演奏

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TEXT:野村佳緒理

Photo客電が落ちると、スクリーンに天まで届くようなイマジン・ピース・タワーが現れた。続いてJohn Lennonの生涯を振り返る映像が流され、BGMのTHE BEATLESメドレーが途切れたところで、John Lennonの日本語のメッセージが流される。「日本のみんな、こんにちは。世界平和のために手を繋いで歌を歌いましょう」――21世紀最初のJohn Lennonの誕生日から始まった「Dream Power ジョン・レノン スーパー・ライヴ」、13回目となる今回は、John Lennonの命日前日の開催となった。
 
「ひとりで見る夢はただの夢 みんなで見る夢は現実になる」を合言葉に、世界の恵まれない子どもたちに学校をプレゼントしてきたこのライヴ。今回もオノ・ヨーコの呼びかけで、計17組25人のトップアーティストがそれぞれに持ち味の光るトリビュートライブを披露し、日本武道館は大きな一体感に包まれたのだった。

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トップバッターはTHE BAWDIESROYLOVE PSYCHEDELICOのギタリスト・NAOKIが「All You Need Is Love」の前奏をかき鳴らす中、83年生まれの若きロックンローラーがのっけからフルパワーで観客に呼びかける。
 
総立ちになった観客を前に歌い上げたのは、「Slow Down」(Larry Williams)、「Bring It On Home To Me」(Sam Cooke)という、かつてJohn LennonがカヴァーしたR&Bナンバーだ。「Bring It On Home To Me」が収録され、ファンの間で根強い人気を持つ1975年リリースのカヴァーアルバム『Rock ‘n’ Roll』の世界から今宵の「スーパー・ライヴ」は始まった。
 
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続いてMONKEY MAJIKが「I Feel Fine」、「I Wanna Hold Your Hand」と軽快なツインヴォーカルでTHE BEATLESのヒット曲を披露すると、一転、miwaは「Across The Univers」、そして「Imagine」を弾き語り。スケールの大きな2曲を見事に歌い上げ、澄みきった歌声を武道館に響かせた。そしてflumpool山村隆太OKAMOTO’Sと若い音楽ファンの足をこの会場に運ばせた立役者たちが登場、オカモトショウの「90年生まれにも受け継がれてるぜJohn Lennon、Yeah!」という言葉に大きな拍手が巻き起こった。
 
中盤のスタートはthe HIATUS細美武士、続いてTOSHI-LOW×箭内道彦細美武士BRAHMANTOSHI-LOWは「東北ライブハウス大作戦アコースティックツアー」で、箭内道彦猪苗代湖ズの活動で東日本大震災以後の東北支援を続けているアーティストだ。一時的でない関わりを続ける彼らの言葉には深い重みがある。TOSHI-LOWが「Mind Games」を日本語詞を交えながら歌い上げるバックには、原発作業員の画像とコメントが次々に映し出され、誰かを支援する時、とてつもない苦難にあった時に根底にすべきものを再確認させてくれるような、そんなステージとなった。
 
ここから絢香元ちとせと実力派女性ヴォーカルが続く。恋する等身大のJohn Lennonの姿が思い浮かぶ、絢香の「Jealous Guy」。そして、奄美の歌姫・元ちとせの唯一無二の声が歌い上げるTHE BEATLESの革新的名曲「Tomorrow Never Knows」。どちらも鳥肌もののステージだった。
 
このイベントの常連かつJohn Lennonサウンドにぴったりの声の持ち主も、続けて登場。浅井健一の独特の声は、「Come Together」の「Shoot Me」の囁きとクールなサウンドに申し分ない相性の良さ。LOVE PSYCHEDELICOKUMIは安定したピッチでTHE BEATLESサウンドを再現。サポートメンバーの勢いも加速して、観客たちはロックンロールに心地良く浸っていった。
 
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そしていよいよ、井上陽水が13回目にして初めての出演。まずは「I Call Your Name」を披露。圧倒的な声量を、軽く発声しているかのように武道館に響かせる。そこにコーラス&ベーシストとして奥田民生を呼び寄せると、ひとしきり独特なトークを披露し、場内は爆笑の渦に。井上陽水奥田民生の2人による贅沢なセッションの1曲目は、井上陽水いわくJohn Lennonのネガティヴなアプローチにも惹かれていたということで、「You’re Going to Lose That Girl」。続いては名曲「Love」をしっとりと披露。ずっと聴いていたくなるような音の世界、紛れもない井上陽水の世界であった。
 
代わって奥田民生がハーモニカとヴォーカルを忙しげに繰り返すコミカルな芸当で、「Love me do」、「Please Please Me」を演奏すると、いよいよ主宰者、オノ・ヨーコが登場。前衛的まヴォーカルでステージを所狭しと動き回る激しいパフォーマンスを披露した。
 
