コラム
ロックは現場で起きてるんや!〜三原流ライブ参戦記〜
三原勇希
中学生の頃モデルとしてデビューし、tvkの音楽バラエティ番組「sakusaku」のMCを三年務めたのち、日本テレビ「シューイチ」でトレンドレポーターなどのお仕事をしてきました! おしゃれと体を動かす事が大好きな、自称かなりのアクティブ女子です。ライブやダンスも大好きです☆ 出身地:大阪府 血液型:AB 星座:牡羊座 趣味:おしゃれと呼ばれる物全般・料理・散策

Coldplay


先日、美容師の友達が独立して作った美容院に行った。

彼の歳は私のひとつ上。この歳で、人気のある美容院から独立して仲間とお店を立ち上げる、という決意を素直に尊敬する。「darlin.」というお店はおしゃれなカフェも点々と並ぶ祐天寺の商店街の2階。席は4席とコンパクトながら、内装デザインはブルックリンにありそうな、かっこいいし落ち着けるお店だった。オープンしてから5か月が経ってやっと初めて行けたのだけど、その日はひっきりなしに若いお客さんが入っていて賑やかだった。

席に着くと、視界のはしっこをモカ色のモップがさわさわと横切った。「なんかいる!!」と振り返ると、そのモップはとてつもなく可愛かった。衝撃だった。犬だった。

彼は看板犬のケンちゃん(犬ちゃん)というらしい。まだ生後3か月(確かそう言ってた)の、マルチーズとトイプードルのミックス。毛がストレートのトイプードルと言った感じで、まさにモカ色のモップが転げ回ってるみたいで、まだ走り方がぎこちなくて、めちゃくちゃ人懐っこくて、とにかく可愛い。かまってほしい気持ちが丸出しで、わざと人に見えるところで何かする。ひざの上に乗せて撫でるとウトウトし出した。なんやこの可愛さは。

私はいつも子犬を見ていると、同時に人間の本能を見ていると思う。だって人間は犬や猫になら、したいがままに触ってなでて、ハグしたりキスしたりする。可愛くて抱きしめたくてそうする。もちろん、初対面の人間にそのまま同じことをしたらやばい人だけど、少なくとも日本人よりは外人の方がそういう感情表現には素直だと思うしそれが素敵だと思う。

小さい子供と遊んでいても、その素直さにハッとさせられたり、心の壁を一気に5枚くらい破ってくるかわいさがよくある。まっすぐすぎる発想に、頭がやわらかくなる。そういう時、今の自分はいろいろ人の目を気にしすぎで、もっと素直だったら、もっと人に愛を伝えられて愛されるんじゃないかと、少し思うのです。変態にならない程度に(笑)そうなれたらなと。

 
さて、本題です。
4月19日水曜日東京ドームにて、Coldplayの来日公演を観に行ってきました!

・・・ついにこの日が来た!
私は大ファンです、と胸を張っては言えないけれど、あのColdplayが来るなら音楽ファンとしては見たいでしょ。絶対楽しいでしょ。しかも単独公演だし!と、来日が決まってすぐにチケットを取った。

ちなみに彼らのアルバムをフィジカルで持っているのは2枚だけ。『Viva La Vida』と、『X & Y』。リリースされた時にリアルタイムで聞いてたわけではないけれど、この『X & Y』で大好きになった。思ったより暗いのね、という第一印象だった気がする。特に「Fix You」というとても静かで美しい曲に心奪われた。私のライブラリでは、これの再生回数がダントツ。あとはこの2枚に入っていないけど、「Yellow」がやっぱり好き。最新アルバムのタイトルを冠したツアーだし、『X & Y』以降から最新の曲までもひととおり聴いてはいたけれど、どんなセットリストになるんだろう。

2枚とれたので彼らの大ファンであり自分の青春のバンドだ、という友達を誘った(東美樹ちゃん♡)。

私がチケットを取った頃はまだRADWIMPSが出演するのは決まっていなかったけど、RADも好きなので嬉しかった。ちょうど全国ツアー中だからパフォーマンスも研ぎ澄まされているだろうし!

ビールを買い、18:30になると、時間通りにRADWIMPSがスタート。まだ客席で人が歩き回りかなりざわつく東京ドームで、さらっと始まったのは全英詞曲「Lights go out」だった。意外だったけどColdplay公演だからだろうなぁ。ボーカル・野田洋次郎さんは達者な英語でMCをしていた。煽りは英語だったり、日本語で話して英語でもう一度言うといった感じ。日本人以外のオーディエンスもかなり多かったこの日の客席のことをよく把握していた。

映画『君の名は。』のオープニングを飾った「夢灯籠」、「君と羊と青」を演奏すると、野田さんはギターを置いてピアノの前に座った。ドラマ主題歌でもある「棒人間」、『君の名は。』でもおなじみ「スパークル」と、RASWIMPSの醍醐味の一つ、聴かせるナンバーが続く。と思いきやその正反対に位置するようなエッジーでパンチのあるロックナンバー「おしゃかしゃま」「DADA」と続き、間奏ではおきまりの、野田さんの指揮によってバンドメンバーがそれぞれのソロを入れ代わり立ち代わり戦わせるパフォーマンス。これ、初めて見たときは圧倒されたなぁ。他のところばかりに目が(耳が)いって、それまで気づいてなかったバンドの演奏スキルに。そしてこれが最後の曲となった。

