特集

TEXT:鈴木亮介 PHOTO:矢沢隆則

本誌BEEASTが自信を持ってプッシュする太鼓判アーティストの特集、第29弾はパンクロックバンド、Su凸ko D凹koi(すっとこどっこい)が登場します!
 
メンバーはどい(Bass & Vocal)、りな(Guitar)、おうむ(Drums)の3名。同じ音楽大学に通う同級生で2010年に結成し、結成当初より精力的なライブ活動を展開。2012年11月に渋谷・clubasiaで行われたワンマンライブでは200人を動員。翌年には「NAONのYAON 2013」にオープニングアクトとして出演を果たしました。
 
シンプルに心に突き刺さるパンクロックサウンドに、”上っ面の会話の裏側に隠された女子の本音”をテーマにした歌詞は各方面で話題を呼んでいます。テレビ朝日系音楽番組「music るTV」でも取り上げられ、彼女たちの楽曲「xxxx」はMCのヒャダイン、綾小路翔に大好評。さらに、「別れたい」は同番組の「もし売れ大賞」にて歌詞大賞を受賞しました。
 
そんな「xxxx」、「別れたい」など5曲を収録した1stミニアルバム『一寸先は闇』が7月23日にリリースされます。女性はもちろん、「女心がわからない日本人男性6133万人の皆様に是非聞いて頂きたい」という彼女たちの音楽はどのようにして生まれたのか。メンバー3人にインタビューを行いました。
 

Su凸ko D凹koi(すっとこどっこい)
2010年1月どこにでもいるような普通の女の子3人がバンドを組み、普段口に出来ない女の本音を歌う。ちなみに3人とも2014年に音楽大学を無事卒業。今までに200本以上のライブをこなし、2014年度は年間100本ライブを行う予定。手売りでCD600枚完売を達成。今までに3回のワンマンライブを行いclubasiaで行われたワンマンライブでは200人を動員した。2013年4月29日、日比谷野外音楽堂にて5年ぶりに行われた「NAONのYAON」にオープニングアクトとして出演。同年にアマチュアアーティストコンテスト「RO69JACK13/14」での入賞経験を持つ。2014年の秋にO-westでワンマンライブを行う予定で今波に乗っているガールズバンドである。

 

 

音大目指す予備校での出会い 「合格したらバンド組もう」
—2010年1月にバンドを結成したということですが、まずはそのあたりの経緯から教えてください。

 
どい:3人とも同じ音大を目指していて、その受験生だった時に知り合ってバンドを結成しました。元々おうむと私は同じ高校…というか小中高同じ学校で、その後りなちゃんと出会って。
 
りな:3人とも同じ予備校に通っていて、そこの先生に「ギターを探してる子たちがいる」と紹介されて出会いました。
 

—高校生の頃に出会って…1月に結成ということはちょうど受験直前?

 
どい:いえ、その時に受験はもう終わっていました。出会ったときに「みんな大学に合格したらバンドを組もう」って決めて、その後3人とも無事合格できて。大学入学の直前に初ライブでした。
 

—どいさんとおうむさんは高校も一緒ということですが、高校時代にもバンドを組んでいたのですか?

 
おうむ:そうですね。中学の頃から同じクラスになって仲良くなって、中高と一緒にバンドを組んでいました。
 

—ではそのあたりも含めて、皆さんが音楽を始めたきっかけを教えてください。

 
りな:中3の頃にギターを始めました。何か楽器ができたらいいなと漠然と思っていたのですが、ちょうど地元の友達の間でバンドブームが起きていて、「ギターやってよ」と言われバンドを組むことにしました。初めて組んだバンドは4ピースでメンバーは私以外男の子です。「青春パンク」みたいなバンドで、太陽族などのコピーをしていました。
 
どい:私は中3の頃、当時好きだったBUMP OF CHICKENのコピーバンドをやるために楽器を始めました。元々は本やマンガを読むのが好きで、音楽は「うるさい」くらいに思っていて…むしろ普通の人以上にアンチ音楽って感じだったのですが、BUMP OF CHICKENを友達に薦められて、歌詞が物語みたいになっていることに興味を持ち…
 

—それで、演奏することにも段々興味が出てきて。ベースを選んだのはなぜですか?