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名残惜しくも、いよいよエンディング。司会のジョン・カビラによる、サポートメンバーと全出演者の紹介のあと、2013年に80歳のアニヴァーサリーイヤーを迎えたオノ・ヨーコのために、「Happy Birthday」の大合唱。さらにTHE BEATLESの大ファンだった漫画家、藤子・F・不二雄も生誕80年ということでドラえもんがお祝いに駆けつけ、このライブに何度も出演している斉藤和義吉井和哉からのお祝いメッセージも流された。
 
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そして最後は「スーパー・ライヴ」では恒例となった、出演者・観客全員がペンライトを用いて「I Love You」を伝えあう「オノコード」で、武道館にプラネタリウムのような空間が出現。幾千もの光がまたたく中、「Happy X’mas(War is Over)」、「Power to the people~Give Peace A Chance」、そして「Imagine」を全員で歌い上げ、「スーパー・ライヴ」は今回も感動のうちに幕を閉じた。
 
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時代はいつも目まぐるしく変化するし、「Love & Peace」は固定できるものではなく、その時代その時代で常に求めていかねばならない。Coccoが朗読したオノ・ヨーコの詩「あなたの故郷」が、自国以外の遠い国を自分の故郷のように愛する想像力を伝えていたように、「Imagine」を諦めず、そんな試みを続けていくこと。ロックンロールはそんな推進力にもなることを改めて感じさせられた3時間半だった。
 
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「Dream Power ジョン・レノン スーパー・ライヴ 2013」を
フジテレビNEXTにて放送決定!

2014年2月18日(火)21:00~24:00「ライブ・プレミアム」
http://dreampower-jp.blogspot.jp/
◆セットリスト
*オープニング映像/John Lennonの生涯
-ROY w/NAOKI-
M01. Slow Down
M02. Bring It On Home To Me
-MONKEY MAJIK-
M03. I Feel Fine
M04. I Wanna Hold Your Hand
-miwa-
M05. Across The Universe
M06. Imagine
-山村隆太(flumpool)-
M07. In My Life
M08. Ticket To Ride
-OKAMOTO’S-
M09. Yer Blues
M10. Hey Bulldog
-細美武士(the HIATUS)-
M11. Please Please Me
M12. No Reply
-TOSHI-LOW×箭内道彦-
M13. Mind Games
-絢香-
M14. Revolution
M15. Jealous Guy
-Cocco-
*詩の朗読「あなたの故郷(オノ・ヨーコ)」
-元ちとせ-
M16. Tomorrow Never Knows
M17. She Said She Said
-浅井健一-
M18. Come Together
M19. Help!
-LOVE PSYCHEDELICO-
M20. Glass onion
M21. I am The Walrus
-井上陽水-
M22. I Call Your Name
-井上陽水&奥田民生-
M23. You’re Going to Lose That Girl
M24. Love
-奥田民生-
M25. Love me do
M26. Please Please Me
-オノ・ヨーコ-
M27. It Happened~Waiting For The D Train
-全員-
M28. Happy X’mas(War is Over)
M29. Power to the people~Give Peace A Chance
M30. Imagine
◆Dream Power ジョン・レノン スーパー・ライヴ 公式サイト
http://www.dreampower-jp.com/
 
◆オノ・ヨーコ 公式サイト
http://imaginepeace.com/
 
◆THE BAWDIES 公式サイト
http://thebawdies.com/
◆MONKEY MAJIK 公式サイト
http://www.monkeymajik.com/
◆miwa 公式サイト
http://www.miwa-web.com/
◆flumpool 公式サイト
http://www.flumpool.jp/
◆OKAMOTO’S 公式サイト
http://www.okamotos.net/
◆the hiatus 公式サイト
http://thehiatus.com/
◆BRAHMAN 公式サイト
http://www.brahman-tc.com/
◆箭内道彦 公式サイト
http://www.yanaimichihiko.jp/
◆絢香 公式サイト
http://room-ayaka.jp/
◆Cocco 公式サイト
http://www.cocco.co.jp/
◆元ちとせ 公式サイト
http://www.office-augusta.com/hajime/
◆浅井健一 公式サイト
http://www.sexystones.com/
◆LOVE PSYCHEDELICO 公式サイト
http://www.lovepsychedelico.net/
◆井上陽水 公式サイト
http://www.y-inoue.com/
◆奥田民生 公式サイト
http://okudatamio.jp/
 
◆トリビュート・バンド 「Dr. Winston O’Boogie」
和田春彦(Keyboard)
長田進(Guitar)
押葉真吾(Bass)
斎藤有太(Piano & Keyboard)
土屋潔(Guitar)
古田たかし(Drums)

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【NEWS】Dream Power ジョン・レノン スーパー・ライヴ 2012
http://www.beeast69.com/news/rockinfo/49214
【特集】Dream Power ジョン・レノン スーパー・ライヴ 2011
http://www.beeast69.com/feature/7025