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TEXT:鈴木亮介 PHOTO:吾妻仁果

平成の終わり、2010年代の終わりに、もろくも優しい暗闇を明るく照らしたい、と始動したTENDERLAMP(テンダーランプ)。2019年5月8日(水)に1stミニアルバム『YUME UTSUTSU』をリリースし、名古屋と東京でのワンマンライブも控えている。
 
TENDERLAMPというアーティスト名にまだ馴染みがない人もいるかもしれない。2017年に惜しまれつつ解散したガールズバンドChelsyのドラム・AMIによるプロジェクトだ。ドラマーからメインボーカルへの転身、新たなジャンルの開拓、そして「暗闇を照らす」ことをモットーとする理由は。AMI本人にインタビューを行った。
 

TENDERLAMP プロフィール

2014年ガールズバンドChelsyのドラマーとしてデビュー。2018年6月1日にソロプロジェクト「TENDERLAMP」を発表。幻想的ポップワールドを描くバラエティー豊かな楽曲はもちろん、ステージパフォーマスなどでもその世界観を最大限に表現。2019年5月8日には初となるミニアルバム『YUME UTSUTSU』をリリース。シンガーとして活動する傍ら、作曲家、⼥優、タレントなどにマルチで積極的に活動中。
 
「TENDERLAMP」の由来:優しさや脆さ(Tender)をもった人々を照らしたい(Lamp)という意味が込められている。

 

「まよなかさんぽ」は自分へのご褒美
— TENDERLAMPとして初のミニアルバムリリースおめでとうございます。1曲目のオープニングが映画のようにワクワクします。頭の中でイメージがぱっと浮かんだのでしょうか?

 
AMI:今回のアルバムは、まるで遊園地に行ったときのようなドキドキ感を1枚のアルバムで表したいと思って作り始めました。この曲には元々イントロの部分はなかったんですが、おもちゃ箱をひっくり返したようなときめきがほしいと思って。アルバムを聴き始めた時に、「遊園地に行くよ!とうとう入場できるぞ!」ってチケットを握りしめて待つあのドキドキ感を表現したくて、アレンジャーさんと話してイントロを作りました。普段ライブでサックスをサポートしてくださる方にフルートを吹いてもらい、音を重ねていきました。
 

— 曲のテーマはどういう風にして決めていったのですか?

 
AMI:今Showroomで毎週自分の番組をやってるんですけど、オープニングのインスト曲としても使っていた曲です。ライブを意識して、たとえばサビの歌詞は「BURE-NIGHT-MAGIC」、「ブレない NIGHT-MAGIC」とリフレインがキャッチーで、ライブで乗りやすいように作りました。
 

— 確かに「ブレない」がインパクト大ですが、歌詞にはどのような意味が込められているのでしょうか?

 
AMI:人間って、一人一人魅力を持っているじゃないですか。「この人にはこういう魅力があって」「あの人にはああいう魅力があって」…その他人の魅力をうらやましくなって、自分に欲してしまうことがあります。でも、仮にそれを全部自分にくっつけたとしても、それが果たして自分というものなのか?と。
 

— そういう考えはAMIさん自身にもあった?

 
AMI:はい。TENDERLAMPをやり始めて、そういうものを全部取っ払って自分というものを見つけた時に、それをぶれないでやることはすごく素敵なことなんじゃないかなと思って、そういう意味合いを込めて歌詞を書きました。
 

— その時流行っているものや売れている人と比較すると、自分自身の信じたものが本当に正しいのか、悩みますよね。

 
AMI:そうそう。一人ひとりに違った魅力があって、それを知るたびに刺激はもらえるし、いいなーって思うこともたくさんあるんですけど、自分がどうやったら自分らしくいられるかということをTENDERLAMPを始めてからすごく考えるようになったので、そういう気持ちを自分で押し上げていけるような曲になったと思います。
 

— 自分自身の決意表明のような?

