コラム
タイトルはテキトーによろしく(笑)
大山正篤
元ZIGGYのドラマー。現在はドラム以外にもヴォーカルとアコギ、さらに作詞/作曲/編曲/サウンドプロデュースもこなすマルチアーティスト。ドラムやヴォーカルのレッスンでは、解かりやすく的確な指導と爆笑トークが生徒から人気。天性の話術を活かし、音楽サイトADDICTIONにてパーソナリティー/アドバイザーとしても活躍中。

のーにゅーよーく Vol.2


今を遡る事20年近く前、ほんの暫くの間だがニューヨークに・・(以下Vol.1参照)

正直な所、ちょっとした用事以外の目的もさして無く、青春期にありがちな「知らない街に行けば新しい自分や本当の自分に出会えるかも・・・」なんつー平和ボケ他力本願メルヘンも全く持ち合わせて無かった為、至極退屈な日々を過ごしていた。

多少の期待が有ったソーホー地区も既に聖地では無く、「あーてぃすと」と認めたくなる人間や作品も皆無で、「あーてーぃすとになりたい(もしくはあーてぃすとだと思い込んでる)一般人のガラクタや落書き」が羅列してあるだけだった。

日本でいうと下北沢あたりで「アタシッテぇ~皆から変わってるって言われてぇ~」的な自称不思議ちゃんがいっぱい居る感じ。・・いやいやアンタ全然ふつーのお嬢さんだよ・・と心の中で突っ込むだけの毎日(both日米両国)。

生まれてこのかた「自称天才」「自称変人」「自称キ○ガイ」「自称あーてぃすと」等がほぼ本人の錯覚もしくは願望で在ることは嫌っちゅー程経験済み。

本物ってさ、気づいてないのよね、自分の才能や周囲とのギャップにさ。だから良くも悪くも凄ぇんだけどさ。にゅーよーくは深夜でも「明らかに危ない地区」さえ避ければ、一人歩きしても全然へーき(柔道着を着て黒帯を締めて歩けばなお可)

耳を澄ますとあちらこちらのパブから様々な生演奏が聞こえてくる(クラヴやギグハウスは一人じゃ行かないにょ、怖いから爆)

ブルースやジャズが流れてくる店が多いなか、なぜかヴァンヘイレンの「ジャンプ」が聞こえてくるパブを発見。あめりかんろっくはそんなに好物じゃ無いけれどなんとなく入店。中は懐かしき「大阪バハマ」をさらに劣悪にした感じ。

カウンターでバーボンロックをオーダーし(まじー)しばしステージ(つっても店の隅)に目を向ける。演奏は完璧!ラリッタ状態での本物よりクオリティは遥かに高い(爆)・・・ただ・・・プレイヤーが異様にダサい(それも全員)

しばらくボォ~っと見ていると、隣にいた黒人のオッサン(恐らく年下)が話しかけてくる。
「チャイニーズか?」
・・じゃぱにーずだよ・・
「にゅーよーくは初めてか?」
・・そーだよ・・
「じゃぱにーずboy!(たぶん年下)これがろっくんろーるだ!まぁ呑め!」
呑みかけのバーバングラス(まじぃ)に自分のボトルから酒を注いでくれる。

・・さんくす・・・
波々と注いでくれたのは「スコッチ(大キライ)」だった。

気の好いオッサン(確実に年下)が満面の笑みで演奏を見つめている隙に、そっと店を後にする。
表に出ると斜め向かいのパブからブルーススプリングスティーンが聞こえてくる。あめりかんろっくはそんなに(以下略)

開いてるスーパーで好きな銘柄のバーボンを買い、大人しくフラットに戻った色んな意味で過渡期のにゅーよーくでの一日であった。
(了)