特集

TEXT:鈴木亮介 PHOTO:矢沢隆則

byb「バンドやろうよ!」今日本で一番このセリフに説得力を持つのが、SCANDALだろう。バンドをやりたい/始めた10代男女にとって常に憧れであり続け、自らもトップランナーとして常に進化し続けるSCANDAL。彼女たちが2010年より毎年開催している自主企画イベント「バンドやろうよ!!」が、今年もスケールアップして開催された。同世代のガールズバンドを招いてのライブイベントは、第1回目は渋谷eggmanで、第2回目と第3回目は渋谷AXでの開催。そして第4回目となる今年はよりキャパを広げて新木場STUDIO COASTでの開催だ。
 
さらに、そのラインナップも注目を集めた。盟友・FLiPや「第3回 SCANDALコピーバンド&ボーカリストコンテスト」覇者のDOLLに加え、ドラマー&シンガーにしてモデルとしても活躍するシシド・カフカ、初の男子バンドとなるSPYAIR、そしてエハラマサヒロの出演が発表され、さらにはあのどぼんどぼんども2年ぶりの来日?SCANDALファンにとってはこれ以上ない豪華な顔ぶれでの開催となった。最高に熱い夜の模様を、お届けしよう。
 

DOLL

Photo Photo

Photo Photo Photo Photo

オープニングアクトに登場したのはDOLL!昨年の第三回SCANDALコピーバンド&ボーカリストコンテストで見事グランプリを獲得した現役高校生バンドだ。黒・赤を貴重に、昨年のSCANDAL「Queens are trumps -切り札はクイーン-」ツアーを模した衣装で大人っぽく登場した五人。満杯の会場に「いやー大きいですねー」と緊張するも、堂々のステージ。強弱メリハリのあるボーカルで会場を沸かせ、コピバンコンテストで披露した「アップルたちの伝言」と、オリジナル曲「CALL」の2曲を披露した。
 
Photo Photo

どぼんどぼんど

Photo Photo

Photo Photo Photo Photo

続いて登場したのは、「バンドやろうよ!!」というイベントタイトルでありながらまさかのバンドではないヒップホップユニット、どぼんどぼんど!アディダスの赤ジャージに身を包んだこの女性2人組、ご存知SCANDALMAMITOMOMI。「スキャンダルセンパイ、オマネキアリガトウゴザイマス」2年ぶりの来日ということで(来日したという設定!?)カタコトのMCで客席を煽ると、キレキレのダンスとラップを披露。
 
1曲目に披露したのは「太陽スキャンダラス」のカップリングに収録された「チェリージャム」。そして「今日は持ち曲全曲やる!」と高らか宣言するや否や、本日ラストナンバー!エハラマサヒロ作詞・作曲の「どぼんどぼんどのテーマ」を軽快に披露。持ち曲全2曲をしっかりと客席に届けた。
 
Photo Photo Photo Photo

Photo Photo

シシド・カフカ

Photo Photo

Photo Photo Photo

スラリと伸びた長身に、腰まで伸びたストレートの黒髪。思わず客席からため息が漏れる。シシド・カフカの登場だ!先日の「NAONのYAON」では一夜限りのガールズバンドで楽しませてくれたが、今宵はいつもの男性ベーシスト、ギタリストの2名を引き連れての登場。「声出してみようか?」「イイね!イケるね!」姉御な煽りで客席の心をグッとつかむと、男勝りなロウボイスで熱唱し、パワフルなロックナンバーを立て続けにお見舞いする。
 
激しいスティックさばきでありながら体の軸がブレず、ストップモーションがしっかりしているので、ただ強いだけでない、陶酔できるロックが展開されていく。挨拶がわりにと、自身がCM出演しその名を全国区に引き上げた「Hunger×Anger」の演奏前にプリッツの箱を客席に投じるなど、遊び心も満載。「愛する覚悟」「無敵のロックスター」「キケンなふたり」などインストを含む全7曲を披露した。
 
Photo Photo Photo Photo

Photo Photo

FLiP

Photo Photo

Photo Photo Photo Photo

続いて、SCANDALメンバーとはプライベートでも仲良し、前日に東京ワンマン公演を大成功に終わらせたばかりの4人組ガールズバンド・FLiPが登場!1曲目からアップテンポな「カザーナ」で風穴を開けると、飛び跳ねる客席に呼応するようにSayaka(Bass)も強烈なベースラインを轟かせ、Yuko(Guitar)も頭を振らずにはいられない旋律をぶち込む。
 
Photo Photo

Photo Photo Photo Photo

「バンドやろうよ!!」には昨年に続き2年連続の登場となるFLiP。フロアは完全にFLiPのホームグラウンドと化す。Yuumi(Drums)のこれまた強烈なビートが、微塵も手を緩めることなく叩き込まれる。アガる曲だけを次々と並べ、Sachikoの歌もギター同様に常に強烈!
 
