演奏

TEXT:鈴木亮介

TENDERLAMPのワンマンライブ『Jingle Wiggle Wonderland 2019』が2019年12月16日(月)に東京・下北沢MOSAiCにて行われた。
 
TENDERLAMPはガールズバンド・Chelsyのドラマーとして人気を集めたAMIのソロプロジェクトで2018年6月に始動。「脆い心を持つ人々に寄り添い、優しく照らす」というコンセプトは世代を超えた共感を呼び、2019年5月にミニアルバム『YUME UTSUTSU』をリリース。活動1周年を迎えた同年6月には東京・渋谷WWWでワンマンライブを敢行した。
 
この日は昼夜の二部構成。昼公演はAMIによる初の弾き語りワンマンが行われたが、一転、夜公演はバンドセットでのクリスマスワンマンとして行われた。
 

★昼公演のレポートはこちら
http://www.beeast69.com/report/182464

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午後7時半過ぎ、ステージの幕が下り…るかとおもいきや、幕がかかったままナレーションが始まる。クリスマスパーティーの輪に入れず、どこか憂いを含んだ少女とサンタクロースのラジオ劇。AMIが操るサンタのパペット人形が「クリスマスを楽しもう~♪」と歌う。
 
そんな粋な演出から1年ぶりのワンダーランドが開園(開演)。「めちゃくちゃひとがいる!みんなでクリスマスを先取りして楽しんでいこう」とAMIが呼びかけ、「SNOWDOME」から演奏スタート。王子こと上野悠、上質なコーラスでもAMIを支える高橋遊によるサックス2本の豪華絢爛なステージに、観客の手拍子がぴったりシンクロし一体感を高める。優しくて儚い雪の結晶…エモーショナルなこの曲は、ちょうど1年前・前回の『Jingle Wiggle Wonderland』では終盤にグッと観客の心を高揚させたが、今回は序盤に持ってきたことで1年前の淡い記憶が蘇ってくるようだ。もちろん初見の観客も同様に楽しんでいることだろう。
 
「大人だってクリスマス楽しみたい!」と続いて演奏したのは「YUME USTUTSU」。ドラムスティックを振りつつ煽りつつ歌うAMI萩原みのりの力強いベースが心地よさを増す。間奏では今回もサウンドプロデュースを務めるくわっちこと桑原康輔によるジャジーなピアノソロが、楽しさを増す。

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「もういくつ寝るとクリスマス」「そのまま寝ればお正月」そんなコール&レスポンスも決まったところで、小2の頃、ピアノ教室での思い出を語るAMI。その当時「この曲をやりたい!」と決めて演奏したのが「サンタが街にやってくる」だということで、大人になって久しぶりの演奏。ジャジーに、ベースが落ち着いた空気を演出する。
 
さらにAMIは幼少期の思い出を語る。「サンタさんを待っていたら、お庭に出る窓からサンタさんがうちに侵入してきて…」プレゼントを枕元に置いたサンタクロースは、そのまま、AMIの父親とリビングでコーヒーを嗜んだのだという。「この話、誰も信じてくれなくて、頭がパッパラパーだって…でもいいじゃない!」と、続く5曲目は「脳内パラレルワールド」。タイトル通りブッ飛んだ曲だが、歌詞を噛み締めれば噛み締めるほど、AMIの創作の原点が見え、哲学が感じられる深い曲だ。――「苦手なものがあってもそれでもいい」「経験すれば見えるもの 成長すれば見えなくなるもの」
 
ラジオパーソナリティのように語りを進めるAMI。雪だるまを作ろうとお姉ちゃんを誘っても、いつの日からか構ってくれなくなった…という悲哀を語り劇で表現すると、演奏は「BURE-NIGHT-MAGIC」へ。ピキッと冬の稲妻の如く光るサックスソロに、AMIもエレドラを叩いてセッション!そこに鍵盤も彩りを添える。

