演奏

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TEXT:まことZ PHOTO:鈴木まさみ、まことZ


ガールズロック花盛りの昨今であるが、去るゴールデンウィーク前半の4月29日(祝)に、関西のインディーズメタルシーンを猛進中のG∀LMETと、関東のインディーズメタルシーンで実力を認められた、キャッチーかつヘヴィな音を操るMary’s Bloodの、夢のツーマンコンサートが実現した。G∀LMETが4月のライブDVD発売のためのイベントを打ちたいと、同じく4月にライブDVDを出したMary’s Bloodに相談したことで今回の話が実現したのだ。今回はこのイベントの模様をレポートする。

1.G∀LMET
 
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オープニングのSEが流れ、暗いステージ上にG∀LMETのメンバー、みっき~(Vocal)、ルキ(Guitar)、あやの(Guitar)、アマ(Bass)、idyako(Drums)の5人の姿が浮かび上がると、会場のファンから雄叫びともいえる歓声が上がった。フロアを埋め尽した観客からの歓声は実に壮観だ。そしてオープニングナンバーの「Treason Sky」の8ビートが刻まれ、観客は待っていましたとばかりに拳を振り上げた。みっき~はもとより、ルキも積極的に前に出て観客をあおった。続けざまに16ビートの「Fangs Of Slaves」を炸裂させるとホールではモッシュが始まり、強烈な熱気がたちまち会場に充満した。激しい様相の中、あやのルキのツインギターによるハーモニーも魅力的な音色を奏でてきた。
 
歌唱の際にはデスヴォイスが特長のみっき~、演奏が終わると打ってかわってキュートな声によるMCを披露。今回の演奏時間がバンド史上過去最長となるそうだが、そのパフォーマンスに向け、意気込みを語った。続いて今やG∀LMETの代表曲ともいえる「Promised Dawn」。轟音ギターと重低音ベース、そこにデスヴォイスが加わり、戦慄を覚えた。小柄なアマに5弦ベースは大き過ぎるのでは?と思いきや、巧みに自分の手足のごとく操っていた。ステージ両サイドに立つルキあやの、その立ち位置が入れ替わるステージパフォーマンスは、フォーメーションを大事にするG∀LMETらしい。
 
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16ビートの「Dreamer」ではアマのベースソロの後にidyakoのドラムソロが入り、リズム隊の見せ場となった。それに続く「Road To The Legend」はG∀LMETの楽曲にあっては若干明るめの印象だ。みっき~が観客をあおり右手の人差し指を突き上げると、そこに観客が応じ、みんな右手人差し指を突き上げた。「打てば響く」と言ったら良いだろうか、G∀LMETとファンとが綺麗に呼応する様子がこの光景から感じられた。
 
続くMCをアマが担当したが、「うしろの人、見えますかね?」と彼女が言うと、観客のうち前の方に詰めていた人達がみんな、中腰にかがんだ。「愛のあるファンの行動」だ。雄叫びを上げ荒々しくモッシュする彼らは、同時に紳士であることを全く忘れていない。
 
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ステージも後半に入り、「Bullet For Undead」へと続いた。みっき~がシャウトで観客をあおり、ツインギターのハーモニーがますます冴えてきた。続く「While There’s Life」では再びモッシュが発生。この曲は相当な超絶テクニックを要するドラムパートだが、idyakoはものともせずに叩き切った。そして「Eternal Rain」。エモーショナルなギターフレーズもあり、ここまで演奏してきた中ではもっともバラード寄りの曲。ここでは一転し観客は静かに曲を聴き入っていた。うってかわって16ビートで荒々しく始まる「Unchained Love」。会場は一様にヘッドバンギングだ。サビでみっき~がタオルを回すと、観客もみな頭上に振り上げたタオルを回した。
 
ここまで全力で突っ走るようにプレイしてきたみっき~は、MCで息づかいの荒さを見せた。それだけ魂を込め、全力で歌ってきたのがわかるだろう。次はワンマンも視野に入れているとの発言があったが、このコメントにはファンも大喜びで大きな歓声を上げた。そして「Spirit Of Fire」。みっき~ルキあやのアマのフロントマン全員、そろって右向いて左向いてのフリが、キュート。デスメタルではあっても女子らしい演出を忘れないところは、G∀LMETの魅力の一つだ。
 
