演奏

TEXT:鈴木亮介 PHOTO:三橋コータ

心躍るロックンロールをかき鳴らすバンド、ライリーライリー改めライリィライリーが1stEP「ファーストロマンティックス」をリリースし、自身初となる企画ライブを8月19日(水)に開催した。
 
“日本一イビツな歌モノロックンロールバンド”を自称する彼ら。アングラの総本山、東高円寺U.F.O.CLUBを舞台に、本誌でもおなじみのクレヨンイーターゆゆん、さらには3ピースロックバンド・ピンクシガレット、札幌からこの日のために上京したハロの4組を迎えて、愛すべきイビツさをステージから強烈に放つ。歪(=イビツ)であるからこそ、聴く者の心に真っ直ぐに届く。この素晴しきロックンロールの世界では、イビツこそが正統だ。

◆ハロ

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1組目に登場するのは北の大地・札幌から来たポップロックバンド、ハロ。しとしと降る雨のように、ギターと鍵盤が優しく共鳴。キャッチーなメロディにフクダサキ(Vocal & Guitar)の印象的な歌声が乗る。
 
スローテンポな3曲目「眠りの姫」では、”愁”の旋律で心を揺らす。そして「きょうに向けて私たちもCDを作ったんです」と語ると、前日・8月18日にリリースした2ndミニアルバム『ULTRA』に収録された「ミッドナイトアワーズ」を披露。強烈なグルーブで魅せると、「きょうがいい日になるように…」と最後は「流るる風のなかで」を力いっぱいに届け、観客を笑顔にした。
 
フクダサキボーカルは、アンニュイな表情と歌声の中にも、確かな説得力がある。そして、ギターとキーボードが融合して作り出される高揚感。曲調とかジャンルで色眼鏡をかけずに、この高揚感をそのまま体感したい。そんなハロのステージで、早くもU.F.O.CLUBには熱気が充満しだした。

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◆セットリスト
M01. おわらせた世界のつづき
M02. 恋のはじまり
M03. 眠りの姫
M04. ミッドナイトアワーズ
M05. 流るる風のなかで
 
◆ハロ 公式サイト
http://halo.webcrow.jp/
◆ハロ Twitterアカウント
https://twitter.com/from_halo
◆インフォメーション
・2015年11月24日(月)【東 京】下北沢CLUB Que
・2015年11月25日(水)【東 京】新宿JAM
・2015年11月26日(木)【東 京】新宿Marble
・2015年11月30日(月)【北海道】札幌 スピリチュアルラウンジ

 

◆ゆゆん

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イシカワミナ子(Drums)の3カウントに、イシバシリサ(Guitar)、まりな(Guitar)、ゆりえ(Bass & Vocal)のシャープな音が撃ち込まれる。続く2組目はゆゆん。序盤は「さや」、「私の生活」と攻撃的なナンバーを連発。会場を揺らす。
 
怒りを原動力にしたロックンロールバンドなのか?と見せかけておいて、3曲目「快眠」はゆりえの「明日になったら芽は出るかな」という拍子抜けした、もとい、俄かに親近感の増すアカペラから入り、ガラッと空気を変える。ギターのシンプルなフレーズが快感なミドルテンポ曲。続く「春の月」は対照的に”大人”な曲。雲を追いかけるように、ゆゆんのステージにグイグイ引き込まれていく。
 
衝動的なロックから、”湿気”、”陰気”を芸術に昇華した「牛乳」のような楽曲まで、ゆゆんの振り幅は広い。最後は楽しさ全開の「にげよう」でスパーク!静かなどよめきを残して、ステージを去った。

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◆セットリスト
M01. さや
M02. 私の生活
M03. 快眠
M04. 春の月
M05. ハーベスト
M06. 隙間おばけのためのファンファーレ
M07. 牛乳
M08. にげよう
 
1stアルバム『カーテンコール』12/16(水)発売
◆ゆゆん 公式サイト
http://www.music-scene.jp/yuyum/
◆ゆゆん Twitterアカウント
https://twitter.com/yu_yu_yu_yuyum
 
◆インフォメーション
・2015年11月16日(月)【東京】新宿 紅布

 

◆ピンクシガレット

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3組目はピンクシガレット。ドストレート、直球ど真ん中の真っ向勝負なロックバンドだ。メアリー(Vocal & Guitar)は目をひん剥いて、真心を届ける。ストレートなロックナンバーを3曲立て続けに演奏すると、「久しぶりで気合い入りすぎた」と話す。ペース配分なんてせずに、伝えたい気持ちをそのまま歌に、声に乗せる。ロックンローラーの佇まいそのものだ。
 
4曲目は新たにリリースした曲「酒気帯び恋愛」。ルーシー(Bass)ベースソロから次第にテンポが上がっていく快活なナンバー。そしてサポートの某ユウヤ(Drums)が穏やかにカウントし、スローテンポな5曲目「PET」。重低音の優しさが敷布のようにステージを包むと、その上にシンシア(Guitar)とメアリーのギター、そしてボーカルがきらめく。「おるよ。おるよ。」日本語の響きと親近感を追究した歌詞にも注目だ。
 
ワクワクが止まらないステージ。最後は「GIRL」。展開の妙が冴えるこの楽曲で完成!”真っ直ぐだからこそ、クセのある”。そんなピンクシガレットのステージに釘付けになった。

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◆セットリスト
M01. かけだしてルーザー
M02. ふたりレボリューション
M03. 裏声
M04. 酒気帯び恋愛
M05. PET
M06. GIRL
 
