連載

TEXT & PHOTO:鈴木亮介
第11回 Stand Up And Shout ~脱★無関心~

「太陽光の電力だけでロックフェスを!」佐藤タイジの音楽史に残る一大プロジェクト「THE SOLAR BUDOKAN」の開催が12月20日に迫っている。前回前々回佐藤タイジのロングインタビューを2回にわたってお届けしたが、今回は佐藤タイジ率いるTHEATRE BROOKのリハーサルを取材。さらに、武道館当日に使用される電池の実験を行った模様もお届けしたい。


THEATRE BROOK
メンバーは佐藤タイジ(Vocal & Guitar)、中條卓(Bass)、沼澤尚(Drums)、エマーソン北村(Keyboard)の4名。

1986年に佐藤タイジが中心になって結成、95年にEPIC RECORDよりメジャーデビュー。95年に中條卓、96年にエマーソン北村、97年に沼澤尚が参加し、様々な遍歴を経て、現在のバンドに近い形となる。アルバム等も勢力的にリリースを重ね、FUJI ROCKFES、RISING ROCK FES等、様々な大型フェスを大いに沸かせる。
2005年にフォーライフ・ミュージックエンタテインメントに移籍するが2007年12月恵比寿リキッドルームを最後に2年間の活動休止を発表。その言葉通り、2009年12月にリキッドルームで再始動ライブ”Return To TheLiquid”を敢行。2年間の個々の活動を経て成熟したプロフェッショナルな世界観が、この夜に集結。エネルギッシュでパワフルなロック魂を音にのせ、会場のオーディエンスを熱狂させた。2010年復活第一弾シングル「裏切りの夕焼け」をリリースしオリコン上位を記録。そして5年ぶりとなるフルアルバム『Intention』 をリリースし全国ライブを行った。
成熟したライブについては『Live Long and Prosper-Tour-』と題して2011年7月KINGRECORDよりリリースした初のライブアルバムでも実証している。
3.11の震災以後、エネルギー問題についてまだ解決がしない中、2012年の年末にソーラーエネルギーで武道館ライブをすることを目標にしたTHEATRE BROOKは 今こそ聞かなければならないロックバンドである。

午後1時、ここは数多くのプロミュージシャンが重宝するリハーサルスタジオ、ON AIR大久保。佐藤タイジを筆頭にTHEATRE BROOKのメンバー、そして関係者が続々と集まる。この日は本誌BEEASTの他にも取材が入っており、たくさんの関係者や取材陣に囲まれてのリハーサルスタート。しかし「物々しい」という雰囲気はなく、リラックスした表情のメンバー。
 
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いったんリハーサルを中断し、ロビーに出てきたメンバーとスタッフ。輪の中心には佐藤タイジの姿が。リハを終えたばかりのところを直撃した。
 
― 普段とは勝手の異なる、電池での演奏はいかがでしたか?
 
タイジ:思っていた以上!一度、下北沢の風知空知での「LIVE FOR NIPPON」でソーラー蓄電池を使って演奏した時に「音がいいな」という実感はあったんですよ。でも今回THEATRE BROOKでやってみて、俺のいつも使い慣れているマーシャルが全っ然違う。あまりにも劇的なので、テンションが上がるんですよ。びっくりした!
 
― どんな所で「違い」を実感しますか?
 
タイジ:明らかに違う。低音の量も、レンジも広がって、音が綺麗に伸びていて、すごく気持ちいい。明らかに音が違うから、音楽業界これ真剣に取り組むべき課題なのかもしれない、という実感がありますね。ベースの中條さんも「全然違う!」って(笑)色んな閉塞感のある中で、ミュージシャンって「音がいい」だけで喜ぶんだよね。いいよね!音がいいだけで未来が拓ける。それでいいんだと思う。「なら、こっちの方が楽しいじゃん!」って言えるし、ミュージシャンはそういう役割だと思うし。
 
― 聴くお客さんにもその「違い」は分かるのでしょうか?
 
タイジ:お客さんは分からないレベルかなと思ったんだけど、これは分かるレベルですね。ギターとかが全然違うから「あれ、いいな!」って思ってもらえると思います。是非12月20日武道館に来て音の違いを実感してほしいですね。
 
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さて、リハーサル後半戦スタート。われわれ報道陣もスタジオ内に入り、その模様を取材させていただくことになった。今回のリハーサルでは、武道館で当日使用予定の蓄電池を実際に用いて、曲ごとに「この曲だったら何ワット使用する」と使用電力量を測定。同時に、音の出具合など通常の演奏時との違いを各々ミュージシャンが自らの耳で感じとっていた。
 
佐藤タイジは「曲によって電力の使用量が違う、なんてことも、そういう見方を今までしていなかったので面白い」と目を輝かせる。本当にその言葉通り、「楽しく、世の中を明るい方向に導こう」という意志が言葉の節々に感じられる。「明るい未来を!」と眉間にしわを寄せて演説する政治家より、何十倍も説得力がある。
 
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リハーサルと言えども、THEATRE BROOKの面々は本番さながらのパワフルな演奏を披露。「ありったけの愛」、「キミを見てる」など、惜しげもなく100%全力の演奏が披露され、われわれ取材陣や関係者も曲が終わるたびに拍手せずにはいられない。
 
私事だが今回初めてプロのミュージシャンのリハーサルを見させていただいて、お仕着せの言葉になってしまうが「あうんの呼吸」と「リラックス」と「一切手抜きなし」が共存する、本番のステージに匹敵する興奮と迫力を感じることができた。中でも彼らの代表曲「まばたき」は、圧巻の約6分。沼澤尚が「この曲、一日一回でいい!当日リハやらなくていいよ。二回目もうダメだもん。一球入魂出来ない」と、汗をふきつつぼやき、場を和ませる。
 
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そんな沼澤尚に、リハ終了後に話を聞くことができた。
 
― この『THE SOLAR BUDOKAN』の構想はいつ頃聞きましたか?
 
