜崎貴司のみだったが今年は バンドを率いて出演したFLYING KIDS、そして、the HIATUSRIZE10-FEETといった、近年若者に人気のバンドも顔ぶれにそろい、勢いのある姿を見せた。
 
メインのREVOLUTION ステージでは、夕刻のDragon Ashで沸きに沸いたあと、この日のトリである仲井戸“CHABO”麗市&シアターブルックが登場。仲井戸“CHABO”麗市のオリジナルに加え、「上を向いて歩こう」やNeil YoungThe Rolling Stonesのカバーを披露。REDEMPTIONステージでの出演を終えたCharも飛び入り参加し、佐藤タイジと共に聴くものの鳥肌が立つほどの巧みなギターセッションを聴かせてくれた。
 
さらにこのあとのVillage of illusionに出演したうじきつよしDJダイノジ細見武士the HIATUS)、高野哲ZIGZOインディーズ電力)、KjDragon Ash)、堂珍嘉邦浜崎貴司FLYING KIDS)も呼び込まれ、客席とステージが一体となってRCサクセションの名曲「雨上がりの夜空に」を大合唱。アンコールは仲井戸“CHABO”麗市シアターブルックによる「ガルシアの風」。星が光る中津川の夜空に明日への余韻を残し、最後は一本締めととともに、イベント1日目のステージを終えた。
 
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夜の19時から深夜1時までは、きらびやかにライトアップデコレーションされたVillage of illusionエリアでは、DJのプレーやライブが行われていた。気温は陽が暮れてグッと低くなったが、それを忘れるほどに、熱い盛り上がりは続いていた。
 

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3.2 2014年9月28日

 
前日に引き続き、快晴の中津川。会場の熱気に影響されるかのように日中は気温がグングン上昇し、30度を超えるほどの天気になった。開場時間が過ぎるとどんどん来場者は増えていき、気づけば初日よりも多い人々が会場に集い、さらに大きな盛り上がりを見せた。2日目のREVOLUTION ステージでのトップは、昨年に続き2回目の出演となるTRICERATOPS。朝の澄みわたる空気の中、彼らのサウンドが会場に爽やかにこだました。
 
PhotoTRICERATOPS同様、昨年に続く出演のa flood of circlebirdACIDMANはさすがの安定したプレーで確実な盛り上がりを見せた。また昨年、CHANGE ENERGY’Sとして出演した加藤ひさしは、今年は本命のTHE COLLECTORSとして登場し、ポップなステージを展開。
 
そして、2日目28日の昼間の目玉はなんといってもTHE King ALL STARS。若大将こと加山雄三を中心として佐藤タイジ(Guitar)、名越由貴夫(Guitar)、古市コータロー(Guitar:THE COLLECTORS)、ウエノコウジ(Bass:the HIATUS)、武藤昭平(Drums:勝手にしやがれ)、高野勲(Keyboards)、山本健太(Keyboards)、タブゾンビ(Trumpet:SOIL&”PIMP”SESSIONS)という豪華メンバーで構成されたスペシャルバンドだ。
 
2日目は、壮年期の人々が多く見られた中で、親子3世代または赤ちゃん連れで4世代といったファミリーも多く来場していた。そのほとんどが加山雄三目当てのように見受けられたのは、そのステージの盛り上がりのためだろうか。加山雄三はまったく年齢を感じさせないパワフルなプレーでステージと客席をけん引。老若男女入り混じって、ロックフェスティバルとしては微笑ましく、かつ熱気に包まれた最高に楽しいライブが繰り広げられた。
 
夕方もからも、福島県相馬市の人々とともに復興に取り組むプロジェクトとして結成されたユニットMY LIFE IS MY MESSAGE山口洋HEATWAVE)、矢井田瞳おおはた雄一仲井戸“CHABO”麗市)をはじめ東京スカパラダイスオーケストラ真心ブラザーズUAが各ステージで次々と熱いライブを展開。中でもREVOLUTION ステージでのACIDMANのボーカリスト大木伸夫が「太陽光でこんなに素晴らしいことができるんです!1日も早く本当の価値が認められる世の中になってほしい!」とMCの中で訴え、改めて会場をひとつにした姿は印象的だった。
 
Photo『中津川 THE SOLAR BUDOKAN 2014』最後のステージを飾る大トリはシアターブルック。太陽の力でロックする男、佐藤タイジがメンバーの中條卓(Bass)、沼澤尚(Drums)、エマーソン北村(Keyboards)と共に満を持して登場した。1曲目、『THE SOLAR BUDOKAN』プロジェクトのライブでは定番となった「ありったけの愛」からスタート。
 
「やったよね俺たち!」佐藤タイジが呼びかけると、観衆は拳を振り上げ「オー!」と大きな歓声で答えた。2曲目「ドレッドライダー」3曲目「生理的最高」と続き、この2日間で一番の激しくスリリングなプレーを展開。「そこにある受話器」といった、彼らの初期の曲もじっくりと披露した。
 
