特集

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TEXT & PHOTO:ヨコマキミヨ

PhotoBEEAST誌上でも追い続けている佐藤タイジ率いるTHE SOLAR BUDOKANプロジェクト。その一環として、「ソーラーパワー・フェスティバル2014」が2014年3月29日に東京国際フォーラム ホールAにて行われた。国内でも広がりを見せつつある再生エネルギーの一つ・太陽光発電を推進するべく、バラエティあふれる様々なキーパーソンが集結した。THE SOLAR BUDOKANのライブイベントと同様に、楽器やマイクといったステージ音源は全て太陽光発電による電力を使用。
 
ソーラーパワーが照らす未来は?私たちの針路は?イベント全体のレポートを通じて探る。
 

◆SOLAR POWER FESTIVAL 2014 コンセプト
太陽光発電だから語れる未来がある!
ソーラーパワーの夢が詰まった大会議フェス。
 
東日本大震災から3年。
エネルギー問題への関心がピークに達した今だからできる、太陽光発電の大会議。
 
エネルギーシフトゆるキャラが一同に会し、
アーティストたちがソーラーパワーでつくった電気で音楽を鳴らし、
太陽光発電のキーパーソンが国内外の先進事例から
新たなライフスタイルまで語り尽くします。

 

 

◆ロビー


まずは展示ブース。常設企画「パネルで学ぶ!エネルギーシフト」として、太陽光発電専門企業XSOL(エクソル)による太陽光発電システムの説明、WWFジャパンによるアースアワーについて、自然エネルギーの必要性を啓発するパネルの展示、今回参加しているエネドルや、ゆるキャラのグッズや本の販売、ソーラーパワーアイディアと川柳のコンテスト、スタンプラリーなど盛りだくさんの内容だ。
 
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「未来のエネルギーは、みんなで作ろう!」というテーマで太陽光発電キットを組み立てるワークショップも行われた。春休みとあって、親子での参加も目に付く。実際に道具を手にしての組み立ては、子どもだけでなく、大人たちも夢中だ。
 
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映画『パワー・トゥ・ザ・ピープル~グローバルからローカルへ~』の上映。10年かけて100%クリーンエネルギーを実現したデンマークのサムソ島のチャレンジを紹介するドキュメンタリー映画だ。上映時間に合わせて来場したらしき人たちも多く、席はあっという間に埋まってしまった。来場者たち皆が熱心に見入っているこの上映も、もちろんソーラーの電力によって行われている。
 
ロビーには、エネルギーシフトゆるキャラたちも登場。ゆるキャラブームの昨今、どのキャラクターも大人気で、会場の盛り上がりに一役買っていた。
 
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◆ホールA


はじめにソーラーパワー・フェスティバル開会の挨拶。このイベントのオーガナイザーである佐藤タイジが登場。「『みんなで知恵を共有しよう』というイベントになればいいな。」と語った。MCは、ライター・ナレーター・INTER FMでDJも務めるジョー横溝。復興支援ライブLIVE FOR NIPPONの参加など佐藤タイジとの親交も深い。
 
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そして、このイベントの重要な役割であるエネシフ(=エネルギーシフト)ゆるキャラたちの紹介。まずは今回の企画団体の一つであるNPO法人そらべあ基金のシンボルキャラクターであり地球温暖化を防ぐために生まれた「そらべあ」(弟「そら」と兄「べあ」)。続いてTHE SOLAR BUDOKANに初年度から電気を供給しているNPO法人南信州おひさま進歩のマスコットキャラクターで2012年のTHE SOLAR BUDOKAN にも参加した「さんぽちゃん」。そして原発ゼロを目指すゆるキャラ「ゼロノミクマ」。さらにTwitterのフォロワーは100万人を超すというエネシフ界のカリスマであり福井県にすむ高速増殖炉の非公式キャラクター「もんじゅ君」。個性的なゆるキャラが集結した。
 
続いて、毎日新聞社 水と緑の地球環境本部長 兼 東京本社編集編成局編集委員、斗ヶ沢秀俊氏による開会の言葉。斗ヶ沢氏は「脱原発にとって一番必要なことは、太陽光発電を中心とした再生可能エネルギーをどれだけ普及していくかにかかっている。」「楽しみながら学んで、ソーラーパワーを普及させるために皆さん共に頑張りましょう。」と述べた。
 
そして会場のみんなで「ソーラーパワーフェスティバル!」とかけ声を上げ、いよいよ開幕。
 
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◆ソーラーパワー・トークセッション 1


ソーラーパワー・トークセッションの1番目は、省エネ建築の伝道師として知られるマングローブクリエーション・早田宏徳代表取締役が佐藤タイジとともに登場。早田氏は「省エネと創エネ」というテーマで、ドイツから始まった低燃費住宅の基準や取り組みを紹介。「日本の住宅には断熱して『熱を大切に使う』という思想が欠けている。」と語る早田氏に「一概にドイツと同じようなことをすればいいというわけじゃない。この国の気候に合ったものが必要。」と佐藤タイジ。建築の話から、電気に頼らない社会の重要性にまで発展。熱いトークセッションが繰り広げられた。
 
