特集

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TEXT:児玉圭一 PHOTO:Mariko-sun

2015年6月28日、全労済ホール/スペース・ゼロにて、伝説のレジェンドロッカー達が集うイベントが開催された。日本のロックを築き上げた時代の生き字引とも言える本物のロックバンドが集い、もう一度ロック魂を呼び起こせ!と同世代へのアピール。そして日本が誇る伝説のロックバンドの魂を、次世代へと繋げる目的で開催された。加納秀人外道)からの若者ロックリスナーへのメッセージをぜひ聞いてほしい。親子以上に歳の離れた世代かもしれないが、ロック魂の継承という意味では、レジェンドを体験してもらうのが一番良い。今では当たり前のように存在している日本のロックシーンを作った伝説のロッカー達の祭典、まさにスーパー・レジェンド・フェスと呼ぶにふさわしい内容となった。出演のバンドインタビューは別立ての特集にて紹介しているので、そちらの記事と合わせて読んでいただきたい。

【特集】ROCK ATTENTION 42 『伝説のロッカー達の祭典 スーパー・レジェンド・フェス2015 』
リハーサル前に実施した、出演者への3万字を超えるインタビュー特集記事はコチラ↓

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◆加納秀人(外道)から、若者へのメッセージ

 
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午後3時半、開場の時が来た。この日会場に詰めかけた幅広い年代層の人たちが吸い込まれるようにホールへと入って行く。定刻の午後5時、場内が暗転。満場の拍手のなかオープニングMCを務める加納秀人ROLLYがステージに登場。2人の軽妙なトークと呼び込みと共に本日のトップバッター、めんたんぴんが登場。待ちに待った『伝説のロッカーたちの祭典 2015』の幕が切って落とされた。

 
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めんたんぴん
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サイケデリックなギターイントロから始まったのは「国道8号線」。佐々木忠平がかき鳴らすアコギと松浦善博の流麗なギタープレイが絶妙の絡みを聴かせる爽快なオープニング。「北陸の小松からやって来ました…今日は楽しんでいってください!次は今なら絶対に発売禁止になる曲です、木こりの歌!」タイトなリズムセクションが繰り出すシャッフル・ビートに乗って、武骨に太い声でファンキーなワークソングを歌いあげる佐々木忠平。ディープサウス風味満点の松浦善博のギターの音色が宙を舞う。
 
「アメリカ南部の音楽が好きで、めんたんぴんをずっとやって来ました。もう1人南部の音が好きな男が神戸に居まして、メンバーに入れました。松浦善博!」盛大な歓声に乗って始まったのは、ブルースマン、ブラインド・ウイリー・マクテルが作り、オールマン・ブラザーズ・バンドの名演で有名なスワンプ・ナンバー「ステイツボロ・ブルース」!たちまち縦横無尽のうねりをあげるスライド・ギターがソロにオブリガードに大活躍。40年間この曲を歌い続けて来たという松浦善博のスモーキーなヴォーカルも最高。そしてライヴは早くも半ばを超え、佐々木忠平の「じゃあ、1曲ロックンロールを。キープ・オン・トラッキン!」というMCを合図に「コンサートツアー」がスタート。タフ&ルーズなギターリフ、観客の熱狂を煽るラフなコーラスはまさにロックンロールそのもの。そしてライヴの最後を飾るのは美しいメロディのカントリー・バラード「見知らぬ旅人」。出会いの喜びと別れの切なさ、やるせなさを情感溢れる声で紡ぎ出す佐々木忠平の歌に胸が熱くなる。
◆めんたんぴん
佐々木忠平(Vocals & Guitar)
松浦善博(Guitar)
石崎三郎(Bass)
沖村公平(Drums)
◆Official Website
http://mentanpin.jp/

◆Setlist
M01.イントロダクション(サイケ調)〜国道八号線(忠平AG DI)
M02. 木こりの唄
M03. スティッポロ・ブルース
M04. コンサート・ツアー
M05. 見しらぬ旅人(忠平AG)

 


 
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THE 卍
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続いての登場は加納秀人に「ロックに生きるバンド」と紹介されたTHE 卍。「ロック・レジェンドの皆さんとの共演を楽しみにしておりました!」というROLLYのMCの後、「ロックンロール中学生」でライヴはスタート。テレキャスターから繰り出されるROLLYのスペイシーなギターリフ。佐藤研二は狂おしく暴れ回るブルージーなフレージングをトレードマークの赤いギブソンEB-3から解き放つ。そこに破壊力抜群のロジャー高橋のドラムが乗れば無敵のパワー・トリオの完成だ。
 
