2014年、デビュー5周年を記念して発売された豪華アーティストとのコラボレーションアルバム『VXV』はもっともOKAMOTO'Sらしく、今の若手のバンドシーンでは彼らにしか為し得ないものだった。OKAMOTO'Sの周りに人が集まるのは、彼ら個人の魅力も理由の一つだが、自分たちのルーツミュージックを愛し、センスも技術もそれに負けず劣らず体現できる姿が最高にカッコイイからだ。仲間が集まって音楽の話で盛り上がり、楽器を鳴らして騒いだり踊ったり。ナチュラルにそんなパーティ的雰囲気が似合うバンドだった。
しかし前作シングル「HEADHUNT」は今までのOKAMOTO'Sとは明らかに一味違った。彼らの持ち味の厚みがある楽器の音と、聴いたらすぐに体が動きだすビートはそのままに、生きていく上での影の部分を切り取った歌詞がなにより印象的な作品だった。
そして2015年、第2弾シングルとなる今作「Dance With Me / Dance With You」は、前作からつながるシリアスさも感じつつ、思わずPete Townshendのあの名言を思い出させる一枚でもある。
『ロックンロールは、別に俺たちを苦悩から解放してもくれないし逃避させてもくれない。
ただ、悩んだまま躍らせるんだ。』
一曲目「Dance With Me」はサウンドプロデュースをくるりの岸田繁が手がけていて、これは5thアルバム『Let It V』のリードトラック「HAPPY BIRTHDAY」以来で二度目となる。岸田のプロデュースは「OKAMOTO'Sの曲」として手を付けたのではなく、まずメンバーそれぞれの持っているものを引き出し、結果として「OKAMOTO'Sの曲」を作り上げたように感じる。たとえば曲の最初の部分の歌詞は4人での共作にさせ、オカモトショウ（Vox）の声に他のメンバーの声をうっすらかぶせるというアレンジがされている。
「明け方になって友達に電話をしたりすることがある／無意味にすごく強くなったような気がして／別に何も変わったわけじゃないんだけど／君が近くにいてくれたらすぐこの感動を話せるのに」
若さの象徴ような、しかしどこか哀愁も漂わせる魅力的な歌詞だ。この歌詞をそれぞれ個性の強い4人から引き出せるのは音楽的嗜好を幅広く持ち、メンバーもリスペクトをしている岸田に寄せる信頼からこそだと思う。
この作品の最も面白いところは両A面シングルであり「Dance With Me / Dance With You」どちらも同じ原曲というところだ。カップヌードルTVCMソングにもなった二曲目「Dance With You」はOKAMOTO'Sが自分たちで編曲を担当。一曲目とある意味で対になっており、「Me」があってこそのアンサーソングにもなっている。
また、OKAMOTO'Sと言えば大きいステージが似合うバンドであり、「You」の方は音源を聴いただけでその華やかなステージングが目の前に広がるように思える。一方「Me」のアレンジで使われている切迫感のあるストリングスと空き缶が転がって響き渡る音は、まるでどこかの地下室で秘密のライブが繰り広げられている、そんな新たなイメージが浮かんでくるようでもあり新鮮だ。原曲こそ同じだが、歌詞も編曲も全く違うので聴き比べてみても楽しい。
三曲目「ZEROMAN」は作詞をオカモトショウと松尾スズキが手がけている。松尾スズキ脚本、監督の映画『ジヌよさらば～かむろば村へ～』の主題歌に書き下ろした、駆け抜けるような疾走感あるギターリフが映える、ストレートなロックチューンだ。
「Me」と「You」を軸としてアルバムを制作中の彼ら。今回のシングルの完成度と、他のメンバーは曲作りに集中させるためバンドのプロモーション活動はハマ･オカモトが一人で担うという徹底ぶりから、OKAMOTO'S史上最高の名盤ができあがる予感がしている。このまま日本を代表するモンスターバンドになって、日本にとどまらず世界をも彼らの信じたロックンロールで躍らせてほしい。Dance With OKAMOTO'S！
◆リリース情報両A面シングル「Dance With Me / Dance With You」
・2015年06月17日（水）発売
初回盤(DVD付、7インチジャケット仕様)：BVCL-656～7 ￥1,389＋税
DVD:「Dance With Me」レコーディング・ドキュメンタリー映像
通常盤BVCL-658 ￥1,111＋税
＜収録曲＞
M01. Dance With Me
M02. Dance With You
M03. ZEROMAN（Single ver.）
◆OKAMOTO'S 両A面シングル『Dance With Me／Dance With You』SPECIAL SITE
http://www.okamotos.net/special/dwm/
◆OKAMOTO'S 公式サイト
http://www.okamotos.net/
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