 
AMI:そうです。アルバム1曲目に持ってきたのは「これから私はこうやって生きていきたい」という意思表明です。
 

— 曲の最後では「自分だけじゃ生まれない」と歌っています。「ぶれない」ためには、「一人よがりにならない」ことも大切ですよね。

 
AMI:自分の頭の中にやりたいことはたくさんあっても、それを全部具現化するためには誰かの力を借りる必要がありますよね。TENDERLAMPを始める前からずっと感じていますが、私は周りの人に恵まれてるなということが多くて、TENDERLAMPを始めてからそれがさらに形として見えるようになって、周りの人への感謝も大きくなりました。そういう思いを、最初に書いた歌詞だけでは伝えきれないと思って、Bメロにその思いを刻み込みました。
 

— そして壮大なスケールを感じる音飾から、2曲目「まよなかさんぽ」へとつながります。この曲はMVも公開されて注目を集めていますね。

 
AMI:ライブに来てくれた方から「キャッチーで頭から離れない」と言っていただけることが多くてすごく嬉しいです。MVも、自分がやりたいイメージを監督さんが作り上げてくれました。最初にMVを作った「ベテルギウスのなみだ」はクールな感じですが、こっちははじけて、ちょっとおちゃめな姿をお見せできたかなと思うので、満足しています。
 

— サビの「コツコツ」の部分も印象的です。この曲をライブでやるときにも、お客さんを実際に歩かせる振付をして…みんなが参加できるようになってますね。

 
AMI:この曲は実はTENDERLAMPの始動前、Chelsy時代に作った曲なんです。自分としては抽象的な歌詞でどうかなと思ったのですが、スタッフさんにサビの歌詞とかメロディがすごくいいねって評価していただいたので、これをよりキャッチーにしていったら面白いんじゃないかなと思って今回のアルバムに採用しました。アレンジャーさんがよりポップに作ってくださったので、80年代っぽく仕上がりました。
 

— 確かにテーマからしたら暗い方に行っちゃうんじゃないかなという内容ですが、ポップですよね。実際、真夜中散歩はするんですか?

 
AMI:します!この曲は実際に「まよなかさんぽ」をしているときに作りました。曲作りの際はまず1コーラスデモを作るのですが、その時に物思いにふけることが多くて、それが大体散歩の時間なんですよね。帰り道にちょっと遠回りして考え事をしながら帰りたいなと思うことがあって、そういう時に作った曲です。
 

— 一人真夜中の内省は新たな創作につながりますね。そのときの思いがそのまま歌詞になっているのでしょうか。

 
AMI:1番の歌詞はちょっと孤独なイメージを持たれると思うんですけど、2番以降は時期を空けて作ったんです。一人で考える時間も楽しいけど、周りに仲間がいることを感じられた今も大事だなと。そういう楽しさとかワクワク感を2番で出せたらいいかなと思って。2つの顔があるけどそれも全部ひっくるめて私なんだなと感じられる曲になりました。
 

— 2番は急にハンドルを持って、テンション変わりますもんね。

 
AMI:ちなみに2番の歌詞はTENDERLAMPでの名古屋遠征の帰りに作ったんです。スタッフさんも交えて和気あいあいとフレーズを出していきました。一人の散歩も楽しいけど、みんなの散歩もたのしいな、っていう。まぁサビでは「だれもいない」って言ってるんですけどね(笑)
 

— 明るい時間と夜とではテンションが違うと思うんですが、散歩は昼より夜の方が多いですか?

 
AMI:昼間は活動をしていることが多いので、夜に自分の一日の出来事を振り返って歩くことが多いですね。散歩することって私にとっては癒しの時間だと思っていて、「一日お疲れ様」と自分へのご褒美として歩くことが多いです。
 

— 歩きながら曲のインスピレーションが生まれることも多い?