 
どい:それで、友達とコピバンを組もうということになり、ドラムがいなかったのでおうむにドラムやってよってお願いして。私は本当はギターボーカルがやりたかったのですが、男の子がメンバーに2人いて、ギターがどうしてもやりたいと言われて「じゃあ私ベースやる…」って(笑)
 

—譲ってあげたんですね(笑)。その後はオリジナル曲も作って…?

 
どい:そのバンドではコピーばかりやってましたね。メンバーが途中で一人抜けましたが、高2~3の頃まで続けました。高校の頃は軽音部に入っていて、そのコピバン以外に2つバンドを掛け持ちしていました。一つはガールズ4人組のパンクバンドで、もう一つはちょっと昭和っぽいテイストというか…男の子1人、女の子2人という編成のバンドです。
 
おうむ:その3バンドとも全部、ベースがどいでドラムが私です。
 

—なるほど。中3からずっと一緒なんですね。おうむさんは音楽を始めたきっかけは何ですか?

 
おうむ:私は3歳の頃からピアノを習っていて…でも中学のときは水泳部で、バンドをやるつもりはなかったんですけど、どいが誘ってくれたので新しいことをやってみようかなと思ってドラムを始めました。水泳選手になろうと思っていて…。
 
りな:選手めざしてたの?
 
おうむ:当時は体育大学に進むつもりで。ハマるとまっすぐに進むタイプなんです。だから、バンドに誘われたときは「水泳続けながらバンドできるかなー」って、すごく悩みましたね(笑)
 

—そんなどいさんとおうむさんがりなさんと出会って、Su凸ko D凹koiを結成して…そこから、今回の1stミニアルバム『一寸先は闇』リリースまでの4年半を、順を追って伺ってまいりたいと思います。まず結成当初ですが、バンドの方向性とかやりたい音楽とかいったものは、どのようにして決めたのですか?

 
どい:曲に合わせてバンドの形は勝手に決まっていった、という感じです。
 

—話し合ったりとかではなく、3人で合わせていくうちに自然と決まったということでしょうか。

 
どい:はい。最初に作った曲は「陰気者」という…今演奏しているような曲に通じるものです。
 

—誰が曲を作ろう、というのはどうやって決めたのですか?

 
どい:特に話し合ったわけではなくて…最初の曲はたまたま私が作って持っていきましたが、誰が作ると明確に決めたわけではなく、誰かが作って持ってきたものをスタジオで3人で合わせて仕上げていくというようにしています。
 

—りなさんは女子だけのバンドというのはSu凸ko D凹koiが初になると思いますが、男子もいるバンドと比べて何か違いを感じることはありましたか?

 
りな:なんだろう…意外とすぐなじんじゃったので、違和感はなかったですね(笑)
 
どい:男の子のいるバンドはめっちゃ気を遣う(笑)。結構繊細なんですよね。打たれ弱いというか、「そんなことで落ち込む?」って。腹が立つとかはないけど、すごく言葉を選んで伝えたりしてました。
 

—「女子はつるむ」って言いますけど、案外男子の方がつるんだり、弱弱しいところがありますよね。

 
どい:意味不明なところで落ち込みますよね。私生活の悩みみたいなものを全面的にバンドに持ち込んできたり。その辺が難しいですね。
 
りな:男子とバンドを組んでたときは「女子だし、後輩だし」ってことでスタジオ代を払ってもらえたから、それは良かったかな。今は完全に割り勘(笑)
 

「バンドは絶対解散しない」苦難の3年目乗り越え、NAONのYAON出演

 

—結成した当初の活動を振り返って、どんなことが印象に残っていますか?

 
どい:最初の一年間はひたすらライブしまくってました。多いときには月8~9本くらい。
 
おうむ:最初の頃はツテも何もなかったし、バンドの知り合いも誰もいない状態だったので、ライブハウスのブッキングに出るところからスタートして…どうやっていくのが正解かもわからなかったし。
 

—その中で手ごたえを感じるようになったのはいつ頃ですか?

