演奏

TEXT & PHOTO:鈴木亮介

譜面とスティック、これだけ持ってどこまでも…そんな緩やかなキャッチフレーズで全国津々浦々をゆく男性2人組ユニット、ポンすけすかんちAM☆PMなどで活躍するロックンドラマー・小畑ポンプと、ピアノ、フルート、ピッコロ奏者で作曲家、THE ALFEEポルノグラフィティなどのサポートでも活躍するただすけの2人で2005年に結成。互いの普段のステージはハードなロックテイストが強いこととは対照的に、ジャジーな、フュージョンなサウンドと脱力系MCが持ち味だ。

そして、2000年代初頭に日本中を「癒しソング」で包み込んだ、花*花こじまいづみおのまきこの女性2人ユニットとして、2000年7月リリースの「あ~よかった(setagaya mix)」でオリコンランキング5位と華々しくメジャーデビュー。ドラマの主題歌として大ヒットした「さよなら 大好きな人」は20代30代女子なら一度はカラオケで歌った経験があるのではないか。ソロ活動を経て2009年に活動再開。現在は関西方面を中心にライブを行うほか、ボーカルレッスンなども行っている。

そんな2組によるゆったり大人のくつろぎライブを、今宵はリポートしたい。

 


花*花ポンすけの共演は今回で2回目。2011年のポンすけツアーの大阪公演に花*花がゲスト出演した際に意気投合し、今回東名阪をともに回ることとなった。その最終日となる東京公演は7月7日・七夕の日。オトナの高級感漂う南青山MANDALAのシャンパングラスを手にすれば、さっきまで雨が降っていたことなんて忘れて、開演前から既に上質な雰囲気に酔いしれそうだ。

そして午後6時を回り、まずはステージにポンすけの2人が登場。上手に組まれたドラムセットにどっしりと座る小畑ポンプ(Drums & Vocal)と、下手のグランドピアノにそっと指を乗せるただすけ(Piano, Accordion, Flute & Vocal)が互いに目配せし、最初の曲「アンドゥートロア」がスタート。パワフルなピアノの和音とスコールのように叩きつけるシンバルが最高に心地良く、鬱蒼とした雨模様を吹き飛ばすのにふさわしい爽快なサウンドで、今宵のショウの幕が開く!

 


 


「お足もとの悪い中、お日柄もよろしく…」早速会場を和ませる小畑ポンプ花*花の2人とともに回ってきた京都、名古屋のライブを振り返りつつ、「ポンプさん、今日は真面目に語ってますね」「てへぺろ」「若者に流行りのサルエルパンツを買(こ)うてやりましたよ。Dragon Ashのベースの人が履いてそうな」「ものすごい先入観!」…と、ただすけとの掛け合いも絶妙。ハイセンスな音楽を奏でながらも敷居を上げ過ぎないMCの緩さもまた、彼らが愛される理由だ。

 


 


ジャパネットたかたのBGMをピアノで弾きながらのCDの告知も終わったところで2曲目はただすけが”鈴木“名義でリリースしたミニアルバムより「プロトタイプ」。切ないボーカルと高音の鍵盤に、そっと添えるように優しく刻むスネアドラムが心地良い。気持ちが高揚してか、その後のMCではただすけも「今日ポンプさん(との距離が)遠いですね。遠くでトークをしているような…」

異世界に連れて行ってくれるライブと、アットホームなトークの、絶妙な交錯。雲に乗って空中散歩しているようだ。3曲目のゆったりとしたインスト「フェイントライト」が終わると、「お一人目の花*花、”花”の方を呼んでみましょう!」との紹介に乗せて、ステージにはこじまいづみ(Vocal & Keyboard)が登場!

 


 


「鍵盤とドラムと歌のうまい二人だけで、こんなに楽しいのかと思って」と今回の「リターンズ」開催経緯を語る小畑ポンプ花*花の2人に歌ってほしい曲をセットリストに揃えたのだという。その1曲目は、初めてポンすけとセッションした時にこじまいづみが自ら持ち込んだという「Calling you」。映画『バグダッド・カフェ』の挿入曲で、オリジナル同様、太く力強いボーカルがブルーの照明に映える。続いて2曲目は兵庫出身のこじまいづみが阪神大震災の際に「音楽の力をこの曲から強く感じた」という「満月の夕」を披露。山口洋HEATWAVE)と中川敬ソウル・フラワー・ユニオン)の共作だ。小畑ポンプの優しい歌声と、こぶしを効かせたこじまいづみの歌声、そしてアコーディオンの旋律が郷愁を誘う。

最後はこじまいづみが書き溜めていた詩にただすけがメロディを乗せて共作した「閏(うるう)」を2人で披露。通常の秒と秒との間に挿入されたうるう秒からインスパイアされて、「好き、嫌い、の間にあるもの」に焦点を当てたという。またの名を「チーム褒め合い」という、花*花ぽんすけを象徴するような、ピアノの旋律とこじまいづみの力強いボーカルがともに引き立て合ったこの曲で、第1部は幕を閉じた。