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「みんな疲れるでしょう…そういう人たちが楽しく心を取り戻せたらいいなって」「暖かく包めるような空間、音楽をやりたい。不安、モヤモヤをなくしていける場…苦しいって言葉に出さなくても絶対的な安心感をここで生むことが出来たら」自身の音楽活動について改めて決意表明すると、そんな思いを込めたという新曲「手をつなごう」を披露。そっと寄り添う曲。音楽は魔法的だなということを改めて思わせる、歌詞も含め優しい曲だ。
 
さらにバラード曲「まあるいガラス」を演奏し、ぷかぷかとAMI流に航海を進めると、9曲目も新曲「センチメンタルクルージング」。上質なシティポップに、激情をデトックスし洗い流すような曲。観客は思い思いに体を動かし、耳を傾ける。

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切なさを洗い流して一転、眩しいくらいの音がステージからあふれ出る。次も新曲「JUMP!」。青春の跳躍、飛躍、爽快感がずんずん進む。「跳ぶ準備、できてますか?」AMIもポニーテールを揺らし、ステージ上を飛び跳ねる。
 
飛び跳ねた次は、歩いて踊る「まよなかさんぽ」!TENDERLAMP始動から一年半が経って、サビの振り付けを覚えて手を動かす人も増えた印象だ。楽曲自体も、ベースを中心に一歩一歩に重みがあり、寄り添う感が増している。その熱さのまま、11曲目はハッピー1色の「あなたいろ」。跳ね回るピアノが心地よい。

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今秋に事務所からの独立を決意し、新たな道を歩み始めたAMI。集まった観客に感謝を伝えると「後悔なんて何一つしてなくて…自分のやっていることをまっすぐに気持ちを込めて作るという目標があって、それは間違いじゃなかったなって今日このライブをして見て思いました」と語る。「ひとりぼっちになるかなと思ったけど、(独立して)一人になったからこそ一人ひとりの愛情が身に染みて、表現が楽しくて、日々表現が生まれていくんだなって…みんなの顔を一人ひとり見ながら幸せな気持ちです。私は音楽はやめません!」
 
そして最後は静かなピアノの音だけを残してTENDERLAMPのコンセプトが表現された曲「Moonlight」を力強く歌い上げる。
 
アンコールでは来年・2020年6月1日(月)に渋谷eggmanにてワンマンライブを開催することを発表。独立に絡めて「個人事業主が抑えちゃいました!みんなどういうことかわかるよね?」とおどけて見せ、温かい拍手を集めると、「ベテルギウスのなみだ」でライブを締めくくった。
 
「脆い心を優しく照らす」。その過程は決して順風満帆なものではないかもしれない。それでも強さと優しさを持って前に進むAMIとその音楽を、強力なバンドメンバーが支え、さらに昨年以上にびっしりと埋まったフロアの観客たちが支えるライブとなった。何より、ハイクオリティの楽曲と演奏によって、映像やステージ装飾に頼らず、音で世界観を伝え切ろうとする、挑戦的なライブでもあった。忍び寄る闇を恐れたり、眩しすぎる世界に疲れたりしたとき、ふと空に浮かぶ満月を見上げ一息つくような、そんなシンプルだけど大切な時間が、TENDERLAMPのステージにはある。

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※本記事の写真はオフィシャルフォトを掲載しています。撮影:ダブ(@photograph_ddd

 
◆セットリスト
M01. OPENING SONG
M02. SNOWDOME
M03. YUME UTSUTSU
M04. サンタが街にやってくる
M05. 脳内パラレルワールド
M06. BURE-NIGHT-MAGIC
M07. 手をつなごう
M08. まあるいガラス
M09. センチメンタルクルージング
M10. JUMP!
M11. まよなかさんぽ
M12. あなたいろ
M13. Moonlight
-encore-
E01. ベテルギウスのなみだ
 

◆TENDERLAMP 公式サイト
http://tenderlamp.tokyo/
 
◆インフォメーション
「センチメンタルクルージング / JUMP!」
配信リリース決定
M01. センチメンタルクルージング
MN2. JUMP!
 
TENDERLAMP ONE-MAN LIVE ~2 year anniversary~
・2020年06月01日(月)【東京】渋谷eggman
チケットはオンラインストア(http://tenderlamp.buyshop.jp/)にて発売中
 
17live にて毎日配信中!
https://17.live/profile/r/2666872

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