 
AMI:そうですね。自分が好きなアンビエントミュージックとか、オレンジ色っていうよりは青色を出している曲を、歩きながら作ることが多いです。それがTENDERLAMPの世界観につながってる部分もあります。
 

— そして「まよなかさんぽ」は色んなところに散りばめられている音の飾りがイヤホンで聴いていても楽しめます。レコーディングはどのように行ったんですか?

 
AMI:この曲はとにかく楽しい曲にしたかったんです。アレンジのくわっちさん(=桑原康輔)が最初作ってくださったアレンジのデモを聴いたときに、「まよなかさんぽ」がこんなにキャッチーになるんだ!って感動して。レコーディングのときにはもっと冒険してもいいんじゃないかって思って、割と多めにここもここも、って詰め込みました。あとから引き算したくらい(笑)。その分、土台はしっかり作りました。キックの音、スネアの音…ビート面については毎日毎日研究して、練り上げました。土台がしっかりした上で遊べているので、そこは良かったなと思います。
 

父の社会復帰を後押し…「家族愛」がTENDERLAMPの根底に
— 3曲目「まあるいガラス」はゆったりとした曲です。これはどういうイメージで作った曲なんですか?

 
AMI:これは私が歌詞を書き留めていた曲の一つで、ガラスが心を表現しています。心って私の中ではまあるくて尊い存在なんです。結構もろいところもあったり、でも透明であってほしい部分もあって、穢れなきもの。それを表現できないかなと思って書いた曲です。普段生きていて、日常生活でも仕事でもとてもつらくなるタイミングが人にはたくさんあると思うんですけど、それを肯定していきたい。心がきれいだから、つらいんだと思わないでほしい。心がきれいなことはすばらしいことだから割れちゃいけないよ。もろいけど強い心であってほしい。そんなメッセージをこめました。
 

— もろいけど、強い。

 
AMI:矛盾はしていても、実際そういうものなのかなって。
 

— TENDERLAMPの曲には絵画的なイメージがセットになっている印象を受けます。曲作りの際、イラストや色のイメージが頭に浮かぶことってありますか?

 
AMI:曲を書いたり歌詞を書いたりするときには情景を一緒に思い浮かべることが多いです。
 

— この曲で言うと船とか海とか…

 
AMI:そうですね。サックスで汽笛の音を録ったり、波の音や鳥の音などの環境音を取り込んで、そういう映像も浮かんでもらえるようにしました。この曲は最初にくわっちさんがトラックを作ってくれて、それに当てはまるメロディ、曲はある?と相談を受けながら一緒に作っていきました。そこで(以前歌詞を書き溜めていた)「まあるいガラス」が合うかもしれないとピンときて、その場でメロディをつけながら歌っていきました。
 

— チームTENDERLAMPランプとして作った曲ですね。

 
AMI:そうですね。
 

— そしてその歌詞にも注目したいのですが、「優しさの意義は此処に在る」というフレーズが印象的です。優しさイコール強さ。「人の心とは…」って昔から考えることが多かったのですか?何かきっかけがあったのでしょうか。

 
AMI:私の家庭環境の影響が大きいかもしれません。うちは自己主張をしっかりとしていくというよりは、協調性を重んじる心を大事にしてきた家族で、私はその家族がすごく好きなんですけど…以前、父親が心を病んでしまったことがあって。うつ病になって、社会で仕事ができなくなってしまったことがあったのですが、でもその父親の心はきれいなまま。決して間違ってはいないと思ったんです。
 

— 優しいからこそ繊細で、相手を思う心があるからこそ傷つくことも多い。

 
AMI:私の周りの友達にも、心を閉ざしてしまう経験をした人もいます。そういう心を持つ人たちが苦しくない世界であればいのに…そういう思いがTENDERLAMPの活動の根底にあります。「まあるいガラス」はその思いに忠実に当てはまった曲になったと思っています。
 

— 暗い所に灯りを照らすような。

 
AMI:そうです。優しい人が良くないとされる場面もあるかもしれませんが、でも優しさを持つ人にとってはそれがアイデンティティだと思うので、敢えて直そうとせずにそのままでいたらいいんじゃないかなって、肯定したい。
 

— これまでも、AMIさんの作る曲のベースに「家族」が描かれていることが多い印象です。創作活動に「家族の絆」がやはり大きく影響していますか?