そんな中5曲目「カミングアウト」のサビでは唐突に「最低なキスがしたいの」ささやきが放り込まれ、ドキッとする。完全に心をわしづかみにされるFLiPのステージ。しばらく残響が耳に、心臓に、響き続けた。
 
Photo Photo Photo Photo

Photo Photo

 

Photo Photo

この日、転換時にサイドステージで強烈な個性を発揮したのが、前出「どぼんどぼんどのテーマ」を手がけたエハラマサヒロだ。テレビでもおなじみのモノマネや、「雪やこんこん」「浦島太郎」アレンジソングなどを披露。ノリの良い客席との相性も抜群!客席中の笑いという笑いをかっさらっていった。
SPYAIR

Photo Photo

Photo Photo Photo Photo

続いて登場したのは「バンドやろうよ!!」4回目にして初めての男性ミュージシャンの出演となる、SPYAIRIKE(Vocal)、UZ(Guitar)、MOMIKEN(Bass)、KENTA(Drums)による男性4人組ロックバンドだ。インディーズ時代より一貫して野外ライブを活動の中心とし、その熱い楽曲とライブパフォーマンスで名古屋から全国へ着々とファンを拡大させてきた彼ら。この日も評判通りの、いやそれ以上の?ハードなナンバーを立て続けに見舞う!
 
Photo Photo

Photo Photo Photo Photo

「一緒に作っていこう!」IKEはお立ち台に上がり、UZMOMIKENもステージから落ちそうになるほど身を乗り出して、ひたすら煽りまくる。インディーズ時代の代表曲・3rdシングル「ジャパニケーション」や「Turning Point」のライブバージョンなど、しっかりと歌も聴かせつつもアップテンポな楽曲のみで固めたセットリストで、観客を休ませる余裕を与えない。この一体感はやみつきになりそうだ。全9曲、ひたすらに疾走していった。
 
Photo Photo Photo Photo

Photo Photo

SCANDAL

Photo Photo

Photo Photo Photo Photo

さぁいよいよ大トリ、SCANDALが満を持しての登場だ!SPYAIRの激アツパフォーマンスで沸騰状態の客席に何がぶち込まれるのか…期待の高まる中、1曲目は「スペースレンジャー」。もちろんSCANDALに盛り上がらない曲なんてないのだが、その中でもこの曲がトップバッターというのは意外に思ったファンも多いのではないか。必要以上に煽らず、音をしっかりと聴かせていくスタイルは、ファンとの信頼関係の証でもある。続く2曲目「太陽スキャンダラス」でやはり情熱的に盛り上がると、さらにMCを挟まず3曲目「プレイボーイ」。よくよく聴いているとMAMIのギターリフやRINAのドラムの手数が以前のライブに比べて増えていることに気づく。客席と一体となったコーラスもばっちり決まる。
 
Photo Photo

Photo Photo Photo Photo

「デビューしたての頃は同年代のガールズバンドがあまりいなくて、一緒に楽しみたくて始めた。ちょっとずつ広がっているようだ」と、「バンドやろうよ!!」の趣旨やそこに込めた思いをHARUNAが語る。続くRINAも「サマソニ、ロッキン、バンやろ…みたいな」と大きな夢を語るが、そこは大阪城ホールやアジアツアー、そこからの”まだ本気出してないだけ”ツアーを経て一回りも二回りも進化を遂げた彼女たちのこと。決して絵に描いた餅ではない、熱さと説得力の強さがあることが、客席からの大きな拍手で証明される。さらには、バックに掲げられた「バンドやろうよ!!Vol.4」幕の文字は全出演者が一文字ずつ書いたのだということも明かされる。
 
Photo Photo Photo Photo

Photo Photo

そして、不意打ちとはこのこと!力強いRINAのドラム、TOMOMIのベースに、MAMIの激しいリードボーカル、そこにHARUNAがセリフのような英語詞をかぶせる。4曲目でまさかのサプライズ、未発表のパンキッシュな新曲「STANDARD」を披露!ツアー中に作った新曲だという。その勢いのまま、「瞬間センチメンタル」を続ける。
 