 
どい:なんだろう…
 
おうむ:だんだんバンドの知り合いが増えてきて、イベントに誘ってもらえるようになって、つながりができてきたなぁと思うようになりました。
 
どい:とにかくたくさんライブに出るということを一年くらい続けていって、さすがに多すぎるだろうということで二年目から出る本数は徐々に減らすようにしました。見せ方も変わりましたね。最初は衣装を作っていたのですが、それをやめて私服っぽくしたり、SEや入場の仕方など、細かいところも含めて変えて生きました。
 

—衣装があったんですね。ちなみにどんな衣装だったのですか?

 
どい:えっと、体操着でした。なんでそうしたんだっけ…
 
りな:私がSu凸ko D凹koiの前にやっていたバンドがガッチガチの青春パンクで、ジャージを着てライブに出ていたんですよ。だからライブはジャージでやるものっていうイメージがあって。最初のライブのときになぜか私だけ体操着で出ていて、それがなじんでいって3人とも体操着を着るようになり、赤白帽をかぶり…
 

—で、それを辞めようと思ったのはどういう理由ですか?

 
どい:体操着だと、やっている音楽とあまりにもなじみすぎていて…一番不釣り合いな格好でやった方が面白いんじゃないかと思ったんです。あと、最初の一年間はMCらしいMCが一切なく、芝居っぽい感じで進行していたのですが、2年目からはMCをちゃんとやるようになりました。
 

—お客さんの反応はどうでしたか?

 
どい:良くなりましたね。体操着の頃は見た目や芝居っぽいMCに対して感想を言われることが多かったですが、そこを変えてからは音楽のことを言ってもらえるようになりました。
 

—なるほど。やっている音楽の基軸は最初からずっとぶれないまま、1年目にはひたすらライブに出まくって見せ方を模索して、2年目に「これだ」というものをつかんできて…3年目はどうでしたか?

 
どい:ワンマンライブやツーマンライブが増えました。初ワンマンは2月に新宿Marbleで…すごく緊張したのを覚えてますね。
 
りな:初めて10分くらいのMCをやって…3人で雑談したり、紙芝居のコーナーをやったりしたね。
 
おうむ:曲の内容に沿って物語を作った紙芝居をアンコールで披露しました。曲に出てくる人物の「曲にならなかった部分」をストーリーに盛り込んで…。
 
どい:あとは特に印象に残っているのは渋谷のclubasiaで開催した3rdワンマン(2012年11月開催『Su凸ko D凹koi 3rdワンマンライブ時計仕掛けのおれんチ』)で、200人のお客さんに来ていただいたのですが、必死に頑張りました。この当時は3カ月おきにワンマンをやっていて…
 
りな:準備も大変だったしね。
 
おうむ:1stワンマンのときに比べると規模が倍以上で、こんなに多くの人が来てくれたんだって感動しました。
 
どい:このときは映像と連動して曲を演奏する…という試みをしたのですが、同期を使うわけではなく、生演奏で映像とズレないように走っても遅くてもダメという、でも後ろは見られないので、大変でした。
 
おうむ:オープニングで、ステージに立った瞬間はもう泣きそうになったね。
 
りな:clubasiaはフロアのサイドに窓があって、カーテンはあるけどその隙間から客席が見えるんですよ。それで、ドラムの人と一緒にめっちゃ騒いだよね。「わー満員だ!」って(笑)
 
どい:ドラムの人(笑)
 

—普段も「ドラムの人」って呼んでるんですか?

 
りな:いや、普段は「おうむ」って呼んでます(笑)
 

—ちなみに…なんで「おうむ」なんですか?

 
おうむ:中学のときに友達の間で「笑った顔がオウムに似てるね」って言われて、そこから「おうむ」と呼ばれるようになり…どいとずっと一緒じゃないですか。だから大学の友達にまで「おうむ」って呼ばれるようになってしまって。
 
どい:たまに本名が「おうむ」だと思われてるよね。「おうむって漢字でどう書くの?」って(笑)
 

—他のお二人のステージネームの由来は?

