演奏

TEXT & PHOTO:N-yukano

少し肌寒さを覚える10月初旬。今日は、下北沢GARDENのリニューアル一周年アニバーサリーイベントだ。これを祝して出演するのは、人間椅子RockRolly!このメンツは、店長のたっての願いで実現したんだとか。

人間椅子──陰影のある重いサウンドの、文学ロック。
RockRolly──明るく魅惑的なサウンドの、グラムロック。

対照的にも思える両バンドだが、しかし、60年代、70年代
のロックに影響を受けたというところでは共通している、そんな彼らの
ライブは、ロックを通じて、まさに両者のファンが一体となった素晴ら
しいものとなった。その白熱のライヴ模様を徹底レポート!
 

人間椅子

◆メンバーリスト:
和嶋慎治(Guitar & Vocal)、鈴木研一(Bass & Vocal)、ナカジマノブ(Drums & Vocal)
 
 


 


 


開演、メンバー登場とともに、雰囲気が一転。「賽の河原」が始まる。開始から早々に果たしてここはどこなのかというほどに、ズーンと沈み込むような、独特の世界観の中へと引き込まれる。続けて「りんごの泪」へ。スピード感あふれるナンバー、途中和嶋慎治の津軽三味線のようなギターソロも交えつつ進む。MCでは、「照明が眩しくて幻惑されてしまいそうですね」と鈴木研一が言うと、和嶋慎治Led Zeppelinの「幻惑されて」を弾き始めるなど、お茶目なやりとりもあったりで、会場をなごませる。
 
「次の曲は、デビュー前にやっていた、本来のフルバージョンで演奏します」との発言に、わあっと沸く会場。今回のセットリストは、ファーストアルバムから最新の曲まで網羅したとのことで、なんとも嬉しいかぎりだ。「人を憎んだ怨念が、自分の身体に顔となって跳ね返ってきてしまった…谷崎潤一郎の、人面瘡!」ポロンポロンと寂しげに奏でられるギターから曲は始まり、照明の真っ赤なライトが激しさを煽る、そして演奏に乗りに乗った鈴木研一の表情が、鬼気迫る!「恐怖!!ふじつぼ人間」では、怪しい雰囲気の中、ステージを所狭しとメンバーがスウィングし、それに合わせてオーディエンスが踊る、踊る!どんどん激しく、熱狂の渦へ。
 
 


 


 


続いては最新アルバムから「ギラギラした世界」の演奏だ。「そう、恐ろしいものも無くなっちまう」との歌詞に、浄化されるような気持ちになっていく。和嶋慎治がステージを右に左にと移動しながら、Led Zeppelinの「Heartbreaker」を思わせるソロを披露。続いて紫の光の中、バラード「胡蝶蘭」。美しいギターの旋律に乗せて、語りかけるような歌声が胸に染み入ってくる。照明もドラマティック、メンバーを照らすライトがまるで後光のよう。
 
ふわっとステージに光が戻り、ROLLYとの出会いについて、和嶋慎治が語る。初めて会ったのは20数年前だという。「ROLLYと僕らの共通点は、60、70年代のロック黄金期に多大なる影響を受けているっていうこと」そのMCを裏付けるかのように、Deep Purpleの「Burn」をひとしきり演奏。大受けの中、ナカジマノブが「もっともっとノリノリの曲やるぜー!俺が歌っちゃってもいいですかー!?」と会場をさらに盛り上げる。曲は「孤立無援の思想」。はるかな地平に行くのさというフレーズに合わせて、会場中が手を大きく左右に振り波のように揺れている。ここは往年のディスコティック?前半の曲調とは趣向が異なっていることが、かえってステージの中でのいいアクセントになっている。
 
 


 


 