 
AMI:すごく影響していると思います!私は三女なんですけど、本当に大切に育てられた人間で(笑)。愛情をたくさん授かりました。先ほどお話しした父親がしばらく働けなかったときというのは私が小~中学生くらいの頃なんですが、そのとき印象に残っているのは母親の姿です。母親は父親が苦しい時に泣かず怒らず、しっかり支えてきた。そういう姿を見て、私もこういう人間になりたいと思うようになりました。
 

— 母の愛情を間近で見てきたわけですね。

 
AMI:母親は私たち家族を見捨てず、父親を見捨てず、今すごくハッピーに仲良しに暮らしているのも母親の力だなって思います。それを見て、私がやりたいことってこういうことなのかなって思ったんです。
 

— なるほど。

 
AMI:その後私が音楽活動を始めて、渋谷eggmanで初めてライブをやったときに、父親がライブハウスまで観に来てくれたんです。それが久々の外出で、そこから社会復帰を始めることができました。そうやって、私の活動で父親に限らず他の人の日々をちょっとでも明るくさせることができたらすっごいハッピーだなと思っていて、それが私の音楽活動の目標になっています。
 

— 今の時代、介護の問題や引きこもりの長期化など、「家族の絆」が時に人を苦しめることもありますが、身近にいるからこそ愛情を感じられることも多いですよね。

 
AMI:そうですね。家族の形態は様々ですが、血のつながる・つながらないに関わらず、家族とは切っても切り離せないものなんじゃないかなって思います。そういう「家族愛」は私の根っこにあるものだから、今後も音楽に出していきたい…というか、出したくなくても出ちゃうと思います(笑)
 

— だからこそTENDERLAMPの曲に救われる人も多いのでしょうね。

 
AMI:そうなっていたら本望です。
 

自分を励ますため作った「Moonlight」 今は人のために歌える
— 続いて4曲目「MoonLight」について。アルバム収録5曲の中では少しさびしめな、悲しい感情が歌われています。

 
AMI:この曲はTENDERLAMPを始動する前に書いた曲です。自分の中で壁にぶち当たってしまったことがあったのですが、壁に当たったと気づく瞬間というのが、涙が出る瞬間なんです。泣きたいと思ってるわけじゃないのに涙が出ているという…これも夜歩いているときに書いた曲なんですけど(笑)歌詞に忠実に作れたと思っています。
 

— 確かに、前半は感情をそのまま吐露するように歌われています。

 
AMI:壁にぶち当たるとき、「泣いてもいいんだよ」って誰かに言ってもらいたいですよね。そういう悶々とした気持ちを私自身も持っていたので、自分に向けて書いたところもあります。苦しいし、立ち直れないし、溜息出ちゃうし、涙出ちゃうし。ぼろぼろの状態だと思うんですけど、それでも壁を乗り越えたら光が見えてくるもの。人生はそういうものだから。壁にぶち当たった分だけきらめきのある世界が見えるよう、聴いてくださる人に応援の気持ちが届くように。だから、一番最後の歌詞だけは前向きな歌詞にしたんです。
 

— AMIさん自身、実際にその「壁」は乗り越えられましたか?

 
AMI:めちゃくちゃそうですね。この歌詞を書いたときは自分の感情を書きまくっていた時期で、1コーラス目の歌詞はその当時書いた表現をそのまま残しています。当時は「どこにも行けない自分の心を逃がしてあげたい!」って思いで曲を書いてましたが、今は色んな人と出会って色んな活動をしていて、自分の中で乗り越えなきゃいけないところ、変わらなきゃいけない部分がわかって、徐々に変われつつあるなと思っています。そういう心境になった今、「MoonLight」をライブで歌うときは、かつての自分と同じように苦しむ人へ「乗り越えたら光しかないよ」というメッセージを込めて歌えるようになりました。
 

— 昔を振り返って後悔すること、戻れないけど戻りたいって思うことはありますか?