初めて見た人の心にも、するっと入りこんでガシッと掴んでさらっと帰っていく、かっこいいライブだった。今誰もが知っているであろう「前前前世」は演奏しないところが、彼らのプライドを感じて、とても良かった。俺らのライブに聴きに来い!と言わんばかりの。

そして、Coldplay
会場が暗くなると同時に、大きなスクリーンに世界中のファンからのメッセージと、最後に日本のファンからのメッセージが流れると、カウントダウンの数字が「30」に。
ただでさえ高まる興奮を30秒もあおるなんてズルい。笑

そうして会場のボルテージがMAXになったところで、始まった1曲目はツアータイトルでもある「A Head Full Of Dreams」。観客に配られたリストバンドは足並みを揃えて七色に光り、七色の紙吹雪と照明に照らされて、東京ドームは一気に多幸感に溢れた。クリスは正面の花道を走り抜けて歌う。正直、1曲目からこの高まりは味わったことがない。これがColdplayだ!

今や日本でもよく見るようになった、曲に合わせて色とりどりに全員のリストバンドが光る演出を、世界でもいち早くライブに取り入れたのはColdplayだという。

そこから全員のリストバンドが黄色く光り出し、始まったのは「Yellow」。あのギターのイントロが流れると歓声が上がった。もちろん私も。2曲目からこれやってくれるのー!っていう。ちょっと涙ぐんだ。シンプルなメロディで、シンプルなコード進行なのに、どうしてこうも心にしみるのだろう。クリスのボーカルのあたたかさが、東京ドームの5万人を包み込んだ。すごいと思った。

それ以降、どの曲を聴いても知っていたし、同じように感動した(「Fix You」は特別)。昔の曲も、最新の曲も、EDM調にアレンジされたナンバーも、全てが一体感を持っていた。こんなバンド、やっぱりなかなかいないと思う。

私は新旧問わず本当にいろんなジャンルの曲を聴くし、いろんな聴き方をするようになった。歌詞の意味を調べたり、曲が生まれた経緯を調べたり、バンドメンバーのこれまでのプレイを見てみたりだとか。深堀りしてばかりいたけど、思えばColdplayを聴き始めた時なんて、歌詞の意味を調べたこともなかったし、ただ聴いてみて好きか、気持ちいいかで聴いていた。

もちろん今もそれはあるけど、「好き」というのなら、そのアーティストや曲のことをよく知ってなきゃいけない気がしていた。

でもそんなことはどうだっていいんだった。

Coldplayは、素晴らしいライブのクオリティを以てして、それでいて敷居はものすごく低い2時間を味わわせてくれた。めちゃくちゃ楽しかった。いい大人がみんな飛び跳ねて、歌っていた。もちろん私も。

Coldplayが世界を虜にするバンドである所以は、その一体感だと思った。音楽は、聴く人の感情を揺さぶる。言葉がわからなくても、クリスの声や、そのシンプルに美しいメロディーや、バンドが織りなすサウンドで、あまりに大きな空間を一つにしてしまうのだった。その興奮は、スタジアムで、スポーツで、好きなチームを応援してゴールした瞬間に似ていると思う。「Viva La Vida」のイントロからの高揚感なんか、それの最たるものだ。 だからこそ多くの人に愛されるのだ。

ありがたいことに、最近は大好きな音楽を届ける仕事をさせてもらうことが少し増えてきた。BEEASTではそうなる前から音楽について好き勝手書かせてもらっていたけど、そういうことが積み重なってこうなっている。

知らない間に凝り固まっていた脳みそをほぐしてくれる、素晴らしい音楽だった。

 


◆三原勇希 インフォメーション
スペースシャワーTV「TOKYO MUSIC ODYSSEY 2017 GUIDE」MC

BS日テレ「真麻のドドンパッ!」 毎週水曜レギュラー出演中
 毎週月曜日~金曜日11:00~11:55/再放送15:00~15:55

スペースシャワーTV「スペシャのヨルジュウ♪」VJ レギュラー出演中
 毎週火曜日22:00~23:00 スペシャアプリより生配信
 翌日水曜日スペースシャワーTVにて22:00~23:00放送 

テレビ埼玉「フィッシング倶楽部」レギュラー出演中
 毎週木曜日21:00~21:30、他全国12ネット局にて放送

FM802「INTRO-JUICE 802」 DJ
 放送:毎週日曜日18時~20時

ニコニコ生放送「シネマのミカタ」MC レギュラー出演中
 毎週火曜21:00~22:00生放送(※不定期出演中)

・『走るひと 3』『走るひと 4』発売中

 

◆三原勇希 オフィシャルブログ
http://lineblog.me/miharayuki/

【レポート】「聖澤女学院物語 ラストディーバ」
http://www.beeast69.com/report/104747
【レポート】「東京タワー Club333 Night View DJ」
http://www.beeast69.com/report/92370
【レポート】BEEAST presents 三原勇希のロック女子会vol.1
http://www.beeast69.com/report/62822
【連載】ロック社会科見学 sakusaku 4代目MC・三原勇希に突撃取材!
http://www.beeast69.com/serial/sociology/29232