演奏

TEXT:金井孝介 PHOTO:幡原裕治

それは2013年の秋。まだ高校2年生だった頃、彼らはこう言っていた――「バンドをやってなければ、僕たちは不良にすらなれなかったと思うんで・・・。バンドがあって、本当に良かったです」
 
JYOJI-ROCKを始め、数々の大会で華々しい成績を残してきていたリディキュラスラビッシュは全体的には少しだけ頼りなく、しかし音楽に対しては確固たる信念を持ったバンドだった。
 
それから月日は流れ、彼らも高校を卒業した。その節目として、3月31日に吉祥寺ROCK JOINT GBにて、リディキュラスラビッシュの初ワンマンライブ&レコ発『リディキュラアワー2015~グッバイ青春~』が開催される運びとなった。
 
ライブ当日、吉祥寺ROCK JOINT GBは開演前から大入り満員。観客の年齢層も幅広い。ステージには幕が張られている。これからの楽しい時間に思いを馳せながら、開演の時を待つ。
 
 
リディキュラスラビッシュ メンバー:
五十嵐柊平(Vocal & Guitar)、伊藤優人(Guitar)、稲垣晴也(Bass)、岡部元輝(Drums)

 

 

19時きっかり、ステージの幕に映像が映し出される。彼らの結成当時の映像に、会場からは笑いと歓声が巻き起こる。そしていよいよ、リディキュラスラビッシュの登場だ。会場から笑いが消え、歓声だけが沸き起こる。
 
そして1曲目「おせっかいロック」。彼らの持ち味でもある「ダサカッコよさ」を、存分に堪能できる一曲だ。イントロから、爆発力のあるメロディーが背筋に響いてくる。こんな時間が、これから2時間近く続くことが素直に嬉しくなってしまう。そして間を置かずに2曲目「You! やっちゃいなYo!」。少し毛色を変えて、ギターのカッティングが気持ちいい一曲だ。10代のわがままでもあり、素直な心を歌った曲に、会場は一瞬で持っていかれてしまった。
 
 

 

   

 

 

「どうもー、リディキュラスラビッシュです!」飾らない言葉でのMCに、会場も大歓声で応える。愛されているバンドなのだ、と思った。彼らが発すれば、観客が全力で応える。阿吽の呼吸というやつなのだろうか。
 
そんなことを考えているうちに、3曲目「ザンボリバー」が始まった。彼らの地元である東京・立川市の近くの川を歌った曲だ。バンド全体のリズムが心地いい。ギターソロも確実に決めてくる。
 
 

 

   

 

 

彼らの演奏を生のライブで聴くのはいつ以来だろうか。本当に久しぶりだったのだが、彼らは期待していた以上の成長を見せていた。音楽でもって、MCでもって、会場を巻き込んでライブを作り上げていく。一つの確実な才能が、私の前でとんでもないことを繰り広げている。そう感じた。
 
そんな私の小さなセンチメンタルを置いてきぼりにして、ライブは進んでいく。ここでメンバー紹介…すると、五十嵐柊平は手元に紙を持ち「きょうここに集まってくれたお客さん全員の名前を呼び上げたい!」と宣言。リズムに合わせて本当に一人ずつの名前を呼ぶのだが、満杯の観客の名前はそう簡単に呼び終わらない。客席に飛び込み、お客さん全員の名前を呼び続ける。「今後、武道館のステージに立ったときにはできなくなるかも」と、さらっと言いつつ、ステージに戻ると最後は自らの名を呼び、大歓声を受けた。
 
 

 

   

 

 

この勢いのままに4曲目は「Hey、Jyoji!」。JYOJI-ROCKのことを歌ったこの曲。奇しくもJYOJI-ROCKの会場となったこの吉祥寺ROCK JOINT GBで、彼らがまたこの曲を演奏するのだ。感動しないわけがない。会場を見渡してみたが、ステージ以外を見ている観客など一人もいなかった。私も慌ててステージに目を戻す。ステージで起こることを、一瞬たりとも見逃すわけにはいかないのだ。
 
「クレヨン」、「酒はまだ」など、高校生らしさを感じさせる曲も演奏される。高校生らしさを感じさせないバンドの技量と相まって、アンバランスさが面白いサウンドだ。
 
ここまで聴いて、会場のテンションはMAXのままだ。バンドも観客も全力で、そこにある音楽を共有しようとしている。そして「青いケツ」。歌詞の通り「壁は全て壊すのだ」とでも言いたげなサウンドの絡み合い。疲れも見せず、最後まで突っ走る。
 
 

 

   

 

 

「汗の唄」では、一転して気だるい、どっしりとした音楽をぶつけてくる。懐の深いサウンドを堪能した後は「フリーター」。高校を卒業する、彼らの区切りとなる曲だ。
 
彼らの将来の選択が正しいのか正しくないのか、それは誰にもわからないだろう。しかし、彼らが音楽を続ける限り、音楽はリディキュラスラビッシュの味方であり続けるのだろう。
 
ラストに「ハッピー岡部」を演奏し、リディキュラスラビッシュのライブは幕を閉じた。
 
 

 

 

・・・と思われたが、まだ終わる時間ではなかった。観客のアンコールに応え「おせっかいロック」が再び演奏される。「クソッタレなこの世界で僕ら 前だけ向いて歩いて行くから」さっきも聞いたはずなのに、彼らの言葉がまた心に刺さってくる。楽しい時間は、永遠に続くかのようだった。
 
 

   

 

私自身、このライブの日で社会人として働き出して1年となる日だった。大人の世界で生きることは、案外楽でもあり、案外辛くもあった。ライブの現場に行くことも減った。それでも、彼らリディキュラスラビッシュの音楽はずっと鳴り止んでいなかったのだ。私が聴いていなかっただけで。
 
3月31日、リディキュラスラビッシュのワンマンライブの現場に立ち会えて、本当に良かった。「クソッタレなこの世界で」、明日もまた前を向いて生きていこう。心の底からそう思った。
 


◆セットリスト
M01. おせっかいロック
M02. You! やっちゃいなYo!
M03. ザンボリバー
M04. Hey! Jyoji!
M05. クレヨン
M06. 酒はまだ
M07. 青いケツ
M08. 汗の唄
M09. フリーター
M10. ハッピー岡部
-encore-
E01. おせっかいロック
 
jaket
◆リディキュラスラビッシュ ホームページ
http://ridelikyurasurabissyu.jimdo.com/
◆リディキュラスラビッシュ Twitterアカウント
https://twitter.com/blue_hip_boys
 
◆ライブ情報
・2015年04月29日(祝)【吉祥寺】ROCK JOINT GB
・2015年05月05日(祝)【日 野】Soul K
・2015年05月09日(土)【 柏 】KASHIWA616
・2015年05月12日(火)【立 川】BABEL
・2015年05月16日(土)【吉祥寺】ROCK JOINT GB
・2015年05月31日(日)【吉祥寺】ROCK JOINT GB

 
◆リリース情報
リディキュラスラビッシュ『それもいいさ』
・2015年03月31日(水)発売 ¥1000
<収録曲>
M01. フリーター
M02. ザンボリバー
M03. 汗の唄
M04. おせっかいロック
M05. 赤信号だらけ
 
※CDのジャケットは本誌フォトグラファー幡原裕治が撮影を担当しました。

 


 

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