特集


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TEXT:鈴木亮介 PHOTO:荻原ヒカリ(6/9)、幡原裕治(8/4)、鈴木亮介(雑観)
「好きを仕事にする。」音楽業界の展望は ~プロフェッショナルに訊く~

「”好き”を仕事にできたら…」10代のBEEAST読者の中にも、そんな希望や悩みを持つ人は多いのではないか。「CDが売れなくなっている」「プロとして成功するのはほんの一握り…」ネットツールの普及でこうした断片的な情報が入りやすくなっている反面、情報を断片的、一面的に解釈し(たつもりになり)、最初から諦めてしまったり、一歩踏み出すことを躊躇してしまったりしている学生も少なくないように感じる。
 
ロックと生きる…ライフスタイル応援マガジンを標榜する本誌では、こうした「”好き”を仕事に」の背中を押すべく、「アーティスト」「裏方」などジャンルを問わず音楽業界で働くことについて、様々なスタンスから取材・記事掲載し、立体的な情報と観点の提供に努めてきた。一例を紹介しよう。
 

【連載】ロック社会科見学
http://www.beeast69.com/category/serial/sociology
【レポート】「METAL SUMMIT VOL.5」~メタルで食っていくとは!?~
http://www.beeast69.com/report/102232
【特集】Sony Musicグループ インターンシップ2013へ密着取材!
http://www.beeast69.com/feature/85165
http://www.beeast69.com/feature/85900
【レポート】宍戸留美presents 下北沢文化とネットカルチャーそして…in下北沢音楽祭
http://www.beeast69.com/report/41296

 
こうした取材を進めていく中で、一つの道を邁進し続けるプロフェッショナルに話を伺いたいという思いが日増しに強まっていた。そんな中、ご縁があり東京・代々木の音楽専門学校ミューズ音楽院にて公開講座に出演させていただくことになり、国内の音楽ジャーナリズムの第一人者とも言うべき平山雄一氏、そして昨今急速なブームが起きている高校の軽音楽部について、独自の手腕を発揮し高校生部員たちを大きなステージに導いてきた荒木敦史氏と対談させていただく機会に恵まれた。
 
今回の特集記事では、その対談内容を振り返りながら、「”好き”を仕事に」を目指すホープたちが笑顔になれるような、音楽に携わる仕事への展望を見出せる記事を目指したい。

ロックなライター2人が語る音楽ライター、そして音楽業界の過去、現在、未来

2014年6月9日(月)、「ロックなライター2人が語る音楽ライター、そして音楽業界の過去、現在、未来」と題した対談イベントが東京・代々木のミューズ音楽院にて開催された。
 
出演は音楽評論家として国内のロックシーンの第一線でジャーナリズム、評論をつづける平山雄一御大と、松尾宗仁のマネジメントを行う有限会社シューティングスターの今田真代表取締役、そして小生も末席に参加させていただいた。さらに、アシスタントとしてベーシスト・shioRi(ex:THE LEAPS)も参戦。現役のミュージシャン目線で対談に厚みを加えた。
 
日本のロックシーンの草創期から現場で取材を続ける平山雄一氏の舌鋒鋭い話題の数々、そして僭越ながら小生も自身のフィールドから「軽音楽部ブーム」の話題などを中心にお話させていただいた。

hirayama◆音楽評論家&ライター 平山 雄一(ひらやま ゆういち)

1953年、東京・立川生まれ。1978年より音楽評論を始める。
サザン、尾崎豊、チェッカーズ、ユーミン、中島みゆき、hide、スピッツ、アジカン、ドラゴンアッシュ、クリープハイプなどを取材。特にユニコーンに思い入れがある。観たライブは間もなく5000本に達する。テレビ「ライブトマト」「イカ天」「モグラネグラ」、ラジオ“サウンド・ストリート”、音楽雑誌「What`s in」、web「EMTG MUSIC」などで、“アーティストとリスナーのフェアなコミュニケーション”をテーマに活動。2013年、第2音楽評論集『弱虫のロック論』を角川書店より出版。同時にリリースパーティを奥田民生、アジカンを招いてZepp TOKYOで開催。
イベントのキャスティング&プロデュースは、大人の夏フェス“SLOW MUSIC SLOW Live”(池上本門寺)、冬フェス“ルルティモ・バーチョ”(恵比寿ガーデンホール)。今年から“ダイスをころがせ”(第1回目 渋谷AX 5/25 出演 くるり、赤い公園、キュウソネコカミ、QOOLAND)、“RUBY TUESDAY”(第1回目 新宿LOFT 7/1 出演 QOOLAND グッバイフジヤマ 夜明ケマエ 荒川ケンタウロス)をスタートさせた。

