第8回「鎌倉見仏記」
芸術の秋、ということで美術展の話題はいかが?
今年の大河ドラマが「鎌倉殿の13人」ということもあり、鎌倉時代の仏教美術を取り扱う展覧会も各地で開催されております。
行って来ました。
まずは横須賀美術館の「運慶 鎌倉幕府と三浦一族」
白を基調にした爽やかな美術館が海沿いに佇む。晴天だったので建物の白が目に眩しいくらいだ。
三浦氏を演じる山本耕史さんがいたら似合うだろうな、というような涼やかで瀟洒な美術館。
展示では力強い不動明王や毘沙門天などが印象的。
武士の時代だし武士の勢力範囲なので、やはり戦勝に御利益のありそうな仏さまが特に拝まれたのだろう。
可愛らしいサイズの十二神将立像も僕の気に入った。データによると67.8~91.4cmとある(像によって少し身長が違う)。
兜の前面にそれぞれの干支の動物が付いていて、それもファンシーでキュートだ。
武器も一人一人違ったりしていて芸が細かい。
そして何と言っても興味を惹くのが各像のポーズだ。武器を持つ腕を高く上げ、もう一方の手は腰に当て、たいていは腰をねじったりひねったりしている。それが12体並ぶと全員でリズムを成しているようでもあり、壮観だ。
関節の可動域を目一杯使うさまはジョジョ立ちのようでもある。でもちゃんと理にかなった姿勢なんだよね、感心。
僕は前々から思っているのだけど、こういった仏教芸術の中の集団性が日本人の心に影響して、戦隊モノのテレビ番組が昔から人気だったりするのではないか。全員での決めポーズがあるもんね、たいてい。
僕の地元山形県の名刹、慈恩寺にて。「慈恩寺と大江広元の時代」
大江広元、鎌倉殿では栗原英雄さんが演じてましたね。大江氏は山形県寒河江市を統治していたそうです。
石段を登った先にあるお寺のお堂の中に居並ぶ像。神妙な心持ちになります。
こちらもやはり鎌倉時代のもの。
ここにも十二神将立像があり、横須賀で拝んだものと似ていました。
「中でも卯神と巳神の評価が高く、この2体はアメリカにわたって展覧会に出品されたこともあります。」とボランティアガイドのおじさまが誇らしげに教えてくださいました。
好きです、鎌倉仏。
フィジカルとメンタルの強さを賜るかのような芸術。
特に運慶をはじめとする慶派に連なる作品は真の意味でこの国の宝と言えるでしょう。
そう、すべては愛ゆえに!
(傷彦)