疾走感溢れる「ギャルギャルギャルヲ」の後に披露されたのは、ROLLYが実体験した路上のホラー・ストーリー「ROUTE171」。シアトリカルな要素が次々に展開していくミニ・ロック・オペラが観客を魅了する。続いてはロジャー高橋がヴォーカルを取る「難聴」。観客とのコールアンドレスポンスも見事に決まり、「楽しい時間は一瞬のうちに過ぎ去るもの」というROLLYのMCを合図にラストナンバー「ハンティーフラッシャー」が凄まじい勢いと速さで疾走する。やがて訪れたエンディングの轟音と満場の観客の声援のなか、THE 卍のライヴは終了。そしてROLLYはオーディエンスに15分間の休憩を伝える。
◆THE 卍
ROLLY(Vocals & Guitar)
佐藤研二(Bass & Vocals)
高橋“ロジャー”和久(Drums & Vocals)
◆ROLLY Official Website
http://www.rollynet.com/

◆Setlist
M01. ロックンロール中学生
M02. ギャルギャルギャルヲ
M03. ROUTE171
M04. 難聴
M05. ハンティーフラッシャー

 


 
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三文役者
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第2部の幕開けを告げるのは三文役者。1曲目「Hold on my way」でさとっちょのドラミングが炸裂。躍動的な大竹亨のギターリフと絡み合う石井正夫のベースに乗って花之木哲が高らかに歌い出す。23年の時を経て不死鳥のように蘇った三文役者が華々しく輝く時が来た。大竹亨の低音リフに導かれて始まったのは「Dream Crush」。ステージ上を滑るように動き、派手なアクションを決めながらシャウトを決める花之木哲。バンドが一体となった強力な横ノリのグルーヴが雄々しく転がって行く。
 
3曲目は「怒雨降り」。発売当時、雨の日には必ず有線放送でリクエストされていたというこの名曲は開放的でキャッチ―なサビが胸を打つご機嫌なロックンロール。そして早くもライヴは後半戦へ突入。オーディエンスの手拍子をイントロに始まるのは「回転木馬」。唸りをあげるギター、圧倒的なテンションで迫るリズムセクションが観客の熱狂を煽る。そしてラストナンバー「三文役者」が爆発。強烈にドライヴするギターサウンドに食らいつくように歌う花之木哲。ロックンロールを体感しているという手応えを感じさせてくれる三文役者のライヴは充実したエンディングを迎えた。
◆三文役者
花之木哲(Vocals)
大竹亨(Guitar)
石井正夫(Bass)
さとっちょ(Drums)
◆Official Website
http://www.geocities.jp/sanmonyakusha_tetsu/

◆Setlist
M01. Hold on my way
M02. Dream Crush
M03. Hellow Dear Friend
M04. 怒雨降り
M05. 回転木馬
M06. 三文役者

 


 
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■頭脳警察
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赤いライトがバンドを照らし出し、JIGENの雷の轟きのようなランニングベースと共に頭脳警察のライヴがスタート。1曲目は「銃を取れ」。菊池琢巳のブルージーなギターが鳴り、TOSHIのスタッカートの効いた呪術的なパーカッションが響き、へヴィーな原田淳のドラミングがフロアーを揺るがす。そしてギターをかき鳴らすPANTAが叫びだせば、瞬く間にステージは頭脳警察の強烈な磁力に支配されてしまう。
 
スピード感のある菊池琢也のギターリフから始まったのは「飛翔」。蛇のようにうねるベースライン、小気味いいドラムパターン、そして鮮烈なPANTAのヴォーカル。息をもつかせぬ疾走感が間断なく繰り広げられて行く。
 
PANTAのMCの後に始まったのは、天井桟敷の戯曲名であり、寺山修二が遺した言葉を集めてPANTAが作り上げた「時代はサーカスの象に乗って」。たおやかなギターグルーヴに乗って、嵐の季節を通り過ぎて行く人々に贈る壮大なバラードが歌われる。そして4曲目は「RED」。バンドと観客が一体となった「レボリューション」の合唱が場内に響き渡る。
 