 
 

   

 

まずは平山氏、鈴木の2名が「この仕事を始めたきっかけ」を話すことに。平山氏は大学卒業後の25歳の頃、音楽雑誌でライターをする友人から頼まれて代わりに原稿を書いたのがきっかけだという。人生初取材は1978年、デビュー前のサザンオールスターズのスタジオリハーサルだったとか。
 
それまで洋楽しか聴いてなかったという平山氏。元々文を書くことが好きだったこともあり、取材を続けていく中で「まだその頃日本にはロックシーンなんてなくて。おそらく誰も聴いたことも見たことも書いたこともないジャンルだな」という感触を持ち、新しい世界を開拓できる面白さから、それを仕事にすることを決意したという。
 
ちょうど平山氏が音楽評論家・ライターとして活動を始める1980年代は、日本国内のロックシーンの商業的な意味における草創期。1983年にCD(レコード)の売り上げが業界全体で3500億円で、1985年にバンドブームが来ると一気に上昇。宇多田ヒカルGLAYが台頭する1998年には年間7000億円にまで伸びるが、そのわずか5年後の2003年には再び3500億円にまで落ち込む。現在までの10年間で、インターネットの普及や長引くデフレなど社会的、経済的な動きとも連動して「CDが売れない時代」という認識が一般に広まった。
 
 

   

 

「特に若い人の音楽は、書いている歌詞から活動の仕方まで、意識が音楽に反映される。音楽を限定した一つのジャンルではなく、世の中の指標となる表現物だと思って取材をしてきた」という平山氏は、音楽評論家としての立ち位置の変化について、次のように語った。
 
「1970年代はまだレコード会社もロックのレーベルがなかったので、何をしても良かったんです。ただしどんなに優れた楽曲でも2000枚しか売れなかった。それから80年代にバンドブームが来てミリオンセラーがたくさん出るようになって、そのときに日本のロックジャーナリズムには選択肢が二つありました。一つはミュージシャン側に寄り添って一緒に伸びていくという道。もう一つは、ミュージシャンに敵対しないまでもミュージシャンを題材に音楽雑誌を売りたいという道。
 
アメリカのジャーナリズムは前者が多く、イギリスのジャーナリズムは後者。新人を持ち上げてスターにしていって音楽雑誌が売れるようになって、数年で飽きられてきたらそのミュージシャンのスキャンダルを出して潰していく…という。日本はアメリカと同じ、ミュージシャンとともに歩む方を選んだんです。ただしそのときに、批判できないような体質…分かりやすく言うと、レコード会社が雑誌に広告を打つから、ミュージシャンの悪口を言う媒体には広告を打たない、という健全ではない状態が主流になり、これが今でも続いているんです。どこの媒体にも同じようなインタビューが載るのは、レコード会社がコントロールしているから…」
 
その中で平山氏は、時にレコード会社とぶつかりつつも、国内のロックにおけるジャーナリズムを切り拓いてきた(詳細は著書『弱虫のロック論』に記載)。「日本のロックジャーナリズムは未熟なまま」と手厳しいが、2000年代に入ってCDの売り上げが下がってくるにあたり、従来とは異なるジャーナリズムが出てくるだろう、とのその展望を語った。例えばインディーズバンドをずっと見ているジャーナリストは、レコード会社が介在しないことでミュージシャンに直接対峙できる。
 
