第十六回 録音の日々
先頃行なわれた「オズフェスト・ジャパン・2013」に、有り難くも人間椅子も参加させていただいたわけですが、その反響の大きさに今更ながら驚いています。もちろんブラックサバスと同じステージに立つ(!)のですから、気合の入らないわけがない、本番に向けてベストを尽しました。
オズフェストに出ることはすでに1月末に決まっていたのですが、さあそれから他言は無用、情報解禁日までの辛かったこと。でも、この一種の緘口令を守ったことにより、メンバー、スタッフ間の結束がよりいっそう強まった気がします。お陰さまで、素晴らしいステージになりました。
その余韻の冷めやらぬ中、いよいよ人間椅子のニューアルバムのレコーディングが始まりました。
レコーディングは、本当にワクワクします。ああ、今自分たちは最高のことをやっているんだ、喜びを噛みしめながら毎日スタジオ入りする──そういった日々は、なかなか味わえるものではありません。創造の喜びはその結果自体ではなく、まさに創っている過程にあると思う次第です。
ナカジマノブ君のドラムセット。バスドラとタムが新調されています。色合いも揃えてあり、見た目的にもグレードアップ。
鈴木研一君のベースアンプ。スピーカーキャビネットが新しくなっている!シルバーのラメ感があって、カッコいい。
そして、僕も新しいSGを買いました!
これには理由があって、レコーディング3日前の練習中にふとギターを見るとネックが折れている。いつ折ったか全然記憶にないものの、このままでは捨て置けず、そのギターは修理に出し、次の日急いで録音用のSGを買いに行ったのでした。
(このことに因果関係があるのかどうか・・・・ネック折れを発見したその日に、親戚のおばさん──僕の祖母の妹──が亡くなられました。僕が子供の頃、大変にお世話になった方です。合掌)
奇しくもメンバー全員機材を新しくし、まるでデビューアルバムのようです。僕自身、新品のSGを買ったのはファーストアルバムの時以来です。
そんな新鮮な気持ちで録音に臨む21枚目のアルバム『萬燈籠(まんどろ)』は、8月7日発売です。きっと幻想的で怪奇で、どこか懐かしい風合いのあるアルバムになることでしょう。皆さん楽しみに待っていてください。
*血染めのスネアのヘッドと、ボロボロに欠けまくったベース用ピック。
気合いのほどを物語ります。
*たまたま実姉が出張で、録音スタジオの近くまで来ていました。
差し入れにもらったリンゴジュース。
浪漫派宣言
和嶋慎治(人間椅子)