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◆ゆるキャラライブ 1


ゼロノミクマと相方のおさるのお兄さんが登場。ピアノが得意で、近々デビューアルバム「ゼロノミクマとゆかいな仲間たち」もリリース予定のゼロノミクマは、巧みな指さばき(?)で、渋い「ベアーズブルース」、即興の「ソーラーパワーの歌」をジャジーなコード展開で披露。
 
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◆エネドル ライブ


続いては自然エネルギー普及アイドル・エネドルのライブ。太陽光発電や風力発電などの自然エネルギー、様々な省エネ・新エネを広めることにより「一人ひとりが楽しくエネルギーは創れる!」ということを幅広い世代に実感してもらいたいという想いから生まれたというユニットだという。
 
メンバーは3名。専門紙での連載や環境プランナーの資格を持つ頭脳派ハイパーエコクリエーター・上田マリノと、民謡を歌うことが大好きな永峯恵の2人に、なぜかエネドルの付き人、(たま)も加わり、3人で「RingRing!!(リングリング)」「Gift」「エネルギー民謡」の3曲を可憐な振り付けで歌い、イベントに華を添えた。
 
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◆ソーラーパワー・トークセッション 2

東京都世田谷区の保坂展人区長が「世田谷区政と自然エネルギー」として、節電や自然エネルギーの普及に積極的な世田谷区の取り組みを紹介。屋根での太陽光発電「ヤネルギー」の推奨や、かつて世田谷区の保養施設があった、神奈川県三浦市の土地を利用して作られた「世田谷みうら太陽光発電所」の運営など、区政として興味深い先進的な活動を報告した。
 
後半は、次のソーラーパワー・ライブに出演するザ・コレクターズ加藤ひさし佐藤タイジも登場し、保坂区長とのトークセッション。世田谷区のような取り組みについて、「これからのステイタスになるね。」と語り合った。
 
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◆ソーラーパワー・スペシャルライブ 1

佐藤タイジと一緒に演奏するのは、加藤ひさしザ・コレクターズでの活動の他、近年は再生可能エネルギーへの転換を目指したバンド・CHANGE ENERGY’Sを結成し、福島の子供たちへの支援やエネルギーシフトの啓発に積極的な活動を行っている。
 
2人はザ・コレクターズの「ホームシック・ジャグ」と、「電気をつくろう」の2曲を披露。「すごい!さっき合わせたばかりとは思えない」と佐藤タイジは笑顔で話す。”電力兄弟”というユニット名がふいに出るほど、とても息の合ったアコーステックセッションとなった。
 
そして次のトークセッションの前には、昨年行われた中津川THE SOLAR BUDOKANの様子がスクリーンに映し出され、佐藤タイジ、加藤ひさしと共に振り返った。
 
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◆ソーラーパワー・トークセッション 3

「ほしい未来は、つくろう」をテーマにしたWebマガジンgreenz.jp発行人で、NPOグリーンズの鈴木菜央代表が登場。「エネルギーを手づくりする未来」と題し、日本国内で電気を使わない、頼らない生活を既に実践している個々の人々の暮らしぶりを詳しく紹介した。
 
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◆ソーラーパワーでギターを鳴らしてみよう

次のライブまでの休憩時間には再びロビーで、ワークショップ「ソーラーパワーでギターを鳴らしてみよう」が行われた。
 
先程のワークショップで完成した太陽光発電キットを使った蓄電池につないだギターが並べられ、実際に弾いて、普段使っている電気との音の違いを体験できるようになっている。12V・20Ahの蓄電池はストリートライブなどでも使えそうな充分すぎるほどのパワー。ソーラー電力を用いた良い音でギターをかき鳴らす子どもたちの気分はもうロックスターだ。
 
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◆ソーラーパワー・スペシャルライブ 2

昨年の中津川THE SOLAR BUDOKAN にも出演した、独創性に満ちた楽曲でジャンルを選ばず音楽ファンを魅了するシンガーソングライター・birdが登場。ソーラー電力でのライブの音の良さを、まさに立証するかのような伸びやかな歌声が、樋口直彦のギターと共に澄み渡るように会場に広がっていく。
 
この季節にぴったりの「桜」をはじめ、「満ちてゆく唇」、「RUN」、「ROOTS」の4曲をグルービーに、しっとりと披露した。
 
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◆ソーラーパワー・トークセッション 4

世界自然保護基金ジャパン(WWFジャパン)気候変動・エネルギーグループ プロジェクトリーダーで、、グリーン電力証書制度 運営委員でもある、池原庸介氏が登壇。「自然エネルギーのみで全ての需要を満たす社会へ」というテーマで、地球温暖化や気候変動問題に関わるエネルギーシフトの必要性と具体案を、クイズを交えてわかりやすく説明した。
 