これに対してはミュージシャン目線からアシスタントのshioRiも共感を示す。紙雑誌が主流だった頃は広告を打てるレコード会社に所属しているアーティストしか取り上げられていなかったが、この10年でweb媒体が成長。そのお陰でメジャーシーン以外の音楽にもスポットが当たるようになったという利点を挙げた。
 
 

 

 

エンタメ分野のジャーナリズムは「あらゆる文化と結びついているのでとても面白い職業」と語る平山氏。「昔と今を比べるとどっちが良いか」という質問には「断然、今の方がいい」と回答。CDの売れ行きは下がったが、30年間一貫してライブの現場取材を続ける中で、最近は「いい音楽ファンが育っている」という実感があるということで、「ここからまた面白い時代が来る」と強調する。MCの今田氏も自身の経験から「予算は前のほうがあったけど、一方でPro Toolsのお陰でレコーディングは早く、安くできるようになった。モノを作るハードルがいい意味で下がっている」と付け加えた。
 
最後は「日本のロックの未来の話」に。昨今はCDの売れ行きとは対照的にライブの動員が増え、そこでのグッズの売り上げもミュージシャンにとって重要な位置を占めるようになった。「CDセールスの全盛期は、ライブは新譜を披露する場という付帯的要素が強かったが、今ではライブそのものが商品に成り得る時代」と平山氏。ライブでそのミュージシャンの実力を判断できるのは、シーンを盛り上げるためにも良いことだとした上で、「レコードにせよCDにせよ、”音源”として複製したものを届けられるようになったのは、長い長い音楽の歴史から見てたかが60年ほど。その前は生演奏、ライブでしか伝えられなかった。それを考えたら、ライブが大事なものであることに代わりはない」とライブの意義を説いた。
 
音楽ファンが自らライブに足を運び、自分の耳と目でホンモノを見極められる時代において、果たして音楽メディア、音楽ジャーナリストの果たす役割とは何か。そんなことを、終演後改めて考える契機となった。
 
 

   

 

多くのweb媒体が現在直面している問題(と自覚している媒体も少ないようだ…)が、モラルの低下。読者から購読料をもらっていないことが災いしてか、広告色の強い媒体、「バンドから広告料をガッポリ取って、儲けてやろう」という媒体等々。私個人の感触としては、テレビで言うところの視聴率のような分かりやすい指標を求めた結果、いつの間にか「アクセス」至上主義になってしまったことも、ジャーナリズムの醸成を阻んでいるように思う。
 
紙からwebになり、自由に発信できるようになった今、その自由を獲得し続けるために、良質な誌面が作れているか、常に問い直し続けなければならない。いずれにしても、思い立ったら即行動できる今、ものづくりに携わる人間にとってこれほど恵まれている時代はないと言っても過言ではない。

高校生部活人気No.1! 軽音楽部の現在と展望を語る


2014年8月4日(月)、「<夏休み特別企画>高校生部活人気No.1! 軽音楽部の現在と展望を語る」と題した対談イベントが東京・代々木のミューズ音楽院にて開催された。
 
アニメ「けいおん」ブームも手伝い、高校生の部活動所属人数が今や一番多いと言われている、軽音楽部。一昔前は「軽音は不良の溜まり場」「顧問は名ばかり、放課後に生徒が好き勝手ギターを弾いている」といったイメージで語られることが多かったようだが、それは一昔前の話。各県には軽音楽部連盟が設けられ、顧問同士が情報共有をし合って合同ライブや楽器クリニックなどのイベントを開催。そして2013年からは夏休みに全国大会(いわゆる軽音版の甲子園)も始まり、さらなる盛り上がりを見せている。
 
そんな「軽音楽部」について、世間一般的にはまだまだよく知られていないというのが実態のよう。そこで、本イベントでは150人を超える部員を指導し数々のバンドをコンクールで入賞させてきた知る人ぞ知る”都立鷺宮高等学校軽音部 伝説の元顧問”、現役の高校教師でもある荒木敦史先生を招き、「なぜ今軽音ブームなのか」「現場ではどのような指導が行われているのか」「軽音部から明日のロックスターは誕生するのか」などなど、高校軽音の来し方行く末について対談を行った。
 