 
AMI:前のことを振り返って後悔することはほとんどないですね。その瞬間に全力でめちゃくちゃ考えてしまうタイプなんです。考えて考えて考えぬいた結論で動いていくので、その時悩んで出した100%がそれだったから今がこうなってる、って思うようにしているので、後悔はないです。仮に失敗したと思ったとしても、自分で記憶を「いやあのときこうしたから今ここはうまくできてる」って、考え方をポジティブにしたことで前に進めるようになった気がします。
 

— 昔からそういう考え方なんですか?

 
AMI:どうなんだろう…でも、昔は昔で前向きだったかもしれない。前を向いて全力投球するのは全然変わってないですけど、より前向きでありたいと思うようになったのがここ最近ですかね。それは、前を向いている人の方がキラキラしていて、しかも前を向いている人たちとより前を向ける…私さっきから「前を向ける」しか言ってない(笑)。お客さんに「前を向くこと」を伝えるためには自分が一番前を向いてポジティブに生きていることが一番伝わるんじゃないかなと思うので、過去のことを苦しいって歌うより、今こうやってポジティブに生きてるよって伝える方がいいかなって。
 

— そんな「前向きさ」はピアノの流麗なサウンドにも表現されているように思います。真夜中の散歩と同様に、ピアノを弾く時間もAMIさんにとっては重要な創作タイムなのかなと思いました。

 
AMI:そうですね。「MoonLight」もピアノ弾き語りで作った曲です。ピアノを弾いているとセンチメンタルになります。ピアノの音自体がすごく好きなのと、小さいころからピアノを習っていたので、幼少期のことを思い出したり(笑)
 

— 曲作りは具体的にどのように行っていますか?

 
AMI:私の曲作りには主に2パターンあって、「歌詞を書いて鼻歌でメロディをつけて、それをピアノでやったらどうなるかな…」という詞先に近いスタイルと、「こういう歌詞の情景にはこういうサウンド感の進行がいいかなって頭で思い浮かべてサウンドを作って、そこに歌詞を歌いながら当てはめていく」と音から作るスタイルの2パターンです。
 

— 全体を通して様々な楽しい音が散りばめられていますが、5曲目「YUME UTSUTSU」もピアノが印象的です。アルバムの表題曲でもありますね。

 
AMI:私が今皆さんに届けたい曲が「まよなかさんぽ」を筆頭に夜を描いた曲ばかりで、アルバム全体のイメージを考えて浮かんだフレーズが「夢うつつ」だったんです。そのアルバムタイトルにちなんだキラーチューンを作りたいと思って制作を始めました。
 

— なるほど。ではやはりこの曲も「真夜中」に誕生したのですか?

 
AMI:ある日、帰宅してちょっと寝落ちして、夜中の1時くらいに目が覚めて、突然「そうだこの曲つくりたい!」って衝動に駆られて歌詞をちょっとだけ書き始めました。その後、寝ようと思ってお風呂に入ったのですが、何気なく鼻歌を歌ってメロディをつけてみたら「これだ!」って思ってきて、結局寝られなくなって夜中に打ち込んで、朝日とともにデモをTENDERLAMPチームに送って(笑)
 

— まさに「夢うつつ」な状態で出来た曲ですね。後半に不思議な「餅の歌」が入っていますが…

 
AMI:この曲は、一言でいうとバラエティ。ユニーク・ユーモアのあふれている、ごちゃごちゃのおもちゃ箱を表現したかったんです。「持ちつ持たれつ うり二つ / 餅つきの列 乱れつつ」と歌ってるんですけど、これはレコーディングスタジオで「ここにDメロあったらいいよね」って思いつきました。異質を放つものが欲しくなって、くわっちさんと一緒に言葉遊びをしました。
 