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ステージも終盤に向けて、猛烈なスパートを掛けてきたG∀LMET。彼女らの代表曲の一つ「Last Words」が始まると、観客は雄叫びを上げ、拳を振り上げた。バンドメンバーが頭を振りながら演奏すると、客席のモッシュはさらに激しくなり、うずまく高揚感と熱気が会場を満たした。まさに会場が一つとなったひと時だ。メンバーが熱く演奏をすればそれを感じた観客が熱狂し、その観客の熱狂にあおられるようにまた、バンドメンバーのパフォーマンスも熱くなるという、相互作用なのだ。
 
いよいよクライマックス。メロディアスなギターとルキのコーラスが印象的な「Rebirth」から、強烈なビート感を打ち込む「What’s Mine?」の流れで、フロアの観客を畳み込んだ。キャッチーな前曲で観客の心をグッと掴み、最後、高揚感の最高潮にもってきたこの流れは、うまくはまった選曲といえよう。16ビートに合わせ、メンバーも立ち位置を変えながら魅せる演奏をすると、客席のモッシュも最高潮。会場の全員で気持ちを一つにして、燃え尽きるまでエネルギーを放出した。

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◆公式サイト
http://galmethp.web.fc2.com/
◆セットリスト
M01. Treason Sky
M02. Fangs Of Slaves
M03. Promised Dawn
M04. Dreamer
M05. Road To The Legend
M06. Bullet For Undead
M07. While There’s Life
M08. Eternal Rain
M09. Unchained Love
M10. Spirit Of Fire
M11. Last Words
M12. Rebirth
M13. What’s Mine
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2.Mary’s Blood
 
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オープニングのSEが流れるとステージ上にMARI(Drums)、RIO(Bass)、SAKI(Guitar)、EYE(Vocal)が順番に現れた。まず演奏されたのは「Blood」。EYEが拳を突き上げて、観客をあおると、観客もそれに応えて拳を突き上げ、雄叫びを上げた。SAKIRIOがところ狭しとステージ内をめぐり、立ち位置を入れ替えるなど、のっけから積極的なパフォーマンスを繰り広げた。続く「Ms.Carrie」はEYESAKIRIOのフロント3人がジャンプしながらの演奏で始まり、観客もそれに合わせてジャンプ!ギターソロではピッチ系のエフェクト(原音の音程を変化させるエフェクト)とともにSAKIのとてもトリッキーな音使いが観客を魅了。さらにベースを弾きながらのRIOの投げキッスが、艶めかしくファンを魅了した。
 
続く「Red Line」ではSAKIが演奏しながら左右に大きく手を振り、観客にもそれを求めた。Mary’s Bloodの中でもセクシー担当ともいえるEYERIOの2人が背中合わせで演奏、ファンの何人が悩殺されただろうか。続く「DEEP-SIX」の8ビートの中で観客は拳を振り上げ、リズムに身を任せていた。堂に入ったMary’s Bloodの安定した演奏の中でも特筆するべきは、SAKIのギターソロが、これでもかというくらいに切れ味鋭い超絶プレイを見せたことだ。ガールズロックのギタリストの中でも、彼女ほどテクニカルなギタリストもそういないのではないだろうか。
 
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続く「Ambicious」はメロディアスで、モッシュしていたG∀LMETの時とは違って、観客は聴き入りながらも内部に高揚感を得ているよう。続いては、この日の2バンドの演奏を通して唯一の本格的なバラード「Far Away To…」。ゆっくりとした曲に合わせて、観客は手を叩き、バンドとの一体感に浸っているようだった。「楽しんでますか!?」とのEYEの呼びかけに観客が応えるも、今度はEYEが「楽しんでるのか!?」と言葉のトーンを強めた。すると観客もそれに応えて大きな声を出した。この辺のマイクパフォーマンスはなかなか巧みで、観客もどんどんEYEのペースに引き込まれる。この3月にアメリカで演奏するという快挙を成し遂げた彼女らは、その時にプレイした2曲のアニソンをここで続けた。
 