アシスタントには、高校時代に軽音楽部で活動し、音大の同級生で結成したガールズバンド、Su凸ko D凹koi(すっとこどっこい)のどい(Bass & Vocal)、りな(Guitar)、おうむ(Drums)の3名が登場。元「軽音部員」目線、またミュージシャン目線での見識を大いに語ってもらった。

a11a◆荒木 敦史(あらき・あつし)

1971年8月13日生まれ。神奈川県で育ち中学、高校時代は吹奏楽部でTubaを担当。1991年早稲田大学に進学。ビッグバンドにストリングスを加えた特殊なバンドにてバイオリン、Tubaを担当。フュージョンやJazzに親しむ。一方でサークル内の気の合う仲間とROCK系バンドを結成。1997年図書館司書となる。都立高校に配属される。2003年国語科教諭に職種替え。都立大泉高校、都立鷺宮高校勤務を経て2014年より都立豊島高校勤務。軽音楽部顧問歴は約10年。本格的に指導を始めたのは5年前より。
指導したバンドの主な入賞歴:
東京都軽音楽連盟都大会(夏・秋開催)8回連続出場
同関東大会2011年、2012年、2年連続出場
The 6th Music Revolution JAPAN FINAL出場
(第4回から第8回までTokyo Semi Final進出)
YHMF2012 グランプリ獲得
JYOJI-ROCK 2012春大会、2014春大会 グランプリ獲得
 
鷺宮高校時代の部活ブログ。
http://sagirock.blogspot.jp

 
まずは軽音楽部の現状について、この春まで都立鷺宮高校軽音楽部で陣頭指揮を執り続けていた荒木先生より報告。荒木先生によると、直接的な関連性は薄いだろうとしながらも、アニメ「けいおん!」のヒットした頃(2009年4月~アニメ第1期放送開始)に軽音楽部志望者が急増。東京と神奈川の連盟においては、吹奏楽部員数を軽音楽部員数が上回ったとの話もあるが、鷺宮高校をはじめいくつかの有力校では、ここ1、2年はまた入部希望者が減っている状況もある。荒木先生によると、今後人気No.1部活はダンス部に取って代わるのではないか、との危惧もあるとのことだ。
 
また、昨今のガールズバンド人気の下支えとなっているのが高校の軽音楽部とも言われているが、荒木先生によれば「けいおん!」ブームの巻き起こった頃は鷺宮高校では7:3で女子部員が多勢を占めていたが、近年は少しずつ男子部員の盛り返しが見られている。しかし、依然として女子部員の人数の方が多い学校も少なくないという。ちなみに、荒木先生が初めて軽音楽部の顧問になったのは2003年のこと。赴任校が偶然軽音のさかんな学校で、誰も成り手がいなかったために顧問に就任。鍵の閉まった会議室に、生徒たちは勝手に窓から入って練習しているという状況で、その当時の部長は某有名バンドの元メンバーだったという。
 
部活として整い、敷居が下がったことによって部員の意識にも変化が見られるという。7、8年前までは昔ながらのバンドマン…いわゆる「音楽が心底好きで、将来はバンドで成功したくて」ということで入部する者が多かったが、今は友達作りやサークル活動の一環としてバンドをやる者が多いという。荒木先生いわく、「バンドだけがやりたい」という生徒は減少の一途。優先順位が低いわけではないが、「たくさんあるやりたいことの中の一つがバンド」という生徒が多くなっているそうで、そこには顧問として”物足りなさ”を感じることもあるのだという。
 
 

 

 

軽音部で頑張って何が何でもメジャーデビュー!ということではなく、例えば水泳部が練習のときはがんばって泳ぐのと同じように、軽音部だから部活のときにはバンドをがんばる(けど練習が終わってまで四六時中バンドのことを考えているわけではない)という傾向は、高校時代に同じ軽音楽部に所属していたSu凸ko D凹koiどいおうむも、「自分たちの周りにもそういう人が多かった」と同調を示した。
 