中盤のMCで佐藤タイジは、「お手紙を書いてきました」と、おもむろに便箋を目の前に広げ、この中津川 THE SOLAR BUDOKANへの思いを読み上げた。「太陽光エネルギーにはネガティヴな要素が一切なく、限りなく『ええ音』である」「理性と理想、夢と希望を無視している今の時代こそ、想像力と創造力をフル回転して、音楽で世界が変わることを実証しましょう!」その強い思いに共感し、大きくうなずいた姿を見せた観衆。
 
次の曲「悲しみは河の中に」では、そのメッセージに答えるかのように、オーディエンスは佐藤タイジと共にサビの「ヤってまえ!」を激しく叫んだ。6曲目、ドラマティックなイントロで始まる「まばたき」は、ソーラーの混じり気のない美しい音が、壮大なスケールで広い会場へ放たれた。
 
ラストは高野哲堂珍嘉邦Leyonaが加わり、『THE SOLAR BUDOKAN』のライブでは重要なカギとなるナンバー「もう一度世界を変えるのさ」が演奏された。さらにうじきつよしACIDMANUA武藤昭平などと裏方のスタッフ陣もステージ上に呼び込まれて、全員で声を合わせた。最後は観客もステージも互いを讃え合うような惜しみない拍手であふれ、太陽の力と「ありったけの愛」に包まれた2日間の閉幕を飾った。
 
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hana
 
Photo会場内すべての発電を太陽光エネルギーで行う、『中津川 THE SOLAR BUDOKAN』は今年も大盛況のうちに幕を閉じた。自然エネルギーの利用、活用は、もはや未来の夢物語などではない。このイベントの実現そのものが、その一端を証明してくれた。それは来場した人すべてが目撃した紛れもない事実だ。
 
このプロジェクト発足当初から佐藤タイジは語った、「これは反対運動ではなく賛成運動なのだ」と。その言葉がそのまま反映されたかのように、イベントが開催されたこの2日間。トイレに小さな子供が並んでいれば先に譲る、落とし物をしたら「落としましたよ」と拾って声をかける。そんな日常の生活でつい忘れがちな姿が見られ、会場は隅々までポジティヴでピースな空気に満ちあふれていた。
 
そこにはロックフェスに付きものの、過酷なイメージはどこにもなかった。むしろこの場は、ソーラーエネルギーロックフェスという枠を超え、人が人らしく当たり前に思いやり合う、ひとつの理想郷のようにさえ感じた。冒頭に書いた「今まで行ったロックフェスの中で一番良かった!」という語りの意味はそこにあった、私はそう感じた。
 
このイベントがさらに大きく発展し、真に社会生活へ大きな恩恵をもたらす日が必ずやってくると信じたい。シアターブルックの「もう一度 世界を変えるのさ」の中で佐藤タイジは「ぼくたちはきっと 試されているよ」と語りかける。「見て見ぬふりの 大人には なってほしくはない アナタにわかってほしい」と。その中に今の日本の社会へ向けた思いのすべてが集約されているように思う。
 
かつてフォークジャンボリーが開かれた「平和」と「革命」の聖地、この中津川で、佐藤タイジの挑戦は、これからも続いてゆくだろう。自分の信じた道を突き進む姿、それこそが、真のロックではないだろうか?その意味で彼と、彼をとりまく多くの人たちは、まさにロックな道を走り続けている。新たな可能性を信じ、情熱の炎を絶やすことなく、ギターを手に佐藤タイジは走り続ける。この空の上で太陽が輝き続ける限り。
 

◆ライブ情報
 
we as one_1__largeシアターブルック『WE AS ONE』
2014年12月12日(金) 【東京】恵比寿LIQUIDROOM
開 演:18:30
出演:
シアターブルック
” Guest
田中和将、Salyu、タブゾンビ&元晴(SOIL&”PIMP”SESSIONS)、DJ吉沢dynamite.jp
” Decoration
Candle JUNE、KANOYA PROJECT 
” MC
ジョー横溝

 
チケット情報
前売り: 立見・¥5,400(ドリンク別・税込み)
※プレゼントつきチケット
一般チケット発売日:2014年10月25日(土)
<プレイガイド>
チケットぴあ   0570-02-9999(Pコード:245-088)
ローソンチケット 0570-084-003(Lコード:76690)
イープラス   
楽天チケット
 
主 催:HOT STUFF PROMOTION
企 画:WISDOMrecordings/RE.creation
協 賛:LUSH JAPAN CO., LTD.
協 力:大地を守る会/【RA -energydesign-】/GIBSON GUITAR CORP. JAPAN
問い合わせ HOT STUFF PROMOTION
03-5720-9999 http://www.red-hot.ne.jp/

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