「さて、後半戦は人間椅子の本領発揮と言いますか、暗い曲で締めくくりたいと思います!」照明が落ち、血のような赤い光に照らされたステージに、地鳴りのようなコーラスが響く──「相剋の家」。「心の火事」では、ざくざくとしたギター、ベースのリフレインとともに、鈴木研一が怪しくステージを徘徊する。そしてヘビーなナンバー、「どっとはらい」でエンディングを迎えたが…アンコールの拍手が鳴り止まない。
 
ややあって、再びメンバーの登場だ。演奏を始めると、なんとグラマラスでセクシーなROLLYが登場!まさにサプライズな演出に、お客さんからは大きな歓声が上がる。人間椅子の演奏にROLLYのボーカルでBlack Sabbathの「Paranoid」を披露し、彼らのステージは幕を閉じた。それにしても、ものすごいインパクトだった!
 

◆セットリスト
M01. 賽の河原
M02. りんごの泪
M03. 人面瘡
M04. 恐怖!!ふじつぼ人間
M05. ギラギラした世界
M06. 胡蝶蘭
M07. 孤立無援の思想
M08. 相剋の家
M09. 心の火事
M10. どっとはらい
-encore-
M11. Paranoid(Black Sabbath

 
◆人間椅子 公式サイト
http://ningen-isu.com/


RockRolly

◆メンバーリスト:
ROLLY(Guitar & Vocal)、永井ルイ(Bass & Keyboard)、小畑ポンプ(Drums)
 
会場の興奮冷めやらぬ中、テーマパークのような陽気な音楽が流れ、メンバー登場。ROLLYは先程とは違った装いだ。オーディエンスの待ってましたという拍手、「ロ~リ~!」と飛び交う黄色い声援が、素敵なステージの始まりを予感させる。「それじゃあ始めよう!」と、オープニングソング「ROLLYミッドナイト」から「ファニーフェイス」へとご機嫌な流れ。永井ルイのキーボードも登場し、期待を裏切らない演奏を見せてくれたのち、メンバー紹介。
 
人間椅子の皆さんとは2年ぶりで、その時も言っていたんですが、やっぱ同世代のバンドとやるといいなあ」とROLLY。「なにしろね、ハードロックの曲をメジャースケールを交えて弾くっていうのは…日本でそれをやっているのは、人間椅子と僕だけだ!…って、いうてもわからんやろな~」ROLLYが演奏で説明しようと自分たちのスタイルを弾き、次に普通の方のバンドの説明をしようとしたものの、ダメだ…(弾けない)と笑いを取る。
 
 


 


 


そして先程登場(人間椅子のアンコールの時)のスタイルは“ヘルガ”というニューキャラクターだという話もありつつ、T.Rexのカバー「Groover」を始める。気だるい、絶妙に力の抜けたヴォーカルと演奏を、とてもいい感じに表現するRockRolly。会場は大きな拍手に包まれる。続いては「楳図かずおさんの曲で…木村の兄さん」♪木村の兄さん木村の兄さん…ベィビィという繰り返しが、妙に心地よく耳に残る歌だ。この脱力感シリーズとでもいうのか、たまらない。そして軽快なギターソロから「ダイエットゴーゴー」へと続く。まったりと、南国の昼下がりを思わせる開放感のある魅惑的な演奏に、RockRollyの多才な力量がうかがえる。やっぱりROLLYはグラムロックスターだ!「ジャングルブッダ」エフェクトのかかったヴォーカル、コーラスによって大きなうねりが生まれ、それを小畑ポンプの絶妙なドラミングが支える。
 
オーディエンスも、自然と身体がゆれる。「ROLLY’S RockRollyより…ロデオ!」初めのイントロを弾きだすとともに歓声があがる。まさにロデオというカントリーサウンドに乗りながら、ROLLYがステージを左右に移動し、ギターをロデオに見立てて乗りこなす。アトラクションのようなパフォーマンスに、狂喜するオーディエンス!
 