 


 


続いて第2部では花*花の”もうひと花”、おのまきこ(Vocal & Piano)が「雨すごかったですよー」と登場!まずはAdeleの「Someone Like You」をしっとりとカバー。「いづみちゃんの声は太陽の陽の光のような、元気なイメージ。まきこちゃんはビロードのような、なめらかで綺麗なイメージ」と評する小畑ポンプが「どうしてもこの曲を聴きたくて」と選曲したのが続いて、Carpentersの「Superstar」。確かにしっとりとした低音がジャジーなピアノの旋律に乗って、たまらなく心地良い。さらに”現代のカーペンターズ”として人気急上昇のRumerの「Goodbye Girl」もカバー。

 


 


おのまきこボーカルの3曲が終わると、こじまいづみが登場し、ようやく全員集合!4人で最初に披露したのは、スピッツが1998年にリリースした「楓」!花*花のマネージャーも大好きで移動中に口ずさんでいるというこの曲、2000年代初頭に花*花をリアルタイムに聴いた世代にはたまらない名曲だ。こじまいづみの突き抜けるリードボーカルにおのまきこのスケールを拡げるコーラスが、ポンすけの屋台骨に支えられてオーディエンスを酔わす。

 


 


そしておのまきこがグランドピアノへ。ここからはお待ちかね、花*花のオリジナルナンバーだ。2人の声がどこまでも伸びる「キャンディー」は再始動後、2010年リリースのアルバム『ハライソ』からのナンバーだ。ただすけの軽やかなフルートも鳥のさえずりのようで爽やか!そしてポップな「ばんそうこう1枚」は2001年リリースのシングルのB面で、実は小畑ポンプ佐藤研二マルコシアス・バンプ)とともにサポートでレコーディングに呼ばれ、花*花と出会うきっかけとなった曲だ。

当時を振り返り「何故僕らが呼ばれたのか分からずにスタジオに行ったら、ちっちゃい女の子が二人、一生懸命ピアノ弾いてて(笑)。1曲目は花*花Queenでやってくれと(プロデューサーに)言われて。なるほどそれで僕らが呼ばれたんだなと。そして2曲目はスラッシュメタル!」と小畑ポンプがレコーディング秘話を明かすと、会場からどよめきが!そして最後はそのA面シングル「愛を少し語ろう」で、あっという間に4人のステージは幕を閉じた。

 


 


アンコールの喝采に応えて再登場したこじまいづみは、なぜかドラムセットに着席!「叩くど~、違うか?」とほんの少しビートを刻んで見せ、お茶目に笑う。「学生の頃から憧れていたすかんち小畑ポンプさんと同じステージに立てて嬉しい。夢のような時間が終わってしまうのは寂しい」と思いを語り、まずは二人で花*花の新譜『ハライソ』からしっとりとした楽曲「ただひたすらに」。そして2曲目はポンすけを招いて4人で花*花の代表曲の一つ「夜香梅」。しっとりと歌い上げ、終演…しかし、それでも鳴り止まない拍手!

 


 


急遽、2度目のアンコール!「とりあえず出よう、ってことで」出てきた4人。本当に何も準備していなかったとのことで、お客さんにリクエストを聴いたところ、挙がったのは「ばんそうこう1枚」!「スラッシュメタル!テンポあげていきましょう」と小畑ポンプの何気ない一言が、大変なことに!「いづみちゃんが弾ける、一番速い『ばんそうこう』で!」…に応えて、ドラムはもちろん、アコーディオンもまさかの早弾き!満杯のオーディエンスもまさかのハイペースな拍手に大興奮!ギターもベースもいないスラッシュメタルが、まさかの大トリ。しかしこの4人なら、轟音メタルの世界観もたちまちに作り出してしまう。半年に1回くらいは開催できたら…とのこと。4人が奏でる魔法のような音楽を再び聴ける日が、今から待ち遠しい。 

 


 

 

◆セットリスト
-第1部-
M01. アンドゥートロア
M02. プロトタイプ
M03. フェイントライト
M04. Calling you
M05. 満月の夕
M06. 閏

-第2部-
M01. Someone Like You
M02. Superstar
M03. Goodbye Girl
M04. 楓(かえで)
M05. キャンディー
M06. ばんそうこう1枚
M07. 愛を少し語ろう
-encore-
M01. ただひたすらに
M02. 夜香梅
M03. ばんそうこう1枚(High speed Ver.)
◆ポンすけ 公式サイト
http://pump.tadasuke.com/
 
◆花*花 公式サイト
http://www.blanton-music.com/hanahana/index.html
 
 
◆インフォメーション
~ポンすけ Live information~
・2012年10月06日(土)【池袋】SOMETHIN’ Jazz Club
 
~花*花 Live information~
・2012年09月29日(土)【京都】円山公園音楽堂
『京POP LIVE』
・2012年10月14日(日)【尼崎】あましんアルカイックホール
『BLANTON HOT NIGHT~Special Festival~』


 

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