特集

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TEXT:金井孝介 PHOTO:幡原裕治

3月31日、赤坂BLITZで青春の嵐が吹き荒れた。本誌でもその軌跡を追い続けてきた、高校生達だけで作る青春最大規模の文化祭、青二祭の本番がこの日に迫っていたのだ。
 
今年で15回目の開催を数える本イベントは、出演者やスタッフが全員高校生であるにも関わらず、ただならぬ盛り上がりを毎年見せている。会場にいた人も、残念ながら高校生達の勇姿を見られなかった人も、彼らの姿がそこにあったことを感じてほしい。
 
 

15thAoniLogo青二祭(あおにさい)とは…
青二祭はエフエム世田谷の高校生番組「ハイスクールHotパーティー」から誕生した学校の枠を超えた高校生文化祭です。2000年から毎年3月に行われていて、2014年で15回目を迎えます。様々な高校から成る実行委員約60名が企画、運営、広報、フライヤー作成、パンフレット作成、映像制作、そしてもちろん当日の司会進行、照明や音響手伝い、装飾、 受付などをこなします。出演者約150名も全て高校生で、同世代のステージを一目みようと、毎年首都圏の中高生及びご父兄約1500人が来場します。11回まではFM世田谷主催、世田谷区共催、下北沢商店連合会特別協力のもと北沢タウンホールにて行って参りましたが、来場者増加に伴い、2011年より赤坂BLITZでの開催となりました。

◆第15回 青二祭 スケジュール
2013年 秋 :スタッフ募集/出演希望者募集(エントリー)
2013年11月:出演者 音源・ビデオ審査
2013年12月:出演者 ライブ審査
2014年01月:出演者 決定
2014年03月:青二祭 当日

 

 
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15時前、穏やかな午後の昼下がりだったが、会場前には長蛇の列ができていた。その顔ぶれは出演者・スタッフの友人であろう高校生たちだけでなく、様々な年代に渡っており、この青二祭というイベントのスケールの大きさを感じさせる。赤坂BLITZはこれからどんな色に染まるのか? 期待は高まっていくばかりだ。
 
会場入りすると、スタッフたちのきびきびとした働きぶりが目に入る。頼もしい限りだなあと目をやっている暇もなく、会場がだんだんと暗くなる。大入り満員になった会場が熱気と期待に包まれる中、司会の高校生スタッフが登場する。15時30分、ついに青二祭の幕開けだ。突っ走ってほしいとこちらが願うまでもなく、“青春”が姿を現した。

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トップバッターを務めるのは、高校生のダンスチーム、IGSquad。総勢19人の大所帯でステージも狭くなるだろう。しかし彼らは、その数の多さを感じさせないほどにパワフルに、そしてダイナミックに動く。そして青二祭に出演したダンサーたち全てに言えることだが、彼らは「重さ」を感じさせない。地球の重力から自由になっているように見える。すごい、これが青二祭なのか!
 
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続いて登場するのはヨーヨーを操る2人組・Dual SPINs。これまたダンスチームのfanGr8z、高校生にして数々のステージをこなす大道芸人ナツと、魅力にあふれ才能を感じさせる出演者たちが次々と現れ、技を見せた後は疾風のように消えていく。息をつく暇もない。
 
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圧倒的なパワーを感じさせるステージを堪能した後は、いよいよバンドだ。まずはアコースティック風味なメロディとハーモニーを存分に聞かせてくれるHUGの登場。どんな風に会場を「ハグ」してくれるのか。メンバー二人が登場した時、彼女達の顔には覚悟が見えた。原島明日香(Guitar)は、このライブを最後に高校を卒業し、社会へと踏み出すという。別れが迫っているからこその思いも、彼女達の中にはあるのだろう。そしてHUGが最初の一音を出した時、音は会場に吸い込まれていった。
 