— おもちゃ箱であると同時に、夢の中の世界が忠実に表現されていますよね。

 
AMI:夢ってちょっと現実味がないところがあるじゃないですか。異質を放っていて二度聴きしたくなってしまうような感じをこの曲では大切にしています。
 

ドラムスティックは「おまじない」
— オープニングからエンディングまで一貫して楽しさ満載で、5曲なのにバラエティに富んだ作品になっています。

 
AMI:バラエティしかない(笑)
 

— アルバムの曲たちをライブでやると一段とまた楽しそうです。ライブ活動と言えば、ドラムスティックを片手にセンターでエレドラを叩くスタイルにはインパクトがあります。

 
AMI:自分が今まで7~8年間演奏してきたドラムという楽器から今は少し離れて音楽活動をしていますが、リズムやビート、パーカッションは自分を作り上げてくれた大切なものなので、ライブでもそれを常に傍らに置くことで、一つのおまじないとまでは言わないけど、ドラムスティックがあることですごく落ち着くし、元気をもらえたりワクワクできたりします。
 

— ユニークであると同時に、Chelsy時代からのファンにとっては一つのアイデンティティというか、「ずっと続いてるんだな」って嬉しく思うファンも少なくないと思います。既にライブは数多く出てますが、手ごたえというか、バンド時代とはスタンスも違いますがそのあたりどうですか?

 
AMI:バンド時代は一人で歌うことすらしてこなかったので、ドラマーとボーカリストで見せ方や工夫すべきポイントが全然違うんだなって気づかされました。毎回毎回やっては反省の繰り返しですが、TENDERLAMPとして(サポートメンバーなど)チームでやらせてもらっている中で、私ってハッピーな人間かもしれないってことにだんだん気づいてきて…
 

— 気づいてなかったんですか?

 
AMI:そうそう、みんなに言われるんです。今?って(笑)。自分の中ではそんなに気づいてなかったんですが、TENDERLAMPではそれがアイデンティティだし、ハッピーな空間にしたいという願いを存分にライブにこめて、エンターテイナーとしてステージに立てるようになったし、もっとなれたらと思います。
 

— 実際に何度かライブを拝見して、「楽しませる」を細部までこだわっているのはわかります。ライブで今後やってみたいことはありますか?

 
AMI:夢は大きく、大きな会場で「遊園地に来ちゃった」みたいな世界を作りたいなと思っています。変な話、予算とか関係なくTENDERLAMPはやっちゃうんだぞ!ってくらい、遊び心を忘れないように活動していきたいし、お客さんに「今回はどんなエンターテイメントにしてくれるのかな?」って思われるような存在になりたいです。
 

— ステージセットから何から一大テーマパークを作り上げるようなアーティストもいますが、ライブ自体の遊園地化構想があるわけですね。

 
AMI:あります!まさに6月1日の初めての東京ワンマンは、会場となる渋谷WWW内でできる最高のエンターテインメントを作れるように準備しています。
 

— クラウドファンディングで支援を募った看板も当日披露されますね。

 
AMI:制作は順調に進んでいます。細部までこだわって、看板を持ち運ぶケースまで作ってもらいました。
 

— どんなこわだりがあるのですか?

 
AMI:TENDERLAMPというものは一人では作り上げられないし、これからもそれは変わらないので、応援して協力してくださるみんなの力がないと私は光れないよ、ということを具現化したのがこの看板です。どこに行っても、みんなの協力でステージが光るんだということを看板で表したいなと思います。
 

Chelsy解散も前向きに 「後悔をしないこと」
— 改めて、TENDERLAMPの活動は「暗闇をランプで照らす」というモットーで、今作『YUME UTSUTSU』も夜をキャンバスにしてあかりを5曲灯しているわけですが、「暗さがあるからこそ星がきらめき、温かさを感じられる」とも言えます。AMIさんも暗闇、辛さのような経験があって、それが活動の背景にあるのでしょうか?

