コラム
ロックは現場で起きてるんや!〜三原流ライブ参戦記〜
三原勇希
中学生の頃モデルとしてデビューし、tvkの音楽バラエティ番組「sakusaku」のMCを三年務めたのち、日本テレビ「シューイチ」でトレンドレポーターなどのお仕事をしてきました! おしゃれと体を動かす事が大好きな、自称かなりのアクティブ女子です。ライブやダンスも大好きです☆ 出身地:大阪府 血液型:AB 星座:牡羊座 趣味:おしゃれと呼ばれる物全般・料理・散策

十八時間目:”音楽は観客との究極の対話” ー天才、ドラン監督に触発されて。


映画「わたしはロランス」、観た方いますか?
これ、すーごく面白かった。美しく独特な映像に魅せられ、ストーリーは細く深く刺さる感じ。渋谷のアップリンクという、小さな部屋に前から順に高さの違う椅子が並べられた居心地の良い小箱で3時間これを観ました。その後はしばらく様々なシーンの意味や、印象的なセリフや、使われていた音楽や、美しい色彩について、また監督や俳優について、じわじわと考えずにはいられなくて。そんな風に思える映画ってすごく貴重。

あらすじは以下引用。
”カナダのモントリオールで国語の教師をしているロランス(メルヴィル・プポー)は、ある日、恋人のフレッド(スザンヌ・クレマン)に対して女性になりたいと打ち明ける。ロランスの告白にフレッドは激高するも、一番の理解者になることを決める。迷いや戸惑い、周囲の反対を乗り越えて、社会の偏見に遭いながらも二人の人生を歩もうとする。” (※1)

…というわけで(笑)トランスジェンダーに対して、社会がまだ今ほど寛容でなかった時代に、それをカミングアウトして生きていくあるカップルの10年を描いた物語、という感じでしょうか。でもまず頭に置いておきたいのは、監督自身も言うように、「これはトランスジェンダーの物語ではなく、愛の物語」だということ。ここにあげたビデオもあげなかったものも、どうしてもトランスジェンダーに苦しむ面をクローズアップしたティーザーが目立ったけど、その印象で「重そうだな」とか思わないでほしい。それよりももっと、画面におさまりきれていない、溢れんばかりの独特の何かを感じませんか? 私は感じます。ストーリーは全くわからずとも「これ超観たい!」っていう何かを。

それは脚本や台詞の一言はもちろん、映像美や音楽や俳優のたたずまいなど、全ての要素が織り成し醸し出すものですが、その全てを監督が演出したというのだから驚きです。例えば普通はスタイリストが担当する衣装ですが、監督は自分で約2000点ものコーディネートをスタイリングしたそう…! その監督とは、自身もゲイであり、俳優としても才能を発揮しているグザヴィエ・ドラン氏。弱冠24歳。撮影時は22~23歳!(いまの私やん!) こんなに色んな面においてセンスがあふれていて、刺激的だった映画はあまりない。グザヴィエ・ドラン監督…、すごいです。

ちなみに監督自身はパーティーのシーンにちらっと出演しています。ほんの一瞬でものすごい存在感。

そんな、監督のこだわりがビシビシと感じられるスタイリングですが、私は”この映画が面白い”と友達に聞いてポスターを見てみた時、カラフルな布が舞い、ビビッドカラーのコートを着てまっ赤なサングラスをかけ、澄んだ青空の下で幸せそうにキスをするふたりの写真にすごくワクワクしました。楽しみすぎて、観に行く日はこのポスターのヴィジュアルをイメージしたスタイリングに。笑 伝わるかなー?! 手持ちのアイテムで色×色の色彩感覚を真似してみました。劇中も印象的なファッションばかりで、本当にどれもおしゃれ! 衣装×背景の壁紙のハーモニーまでおしゃれ。ほれぼれしちゃいます!

cc

それほど、美しく繊細でダイナミックで、素敵な映画だったために、「ゲイには天才が多い」なんてよく言われますが本当にそうなのかも…って思って考えてみました。「新研究 あの著名なミュージシャン、作家、画家・・・なぜ天才にゲイが多いのか」 (※2)というネット記事は多角的に考察されていて結構面白かったです。この記事によると、同性愛者と異性愛者にはそもそも脳の前交連という部分の大きさにかなりの違いがあって、そのため男性同性愛者は、女性以上に左右の脳を使う度合いが大きいのだそう。人とは違う独特の認知機能を持っていれば、その考えや創作物はユニークになりやすいですよね。私もこの仕事をしていてオネエのヘアメイクさんやスタイリストさんによく出会うけど、そういう芸術性や独創性を問われる世界では、特にそれが発揮されやすいですよね。ドラン監督のやってることは文章、演出、音楽、衣装などとても幅広いからそれの最たるものじゃないでしょうか。