 
どい:私は下の名前が「花子」なんですよ。で、なんかある意味キラキラネームじゃないですか。小さい頃はそれがコンプレックスで、何とかして周りの人たちに上の名前で呼ばせるようにして…ゆえに、「どい」です。
 
おうむ:そうですね。最初は「どい子」って呼んでました。
 
りな:私はそのまんまです。面白エピソードが何もない!
 

—バンド結成3年目は音大の3年生でもあって、周りの友達が就活を始めたり、卒業後の進路を考える時期でもあるかと思います。バンドの活動を今後どうするか…みたいな話は出てきましたか?

 
どい:3年目、4年目はとにかく「バンドやっていくぞ!」っていう気持ちでがんばっていましたね。活動について気持ちが揺らぐことはなかったです。大きなステージに出たいと思って色んなオーディションを探しては受けるという日々で、その中で「NAONのYAON 2013」のオープニングアクトコンテスト(Cute Girls Live)に出会い、ファイナルまで勝ち上がり、野音のステージに立つことができました。
 
りな:その当時、3人の身にはいろいろと大変なことが降りかかっていたのですが(笑)、だからこそ「バンドは絶対解散しないぞ、この3人で売れてやるぞ」っていう強い気持ちを持っていました。
 
どい:うまく言葉に表せないけど、いわゆる「人気者」になりたい、って思ったんです。意地の一年だね。
 
おうむ:めっちゃキツかった…とにかく必死にやっていました。
 
どい:色んな困難があったからこそ、自分たちはどういうバンドになりたいかということを考えさせられました。本当に実力のあるバンド、支持されているバンドになれたら…誰かが推しててメディアに出てくるとかではなく、本当に支持されているバンドになりたいなと、そこで強く思いましたね。
 

—そう考えると、最初の1年目にたくさんライブをやったというのは、皆さんにとってとても意味のある1年だったようですね。

 
どい:そうですね。ライブをいっぱいやったことが、今考えてみたらためになっている気がします。
 

—それが「NAONのYAON 2013」のオープニングアクト出演にもつながっているのかなと思います。日比谷野音のステージはどうでしたか?

 
どい:野音は広い会場なんですが、お客さん一人ひとりの顔がすっごくよく見えるんです。明るい時間だから表情も見えて。すっごく楽しくて、ずっとニヤニヤしてました(笑)
 
りな:楽しかった記憶しかないですね。
 
おうむ:いつか本編に出てやるぞ、って思いました。
 

—野音のステージに立ったことで、その後のバンド活動に何か変化というか影響はありましたか?

 
どい:あれだけ大きいステージに立ったのは野音が初めてだったので、その後大きなステージでライブをする機会があってもひるまなくなりました。
 

—時に困難もありつつ、大きな舞台も経験しつつ、自分たちの音楽を4年間貫いてきたという印象ですが、そんな皆さんはこの春無事大学を卒業し、そして待望の1stミニアルバム『一寸先は闇』を7月23日にリリースしました。

j◆1st mini album『一寸先は闇』
・2014年07月23日(水)発売
品番 MWNR-0002 1,500円(税込)
 
<収録曲>
M01. 別れたい 作詞・作曲:どい
M02. 鬱病  作詞・作曲:どい
M03. ブス  作詞・作曲:りな
M04. xxxx 作詞:おうむ、どい 作曲:どい
M05. MOMANAIDE 作詞・作曲:どい

 

「MOMANAIDE」「xxxx」「ブス」 衝撃曲誕生の裏には

 

—というわけでここからはアルバムの話を伺っていこうと思います。まず、制作期間はどのくらいだったのですか?

 
どい:最初にアルバムを作ろうという話をしたのは去年の12月頃です。どんな感じのアルバムにするか何度も話して、コンセプトを決めてからレコーディングを始めました。レコーディングは3月頃に全曲録りました。
 

—全5曲収録されていますが、ライブでずっとやり続けている曲もありますよね。一番古い曲はどの曲で、いつ頃に作られたのでしょうか?

 
どい:一番古いのは…5曲目の「MOMANAIDE」かな。これは大学1年生の終わり頃に作った曲です。
 
おうむ:2年生の頃にはライブの定番曲になってたね。
 
どい:「MOMANAIDE」は、とある電話の愚痴から作られた曲です。「こんなことがあって…」と相手の愚痴を聞いて、それをほぼそのまま歌にしました。
 

—なるほど。とある友達の…メンバーの実話?