 
AMI:私はよく人から「八方美人だ」と言われるんですけど、人の目を気にしてしまったり、顔色が見えてしまったり、他人の感情にすごく敏感なところがあって、それをうまく消化できないまま生きてきたところがあります。それは誰かが悪いわけじゃなくて、自分というものを出せない、出すのをやめてしまっている自分がいて…表の明るく振舞う自分も本物だし、それに対してもやもやと感じる自分もホンモノなのに、その2つを今までくっつけることができなかったのですが、TENDERLAMPをやっていく中でやっとくっつけられるようになりました。
 

— どの自分も自分だぞっていう…

 
AMI:例えば誰かが悩んだり怒ったりしている姿を見ると、そのことで頭の中がいっぱいになってしまって、暗い気持ちになることもあったのですが、それは間違いではなかったんですよ。じゃないと今の自分は絶対いないし、暗い気持ちを持つ人を否定してしまうことにもなる。それを一人でも肯定できるようになりたいんです。
 

— 暗い気持ちを、これまでは他人に言えず自分の内側に抱えてしまうことが多かったんですね。

 
AMI:人に言えないですね。言えない。だいたい家でほろってする瞬間に…それまで気づかない時すらあるんです。なんで泣いてるんだろう、もしかしてあれか?って。あとは母親にバレるときとか。元気がないことに母親が気づいて、「悩みを紙に箇条書きにしなさい、それを見て自分が何に悩んでるのか気付きなさい」って。
 

— そういう性格の子って「お人好し」というか、うまい具合に利用されますよね。

 
AMI:確かに(笑)。でも結局自分でそれを選んでる。ハタから見たらそれが楽なんでしょって思われることもあるし、人間十人十色、色んな生き方があると思うんですけど、仮に「お人好し」になったとしても、またその人なりのキラキラの仕方とか、輝き方とかがあると思うし、私も見つけていきたいなって思います。
 

— これまでの自分の人生を振り返ってみて「この辺が暗闇だったな」ってことってありますか?

 
AMI:うーん、そうですね…どこのポイントかって言われると難しいけど、自分の中ではやっぱりバンドがなくなるっていう事実はとっても大きかったです。今までの自分がなくなるとすら思って、自分の価値や存在意義すらわからなくなることもありました。でも、周りの人や支えてくれる人、肯定してくれる人に支えて私は作られているって思えたし、バンドの解散も後ろ向きな気持ちで起こったことでもなかったので、常に前を向いた結果だと思っています。
 

— 確かにChelsyの解散はそんなに暗い感じではなく、次のステージにそれぞれが前進していく感じでした。ただ、なくなるというのは大きいことですよね。

 
AMI:そうですね。すごく前向きであるものと同時に、それだけを心の生きがいにしていたものがぽっかりなくなっていくようにも感じられて。でも実際ふたを開けてみたらなくなってなかった。今までの時間も経験もあった事実も、なくなるものじゃないから、私はそれら全てを抱きしめて、大切にして今活動させてもらっているので、やっぱり幸せ者だなと思いますね。人の力って何物にも代えられないと思います。
 

— 音楽の力も大きいですよね。AMIさん自身、辛かった時期に音楽に救われたということはありますか?

 
AMI:そうですね、多々ありますし、自分のはけ口として曲をつくっていた部分もあるので…
 

— 人に言えない部分を曲に?

 
AMI:表向きに表現できている笑い、喜び、幸せとかはあんまり多くなくて、悲しみや苦しみだったり、普段表現できない感情の曲がめちゃくちゃあるんです。曲を書くことによって救われたこともあるし、曲を聴いて救われることも数えきれないくらいあります。
 

— 悲しみや人に言えないものが出てきたときに、その曲がハッピーなもの、ポップなものになるとそれで気持ちも晴れますよね。昨年リリースされた「ベテルギウスの涙」のMVが個人的にすごく好きなんですが、悲しみがあるんだけど、悲しみがただそのままあるのではなく明るさに昇華されていく、それって音楽の力だなと思います。

 
AMI:そうですね。
 

— 性別、年齢問わず、AMIさんのようにハッピーに生きていくにはどうしたら良いですか?どうすればポジティブ思考ができるようになりますか?

