演奏

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TEXT:栗林啓 PHOTO:桂伸也

 
日本のHeavy Rockシーンを代表するバンドのひとつ、HEAD PHONES PRESIDENT(以下:HPP)のギタリストHIROによるソロライブが、2013年11月29日に吉祥寺SILVER ELEPHANTで行われた。HIROのソロライブは2012年の11月以来約1年ぶり。
 
前回までのステージは同期音源を使用した完全ソロステージだったが、今回は彼の旧知のミュージシャンである、吉田のりお(以下、吉田 :魅惑の東京サロン、Ebony-B :Bass)、日下部圭(以下、日下部 :GARI :Drums)を迎え、バンド形式のメンバー構成で行われた。今回はその模様をレポートしよう。
 

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この日の会場はHPPのライブの雰囲気とは異なり、ライブハウスのフロアには観衆のための椅子がセッティングされ、スタンディングのライブとは異なる落ち着いた空気が漂っていた。やがて場内は暗転し、観衆の拍手と共にHIROがゆっくりと登場した。そして拍手が鳴り止んだ沈黙の中、エフェクターとボリューム奏法を組み合わせた幻想的なイントロからステージはスタートした。続けてベースの吉田とドラムの日下部が加わり、1曲目の「Ice Princess」が始まった。ハードでパワフルなサウンドであるが、HPPとは違う世界観がそこに現れた。メロディアスでありながら独特なフレーズを紡いでいくスタイルはHIROのギタースタイルの真骨頂といえよう。
 
久しぶりのソロライブだと語ったHIRO。今回のステージでまず彼の愛器であるIBANEZの7弦ギターを操っていが、1曲目が終わるとJames Tyler製のストラトに持ち替えた。HPPではあまり見かけない珍しい姿。それもそのはず、彼はこの楽器でステージに立つこと自体が少ないと語っていた。そして2曲目の「George lucas」へ。バンドのサウンドは、Fusion(Crossover)と呼ばれるスタイルと見えたが、その中でもHPPのようなHeavy Rockとも違うパワー感とグルーブを見せていた。かつ、そこではHIROの独特なギターフレーズが冴え渡っていた。
 
続いて吉田がベースを持ち替え、タッピング奏法を駆使したイントロの「Sound Linkage」へ。とてもハードなサウンドでリズミカル。テクニカルなフレーズを交えながらメロディを奏でるギタースタイルは、実にHIROらしい。
 
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一度ステージは間を置き、メンバー紹介へ。HIROは、当初は同期音源を使った演奏も考えていたそうだが、「今回のリハーサルでベースとドラムのパワフルな演奏を聴いて、同期を使うのは止めた」と語った。今回のステージで聴かれたバンドの演奏は、その言葉通りのパワフルでタイトなサウンドである。
 
曲はBlues風のギターイントロが印象的な「Tube Trip」、メロディックなHard Rock調の「Peter」、物悲しいアルペジオから始まるバラード調の「Darkend」と続いた。これらの曲では、リズム隊が持つ独特のニュアンスのつけ方が、曲の聴きどころをあちこちに演出していた。その様はまるでRUSHのように楽曲を次の次元へと昇華しているようにも見え、とても興味深い。
 
次に続いた「EMINOR」は、HIROが「疲れる曲」と紹介していた曲。HPPの雰囲気を彷彿とさせるヘヴィなリフの響きが印象的なナンバーだ。さらに吉田のベースから繰り出されたスラップとフィンガーピッキングを交えたベースソロが、曲にほどよいアクセントを加えていた。センス、テクニックともに申し分の無い3人のプレイが、座っている観衆の気持ちをグイグイとステージに引き込み、随所のキメ部分で歓声を上げる観衆も続出した。プレイの中では一切の妥協を許さない、高度な完成度を保ち続けたHIRO。しかし曲間に語られるMCの語り口には程よいリラックス感を観衆に与え、聴かせどころを作りながらもアットホームにステージを展開させていった。
 
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ステージ中盤、メンバー3人が知り合った当時の思い出話を語りながら、HIROはガットギター、吉田はアコースティックベースへとそれぞれが楽器を持ち替えた。ここからはアコースティックセットにて、しっとりとしたナンバーを聴かせた。スパニッシュギターを思い起こさせるギターが印象的な「1229」、軽快なスネアのリムショットがFlamencoを想起させた「Rock’n Roll Gipsy Kings」、そしてアコースティックベースのふくよかな音が心地よい「VALENCIA」では、ゆったりとした時の流れを演出するなど、普段のエレキギターサウンドとは違うアプローチでステージに奥行きを与えた。
 
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そしていよいよクライマックス。バンドは再びエレクトリックセットに戻り、ハードかつメロディアスな「Brett」をプレイ。難解な超絶プレイの中に耳に残るギターのフレーズがキラリと光るナンバーだ。リラックスした雰囲気の中、最後の曲「Andy」が始まった。リズミカルなギターリフに、グルーブ感あふれるリズム隊が絡むのが印象的な曲だ。そして、エンディング。最後に、日下部が派手なドラムフィルを決めてライブは終了した。
 
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◆公式サイト
HEAD PHONES PRESIDENT Official Home Page
http://headphonespresident.com
GARI Official Homepage
http://gari.net
吉田のりお Official blog
http://anythingfunky.blog39.fc2.com/
◆セットリスト
 
M01. Ice Princess
M02. George lucas
M03. Sound Linkage
M04. TubeTrip
M05. Peter
M06. Darkend
M07. EMINOR
M08. 1229
M09. Rock’n Roll Gipsy Kings
M10. VALENCIA
M11. Brett
M12. Andy
※上記タイトルは全て仮タイトルになります。

HPPの中では、リズム感覚、曲構成感覚など、独特のセンスを見せているHIROだが、このステージで彼はHPPでの活躍ともまた違う雰囲気を聴くものに感じさせた。また、この日のステージは、HIROの人柄もあってか終始和やかな雰囲気の中進められた。彼や日下部、吉田との昔話や自分たちの楽器への思い入れ等も語られ、ファンにはとても興味深い内容だったに違いない。
 
2012年にHPPがリリースした大作『STAND IN THE WORLD』は、全曲HIROが作曲を行ったアルバムであり、現在のHPPは、彼の存在がサウンド作りの面で大きな位置を占めていることを示している。そんな彼が、「前作を超える」という大きな目標を掲げ取り組んでいるHPPのニューアルバムリリースも目前、間もなく発表されることだろう。2013年は『Ozzfest Japan』出演や『Fuse the Soul』開催など、大きな躍進を遂げたHPPとともに、HIROのさらなる活躍を、引き続き期待したい。
 

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