まず演奏されたのは「ペガサス幻想」(アニメ「聖闘士星矢」主題歌)。MAKE-UPの原曲とアレンジ的にはそれ程違いはないが、バスドラが多めに入ったMARIのドラムプレイで、よりへヴィに仕上げた印象。続いた「残酷な天使のテーゼ」(アニメ「新世紀エヴァンゲリヲン」主題歌)は、シンセブラスの印象的なフレーズをSAKIがギターで表現することでさらにロックテイストの濃い仕上がりになった。またここでもMARIのツーバスは光り、もはやメタルチックなテイストへ。MARIのドラムは、Mary’s Bloodのサウンドの中でも大きな影響力をもっていることを改めて感じさせる。
 
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続いて、7月5日に発表される3枚目のミニアルバムに収録される曲を披露。まず「FROZEN」は8ビートを基本としながらも、歌いだしの伴奏でギターを白玉(リズムに合わせてリフを刻むのではなく、コードなどを伸ばす奏法)にし、聴く人の注意を歌に向ける工夫があったり、サビで凝った休符の入れ方をしてみたり、ギターソロではSAKIのスィープ奏法を見せてみたりと、センスとテクニックの見せ所満載のナンバーだ。
 
続く「Blue Heaven」は一転しシンプルな8ビートのナンバーだが、聴く者に元気を与えてくれるような曲調。EYEが手を挙げるように観客に促すと、観客はそれに応じた。メンバー個々のセンスとテクニックを織り込んだナンバーと、逆にシンプルながら引き込まれてしまう曲。彼女らのミュージシャンとして優れた部分を物語っていた。
 
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そしていよいよステージも終盤、続いたのは「Tragic Flaw」。16ビートのイントロでフロントの3人が頭を振った。観客もここで何をするかはよくわかっており、同じく頭を振った。バンドと観客の一体感が益々増してきた。そして次の「Shout the Truth」では、演奏者も観客も大きく左右に手を振るのがお馴染みだ。これら2曲はお決まりであり、バンドメンバーと観客との一体感の確認をし、その状態で最後に持っていく準備だ。
 
最後は最後たるにふさわしいナンバー「Burning Blaze」。EYEが曲名を言うと、客席から雄叫びが上がった。16ビートが刻まれるとEYEがデスヴォイスで叫んだ。ここにきて、もはや爆発寸前に熱い。最後のエネルギーをここに注ぎ込む気迫を感じた。会場全体が一体となってヘッドバンギング。はじけるようにして全力疾走し、終演後には恍惚感が残った。
 
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◆公式サイト
http://marysblood.syncl.jp/
◆セットリスト
M01. Blood
M02. Ms.Carrie
M03. Red Line
M04. DEEP-SIX
M05. Ambicious
M06. Far Away To…
M07. ペガサス幻想
M08. 残酷な天使のテーゼ
M09. FROZEN
M10. Blue Heaven
M11. Tragic Flaw
M12. Shout the Truth
M13. Burning Blaze

3.セッション
 
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2つのバンドの演奏が終わったが、この日はこれでは終わらなかった。なんと、サプライズがあったのだ。筆者もこのことは知らされておらず、プレイヤー達に「何かあるの?」とたずねると「あるんですよ」とニヤリ。先に演奏を終えていたはずのG∀LMETのメンバーが舞台袖に戻ってきたのだが、なんとこれからメンバーを入れ替えてのセッションだというのだ。
 
まずは「Mary’s BloodのナンバーにG∀LMETが参戦」というパターン。EYEのボーカルで伴奏をG∀LMETルキあやのアマidyakoが務め、Mary’s Bloodの「Blood」をプレイ。ギターが2本になることで厚みが出て、一味違う「Blood」を聴くことができた。
 