 
AMI:ポジティブになれる方法は、私の場合は後悔をしないこと。自分に都合の良い解釈なのかもしれないけど、起こりうるものは起こりうると思っているので、何か一つの問題をいつまでも引きずるよりも、「こうなっちゃったものは仕方ない、じゃあ次どうしていったら良いかな」と考える方が楽しいし、前に進めるし。とある人に言われて自分の中でも大きくなった言葉があるのですが、「自分からマイナスの言葉を発するのをやめたほうがいい」。実際はすごく辛くても、すごく楽しいって声に出して言うことで、割と楽しくなる。それって他の人にも影響を与えますよね。言葉には力があるので、楽しいって言ったことで自分から発される色自体が明るくなっていく気がします。マイナスな言葉は大きい声では言わないで、ちょっと楽しくなる言葉を言うようにしています。
 

— そうしたマインドが曲にも表現されているので、TENDERLAMPの曲に救われる人も多いと思います。

 
AMI:自分自身も曲に支えられている実感があります。今回のアルバムの「MoonLight」も、辛さを乗り越えて明るく表現したことで、過去の苦しかった自分に今その前向きさを伝えていけるようになった自信があるし、そこで自分の成長を実感します。「まよなかさんぽ」もそのときは悲しいことを考えて散歩していたかもしれないけど、今はこんなにハッピーに歌えるようになったんだよっていうのを、表現できていたらいいなって思います。
 

— 最後に、今後の展望をお聞かせください。

 
AMI:ワンマンは名古屋と東京の2カ所でやりますが、5月25日(土)の名古屋はライブハウスでやります。お客さんとの距離が近く、たくさんの人に寄り添って伝えられる場所がライブハウスだと思うので、その趣旨を忘れずにやりたいと思います。今回、私が「いちごアンバサダー」をさせていただいている多度グリーンファームさんが協賛に入ってくださっているので、感謝の気持ちしかありません。第二の故郷という気持ちにもなれる場所で、感謝を存分に噛み締めながらやりたいです。6月1日(土)の東京は、お客さんからステージがまんべんなく見える渋谷WWWで行うので、その会場の雰囲気や魅力の中で、最高のエンターテインメントを存分に楽しんでもらえたらと思います。名古屋と東京で演出を変えるので、どっちも違った楽しみ方ができるライブになると思います。
 

— ということは、名古屋と東京、両方に行くべきですね!

 
AMI:距離はありますが、ぜひ!
 

◆リリース情報
『YUME UTSUTSU』
・2019年05月08日(水)発売
 HCB-016 ¥2000(税込)
<収録曲>
M01. BURE-NIGHT-MAGIC
M02.まよなかさんぽ
M03.まあるいガラス
M04.MoonLight
M05. YUME UTSUTSU
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◆TENDERLAMP 公式サイト
http://tenderlamp.honeybeestudio.jp/
 
◆ライブ情報
TENDERLAMP 1st東名ワンマンツアー
「YUME UTSUTSU」(名古屋)

・2019年05月25日(土)【愛知】名古屋 車道Club 3 Star
 時間:開場18:00 / 開演18:30
 出演:TENDERLAMP
 料金:スタンディング ¥3500 (税込) ※ドリンク別
  ※未就学児入場不可
  ※当日学生証提示の方につき、¥1,000のキャッシュバックあり

 
TENDERLAMP 1st東名ワンマンツアー
「YUME UTSUTSU」(東京)

・2019年06月01日(土)【東京】渋谷WWW
 時間:開場17:00 / 開演18:00
 出演:TENDERLAMP
 料金:スタンディング ¥3500 (税込) ※ドリンク別
  ※未就学児入場不可
  ※当日学生証提示の方につき、¥1,000のキャッシュバックあり

 

 
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