連載

lead_aonisai2

TEXT:金井孝介 PHOTO:Mariko-sun、金井孝介

全国の大学の軽音系サークルを紹介する連載「キャンパスロック図鑑」、今回は番外編、それも大学生よりさらに若い!高校生たちをご紹介します。
 
昨今の部活シーンにおいて、バンドに燃える高校生たちの活躍ぶりには目を見張るものがあります。それに負けじと、ライブイベントの企画・運営に全力投球する高校生たちもいます。高校生が主体となって行うイベント、青二祭です。

15thAoniLogo青二祭(あおにさい)とは…
青二祭はエフエム世田谷の高校生番組「ハイスクールHotパーティー」から誕生した学校の枠を超えた高校生文化祭です。2000年から毎年3月に行われていて、2014年で15回目を迎えます。様々な高校から成る実行委員約60名が企画、運営、広報、フライヤー作成、パンフレット作成、映像制作、そしてもちろん当日の司会進行、照明や音響手伝い、装飾、 受付などをこなします。出演者約150名も全て高校生で、同世代のステージを一目みようと、毎年首都圏の中高生及びご父兄約1500人が来場します。11回まではFM世田谷主催、世田谷区共催、下北沢商店連合会特別協力のもと北沢タウンホールにて行って参りましたが、来場者増加に伴い、2011年より赤坂BLITZでの開催となりました。

 
Photo2000年から始まったこのイベントは、本誌で毎年取材しているYHMF(参照:YHMF2013 決戦大会)と同様に、出演者はもちろんのこと企画・運営を行うスタッフも全員高校生。大会まではもちろん、当日の運営なども全て自分たちで手作りで行います。
 
また、出演者が多彩であることも特長で、バンドはもちろんのこと、ダンスやチアリーディング、ファッションショー、大道芸など、様々な分野のパフォーマーが一堂に会し、そのハイレベルな技を披露します。いわば大規模な文化祭といったところでしょう。全国からエントリーした高校生パフォーマーたちは、青二祭実行委員会による音源・ビデオ等の一次審査、ライブハウス等を使用した公開二次審査を経て、3月末・卒業シーズンに開催される青二祭への出演が決定します。意外と狭き門で、青二祭の本気度を示していると言ってもいいのではないでしょうか。3月の青二祭当日は、数々のプロミュージシャンが使用する大型ライブハウス・赤坂BLITZにて開催され、毎年2000人前後の観客動員数を記録しています。
 
15回目の開催となる今年度の青二祭は、2014年3月31日の開催に向けて、既に実行委員会が動き出しています。一体どのような高校生たちが集まり、どんな活動をしているのでしょうか。また、彼らはなぜ青二祭に惹かれ、全力投球しているのでしょうか。今年の実行委員長を務める高山美蓮さん(法政女子高校3年)にインタビューを行いました。

—高山さんが実行委員長になったのは今年からですか?

高山:そうですね。去年は広報班として関わっていました。今年で青二祭に関わるのは2年目です。
 
Photo

—スタッフはどのくらい集まってますか?

高山:今のところ、全員で75人で、女子の割合が多いです。去年から継続してスタッフを続けている人や、先輩や友人の紹介で今年から入った人もいます。また、7月の終わりにSNSで募集をしたところ「青二祭に去年行きました!」とか「お兄ちゃん、お姉ちゃんが青二祭に出演してました!」といった声があり、スタッフ希望者がたくさん来てくれました。あとは広報班とかだとPVを作ったりするので、パソコンやカメラが使える人なども募集しましたね。1年生の子も10人くらいいます。
 

—班に分かれているということですが、班の編成を教えてもらえますか?

高山:広報班、バンド班、ダンス班、ショー班、PV班ですね。それぞれ役割が別れているのですが、その全てに関わる形でライター班、委員企画班、デザイン班があります。合計で8つです。
 

—出演者はどのように探しているんですか?

高山:スタッフと同様に、主にSNSやツイッターです。また、ライブハウスや学校の文化祭などに直接足を運んで、フライヤーを渡しました。
 
Photo

—高山さん自身はもバンドをやっていたんですか?

高山:私自身、音楽経験がないです。実はバンド音楽には元々興味がなかったのですが、去年からこの青二祭に関わるようになって、だんだん好きになりました。「青二祭がきっかけで高校生バンドの魅力に取りつかれた」みたいな感じですね。
 

—なるほど。高山さんを筆頭にスタッフ自身が楽しめるほど、青二祭は魅力たっぷりなのだと思います。実行委員長になろうと思ったきっかけは何ですか?

高山:最初は実行委員長になるつもりはなかったんですよ。最初に実行委員長候補だった子が、学校の関係で役職を降りることになり、その子から「あなたにやってほしい」って直接言われたのがきっかけですね。
 

—実行委員長になってから、苦労したことなどはありますか?