 
一同:(爆笑)
 
どい:そうですね、おうむの実話ですね、これ。
 
おうむ:もちろん付け足しもありますけど(笑)、元々は私の愚痴から生まれた曲です。
 

—「実話だ」って記事に書いても大丈夫ですか?(笑)

 
おうむ:みんなが良ければ…
 
りな:いや、あなたの問題でしょ(笑)
 

—曲は詞先で作ることが多いですか?

 
どい:私は詞が先のことが多いです。歌詞ができてから、メロディをそこに乗せて。歌詞は頭の中で妄想することもありますが、実体験が多いです。
 

—「MOMANAIDE」の歌詞はただ過激、赤裸々というだけではなくて、切なさもありますよね。「女の子ってこういう風に考えるよね」というのもありつつ、最後に哀愁漂う感じもしつつ…そして、「xxxx」も同様に哀愁を感じます。これはどんな風にして作られた曲ですか?

 
どい:「xxxx」は原詩がもっと過激な感じで…元になる詞だけおうむが先に考えていて、それにメロディとセリフなどを足していって、歌に合わせて歌詞を変えていって仕上げました。
 

—確かに、歌詞は1の事実を10に誇張する…といったことはよくありますが、この曲の場合は10を1くらいに薄めているのかな?という印象を受けました(笑)

 
おうむ:そうですね。作ったときにはまさかこんなメインの曲になると思っていなかったです。「こんなの書いたけど曲にしない?」ってどいのところに持っていって…まさかこんなことになるとは(笑)
 
おうむ:最初のタイトルは「xxxx」じゃなかったしね(笑)
 

—割とそういった恋愛における日常のストレスを歌詞にしよう!ということが多い感じですか?

 
おうむ:ストレスというか、印象的なできごとがあったら「あ、これ曲にしよう」ってしてますね。
 

—逆に「これはいい恋愛をしたなぁ、曲にしよう!」というようなことは?

 
おうむ:いやぁ…結局、いい男と付き合っても「MOMANAIDE」みたいなことになるじゃないですか。なので…ないですね(笑)
 

—おうむさんのキャラクターというか男性関係のエピソードが曲やMCではかなりインパクトがあるのですが、どいさんはそうした”日常のエピソード”という部分ではいかがですか?

 
どい:私は怒っていることが多いですね。おうむのエピソードには笑いが含まれてるけど、私の話にはそんなに笑いがないよね。
 
りな:「あぁ、しょうがないよね、それは」「大変だね」って完結しちゃってる(笑)
 
どい:終わった話をすることが多いね。相談する余地がない。
 
おうむ:へぇ、そうなんだー、みたいな(笑)
 

—そして、今回のアルバムの中では「ブス」という曲が唯一りなさん作詞・作曲の曲ですが、これはどのようにして作られた曲なんですか?

 
りな:これはドラムの人に作れと言われて…
 
おうむ:「ドラムの人」って(笑)
 
りな:曲を作ろうかなって思ったときに、何を作ったらいいかなと相談したら「じゃあブスっていう曲作って」って言われて。「じゃあブスで!」「ブスの曲かぁ…」って。作りにくかったです(笑)
 

—りなさんも歌詞を先に作ることが多いですか?

 
りな:私の場合は歌詞とメロディとが同時進行であることが多いです。
 

—普段皆さんはどんなときに曲が生まれることが多いですか?時間帯や場所など…

 
りな:寝起きが多いです。朝ぼんやりしている時間が多くて、布団の中で考えているとメロディが出てきて、そのまま歌詞も考えて、デモも作って…という感じです。
 
どい:私も布団の中でめっちゃ考えますね。寝ようと思っているときに、寝ぼけているからなのかそういうときに歌詞などを色々思いついて。ケータイのメモに残して、朝起きたら忘れてるんですけど、ケータイを見ると謎のメモが残っているという(笑)。そのときの感情によって歌詞の内容がかなり変わるので「こんな暴力的な歌詞にどうやってメロディ乗せるんだろう?」って自分で驚いてます。
 
おうむ:私は最近歌詞よりMCやネタを考えることが多くて、そういうのは日常的に考えていますね。思いついたときにメモをして。「なんで男はこれこれこうなんだ」と、歌詞にすることもあれば、Twitterに書いたり、MCのネタとして温めておいたり。
 

—普段からそういうアンテナを張ってるわけですね。

 
おうむ:結構考えちゃうんですよねー。最近MCのときに披露している川柳も、夜寝る前に「そろそろ何句か作るかー」って。出てくるときは5句くらい浮かんできて、できないときは全然できないんですけど。
 
どい:5句もできるんだ!
 

