特集

TEXT:野村佳緒理 PHOTO:鈴木亮介

Photoいつの時代にも、その初期始動を見逃したくないバンドがいる。そんな今こそ必見のバンド、それがクレヨンイーターだ。一度ライブを見れば、CD音源には閉じ込めきれない彼らのパッションに誰もが驚くことだろう。
 
そんな彼らが夏休み終了直前のこの日、今をもがき生きる爆発寸前の高校生バンドのために、自主企画「ロックンロールハイスクール!」を開催した。関西アンダーグラウンドシーンの重鎮・アナログエイジカルテット、ロック界期待の新星・安頭というあまりに強力な2組を迎え、「ロックンロールハイスクール留年生」3組が高校生バンド6組を迎え撃ったバトルの模様をぜひお楽しみいただきたい。
 
クレヨンイーター メンバー:
市川マコト(Vocal & Guitar)、アキヤマカズヒロ(Guitar)、武藤巧磨(Drums & Synthesizer)、富田康文(Bass)
 
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司会進行はクレヨンイーターの若きベーシスト・富田康文!これから登場する現役高校生ロッカーたちへの愛あるMCに、「トミー」の声援が飛ぶ。
 
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まずはRAW POWER炸裂高校生バンド6組の登場だ!トップバッターは、逆境クォーツ。「ロックンロールハイスクール、今日は楽しんでいこうぜ!」と声を張りあげて、1曲ごとにラウド感高まる男のロックを堂々と披露。「お頭を拝借したいと思います」と言葉は丁寧ながらヘッドバンギングの渦まで出現させ、今出せるマックスの音を出し切って、しっかり先制パンチを決めてくれた。
 
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続いて1年生スリーピースバンド・セントエルモが登場!1年生ながら1曲目はなんとオリジナル曲「パイレーツ」!どんなサウンドかと思いきや、ジグザグメロディーにアンニュイリズムのいきなりの変化球!続く2曲目は、DOESのヒットチューン「修羅」。粗削りだが不思議に耳にひっかかる男性ボーカルに、ギター&ドラムもひたむきに応えた。
 
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3組目は、ぱるらどーるが浴衣&甚平で元気いっぱいに登場!曲は、7!!ステレオポニーのヒットナンバー。前触れもなく、キュートなガールズボイスが伸びやかに響きわたると、会場のテンションが一気に上昇!天真爛漫に歌い踊るボーカルが目を釘付けにする中、滑らかに疾走する演奏が心地良く耳に残った。
 
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続いて登場したのはガールズバンド・μ5Rocket。1曲目は「夢見る少女じゃいられない」、2曲目はスキャンダル「少女S」と、期待を裏切らないガールズバンド王道ナンバーを披露!突き放すように歌うセクシーなボーカルに、「少女S」では掛け合いコーラスもダンサブルに決めて、会場はすっかりヒートアップ!
 
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続いてパンチの効いたアングラ感で会場の空気を一変したのは、異色の女性スリーピースバンド・空蝉狂奏曲。低音ボイスの魅力溢れる女性ボーカルにクールなベースとドラムが絡み合う心憎いアレンジ。何よりボーカルのギターが良い音を出していて、男性陣が思わず感嘆の声を漏らしていたのが印象的だった。
 
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そしていよいよ高校生バンドのトリを務めるテレキャスターズが登場!いきなり速弾きのロックナンバー、しかしバランスの良い演奏で会場を熱く盛り上げる!3曲目は、バンド名にも使われているエレキの定番・テレキャスターへの愛着を歌い上げた印象的なバラード。ラストは再びがむしゃらな高速疾走で、ロックを愛する少年少女6組の演奏が無事終了!
 
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しかし、やはりここからが本番だった。進行役・トミーの「瞬きもするな息もするな」という忠告は全く大袈裟ではなかった。ロックンロールハイスクール留年生・一番手、アナログエイジカルテットは本当に魔物だったのだ。パンクの原初的世界に留まり続けている稀有なバンド──そう言えばいいだろうか。いや、とても言葉では表現できない。バンドを操る中心人物は、あの志磨遼平ドレスコーズ)も影響を受けていると語るヤムさん(Guitar)。ライブ後にそれを知った時、神話の国・和歌山の土壌の深さを考えずにいられなかった。東京でメジャーになるバンドとは対極にあるこのバンドをクレヨンイーターが招聘したことの意味を、高校生たちは果たして理解することができただろうか。
 