幾多のミュージシャン、アーティストがライブを行ってきた赤坂BLITZに、彼女達の音が刻み込まれていく。感慨深くなりながらも、確かな技術に裏打ちされたサウンドを堪能することも忘れてはいけない。代表曲『ひこうき雲』など、この日もしっとりとした演奏を聞かせてくれた。心からの賛辞を送りたくなる演奏を披露してくれた彼女達。きっと未来は明るいのだと確信した。
 
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続いて登場するのは、ゲストパフォーマーのひとりでできるもん。不思議な名前に、不思議なマスクをかぶった覆面のダンサーだ。独特の世界観を武器に、アクロバティックに踊る。客席も一段と盛り上がり、熱量が増す!なんとも面白い、ユニークなものを見せてもらった。
 

◆ひとりでできるもん Twitterアカウント
https://twitter.com/ryoheing

 

 
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青二祭の雰囲気は一瞬にして変わる。休憩を挟み、ここからはORENGE BANK LEADのステージだ。バリバリのロックテイストを持ち味にする彼らのパフォーマンスが赤坂BLITZに炸裂する。青二祭パンフレットで「青春とは?」という質問に対して「挑戦」と答えていた彼ら。さすがだ。観客と戦っているような気さえしてくる、その挑戦的なサウンドとパフォーマンスは、あまりにも唯一無二であり、狂おしいまでにロックだ。高みを目指そうという彼らの姿勢は、確実に音楽に現れている。赤坂BLITZという会場の大きさをものともせず、でっかいロックを披露した。
 
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続いて登場するダンスとパフォーマンスの出演者も、バンドに負けず劣らずの高レベルなショウを披露。ダンスチームのRoamondは「自分たちは自由だ!」と叫ぶかのようなダンスを披露し、場の空気を掌握する。パントマイムのPantomimistsは、何もないはずのステージに、自らの表現一つでたくさん夢の詰まった風景を見せてくれる。さらに、KIMGBYAT$は「今しかできないステージを大事にします」と宣言し、熱気あふれるダンスを披露。
 
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粒よりの出演者たちのステージに続き、いよいよ3バンド目、Ruciaの登場だ。スタイリッシュな英語詞がキマる、カッコいいという言葉がこれほどないまでに似合うバンド。高校生であるというバイアスのかかった見方など簡単に吹っ飛ばしていく。
 
完璧なまでに計算されたかのようなパフォーマンスに、観客の誰しもが酔いしれる。ギターのカッティングの完璧さ、ベースのグルーブ感、ドラムの刻み、何をとっても聞き入る材料にしかならない。盛り上がるサウンドを聞きながら、胸はいっぱいになっていく。
 
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続いて、高校生には珍しい和太鼓グループ“青龍”が登場。躍動感に満ちた、静と動が混在するステージを見せてくれた。
 
そして、一段大きな歓声に迎えられて、ゲスト2組目の名が告げられる。青二祭OBでもあり、今や全国的な人気となったメジャーアーティスト・The SALOVERSが登場だ。青二祭への出演は5年ぶり。満を持して、青二祭という故郷に錦を飾りに現れた。
 
2013年には「床には君のカーディガン」、「アンデスの街でこんな夜はHOT HOT HOT!」、「文学のススメ」の3枚のシングルをリリースし、勢いを増す彼ら。ちょっと青臭い、ストレートな歌詞。まっすぐな、しかしどこか尖っているサウンド。この音楽のルーツが青二祭にあるとすれば、これほど納得できることはないだろう。披露する「オールド台湾」などの楽曲も、初めてなのにどこかで聞いたことのあるような、不思議な懐かしさに満ちている。きっと彼ら自身も、制服を着ていた頃の自分に思いを馳せているに違いない。プロならではのステージを経て、青二祭は終盤に向かって突き進んでいく。
 