Photo高山:ちょっとした失敗でも青二祭の名前に関わってくるので、失敗のないように気をつけています。実行委員長である私が青二祭全体の顔になっていると思うので。また、スタッフの人数も多く、全員のことを把握しなければいけないのも大変ですね。人数が多いのは心強いですが、高校生ということもあって受験を控えている子もいるので、その点は気を遣います。
 

—高校生にとって受験は一大イベントですよね。

高山:勉強との両立も苦労する所です。実はバンド班長も現在2年生で、来年は大学受験です。出演者募集を開始した頃「テストがあるから、しばらく連絡できない」と言われてしまって、一時はどうしようかと思ったのですが(笑)、同じバンド班のスタッフからの声援もあって意識が変わりました。なんと、班長自ら100以上のバンドにエントリーしないかと声をかけてくれていたのです。同じようにバンド班以外の班も頑張ってくれているので、委員長として気を抜いていられない!と改めて思いました。
 

—委員長として、どのような思いで青二祭に臨みたいですか?

Photo高山:青二祭の歴史は本当にすごいんです。ここから羽ばたいていったバンドも多いし、その歴史を引き継いでいかなければと思ってます。今年の青二祭のテーマは「Bridge」です。高校生がこれから成長していくにあたって、この青二祭をスタート地点としていってほしいです。ここを架け橋として、青二祭に関わったことを通過点として、これからに繋げていけるようなイベント作りをしていきたいと思っています。
 

—最後になりますが、今年はどんなイベントになりそうですか?

高山:やっぱり青二祭の一番の魅力は、いろいろな高校生が出てくる「パフォーマンス」にあります。ライブイベントや「文化祭」のようなイベントが他にもある中で、どうやって青二祭を目立たせていくか。他のイベントにはもちろん、去年までの青二祭にもないようなパフォーマンスの完成度を見つけ出すことが目標です。今年は、派手なイベントになる予感がしています。歴代の青二祭に負けない、これまでで一番の青二祭にしたいです!

高校生だからこそできる、高校生らしからぬイベント。青二祭をそういうイベントにしたいという思いが、高山実行委員長の話から感じられました。ただ楽しいだけでなく、高校生としての自分たちが成長できる場所にしたいという熱い高校生たちの志には、感服させられてばかりです。頼もしい!会場に来たお客さんからはきっと「本当に高校生がやっているの? 信じられない…」という声が聞こえることだろうと思います。高校生の皆さん、悔いの残らないように、青春を燃やし尽くしてくださいね。
 
PhotoPhoto

さて、今年の高校生パフォーマーのエントリーは既に募集を終了。11月30日、12月1日の2日間に、青二祭実行委員会による一次審査が行われました。審査会場は区の会議室。活動資金が潤沢にあるというわけではない高校生だからこそ、活動拠点一つ見ても、知恵を使っています。
 
この2日間でショー、バンド、ダンスの審査が行われました。映像を見たり、音源を聞いたり…。その姿は真剣そのもの。長時間にわたり音源を聴き続けていても、集中力が途切れることはありません。場の空気もピンと張り詰め、聴いていくごとに「ここはどうだろう?正直俺は、技術的に良いものが感じられなくて」「このバンドは好きだな。メロディの響きが素敵」などと、議論が自然発生していくその様子は、青二祭の主催者としての威厳のようなものが感じられました。小さな部屋の隅々にまで「本気」が伝わってくるようです。しかし休み時間になれば、個々で話をしたり、ふざけあったり。普通の高校生に戻る時間です。
 
PhotoPhoto

筆者も審査に同席したのですが、本当に高校生たちはすごい!送られてきた映像を見ていても「これはチケット代を払ってでも観たい!」と、素直に思えました。エントリーしたバンドの音源のレベルの高さはもちろん、ジャケットや歌詞カードにもこだわるその思いや心意気がしっかりと伝わってきました。
 
そして、12月9日。一次審査の通過者が発表されました。それぞれが素晴らしかった中から選びに選ばれた高校生たちです。そして「Bridge to 赤坂BLITZ」と銘打たれた公開二次審査が迫っています。ダンス部門は12月21日(土)、東京・大田区蒲田の日本工学院専門学校3号館地下ホールにて。バンド部門は12月27日(金)、東京・世田谷区下北沢のライブハウス「CAVE-BE」にて、それぞれ行われます。年の瀬も押し迫る中、2013年の最後のライブを「青二祭の前夜祭」とも呼ばれる公開二次審査で締めくくるというのも、なかなか乙なものではないでしょうか。
 
本誌では、「第15回 青二祭」の模様を来年3月の開催当日まで引き続き追っていきます。高校生のパワーに圧倒されながら、時には親のような目線で見守っていけたらと思っています。本気の高校生たちが、本気の火花をぶつけ合います。決して見逃してはならない戦いが、そこにはあるのです。大きな将来の舞台に向かって、羽ばたけ、高校生!
 
Photo

◆青二祭 公式サイト
http://www.aoni-sai.com
 
☆ダンス公開2次審査
「Bridge to 赤坂BLITZ ~青二祭ダンス審査~」
・2013年12月21日(土)【蒲田】日本工学院3号館地下ホール
時間:13:00~16:30(予定)
入場料:無料
 
☆バンド公開2次審査
「Bridge to 赤坂BLITZ ~青二祭バンド審査~」
・2013年12月27日(金)【下北沢】CAVE-BE
時間:11:30~20:30予定
入場料:500円+1Drink(500円)

 
◆関連記事
【連載】キャンパスロック図鑑 バックナンバーはこちら
http://www.beeast69.com/category/serial/campus
【連載】YHMF熱血現場最前線!
http://www.beeast69.com/category/serial/yhmf