「今日を皮切りに毎週末ライブなんです」多忙な、ワクワクなスケジュールがMCで披露されたところで、ライブはいよいよ終盤。8月14日に発売されるニューシングル「下弦の月」を、初披露!メンバーも客席もドキドキの瞬間だ。極太のギターサウンドにベース、ドラムも綺麗に調和。タイトルの「月」に象徴されるように、音の広がりがとても芸術的、幻想的で切なさもあるサウンドは、前作のシンプルなロックナンバー「会わないつもりの、元気でね」とはまた違ったSCANDALの新境地開拓。ゴリゴリ押すわけではない、控えめのコーラスも乙女の繊細さがあって美しい。川面に浮かぶ朧月のように、うっとりと眺めていたい、そんな楽曲。音源も楽しみだ。
 
そして最後は「会わないつもりの、元気でね」、「SCANDAL BABY」で存分に飛び跳ね、ステージもフロアも全力を出し切って、今宵のライブは完成!
 
Photo

最後は全出演者がステージにズラリと集合。先ほどSCANDALのライブMCでメンバーが「今回はパワー系でしたね」(HARUNA)、「同じスピリットを持ってるバンドだった」(RINA)と振り返った通り、これまで案外接点が少なかったバンドも含め、それぞれのファンがそれぞれのファンと同じ熱い思いを抱き、楽しむことができたのではないか。こうして音楽の輪が広がっていくことが、このイベントの最大の魅力と言って良いだろう。
 
最後は、四者四様に挨拶。こうして文字に起こした内容以上に、ライブ会場にいて彼女たちの言葉を聴いていると、本当に音楽に対して、またそこに関わる共演者、スタッフ、観客への熱い思いを感じる。「熱い思い」と文字にしても通り一遍な言葉になってしまうが、是非その熱さはライブ会場で体感してほしい。
 
「同世代の、同じようなシーンで活動しているバンドとこうやって同じステージに立てるというのはとっても幸せだなと改めて思いましたし、すごく刺激を受けた一日でした。『バンドやろうよ!!』はどんどん続いていくと思うので、アーティストの皆さんはこれに懲りずにまた一緒に、是非出演してほしいと思います!そして、今日ここに来てくれる皆さんがいなければ新木場コーストという大きな会場は埋められなかったと思うので、皆さんにも拍手を送りたいと思います。ありがとうございます!」(HARUNA
 
「自分たちが真ん中に立って色んなバンドと一緒にイベントをするのはすごく責任を感じるし、色んな思いがあるんですけど、本当に今日はやれてよかったです。皆さんのお陰です。心からありがとうございました!」(RINA
 
「(観覧していて)単純にお客さんとしても楽しかったので、来年もまた豪華なメンバーを読んで…それまでに人脈を作って、これからも続けばいいなと思います」(TOMOMI
 
「楽しかったですか?最高でしたか?また観たいですか?…来年もやりましょう!」(MAMI

 
Photo Photo

Photo

 

◆SCANDAL 公式サイト
http://www.scandal-4.com/
 
◆シシド・カフカ 公式サイト
http://www.shishido-kavka.com/
◆FLiP 公式サイト
http://www.flip-4.com/
◆SPYAIR 公式サイト
http://www.spyair.net/
◆エハラマサヒロ 公式ブログ
http://eharamasahiro.laff.jp/
◆16thシングル「下弦の月」
2013年8月14日(水)リリース

 

◆関連記事
【特集】rock girly parfait SCANDAL(part2)
http://www.beeast69.com/feature/68092
【特集】rock girly parfait SCANDAL(part1)
http://www.beeast69.com/feature/67886
【特集】大盛りレポ!ロック増量 Vol.1 SCANDAL OSAKA-JO HALL 2013 「Wonderful Tonight」
http://www.beeast69.com/feature/60182
【特集】第3回 SCANDALコピーバンド&ボーカリストコンテスト
http://www.beeast69.com/feature/50726
【特集】ESP学園presents COLORS 2013
http://www.beeast69.com/feature/77282
【特集】「心の国境を打ち壊せ!!」沖縄の雄、ROACHが語る『098-(ゼロナインエイト)』
http://www.beeast69.com/feature/51894