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◆ゆるキャラライブ 2/ソーラーパワー川柳 ソーラーパワーアイデアコンテスト

またまた今イベントに参加のゆるキャラ全員が登場。おさるのお兄さんのリードで、会場のお客さんたちも参加しての「エネシフ音頭」。コミカルな、ゆるキャラたちの動きにホッと心が和む。
 
そして、ロビーで募集していた、ソーラーパワー川柳・ソーラーパワーアイデアコンテストの結果発表。ソーラーパワー川柳は1作品、ソーラーパワーアイデアコンテストは子ども部門と大人部門の2作品が受賞した。
 
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◆ソーラーパワー・スペシャルライブ 3

最後のプログラムは、太陽の力でロックする男、佐藤タイジによるスペシャルライブ。1曲目は「ありったけの愛」。アコーステックギター1本での力強く、かつ繊細なリフがソーラー電力を通して、さらに「生きた音」そのものとなって会場いっぱいに響き渡る。
 
2曲目は「ドレッド・ライダー」、そして3曲目はかつて忌野清志郎Bob Dylanの曲を日本語でカバーした「I shall be releast」。ギターの音とともに佐藤タイジの歌声が魂の中に飛び込んでくるようだ。
 
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最後に再び加藤ひさしが呼び込まれ、二人による「もう一度世界を変えるのさ」で締めくくられた。
 
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奇しくも開催日の3月29日は「EARTH HOUR(アースアワー)」。世界約150ヵ国の人々が同じ日の同時刻に電気を消し、「地球の環境を守りたい」という思いをわかちあう日であった。
 
Photo残念ながら今の日本では、太陽光をはじめとした再生可能エネルギーの利用は、ヨーロッパに比べてまだまだ遅れをとっている。しかし、このイベントで学んだように、既に地域団体や個人レベルでは着実に再生可能エネルギーが増え広がっている。その浸透が決して不可能ではないということを、佐藤タイジは音楽を通して私たちの目の前で明らかにしてくれている。
 
このようなイベントを通して、一人一人が、エネルギーや地球の未来について関心を持ち、ほんの少し何かをするだけでも、社会全体にとっては確かな変化を持ち始めるのではないだろうか?
 
新しいエネルギーは、自分で選び、自分で作ることができる。このワークショップで楽しそうにギターを弾いていた子どもたちが大きくなる頃には、ソーラーパワーでのライブが当たり前になっていることを信じたい。
 

◆早田宏徳 公式サイト
http://plus-energy.biz/
◆エネドル 公式サイト
http://www.enetomo.com/enedol/
◆保坂展人 公式サイト
http://www.hosaka.gr.jp/
◆ザ・コレクターズ 公式サイト
http://www.wondergirl.co.jp/thecollectors/
◆bird 公式サイト
http://www.bird-watch.net/
◆greenz 公式サイト
http://greenz.jp/
◆WWFジャパン 公式サイト
http://www.wwf.or.jp/

 

◆THE SOLAR BUDOKAN 公式サイト
http://solarbudokan.com/2014/
 
◆佐藤タイジ 公式サイト
http://www.taijinho.com/
◆シアターブルック 公式サイト
http://www.theatrebrook.com/
 
◆インフォメーション
THE SOLAR BUDOKAN 2014 in SHIBUYA vol.3  シアターブルック×FLYING KIDS
・2014年05月28日(水)【渋 谷】CLUB QUATTRO
中津川 THE SOLAR BUDOKAN 2014
・2014年09月27日(土) & 28日(日)
【岐阜】中津川公園内特設ステージ

◆関連記事
【連載】ACTION 19 脱・無関心(「THE SOLAR BODOKAN 2014 in SHIBUYA vol.2」のライブレポート)
http://www.beeast69.com/serial/mukanshin/101421
【レポート】THEATRE BROOK SEASON REVOLUTION TOUR
http://www.beeast69.com/report/78072  
【レポート】LIVE REVOLUTIONS! (THEATRE BROOK/加藤登紀子)
http://www.beeast69.com/report/57839
【特集】THE SOLAR BUDOKAN
http://www.beeast69.com/feature/53321
【連載】ACTION 11 脱・無関心(THEATRE BROOK リハーサルを取材)
http://www.beeast69.com/serial/mukanshin/47781
【連載】ACTION 10 脱・無関心(佐藤タイジインタビュー 後篇)
http://www.beeast69.com/serial/mukanshin/45984
【レポート】宍戸留美presents 下北沢文化とネットカルチャーそして…in下北沢音楽祭
http://www.beeast69.com/report/41296