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TEXT:鈴木亮介
静かなバラード曲のSEが一息つき、暗転。真っ白な衣装に身を包んだAMIが登場し中央に設置された鍵盤の前に座ると、笑顔でラジオ体操第1のテーマを弾き始める。AMIらしいスタートの切り方に観客の表情が綻ぶ。
9月から毎日17liveで弾き語り配信を続けているAMI。そのリアルバージョンということで臨む初弾き語りワンマン。「今日のために作った曲をまず…」と前置きし、演奏したのは「DAY DREAM」。流麗なピアノに乗せて、憂いも重たさもすべて包み込む温かい曲だ。 「仕事を休んだ人?」案外多くの手が挙がったことに驚くAMI。「さぞ会社の人にご迷惑をおかけしたでしょう。昼間にこういうライブがあるってことでちゃっかり休んじゃった皆さんと、束の間の休日をみんなで楽しんでいけたら」と笑顔で語る。 そんなMCから、続く2曲目は「つかのまのholiday」。ホップするピアノに合わせてクラップ!観客一人一人を見つめ、微笑みかけるAMI。クラップで作られる一体感とスケール感。「陽気」そのもののAMIの人柄が、ソプラノのピアノで表現される。
3曲目「YUME UTSUTSU」は2019年5月発売ミニアルバムのリード曲にして言葉遊びが秀逸な楽曲。鍵盤の音は控えめに、アンニュイな歌声で魅せる。間奏でAMIは、難易度の高いクラップを要求。観客もそれに応じ、テンポの速い音と言葉の融合、まさに音遊びが展開。ライブならではの醍醐味だ。
「クッ!!」感極まり笑顔でくしゃくしゃになったAMIは、まさかのアンコールクラップを要求。ラジオ体操第1のテーマに合わせて観客全員、裏拍で手拍子。ハイテンションな多幸感が会場に溢れる。 自身の表現のフィールドを物語やミュージカルへも広げるAMI。「なりきって歌おうと思います」と、4曲目は劇団四季のリトルマーメイドで歌われる「パート・オブ・ユア・ワールド」を披露。2019年6月の渋谷WWWワンマンでも披露したミュージカルの世界。スケールが大きくなったり急に耳元で囁くくらいの距離になったりと、自由自在だ。
アクター・AMIの一人芝居が終幕すると、ここでゲスト登場。2019年8月に行われたAMIの独り舞台『あず姫は家出をした』で脚本・演出を手がけた秦建日子がゲスト登場。AMIとはChelsy時代から縁の深い秦建日子との二人三脚で作り上げた舞台『あず姫…』。その楽曲をもう一度演奏したいということで、秦建日子は三味線を手にAMIの斜め後ろに座る。
まずは劇中曲「わたしはいい子」。独り舞台ではカホン弾き語りならぬ叩き語りだったが、今日は鍵盤弾き語りにシャープな三味線の音色が加わる。 「かわいい、いい子、裏ではあざといと言われて…」そうした外野の品評に怒りを表明した曲。今夏の時点では未完成だった歌詞は、この日のライブのために秦建日子により完成された。この秋、事務所を離れて独り立ちしたAMIへの強力なエールが込められているようだ。 さらにもう1曲。『あず姫…』の中でも人気の高い「いきていれば」。誰かのために生きる決意を、AMIはあず姫になりきって歌い上げる。
17liveでは頭がパンクするほどたくさんの曲をカバーしているというAMI。「この曲の主人公の女の子にすごく共感する。応援してくれてる人に向けて歌うには感情移入がしやすい曲」と前置きすると、米津玄師の「アイネクライネ」をAMI流にカバー。さらに8曲目は大切な人に大切な思いをまっすぐに伝える、TENDERLAMPの「みなみかぜ」。タイトルの通り温かで希望を予感できる曲で、会場はいっぱいの愛で溢れる。
「音楽を続けられる環境を与えてもらえることがありがたい」「皆さんのおかげでなんとか音楽活動ができている」と繰り返し、9曲目は「この場所があるから」。鍵盤を押す左手が力強い。一本芯の通った曲だ。そして最後の曲は、TENDERLAMPを始める前、AMI名義でリリースした「おかあさんへ」。この日も観覧に訪れた両親を前に、感謝と慈愛の歌を歌う。カーネーションのように真っ赤な情熱は、観客一人一人の心に、それぞれの母への思いを呼び起こさせる、これぞTENDERLAMPといったステージ。 予定外のアンコールに応えて最後は「今日しか歌えないかもしれないからもう一回!」と、序盤に披露した「DAY DREAM」をもう一度演奏。「仕事サボってくれてありがとう!」どこまでもピュアにまっすぐにそのまんまに、昼間の温かなライブは幕を閉じた。 「TENDERLAMPの中に等身大のAMIという人間がいて、赤裸々にまっすぐ表現したい」と語ったAMI。この日のステージはとかく「感謝」という二文字が音楽でも言葉でも表現され続けた。感謝の気持ちを受け取った人は、バトンを回すようにまたその火を別の場所に灯し、そうして優しい世界は伝播していく。その原点を見るようなライブであった。
★夜公演のレポートはこちら
http://www.beeast69.com/report/182511
※本記事の写真はオフィシャルフォトを掲載しています。撮影:ダブ(@photograph_ddd)
◆セットリスト M01. DAY DREAM M02. つかのまのholiday M03. YUME UTSUTSU M04. パート・オブ・ユア・ワールド M05. わたしはいい子 M06. いきていれば M07. アイネクライネ M08. みなみかぜ M09. この場所があるから M10. おかあさんへ -encore- E01. DAY DREAM ◆TENDERLAMP 公式サイト http://tenderlamp.tokyo/ ◆インフォメーション 「センチメンタルクルージング / JUMP!」 配信リリース決定 M01. センチメンタルクルージング MN2. JUMP! TENDERLAMP ONE-MAN LIVE ~2 year anniversary~ ・2020年06月01日(月)【東京】渋谷eggman チケットはオンラインストア(http://tenderlamp.buyshop.jp/)にて発売中 17live にて毎日配信中! https://17.live/profile/r/2666872 ◆関連記事
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