 


 


「皆様お待ちかね、永井ルイさん歌います!キッチンパラダイス」…永井ルイがキーボードを弾きながら歌うミディアムナンバー、これを演奏するのは、12、3年ぶりくらいだという。「…楽しい時間は一瞬にして過ぎ去ってしまうもので、いよいよ最後の曲です。あっ間違えました、2曲ある」とROLLYのおちゃめな一言。MCの中でカントリーロードを弾いてみせる等、楽しいやり取りがあった後、「あの娘はマーメイド」を始める。全体的にはポップな曲調でありつつも、間に舞台のように歌い上げるシーンもあり、その対比がとてもドラマティックで、歌詞にも出てくるフレーズ“甘くて切ない”感じをより印象付ける。
 
ラストソング「He is so fine」は爽快なロックチューン。出だしのオーディエンスとの掛け合い「ROLLY!」もバッチリ決まり、ギターソロの場面ではロックフレイバーが炸裂!歓声鳴り止まぬ中、メンバーは大きく手を振り、ステージを後にする。
 
 


 


 


すぐさま巻き起こる、割れんばかりのアンコール、しばしの間の後、RockRollyが再びステージへと上る。「日本一のギタリストを紹介しましょう、和嶋慎治さんです!」とRollyが呼び込めば、「(バンドのグッズを身にまとっているので)まるで人間広告塔のようです」と和嶋慎治。二人して、しばらくは熱いロックギター談議。そのまま即興演奏になだれ込み、やがて始まったのは「Nathin too Lose」!KISSの名曲に、ステージは白熱。ギターを頭の後ろに担いで弾いたり、まさかの歯ギターバトルも見られ、オーディエンスも大熱狂!会場は、ダブルアンコールを求める拍手が止まない。最後には、鈴木研一ナカジマノブもステージに登場、両バンドのメンバー全員が謝辞を述べて、今宵のステージの幕は下りた。
 
 


 

 

◆セットリスト
M01. ROLLYミッドナイト
M02. ファニーフェイス
M03. Groover(T.Rex
M04. 木村の兄さん(UMEZZ
M05. ダイエットゴーゴー
M06. ジャングルブッダ
M07. ロデオ
M08. キッチンパラダイス(永井ルイ
M09. あの娘はマーメイド
M10.He is so fine
-encore-
M11. Nathin too Lose(KISS)


◆RockRolly 公式サイト
http://www.rollynet.com
 
◆インフォメーション
・2013年01月26日(土)【吉祥寺】ROCK JOINT GB
 とくべんルイ永井ルイ
・2013年02月09日(土)【渋 谷】渋谷公会堂
 すかんちツアーファイナル(ROLLY小畑ポンプ




★読者プレゼント★
人間椅子×RockRollyのサインを、抽選で4名様にプレゼント!
 
ご応募方法は“BEEASTファンクラブ”の方にお届けする「週刊ビースト瓦版(無料メルマガ)」にて記載いたします。
 
BEEASTファンクラブ”はコチラの『BEEASTファンクラブ』ページより簡単登録(完全無料)可能!
 
※『ファンクラブ』ページにある登録内容を送信してください。携帯からアクセスされている方はコチラに空メールを送信していただくか、ページ上のQRコードを読み込みの上メールしてください。仮登録の登録画面のメールが届きます。
【重要】携帯電話のドメイン指定受信を設定されている方は、prius-pro.jpのメールを事前に受信できるよう設定してください。

 
◆関連記事
【連載】39LIVE 第4回~AMPM(永井ルイ)~
http://www.beeast69.com/serial/39live/36788
【レポート】人間椅子×CONCERTO MOON
http://www.beeast69.com/report/34660
【レポート】地獄の決定打!筋肉少女帯VS人間椅子VS人間筋肉少女椅子帯
http://www.beeast69.com/report/30390
【レポート】花*花ポンすけリターンズ
http://www.beeast69.com/report/38847
【レポート】『クリンドルクラックス!』
http://www.beeast69.com/report/33131