沼澤:震災が起きて割とすぐです。元々タイジが武道館でやりたいという話はあって、その後3.11があってみんなライブを自粛するようになって…だからと言ってやめるのも違うし、「じゃあ問題が起きているのを、こうやっていったらいいんじゃないか」とタイジ君が考えてみんなに相談したら、みんなやりたい!と言って、動き出しました。
 
― 今日のリハで実際に音を聴いてみて、どうでしたか?
 
沼澤:僕は自分の周り(のドラム)がうるさいのであまり分からなかったけど、みんないいって言ってるね。ギターが全然違うらしいです。音がとてもいいから、お金持ちの人が取り入れて、広めていったらいいんじゃないかな。
 
― 確かに、コスト面が今後の課題になりそうです。
 
沼澤:そう。お金が非常にかかるわけなので、たくさんCDが売れているアーティストとか、大きなライブハウスとか、そうした所が名乗りを挙げてくれることが大切だと思います。使う人が多くなれば安くなるという市場原理がありますよね。そのためにも、まずはお金持ちの人から動いてくれれば。変わるためには今回の『THE SOLAR BUDOKAN』が超満員になって、流行りにならないといけないですよね。
 
― 今回、これに出たい!というミュージシャンは結構多いのでしょうか?
 
沼澤:周りのミュージシャン仲間でも出たいという人は多いですけど、「がんばってね!」って言って来てくれる…それだけでは広まらないと思います。応援してくれるのはありがたいけど、それだけではなくて、彼らが自分達でもこれをやらないと。語弊があるかもしれないけど”流行り”にならないといけない。例えばEXILEがそういうのに興味を持って、ソーラーで公演をやるってなっていけば、みんなが着いてくる。ああいう人たちがやらないと。
 
― お客さんが集まることも、そのためには重要ですね。
 
沼澤:めちゃめちゃ人が入って、超満員になれば、流行る。人が入らなかったらミュージシャンは「応援します」だけで終わってしまうので、難しい所です。「こういうのやるので出てください」ではなく「あ、俺らもやるわ」とミュージシャンに思わせることができれば、世の中が変わっていくと思います。あ、僕もフライヤー持って帰りますよ!
 
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リハーサル終了後、ちょうど今日刷り上がったというフライヤーが出来上がり、各々手に取っていた。一方その頃、佐藤タイジはスタッフやメンバーとともに、当日の進行について相談していた。詳細は敢えてここに書かないことにするが、「言いたいことはテレビや雑誌などメディアのインタビューでたくさん言ってきているから、当日は音楽に徹すれば良いよね」とその方向性を決めていた…ということはお伝えしたい。
 
既に本誌BEEASTを始め、各方面で佐藤タイジの、そしてその仲間のメッセージが連日掲載されている。読者の皆様には是非、THE SOLAR BUDOKANの公式Twitter(@_solar_budokan_)をフォローし、本誌に限らず多くのメディアをチェックしていただきたい。
 
大切なことは、一歩動き出すこと、そして沼澤尚の言うようにこれを「広げていくこと」だ。風を起こせば、きっと私たちは、日本は、変われる。
 
さあ 今ここを旅立つため 心を決めろ/ドアを開け 一歩踏み出せ
―――――THEATER BROOK まばたき
 

◆THE SOLAR BUDOKAN


 
太陽光から生まれた電気で武道館ライブを!
佐藤タイジTHEATRE BROOK)の熱い想いに賛同した豪華アーティストによる夢の「SOLARフェス!」
東日本大震災以来、新たな自然エネルギーへの関心が高まっています。
そんな中、“未来のエネルギーの可能性についてたくさんの人々と希望を分かち合いたい”と考え、本イベントは誕生しました。
太陽エネルギーの可能性をロックコンサートを通じてみんなで考えていく一日にしていきます。

 
◆THE SOLAR BUDOKAN 公式サイト
http://www.solarbudokan.com/

【出演】
佐藤タイジ プロジェクト(A100%SOLARS、THEATRE BROOK、TAIJI at THE BONNET、The Sunpaulo、インディーズ電力) / 奥田民生 / 加藤登紀子 / 吉川晃司 / 斉藤和義 / 田中和将(GRAPEVINE) / 土屋公平 / 仲井戸“CHABO”麗市 / 浜崎貴司 / 藤井フミヤ / 増子直純(怒髪天) / 屋敷豪太 / 和田唱(TRICERATOPS) / Char / Leyona / LOVE PSYCHEDELICO / Salyu / Decoration by Candle JUNE

【公演日】
2012年12月20日(木)

【会場】
日本武道館
【時間】
OPEN17:30 / START 18:30

【チケット】
全席指定¥6,900
チケットぴあ0570-02-9999(Pコード:175-948)
初日特電:0570-02-9980
ローソンチケット 0570-084-003(Lコード:74531)
初日特電:0570-084-632
イープラス
GANBAN 03-3477-5710 (店頭販売のみ)

【主催】
WOWOW
【企画】
WISDOM recordings/ワイズコネクション
【制作】
フェイスクルー/ DOOBIE / バーベイトロック
インフォメーション:
HOT STUFF PROMOTION
03-5720-9999/www.doobie-web.com


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【連載】脱・無関心 バックナンバーはこちら
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【特集】Editor’s Note…PASSION Mind1 被災地の音楽店は、今 ~仙台/石巻で聞く~
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