続いて話題は軽音楽部を取り巻く現在の環境について。「バンドをやるのは暴走族に入るのと同じ」と言われていたのは遠い過去の話。今の高校生の両親は多くが40代前半だが、その世代は自分自身が学生時にバンドブームを経験している。そのため理解ある保護者が増えてきているということだが、一方で学校の先生たち、とりわけ管理職をはじめとした年配の先生方の中には、未だ軽音に対して理解を示さない雰囲気は残っているという。
 
また、私立高校の場合は金銭が絡む活動への制限が厳しい学校が多く、たとえばライブハウスに出演することを禁止していたり、中には外部のスタジオで練習することさえも禁じている学校もあるという。そうした中で、何とか軽音部員たちの発表の場を…という現場の先生たちの熱意が実る形で、2000年代に入って神奈川県や東京都などいくつかの都県で高等学校軽音楽連盟が立ち上げられ、大会や複数校の合同ライブが行われるようになった。そして、「けいおんブーム」の波に乗る形で連盟の規模はここ数年で拡大。都内では連盟加盟校が100校以上にのぼるという。
 
 

 

 

さらに話題は「公立と私立の違い」に広がる。野球でも予算も練習スペースも限られた弱小都立が強豪私立に競り勝つ「都立の逆襲」は大衆の心をつかむが、軽音楽部の世界でも類似の事例が――。荒木先生は「都立の教員は6年で異動になってしまうが、私立高校は10年20年かけてじっくり指導できたり機材をそろえたりできるのでうらやましい」と話す。
 
そうした「公私の格差」は大会でも如実に表れており、今夏の都大会では決勝進出の21バンド(エントリー:168組)中、都立高校は4校8バンドだけ。上位大会の全国大会出場7バンドに関しては都立高校は2バンドで残りは私立だという。確かに、かつて埼玉県大会を取材した際の印象としても、私立の大学附属校のバンドが決勝では目立っていたように思う。「同じところにずっといると、OBの中から実力のあるアーティストが輩出されて、後輩の指導に来てくれたりするといったこともあるので、同じ場所でずっと指導している方が子どもは育てやすい」と荒木先生は加える。
 
さて、そうした中で対談はメインテーマである「軽音楽部から明日のロックスターは生まれるのか?」という話題に。実際のところ、軽音楽部に所属する生徒たちはどれほど”プロ志向”なのか。荒木先生によれば、部員が150人いて、そのうちプロ志向は3人くらいだという。「夢を語らないですね、今の若い子は」――1回メジャーデビューを果たしたがインディーズに戻ってきたバンドや、すごくうまいのにもう30歳過ぎでデビューすることもないバンドなど、身近な先輩の動向が見えることで、挑戦しようという気持ちが生まれなくなっているのだろう。
 
 

 

 

あのバンドみたいになりたいというモデルがいない。だから、突き詰めるほどはやりたくない。そういうことで、高校卒業後にバンドをやめてしまう生徒も非常に多いのだという。チームメイトや施設、用具が必要な運動部とは違って、音楽については趣味で続けるという選択肢もありそうだが、だらだら続けるということをせずに高校を卒業したらスパッとやめてしまう者が多い。その理由の一つに、荒木先生は大学の軽音サークルより、有力校においては高校の方がレベルが高くなっているという現状を挙げる。例えば意識が高い生徒は、大学のサークルで高校時代に輝いていたあの瞬間はこのまま楽器を持っていても来ないんだな、と悟り、「もう音楽はいいや」となってしまうのだとか。
 
これについては音大の同級生で結成したSu凸ko D凹koiメンバーも同調。音大でも入学当初は20組いたバンドが卒業時にはわずか2組になったということで「野球部だったら監督がいるけど、バンドは自分たち同士でほかに(第三者で)まとめる人がいないから、残らないのでは?」とりな
 