早くもライヴは終盤へ入り、原田淳の豪快な四つ打ちビートを合図に「ふざけんじゃねえよ」の不滅のギターリフが圧倒的な熱量と共に押し寄せる。そしてラストナンバー歌う前にPANTA頭脳警察の初代マネージャーを務めた横川純二氏の帰光をオーディエンスに告げ、万感の想いを込めて「さようなら世界夫人よ」を歌い出す。光の中へ帰って行った盟友へ捧げられた惜別と再生の叙情詩の熱演をもって頭脳警察のライヴは大いなる余韻を放ちながら終了した。
◆頭脳警察
PANTA(Vocals & Guitar)
TOSHI(Percussion)
菊地 琢己(Guitar & Vocals)
JIGEN(Bass)
原田淳(Drums)
◆Official Website
http://brain-police.net/

◆Setlist
M01. 銃を取れ
M02. 飛翔
M03. さようなら世界夫人よ
M04. 時代はサーカスの象に乗って
M05. ふざけるんじゃねぇよ
M06. 悪たれ小僧

 


 
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■外道
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本日のトリを飾るのは外道。オープニングSE、「Slush」が流れ始め、声にならないざわめきと期待に満ちた嬌声がステージへ照射される。そして次の瞬間、そうる透のドラムが炸裂。1曲目はニューアルバム『Rocking The BLUES』からの「ROCKで行こうよ!」ステップも軽くロックンロールしたギターワークで場内を沸かせる加納秀人。ソリッドなベースランと息の合ったコーラスを聴かせる松本慎二も快調だ。
 
へヴィーなファンク・ビートが観客の腰を直撃する「What a BITCH」。唸りを上げるギターを流麗に弾きながら目一杯のシャウトを聴かせる加納秀人。凄まじい熱量を放つバンドサウンドを煽るそうる透のドラミングは信じられないほどダイナミックだ。そして外道は間髪入れずに焼け焦げそうに熱いパワーコードが印象的な「GET DOWN」へ雪崩れ込んで行く。
 
続いては一転してフィフティーズ・テイスト満載のパーティー・チューン「SHAKE IT BABY」が軽快にシェイクする。続いては「何?」。外道チャントの始まりだ。そうる透のドラムソロに乗って、並み居る観客は一斉に頭上に掲げた両手をゆらゆらと揺らす。そして始まったのは「ビュンビュン」。白熱の瞬間が間断なく続いて行く。
 
オーラス・ナンバーは、やはりこれしかない「香り」。メガトン級の破壊力を誇る問答無用のキラーチューンが容赦なく観客の頭上に炸裂。バンドと観客が一体となった合唱、強靭なグルーヴが場内を席巻していく。やがて曲はエンディングを迎え、轟くフィードバック・ノイズとドラムの乱打のつるべ打ちがオーディエンスの狂騒を加速させるなか、ロックの王者、外道のライヴは華々しく終了。
◆外道
加納秀人(Vocals & Guitar)
そうる透(Vocals & Drums)
松本慎二(Vocals & Bass))
◆Official Website
http://www.ainoa.co.jp/music/gedo/

◆Setlist
M01. Rockで行こうよ!
M02. What a BITCH
M03. GET DOWN
M04. SHAKE IT BABY
M05. 何?
M06. ビュンビュン
M07. 香り

 


 
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■ENCORE  (Purple Haze – Jimi Hendrix
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盛大な拍手の中、本日の出演者が全員ステージに上がる。アンコールのブルース・セッションがスタートし、やがて始まったのはJimi Hendrixの「Purple Haze」! 佐々木忠平PANTA花之木哲がワンコーラスずつヴォーカルを担当し、間奏で並み居る楽器隊が順番にソロを回す。やがて全員が一体となったサイケデリック・ブルースが頂点に達し、記念すべき『伝説のロッカーたちの祭典 SUPER LEGEND FESTIVAL 2015』は終演の時を迎えた。

 


 
ROCK ATTENTION 42 『伝説のロッカー達の祭典 スーパー・レジェンド・フェス2015 』
日本が誇る伝説のロッカー達!リハーサル前に実施した3万字を超える熱きインタビューの特集記事はコチラ↓
http://www.beeast69.com/feature/136523

 

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【特集】ROCK ATTENTION 28 ~外道~
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【レポート】ROCK OF ALL TIME~いつの時代もロックが本当のことを教えてくれました(頭脳警察/M.J.Q)
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【レポート】DIE-HARD ROCKERS~The Golden Age of Rock`n Roll~ 外道 / 山口富士夫
http://www.beeast69.com/report/3265