演奏

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TEXT:金井孝介、鈴木亮介 PHOTO:金井孝介、鈴木亮介

高校生たちのロックシーンにおける活躍ぶりには、目を見張るものがある。これまでも本誌では高校生バンドや高校生たちの音楽コンテストなど様々な「青春」の舞台を取材してきたが、今回も活きのいいイベントをご紹介したい。
 
先日、連載「キャンパスロック図鑑 番外編」でご紹介した、バンドやダンスなどのエンタテインメントが多数集まる、高校生たちだけの青春の祭典、青二祭。3月31日の赤坂BLITZで本番のステージを迎えるが、そのステージに立つバンドを選抜するライブ審査が、12月27日に下北沢CAVE-BEで行われた。
 
音源審査を勝ち抜いた24組の高校生バンドが揃い、10分間という限られた時間の中で、渾身のパフォーマンスを観客と青二祭実行委員に見せつける。ライブステージでのパフォーマンスや楽曲の完成度、当日の集客などを実行委員の高校生たちが総合的に審査。その中から青二祭の出演バンドとして赤坂BLITZのステージに立つことが許されるのは、たった4組だ。

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朝から雨模様の中、会場に着いたのは午前10時頃。実行委員はあわただしく準備に追われ、外でもお客さんが開場を待っている。審査の段階でこれほどの人が集まっているのを見ると、本番のステージの熱狂ぶりがどれほどになるのだろうと思わされる。11時に開場すると、若い世代を中心としたお客さんが会場に流れ込んだ。
 
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11時20分、開演時間きっかりに審査がスタート。挨拶等もそこそこに、いきなり演奏が始まった。全24組が1日に出演するということで、間に休憩を挟んだ3部構成となる。
 
第1部のトップバッターはゆーとぴあ。TEENS ROCK IN HITACHINAKA 2013でオーディエンス賞を獲得したという彼女たち。実力もさることながら、ガールズバンドらしく女の子を全面に押し出した音作りが素敵なバンドだ。会場の空気も、彼女達の演奏によってなごやかなものになる。「雰囲気を作り出す」というのも、バンドの実力といえるのではないだろうか。初っ端から良い演奏を聞かされ、この後のバンドがさらに楽しみになる。
 
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その次のTHE SMARTYは、かなりの男らしさにあふれたロックバンド。各個人の技量の高さを感じさせる安定したプレイは、高校生とは思えないほどの「大人の魅力」に満ちている。演奏が終わった後も、体のどこかがピリピリとしていたのが印象的だ。
 
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Geniusは、キーボードが特徴的な男女混合バンド。友達の演奏する様を楽しんでいるかのような、心地いい距離感が感じられる。音楽の構成にも工夫を凝らしているようで、かなりの本格派な演奏を聴かされたという印象だ。
 
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そして4番手には、本誌連載「ロック1年生 エントリーNo.33」でもご紹介したリディキュラスラビッシュが登場。このライブでも、青臭い感情を一生懸命に歌に乗せていく姿勢を貫く彼らの姿に、親心のようなものが芽生えてしまった。まっすぐ突き刺さる歌詞も魅力的なバンドで、これからも歌い続けていってほしいと素直に思える。
 
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続いて、激しい演奏を繰り広げるあんふぇるとのステージも、これまた目の離せないものとなった。お客さんの人数はこの時点で会場に入りきらないほどに膨れ上がり、身動きも取りづらいほどだ。この大人数のお客さんの耳と心を、彼らは確実に奪っていただろう。涙ぐんでしまいそうだ。
 
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Rollsは、女性ボーカルの5人組バンド。音作りが80年代ロックを意識しているように感じた。高校生ながら老練な演奏を演奏をする彼らの姿に、会場にいたお父さん、お母さん世代の方の反応も上々だったのではないだろうか。
 
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「あなたはこの世界に満足していますか?」という呼びかけとともにステージを始めた伊藤光騎。男性一人の弾き語りという形式も相まって、いぶし銀のようなステージだ。主張したい!という思いを押し出したかのような音楽を聞かせてくれる彼の姿は、非常に頼もしいものに映る。
 
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数々の大会で活躍するNOWEATHERも、今回の審査に参加。ギターのカッティングなども最高にハマる、カッコいいバンドだ。唯一無二の感性を持ち、それを自分たちの強みにしている。否応なしに彼らのステージに引きずり込まれるこの感触。音楽好きにはたまらないだろう。
 
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9組目はYHMF2013にも出場したJacka☆Napes。ボーカルの力強い歌声が特徴的なバンドだが、周りの楽器隊も負けることのない技量でもってボーカルに応える。クラスの人気者になりそうな、とにかく明るく楽しい雰囲気を大事にした彼女たち。自然に笑顔がこぼれてくる。
 
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第1部のラストを飾るのは、赤鯱。YHMF、JYOJI-ROCKなど数々のコンテストで入賞を果たし、高校生バンドのシーンではよく知られた存在の彼ら、今回もさすがの演奏だ。音の絡み合い方が素晴らしく、これぞ「バンド」だと言いたくなる。スタイリッシュかつムーディーな音楽を奏でる彼らだからこそ、注目もされるのだろう。

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しばしの休憩を挟んで第2部がスタート。11組目はこちらもYHMF、JYOJI-ROCK、Music Revolutionなど今年度のバンドコンテストではその名を見ないことがない、the Village Papas!この日のステージもダンサブルな楽曲で観客を巧みに煽り、ぐるぐると回らせる!
 