「女の人は1日1000回別れたいと思ってる」「”普通におはようも言えない感じ”を曲に」

 

—引き続きアルバムの話を伺ってまいります。1曲目の「別れたい」は、アルバム最初の曲ということもあってとても勢いのあるギターが印象的です。

 
どい:これも「ほんっとうに別れたい!」というメンバーの実話が元で生まれた曲なんですが、いろんな人の恋愛エピソードを聞いていると、別れたいという気持ちを持っている女の人は結構多いんですよね。実際に別れないとしても別れたいと思ってる人はめっちゃいる、ということに気づいて。女の人って、付き合っていて1日に1000回くらい別れたいって思うんですよ。その気持ちをそのまま曲にしました。
 

—なるほど。バンドの資料に書かれていた「女子の共感率98%」の理由が分かった気がします。

 
どい:恋愛の曲って「あなたが大切」「出会えた奇跡」みたいな歌詞が多いじゃないですか。そこに対して、アンチラブソングというか。
 

—現実と正視した上でのアートというか。2曲目の「鬱病」も、過激さというより至極身近なリアルを感じました。

 
どい:この曲は元をたどれば高校生の頃から大元の歌詞があって、そこを改めて掘り下げていった曲です。調べたというより実感をもって書いた曲です。歌詞の原型を書いていた高校生の頃は、ものすごくしんどい気持ちでいたはずなのに、曲ができあがったらやけにポップというか。本当に行くところまで暗い気持ちになると、なぜか一周回っておかしな感じになってくるというか…そこを表現したくて、敢えて速いテンポにしてキャッチーに、アンバランスに作りました。
 

—この曲には「狂気」がありますよね。文学作品でもよくあるテーマですが、リアリティがあるとは言ってもただ暗いだけとかありのままを切り取ったとかではない、芸術として一段昇華しているというか…

 
どい:心が病んだときの、当たり前のことが当たり前じゃない感じが、普通に人と会っておはようも言えない…という感じがこの曲で出せたらなぁと。
 

—今回のアルバムの収録曲や曲順はどのようにして決めていったのですか?

 
どい:アルバムに入れる曲どうしようか?って話したときに、3人が共通して入れたいって言った曲がこの5曲でした。さらに、ライブのセットリストでいいセットリストが思いついた!と思ったらこの5曲がこの順番でセットリストになっているということに気づいて、じゃあそれをそのまま採用しようと決めました。
 

—アルバムの聴きどころ、こだわったポイントなどを教えてください。

 
おうむ:まずは歌詞に注目、というところですね。名刺代わりの1枚になったと思うので、それぞれの曲の歌詞に注目しながら聴いていただければと思います。イチオシは「鬱病」です。
 
どい:このアルバムで新たに録った「xxxx」は、始まりから最後のセリフまで全部聴き逃さないでほしいなぁって思います。最初の静かな始まりからどうしてこんなに猛々しくなったんだろう?みたいなところに注目してほしいです。歌とセリフのギャップもすごいし、バックの演奏とセリフとのギャップも面白いと思います。
 
りな:セリフめっちゃこだわったよね!
 
おうむ:セリフは一番録り直したね(笑)。
 
りな:私もレコーディングを振り返って特に印象的なのが「xxxx」のセリフです。どんどん意見を出したほうが良いって言われて、歌とか演奏よりもセリフに熱が入っちゃって「ちょっと演技っぽくなったのでもう1回録らせてください!」って。あとはジャケットのデザインにも注目していただけたらうれしいです。デザインがかわいいので。
 

—ジャケットはお花畑な感じがまた曲とのギャップがあっていいですね。

 
どい:これ撮影大変だったよね。
 
りな:前日に雨が降ってたみたいで、起き上がったらおなかがびちょびちょになってて!
 