確かに、芸事の世界は特に「叱ってくれる人の存在」は重要だ。荒木先生も、自身が学生の頃から「機材の使い方一つとっても、怒られて覚えたもの」と振り返った上で、大会でも顧問の先生がしっかりしている学校がちゃんと実績を出している、と指摘。そして、ひとたび学校の外に出てみると、経営を優先するあまり、昨今は怒ってくれる大人の存在は稀有だ。ライブハウスやスタジオも、顧客として接する学生たちに対して、きちんと怒れる大人は少ない。
 
では、その中で軽音楽部の意義は。明日のロックスターは生まれるのか。もっとも、今のメジャーシーンを見わたしても、20代で「国民的なロックスター」が思いつかないのが現状ではあるが、荒木先生はスターを生む可能性は「ある」と断言。その理由を、そして顧問の果たす役割について、次のように述べた。
 
「一握りでも、本気で練習して大会で切磋琢磨していく子達はいて、彼らは学校の垣根を超えて、馴れ合いでない友情を育みます。高校卒業後、そこで仲良くなった同士でバンドを組むといった例もあり、出会いの場としても機能しているようです。そこで顧問として私ができることは、彼らの上がっていくスピードを速めることだと思っています。優しい人しかいない外のスタジオやライブハウスでやるより、本気にさせること。いろんな大人と生徒をつなぐことが自分の役割ですね」

 

 

「ロック評論、ロックジャーナリズム」を追究し続ける平山雄一氏と、「学校でロック」の意義を考え続ける荒木敦史氏。両者の話に共通するのは「ロックスピリット」、開拓の心だ。かつて半世紀ほど前、何もないところから切り拓かれた邦ロックの世界にひょんなことから飛び込み、「誰もやってないこと」の開拓に魅せられた平山氏の時代と、現在は取り巻く環境も業界の経験値も大きく変化したように思うが、「若者が夢を語らない/語れない」今は、むしろ一周まわって再びまっさらな状態に戻ったのではないかと思える。つまり、「夢を語らず、失敗を恐れて挑戦しないのが普通」という土壌があるからこそ、誰もやってないことを自由に挑戦できる気がするし、制作や発信の道具の普及で挑戦への敷居は低くなっている。
 
私的なことで恐縮だが、副編集長として、”Editor’s Note”特集を書くのはこれが最後になると思われる。だが、今後も「ロックと生きる」を体現するジャーナリストとしての挑戦はし続けたいと思う。小生自身、何の金もコネも腕もない状態、23歳の誕生日にジャーナリズムの道を志して独立し、今月30歳を迎えたが、ここまでの我が道を振り返ったときに、一切の「挑戦」に悔いはなく、挑戦しなかったことへの後悔だけが残る。結果はともかく、その過程における充足は本人の自己満足(…というと印象は良くないかもしれないが)、自分の挑戦する心、ロックスピリット次第でいくらでも満足させられる、と断言できる。「好きを仕事にする。」音楽業界の展望はいざ知らず、明るい展望を持てるか否かは自分次第だ。むしろ、暗い話ばかり聴く業界だからこそ、挑戦のしがいはあるだろう。
 

◆平山雄一ブログ ユニコーン漂流記
http://unicornyh.jugem.jp/
 
◆平山雄一 インフォメーション
『弱虫のロック論』 発売中

 
◆shioRi(Bassist) 公式サイト
http://shioribassist.jp
◆Su凸ko D凹koi 公式サイト
http://ip.tosp.co.jp/i.asp?i=suttokotoi
 
◆Su凸ko D凹koi インフォメーション
1stミニアルバム『一寸先は闇』 発売中
◆企画協力:ミューズ音楽院
http://www.muse.ac.jp/
 
◆インフォメーション
<公開インタビュー>「OVER 22、女性ミュージシャンの生き様」
日時:2014年11月28日(金)
開場19:00 開演19:30~(60分程度を予定。終演後に物販あり)
参加費:無料
会場:東京・代々木ミューズ音楽院 本館 2F教室
 
インタビューイ:ゆゆん(ゆりえ、まりな、イシバシリサ、イシカワミナ子)
進行・インタビュアー:鈴木亮介(BEEAST)
 
※詳細・申し込みは以下URLへ
http://www.beeast69.com/news/beeastinfo/115727

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