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12組目は16歳のシンガーソングライター・井上苑子。制服姿でサラサラの長髪をなびかせ登場すると、観客から黄色い歓声が。10歳から音楽を始めたというだけあって、伸びやかな歌声と切ない楽曲は本格的。
 
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13組目は男性4人組のanti ballistic missile。ライブ経験は少ないということで緊張の面持ちだが、バンド名を直訳した「弾道弾迎撃ミサイル」という名にぴったりなロックナンバーをきっちり演奏する。
 
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14組目はぱすてるーじゅ。同級生であろう女子高生の観客たちから大歓声を受けて登場。キュートな衣装とポップな楽曲で、軽音の楽しさを全面に押し出すステージを展開。観る者皆を、その笑顔で虜にする。
 
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15組目は男女3人組のRucia。静かな入りから、シリアスな世界観の楽曲を披露。女性ボーカルの艶やかさと3人個々の演奏力の高さはとても10代に思えない。エモーショナルなギターフレーズが耳に沁み渡る。
 
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16組目は男女4人組の-CORE-。1曲目はアップテンポなロックナンバー。元気いっぱいの女性ボーカルと勢いある演奏で観客を踊らす。対照的に、2曲目はしんみりとしたバラードを披露。きっちり歌い分ける。

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第3部に入っても、お客さんのテンションは全く下がることがない。ORANGE BANK LEADは、そんなテンションに負けまいとしているかのように、会場を煽りまくる。バンドとして、あるべき姿を見せられているような気がしたのは、私だけではないだろう。駆け抜けるように演奏し、去っていった。
 
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法政高校の男女5人組バンド、anfifは、透き通るようなボーカルが記憶に残る。きっちりとしたボーカルの音程と、はしゃぎすぎない落ち着いた演奏が、満員の会場で冴え渡っていた。
 
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キーボードでの弾き語りを披露してくれたのはNatsuMi。今回の実行委員の中に友人がいるとのこと。力強く響き渡る声と繊細なキーボードのタッチが刺激的なプレイヤーである。かっこいい女子だ。
 
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続いて20組目はお天気雨。アーティスト名からバンドを想像していたが、ステージに登場したのは一人で、ギターの弾き語りを披露。バンドを組みたかったのにメンバーが集まらなかった、というMCで会場を笑いに包んでいたが、音楽は本格派。アダルトな音色がとてもはまっている。
 
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黒を基調にした衣装で、高校生らしからぬ色気を出していた上昇稀琉。会場の熱気に負けることなく、独自の世界観で魅せてくれた。高校一年生とは思えない、堂々たるMCにも好感が持てる。個人的には、もっと広い会場で聴きたいと思った。
 
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ツインボーカルという形式の半径6メートルは、ボーカルの妙を堪能させてくれたバンドだ。2人のボーカルで、難しいハモリもものともせず、本格的に歌い上げる彼ら。突き抜けたロックを披露してくれた。
 
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Bacchalunasは、高校生には見えないルックスと音楽が特徴的なバンドだ。自然に頭を振りたくなるような、暑苦しいライブが繰り広げられる。重厚なギターのが響き渡る。線の太い楽器の音がこちらに届いてくるように感じた。
 
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最後を飾るのはHUG。ドラムなし、ギターとベースだけのアコースティックなデュオだ。染み渡るような世界を持ち味にしている。彼女達が最後の音を出し終わった時、会場からは惜しみない拍手が送られた。

最後まで、審査だということを忘れさせるかのような熱いライブが繰り広げられていた。下北沢の雨模様を吹き飛ばすかのような、暑苦しい「青春」を感じさせてくれたバンド審査となった。
 
そして年明け1月10日に、気になる審査結果が発表!
 


 
◆第15回青二祭 バンド出演者
 
・the Village Papas
・ORANGE BANK LEAD
・Rucia
・HUG
 

 
以上の4組が、3月31日に赤坂BLITZのステージに立つ。この他、ダンス6組、各種パフォーマー5組も出演する。そしてチケットの販売は既に始まっているので、詳細は青二祭の公式ホームページをご確認いただきたい。
 
審査も終わり、最終出演者の発表がされた今、喜びに満ちているバンドもあれば、悔しさをにじませているバンドもあることだろう。しかし、それこそが青春なのではないかと思う。高校生たちよ、青春の大舞台まで、駆け抜けていってほしい。なお、the Village PapasORANGE BANK LEADRuciaHUGの4組について、本誌BEEASTでは近日インタビュー記事を公開予定だ。どんなバンドなのか気になる方は記事をお楽しみに!
 

◆青二祭 公式サイト
http://www.aoni-sai.com

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【特集】The 7th Music Revolution 東日本FINAL
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【特集】JYOJI-ROCK U-22 GRAND PRIX 2013夏大会
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