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「永遠以来とトワイライト」、「マギーノイロウゼ」、「SLANG」、立て続けの3曲に打ちのめされる。キーボードをかき鳴らし、断末魔のような叫び声を上げ続けるのは、幽玄の美しさを持つ女性ボーカリスト、チサ(Vocal & Keyboard)。全ての楽器が凄まじくキレイな音を響かせているが、決してバラバラではない。さすがはロック大好きな高校生たち、食い入るように見つめる横顔は、食欲旺盛な吸収体勢に入っていた。ここでヤムさんのMC。最初は和やかなムードだったが、チサが「今日殴る奴、決めた」とつぶやくと、一瞬会場が凍りつき、4曲目は「顔面パンチ」。そして続く5曲目は物凄い名曲、「カモメのジョナサン」。言葉で表現できるような曲ではないが、個人的には魂が抜ける思いだった。そしてラストはそろそろ勘弁してやるというかのように、ポップなナンバー「真っ赤な’69」。ありきたりの言葉で簡単に形容できない、ロックを続けていきたいと願う高校生には確かに一度は観てほしいバンドだ。
 
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◆セットリスト
M01. 永遠以来とトワイライト
M02. マギーノイロウゼ
M03. SLANG
M04. 顔面パンチ
M05. カモメのジョナサン
M06. 真っ赤な’69
◆アナロクエイジカルテット 公式サイト
http://ip.tosp.co.jp/i.asp?i=analog_yam
 
◆インフォメーション
・2013年11月05日(火)【和歌山】OLDTIME

 
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「ロックンロール留年生」2番手は、目指すは「世界共通の祭り」、目標は「世界を変えること」と豪語するロック界期待の新星・安頭!明るいマーチに乗って、金井伶弥(Vocal & Guitar)、川上冬実(Bass)、坂本龍一(Drums)の3人が笑顔で登場。しょっぱなからクジャクのような一張羅をひるがえして絶好調の金井伶弥が「杏露酒。」、「テ☆キーラ。」と立て続けの2曲で会場をすっかりお祭り会場状態に導いていく。隙間まで計算されつくしたアレンジ、いろんな音が飛び出るカラフルな演奏、間奏がこんなに楽しいバンドはなかなかないのではないだろうか。
 
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ここで一息ついて、金井伶弥が「長いようで短い1日だったね」と語り始める。すると「ホントに短かった、今日!」と思わず応えてしまった高校生男子。おそらく会場の全ての人が同じことを思っていたのだろう、和やかな笑いが起きる中、気さくな兄貴分・金井伶弥の「みんな最高でした、ありがとう!」の声が温かく響く。続く「お金とアイデンティティ。」ではみんな踊りまくって、いつのまにか会場はすごい一体感。4曲目「後の祭り。」はちょっとシリアスな旋律のナンバー。間奏のギターも今までとは違うひずんだ響きを上げ、サビで重なる川上冬実の声質がまた何とも曲調を引き立てる。ラストは「最高のテンションでクレヨンイーターを迎えようぜ!」と叫んで、疾走感溢れる「烏龍海。」。澄んだ音で高鳴るかと思うと三味線のようにも響くエレキ音、凝りまくった演奏に高校生たちの拳が楽しげに振りあげられた。誰も拒絶しない、自然に輪をつくってしまう安頭の音楽は、まさに祭りの音楽。それは、発展途上ながら全力を尽くした高校生バンドと10代の観客たちに、このイベントの意味を自然に伝えてくれたのではないだろうか。
 
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◆セットリスト
M01. 杏露酒。
M02. テ☆キーラ。
M03. お金とアイデンティティ。
M04. 後の祭り。
M05. 烏龍海。
◆安頭 公式サイト
http://ansansans.jimdo.com/
 
◆インフォメーション
・2013年10月02日(水)【下北沢】club251
・2013年10月11日(金)【池 袋】MANHOLE
・2013年10月17日(木)【新 宿】Marble
・2013年10月19日(土)【下北沢】Daisy Bar
・2013年10月21日(月)【下北沢】CLUB Que

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そしていよいよクレヨンイーターが登場!オープニングは、この日のために用意したショートナンバー「ようこそロックンロールハイスクール!」だ。真ん中に立つのは、マッシュルームカットに謎のマスコット人形を飾った市川マコト(Vocal & Guitar)、すでにいくつかのバンドを経て、インディーズシーンでファン獲得済みの25歳。まだまだ若いこのバンド、アキヤマカズヒロ(Guitar)と武藤巧磨(Drums)はハタチそこそこ、今年新規加入の富田康文(Bass)は19歳。3月に待望のミニアルバム『頭の中の色』をリリースしたばかりの、何ともこれからが楽しみなバンドである。
 