◆ピンクシガレット 公式サイト
http://pinkcigarette.wix.com/pinkcigarette
◆ピンクシガレット Twitterアカウント
https://twitter.com/pinciga
◆インフォメーション
・2015年11月17日(火)【東京】新宿Marble
 ※メアリー弾き語り
・2015年11月18日(水)【東京】新宿Marble
・2015年11月25日(水)【埼玉】西川口Hearts
・2015年11月27日(金)【東京】立川BABEL

 

◆クレヨンイーター

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転換中のフロアは、前のライブの余韻と次のライブへの期待、様々な語らいとBGMで、夢見心地。…そんな、布団の中のようなぬくぬくを、目覚まし時計がジリリリと切り裂く!「おはよう!夜が明けたよ!」4組目の登場はクレヨンイーター。夜明けの多幸感を市川マコト(Vocal & Guitar)とアキヤマカズヒロ(Guitar)、2本のギターが作り出す。
 
武藤巧磨(Drums)がドカドカ鳴らし、3曲目は「怪獣前線」。男の子の玩具箱のような楽しい曲を、いっそうキャッチーに、キラキラにするのは、4月に新加入した紅一点のベーシスト、小野町子(Bass)だ。自らがクレヨンイーターの楽しさを全身で受け止め、それをそのままに表現するので、客席にもその楽しさがいっそう伝播していく。ファンタジーなナンバー「猫が歩いていたよ」を終えて、暗転。観客は固唾を呑んでチューニングを見守る。それを見て、市川マコトはこうつぶやく。「僕は、自分が最高に格好いいなと思う曲を作って、それを聴いてもらうのが好きだから、お行儀のいいお客さんは結構好きですよ。」
 
静かに爆発する「悪魔の涙」、そして最後は「イス取りゲームとアンコール」でフロアに辻風を起こす。それにしても市川マコトの手元にある鍵盤つきシーケンサー、そしてアキヤマカズヒロの背後にある曲の世界観を表現した紙芝居。電飾グルグル巻きの衣装。最初に観たときにはなんだか自縄自縛しているような気さえしたのだが、物理的な動きとは別次元のところで、こうした一つ一つの装飾は手となり足となり、クレヨンイーターにとっての翼になっている。ステージを耳を始め五感で受け止めたときに、そういう印象を持つことができた。

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◆セットリスト
M01. 性別があるらしい
M02. ベビアペ
M03. 怪獣前線
M04. 空飛ぶ象
M05. 猫が歩いてたよ
M06. 悪魔の涙
M07. イス取りゲームとアンコール
 
◆クレヨンイーター 公式サイト
http://crayoneater.xxxxxxxx.jp/
◆インフォメーション
・2015年11月21日(土)【東京】吉祥寺ROCK JOINT GB
 ※ワンマンライブ

 

◆ライリィライリー

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トリを飾るのは主催者、ライリーライリー式守ウノ(Vocal & Guitar)から、1st EP「ファーストロマンティックス」の案内に加え、バンド名をライリィライリーへと改名することが明かされる。「検索対策です」と式守ウノは笑う。
 
1曲目は1st EPの1曲目に収録された「タイムライナー」。genki(Drums)のタイトなドラムに、とよとよ(Bass)の落ち着き放ったベース、そこに式守ウノのハピネスなギターとハイトーンボイスが乗る。ロマンスを感じる演奏は、2曲目「ザクロのブルース」でも続く。”衝動”のロック。勢いと熱量が加速していく。
 
3曲目「雨の街を」もEP収録曲。生粋の優しさを感じる歌声。さらに4曲目「砂漠の夜に」はスローでエモーショナルな楽曲。穏やかな音楽とともに、体の熱量はクールダウンしていくが、対照的に心は芯からポカポカ温まるように…胸が熱くなっていく。人の感情を揺さぶる音楽こそがロック。速いとか遅いとかじゃない。
 
とは言え、いい感じにお酒も回ってきたところで、もうひと暴れしたい!というのが観客の偽らざる思いだろう。とよとよが軽快にベースを唸らすと、5曲目「ロマンティックロカビリー」で再びはじける!genkiは全身を躍動させ、楽しさ全開でビートを刻む。一方とよとよは職人然とした佇まいで、直立のままに軽快な音を出す。そして式守ウノは”陽”のアクセル全開!最後、6曲目「ストリートサイドマン」ではエモーショナルなギターソロで観客の拳を挙げる。
 
曲の最後は、朝日が昇るかのような眩しい照明で幕を閉じる。「変わらないことは変わってしまったこと」「忘れないことは忘れてしまったこと」そんな歌詞とともに、ストリートサイドのロックンローラーは、あくまで王道を、ブレずに走りぬいた。

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アンコールはTHE BEATLES「A Hard Day’s Night」のカバー。ライリィライリーはこのステージのあと、メンバーを入れ替えてツルミヨシタツ(Bass)、花輪タカミチ(Drums)、そして式守ウノの3ピースで再びスタートを切る。高円寺?下北沢?どこかの街の地下室で、変わらずに太陽のロックンロールを奏でるに違いない。
 

◆セットリスト
M01. タイムライナー
M02. ザクロのブルース
M03. 雨の街を
M04. 砂漠の夜に
M05. ロマンティックロカビリー
M06. ストリートサイドマン
-encore-
E01. A Hard Day’s Night(カバー)
◆ライリィライリー Twitterアカウント
https://twitter.com/raily_riley
◆ライリィライリー soundcloud
https://soundcloud.com/railyriley
 
◆インフォメーション
・2015年12月13日(日)【東京】新高円寺clubliner
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