私は今まで主に「オネエ」と呼ばれる方達について、すごく魅力的だしよく気がつくし、お話が面白い人が多いと感じていて、その理由は男と女の両方の感性を備えたそういう人達は、どちらかしか持っていない私たちよりも「+α」(もう一つ多くの、もしくはもう一段階上の)の感覚やセンスを持ち合わせているのだと思っていました。もしも持ち合わせた感性を数で数えられるとしたら、男は1つ、女は1つ、オネエやゲイとよばれる人は2つ、というように。極端すぎるけどね。でも脳の構造といった身体構造的な話だけではなく社会構造によるものもあるのでしょう。オネエやゲイの人達って受け入れるもの、消化するものの受け口が広くって、いろんなことに敏感。きっと人より生きにくい場面を生き抜く術のひとつとしてそういうものを身につけているんだと思う。先に挙げた記事にも書いてありましたが、普通でないことを隠すのではなく、受け入れることによってそれが人とは違う”才能”として発揮されるんですね。

でも記事によるとゲイは人口全体のたった数%と言われているから、それが正しいとすると、ゲイに天才が多いわけではなく、その人の作品か何かがとても良いことがまず第一にあって、その人はゲイだったという点が人々の印象に残る→だから多く感じる、という結果論なのかもしれないですね。いずれにせよそういう人がいることは普通のことで、私がこういうことを書いても本人達が気分を害さなければ何もタブーではない普通のこと。色んな人がいるということ。今を生きる私はそう思います。この映画はストーリーの設定となっている1990代から、この映画が撮影された2012年までの期間でトランス・セクシュアリティに対する社会がどれほど変わったのかも描かれています。

映画『わたしはロランス』 ミュージック・クリップ 01 from Uplink on Vimeo.

これはミュージックビデオのようなパーティーのワンシーン。
(※サムネイル画像は前述のグザヴィエ・ドラン監督)

最後はやっぱり音楽の話を。監督のインタビューを読んでいて、すごく印象的だった言葉がこれです。

「歌は登場人物の人生に寄り添う存在といえるね。登場人物たちに自分が何者かを思い出させ、彼らが愛した人々を喚起させる。忘れられた人々を忘却から呼び戻し、悲しみを和らげ、罪のない嘘、打ち捨てられた野望の数々を思い起こさせるんだ。
そして映画館では、それぞれの観客が音楽にまつわる個人的な思い出を、映画のために無意識に活用する。会ったこともない人物が作った映画が突然、まるで友人のようにいろんなことを観客に語りかけるんだ。これほど満ち足りたことはないよ。秘密にしていること、子供時代のこと、手放した夢、その歌を耳にしていた瞬間のこと。あの時、町を歩いていた、僕の自己主張の時代だった、信号が赤に変わる前に慌てて走っていた、母親のお葬式の日だった、秋に始まり秋に終わった短い恋に涙していた――歌はそんなことを思い出させてくれるんだ。音楽は映画の魂と言われるけれど、その理由は明らかだよ。音楽こそが観客との究極の対話なのだから。」
 (※3)

なるほど…っっ! 音楽をきくと、その音楽をよく聴いていた時のことをはっきりと、そして感情的に思い出したりすることがある、あの作用ですね。音楽は、映画の中で孤立して個人の経験を呼び覚ます。そしてそれを個人で勝手に映画のために活用する。「音楽が観客との究極の対話」なら、映画に共感したり、感動したりと、感情をもつ一番強力な理由が音楽なのかな。私も、目に見える情景と、自分の中のイメージや思い出や感情を音楽が結びつけるという経験はよくあります。監督のこの言葉、ストンと腑に落ちました。

 
という訳で最後にゲイつながりでロックの話を。
私はクイーンプリンスが大・大・大好きです!

クイーンなら「Under Pressure」

この曲を聴くと、歌いながらめちゃめちゃ寒い春の海で白いノースリーブのワンピースで撮影した思い出が呼びさまされます。笑

 
プリンスなら「I would die 4 U」

これを聞きながら台風に立ち向かいながら家まで歩いた記憶がよみがえります。ものすごい暴風雨だったけどアトラクション感覚でまるでなにかを助けに行くヒーローの気分だった。なんか風のエピソードばっかりですが。笑

Prince 「Breakfast Can Wait」

うぅ~やっぱかっこいいなぁ、セクシー。ちなみにこれは昨年末にリリースされたプリンスの曲なんですが、あの人今年56歳なはずなのにどうなってるんでしょう。笑 
いやはや、世の中面白い人ばっかりでワクワクしますねっ。

 


※1 映画『わたしはロランス』あらすじ(シネマトゥデイ)
http://www.cinematoday.jp/movie/T0017896

※2 「新研究 あの著名なミュージシャン、作家、画家・・・なぜ天才にゲイが多いのか」(週刊現代/2012年2月9日)
href=”http://gendai.ismedia.jp/articles/-/31728

※3 この秋マスト! 究極のラブストーリー『わたしはロランス』グザヴィエ・ドラン監督にインタビュー(ELLEオンライン)
http://www.elle.co.jp/culture/interview/laurence_director2013_09

☆この映画の説明はこれが一番偏りがなく的確で素敵だと思いました。↓
セクシュアリティとジェンダーの間で揺れる愛の行方『わたしはロランス』
http://dacapo.magazineworld.jp/cinema/119920/

※画像提供:アップリンク
http://www.uplink.co.jp/


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【劇場】
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(東京都品川区/最寄り:京浜急行「新馬場」駅)
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