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まずは2本のギターが緩く絡み合って始まる、「性別があるらしい」。ヘンテコな歌詞の不思議ワールドに、ゆっくりゆっくり引き込まれる。我に返ったところで、市川マコトのカッコいいMCが入る。「今日はコンテストの日だよ。何のコンテストって……今夜1番ロックンロールを好きになって帰った人が優勝のコンテストだよ!もちろん優勝するのは僕だから……みんな2番ぐらいになれるように頑張ってね」。会場のテンションを一気に上げたところでぶっ込んできたのは「水槽」。徐々に高まる回転数、徐々に激しさを増す歌声、そして「殻を破れ殻を破れ」のコーラスに被せるモノローグ、あげく宙に放つ「水槽」の一言。高校生たちにとってそれはまさにリアルタイムの閉塞感だったのだろう、その証拠に曲が終わってしばらくは、会場はシンとして誰も声を出せなかったのだ。するとMCというよりひとり言のように市川マコトがつぶやく。「僕の部屋にはたくさんのおめんがあって……今日は……ど、れに、しようー・・・か、な」。ひとり言が歌に変わると、絶妙なタイミングでドラムのスティックが振り下ろされる。本当の自分がわからなくて苦しむ思い、そんな時期はとっくに過ぎた身にも胸がしめつけられるそんな曲。
 
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そして間を置かずに5曲目は「サタニックマジョルカ」。「人を信じてみよう」と言いながら「怖い怖い怖い」と繰り返す声。市川マコトのとてつもない伝達力を強烈に思い知らされて、会場はまた、シンと静まり返る。そこに会場から思いきった「アッキー」「トミー」コール。和んだところで最高にロックンロールな「レッドブルジャンキー」!ふてくされた感じのアレンジがめちゃめちゃカッコ良く、会場は心地良い縦ノリに突入!そしてラストはギターリフが印象的な「頭の中の虫」。 聴き終えた観客たちの拍手は何だかバラバラで、それが余計に、誰もが胸を熱くしていることを証明していた。
 
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そして「イス取りゲームとアンコール」で再登場。定番アンコール曲を持ったバンドは多いものだが、こんな凄いアンコール曲はなかなかないだろう。詳しく書くのがもったいないほどなので、ぜひライブに足を運んで聴いてほしい。クレヨンイーターへの賛辞として敢えて正直に言いたい。音源だけ聴いた時には全く予想できないほどのライブだったと。そして思い返せば思い返すほどいろんな感情を高ぶらせてくれるライブだったと。
 
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5時間にわたって繰り広げられた「ロックンロールハイスクール!」は、市川マコトの勝ち誇ったような言葉で幕を閉じた。「僕が1番ロックンロールが好きだー!どうもありがとう!」。おそらく高校生バンドも留年生バンドもそれぞれに刺激的で貴重なものを渡し合えたに違いない。好きなものを好きでい続ける方法、そんな宿題に対するたくさんの答えが散りばめられた、素晴らしいイベントだった。
 

◆セットリスト
M01. ロックンロールハイスクール!
M02. 性別があるらしい
M03. 水槽
M04. おめん
M05. サタニックマジョルカ
M06. レッドブルジャンキー
M07. 頭の中の虫
-encore-
E01. イス取りゲームとアンコール
 
◆クレヨンイーター 公式サイト
http://crayoneater.xxxxxxxx.jp
◆インフォメーション
・2013年10月04日(金)【吉祥寺】ROCK JOINT GB
[JYOJI-ROCK × GB プロデュースライブ ~みんな青春まっただ中 Vol.1~]
~teen組~FUNNYBREAK/ shimeji/迷えるクロゼット/DIS/Rolls/Distortion Rhapsody/colorful panda /他
~adult組~ The Bombknows/クレヨンイーター/他
時間:開場17:00 / 開演17:30
料金:前売¥1500/大学生・専門学校生¥1000/*高校生以下¥500(いずれも+1drink)

 
・2013年10月13日(日)【東高円寺】U.F.O. CLUB
・2013年10月30日(水)【東高円寺】U.F.O. CLUB
◆東京CDジャケット100枚展
クレヨンイーターのCD
『頭の中の色』も展示されます!
 
開期:2013年10月05日(土)~11月30日(土)
時間:12:00~20:00

会場:デザイン工房「虎の子屋」
 (東京都練馬区江古田)
入場料:無料
 
http://toranokoya.com/100ten/
tokyo_100_band

 

★読者プレゼント★
当日来場者に配られたクレヨンイーター監修CD-R「ロックンロールの教科書」(クレヨンイーターメンバーサイン入り)を、抽選で3名様にプレゼント!
 
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