次に「G∀LMETのナンバーにMary’s Bloodが参戦」というパターン。みっき~のボーカルで、伴奏はMary’s BloodSAKIRIOMARIに加え、さらにサイドギターにあやの、そしてコーラスにEYEを加えた豪華な布陣。この組み合わせでG∀LMETの「Rebirth」。SAKIのハイテクニックギターやEYEのツインボーカルばりのパフォーマンスにより、かなり原曲から印象の違う感じとなり、痛快で爽快なセッションとなった。
 
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こうしてこの日の演目は全て終了した。とても熱い3時間だった。ステージングが熱く、観客のノリも熱かった。実際に客席は本当に暑く、熱かった。ツーマンに手応えを感じたG∀LMETは、次は何をしてくれるのだろう。そして先述のアメリカ公演等、方々で動きのあるMary’s Bloodは、次はどんなサプライズを用意してくれるのだろう。ライブハウスを出ると外は思ったよりもちょっと寒めだったが、ライブでの上気した空気を思い出し、彼女らの今後に期待をふくらませながら吉祥寺の駅に向かった。
 

◆ライブ情報
 
G∀LMET
音食フェス『真夏の戦慄』
2013年08月03日(土) 【大 阪】心斎橋KING COBRA
Electric Lady Loud
2013年08月24日(土) 【愛 知】名古屋 ElectricLadyLand & ell.FITSALL & ell.SIZE
『WOMEN’S POWER Vol.55』~東京編~
2013年09月28日(土) 【東 京】目黒LIVESTATION
『WOMEN’S POWER Vol.55』~大阪編~
2013年10月05日(土) 【大 阪】心斎橋 Club ALIVE!
新生G∀LMET生誕祭! ~「ついに2歳になりました☆」記念初ワンマン!!~
2013年11月09日(土) 【東 京】吉祥寺CRESCENDO
G∀LMET暴年会!~2013年お疲れ様会☆(大阪初ワンマン!!)~
2013年12月28日(土) 【大 阪】京橋ism
 
Mary’s Blood
「YATSUI FESTIVAL 2013」
2013年06月22日(土) 【東 京】渋谷VUENOS
『KING KONG FESTIVAL IN SAITAMA』
2013年06月28日(金) 【埼 玉】HEAVEN‘S ROCK さいたま新都心 VJ-3
3rd MiniAlbum発売記念イベント「Birth of Queen Vol.2」
2013年07月27日(土) 【東 京】渋谷DESEO
音食フェス『真夏の戦慄』
2013年08月03日(土) 【大 阪】心斎橋KING COBRA
Electric Lady Loud
2013年08月24日(土) 【愛 知】名古屋 ElectricLadyLand & ell.FITSALL & ell.SIZE
『nonLinear Metal DynamiX Vol.23 in TOKYO』
2013年09月15日(日) 【東 京】吉祥寺CRESCENDO

 

 


 
 
G∀LMET『G∀LMET 戦闘記録 2012』
GMLV-002/3,000円(税込)
収録曲:
M00. Before The Beginning
M01. Promised Dawn
M02. Spirit Of Fire
M03. Unchained Love
M04. Last Words
M05. What’s Mine?
M06. Dreamer
M07. Keep Your Faith
M08. Fangs Of Slaves
M09. Eternal Rain
M10. Road To The Legend
M11. 記憶喪失
-encore-
E01. 愛の鋼鉄戦士メットさん
E02. Rebirth

 


 

 
 
Mary’s Blood 『SCARLET~2012 LIVE AT O-WEST~』
NSMB0001/2,500円(税込)
収録曲:
M01. Ms.Carrie
M02. Ambicious
M03. Tragic Flaw
M04. Shout The Truth
M05. Burning Blaze

◆関連記事
Editor’s Note…PASSION Mind6(桂伸也)
http://www.beeast69.com/feature/54585
G∀LMET Presents Metal Diva Festival 2012
http://www.beeast69.com/feature/51375
BEEAST太鼓判シリーズ第15弾アーティスト『Mary’s Blood』
http://www.beeast69.com/feature/46599
BEEAST太鼓判シリーズ第11弾アーティスト『G∀LMET』
http://www.beeast69.com/feature/39494