◆The SALOVERS 公式サイト
http://thesalovers.com/
◆インフォメーション
・2014年06月07日(土)【大 阪】DIAMOND HALL/APOLLO BASE/CLUB QUATTRO/他
 ※SAKAE SP-RING 2014への出演
・2014年06月20日(金)【下北沢】北沢タウンホール
・2014年06月29日(日)【神 戸】VARIT. / CHICKEN GEORGE / ART HOUSE /SLOPE / Event-hall RAT /BLUEPORT / music zoo KOBE 太陽と虎 / Star Club /クラブ月世界
 ※ネコフェス2014への出演
・2014年07月03日(木)【新 潟】CLUB RIVERST
・2014年07月04日(金)【金 沢】vanvan V4

 

 
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The SALOVERSの後に現れたのは、2組のダンスユニットだ。P!nC aYezは女性5人組、X-RIZEは2人と少人数ながら、そのしなやかな体つきや考え込まれた構成を武器にして、卓越した技をこれでもかとぶつけてくる。
 
さらに、ヒューマンビートボックスのbeatboxer.Noaも、大人顔負けのステージを展開する。この日の出演者に投げ銭をしていたら、財布にいくらあっても足りなかっただろう。
 
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そしてトリを飾るのはthe Village Papas。今回も彼らのステージは健在だ。高校生活最後のライブということもあり、普段のサウンドとは一味違った風に聞こえる。オーディエンスも、この祭を最後まで楽しむぞと言わんばかりに盛り上がりを見せてくる。そして彼らも、全てをぶち壊してしまえとでも言うように楽器をかき鳴らすのだ。
 
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「蝶」「Mirror Ball」など、このバンドのスタンダードナンバーも、より一層激しさを増し、叩きつけるようなステージを魅せてくる。ここまで鳥肌の立つThe Village Papasを、これまで見たことがあっただろうか。ギターソロの確実さ、ボーカルの声の伸び、ベースのうなり、ドラムの突き進み具合、どれが欠けても、このバンドのサウンドは作り上げられない。あまりにも躍動的、快感にあふれ過ぎている。夢のように4曲が演奏され、青二祭のパフォーマンスは幕を閉じた。
 
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そして、青二祭のスタッフたちがステージに上がると、観客からはより一層の声援が送られる。本誌BEEASTがずっと追ってきた高校生たちも、この青二祭が終われば新たな道へと歩みだすのだ。涙、涙で話すことができなくなる高校生たちを見ていると、こちらまで目に熱いものがこみ上げてくる。「今ここにいる、全ての人に感謝したい」という高山実行委員長の一言には、とてつもなく大きな意味が込められているだろう。これまでの実行委員たちの苦労を見てきたからこそ、感じるものも多い。
 
なお、今年の第15回青ニ祭では、昨年に引き続き、東日本大震災の被災地支援のための募金箱を設置。来場者から寄せられた義援金計12,212円(ダンス・バンド審査の義援金振込残金450円を含む)から手数料130円をひいた12,082円をAAR難民を助ける会 東日本大震災募金へ送った。

高山実行委員長は以前の取材で「コンセプト通り、この青二祭というイベントが未来への『橋』になれたら」と語ってくれていた。そして確かに高校生達の前には今、大きな橋がかかっている。いいイベントを見させてもらった。高校生たちの青春が、あまりにもまぶしすぎる。
 
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彼らはこれから、さらに大人になるための階段を登っていく。これから、苦しいこともあるだろう。何かにつまずき、みっともない姿をみせたくなる時もあるだろう。しかし、あの時ここにいた高校生たちは、確かに輝いていた。美しかった。それだけは記しておきたいと、筆者は思っている。
 

◆青二祭 公式サイト
http://www.aoni-sai.com
 
◆HUG ホームページ
なし
◆ORANGE BANK LEAD Twitterアカウント
https://twitter.com/orange_b_l
◆Rucia Twitterアカウント
https://twitter.com/Rucia_3piece
◆the Village Papas Twitterアカウント
https://twitter.com/theVillagePapas

 

 
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