どい:撮影場所は東扇島っていう川崎の工業地帯です。こんなきれいな場所があるのに、そのすぐ先には工場とか倉庫が広がってるんですよ。まさに『一寸先は闇』。タイトルとジャケットのギャップをつけたくて、きれいな青空にこだわりました。
 

—アルバムタイトルはどのようにして決まったのですか?

 
どい:「河童の川流れ」とかことわざをいくつか出していった中で、『一寸先は闇』がすごく自分たちに合ってる、しっくりくると思って決まりました。
 

—ちなみにバンド名の「Su凸ko D凹koi」はどういう由来があるのでしょうか。

 
どい:これはりなちゃんのアイデアです。一日中考え抜きました。
 
りな:本当に話し合いすぎてわからなくなっちゃって、そこで私がぽろっと「じゃあスットコドッコイは?」って言ったらこの人が気に入ってくれて(笑)
 
おうむ:この人って(笑)
 
りな:この…ドラムの方が気に入ってくれて、「それにしようよ!ね!お願い!」って。
 

—では…(笑)最後に、今後の展望を教えてください。

 
どい:野音でワンマンライブがしたいです。まずはこのアルバムをきっかけにもっといろんな人にSu凸ko D凹koiを知ってほしいし、どんどん活動が大きくなっていけばと思います。作曲については、恋愛以外をテーマにした曲もどんどん作って歌っていきたいです。
 
おうむ:映画のタイアップをとりたいです。阿部サダヲが出ているような面白い邦画の…
 
どい:明るい!!(笑)
 
おうむ:あと、自分の恋愛エッセイを出版したいです。
 
りな:Mステとかに出て、きゃりーちゃん(=きゃりーぱみゅぱみゅ)と共演したいです。
 
どい:ふとした場所で自分のバンドが聴けるようになったら嬉しいです。
 

—何気なく歩いてたら街頭ビジョンに出てるとか、電車の中で偶然隣にいる人たちがSu凸ko D凹koiの話をしてる、みたいな…

 
おうむ:うわー聞きたいそれ!
 
どい:そういうの楽しいですね!
 

Photo Gallery

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インパクトのある歌詞やパンクロックサウンドがまず目を引きますが、聴けば聴くほど深みのある楽曲はジャンルを超えて支持を集めそうです。また、ライブでは軽快なロックサウンドからシリアスな曲まで幅広い音を楽しめます。
 
人は隠されれば隠されるほど、中を覗きたくなるもの。一寸先は闇、その闇の中にはどんな魅力が隠れているのか…まずはCDを、そしてライブを、覗いてみてはいかがでしょうか。
 

◆1st mini album『一寸先は闇』
・2014年07月23日(水)発売
品番 MWNR-0002 1,500円(税込)
初回限定特典ステッカーなどあるかも…?(予定)
<収録曲>
M01. 別れたい
M02. 鬱病
M03. ブス
M04. ××××
M05. MOMANAIDE
◆Su凸ko D凹koi 公式サイト
http://ip.tosp.co.jp/i.asp?i=suttokotoi
 
◆ライブインフォメーション
・2014年08月02日(土)【吉祥寺】SHUFFLE・WARP
 きょんきょん×武蔵野音楽祭「カレーとコロッケ 真夏のメガ盛りフェスティバル」
・2014年08月02日(土)【渋 谷】ラママ
 『イノマー万博 R-1』
・2014年08月10日(日)【立 川】BABEL
・2014年08月17日(日)【下北沢】ガレージ
・2014年08月19日(火)【新 宿】RUIDO k4
 
<トークイベントに出演!>
高校生部活人気No.1! 軽音楽部の現在と展望を語る

・2014年8月4日(月)19:00~
参加費:無料
会場:ミューズ音楽院 本館
東京都渋谷区千駄ヶ谷/JR山手線・総武線・都営大江戸線代々木駅下車徒歩1分
http://www.beeast69.com/news/beeastinfo/109818

 

 
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