連載

TEXT & PHOTO:鈴木亮介
第7回 Stand Up And Shout ~脱★無関心~

Photo東京で生まれ育った小生にとって、9月1日というのは特別な日だ。夏休み明けの始業式に、どの小学校も必ず避難訓練をし保護者が子どもを引き取りに来るのが、東京の恒例行事だった。理由はもちろん、関東大震災を風化させないためだ。

小学生当時の自分にとって、2学期の始業式に避難訓練をすることは、毎日給食に牛乳が出ることと同じくらい当たり前のことだった。特段そこに思いを馳せたことはなかったのだが、大人になって改めて振り返ると、そうした無意識の意識というのだろうか、「当たり前に忘れないこと」はとても大切なことだと感じる。長期休暇と夏バテで呆けた頭をピリっとさせるサイレンの音。そして、必ず保護者が迎えに来て、一緒に帰って昼飯を食べる。そして、ちょっと震災のことを話す。「関東大震災はちょうどお昼時に発生したから、天ぷら油が引火して大惨事になったんだって…」

さて、BEEASTでは既存のメディアと一線を画し、「ロックと生きる…ライフスタイル応援マガジン」というコンセプトに基づき、当連載を通じて3.11震災等による現地の生声や、被災地関連のロックイベントを紹介していきたい。

今回は6月16日、17日に開催された「TOKYO×FUKUSHIMA HEAVY METAL SUMMIT」第3回の模様を前後半に分けてレポートする。今回初めて、私鈴木が自ら「サミット」に同行。テレビ新聞では報じられない現地の音楽シーン、そして被災地の実情に迫る。福島第一原発の「半径20キロ圏内」にも入ることができたので、その模様もお伝えしたい。まずは、初日の熱いライブの模様から。

≫2日目(6/17)の記事はこちら

6月16日 土曜日

Photo Photo
 
Photo Photo

今回、鈴木は東京からのツアーバスに同行。前回の記事でも書いた通り、メタラーの朝は早い!午前7時、新宿の集合地点には既に殆んどの参加者が集合している!定刻通り出発し、まずは三谷佳之実行委員長から簡単な挨拶、そして早くも缶ビールで乾杯!

Photo Photo
 
Photo Photo

小雨の降るこの日。前回と同様に今回も高速道路は順調に流れ、予定通り会場となる福島C-moonに到着。順次機材を搬入しリハを開始。三谷実行委員長らと3か月ぶりの再会を喜ぶC-moonのスタッフたち、そして今宵のライブを心待ちにする地元の高校生たちの笑顔が印象的だった。

そして午後5時、いよいよ第3回「TOKYO×FUKUSHIMA HEAVY METAL SUMMIT」の幕が開ける!今回は東京からの5バンドに加え、福島からも1組が参戦!

■RADIOACTIVITY

1組目は福島から、ヘヴィメタルサミット実行委員会のメンバーである杉岡”Keizy”恵二がベース&ボーカルを務めるRADIOACTIVITY!そのバンド名(radioactivity=放射能)の通り”被曝ロッカー”という宿命を背負い、被災者のありのままの心情を曲に重ね、全国に脱・無関心を訴え続ける。強烈な魂の叫びは、集まった全ロックファン、全メタルファンの心を強く揺さぶっていた。

Photo Photo
 
Photo Photo

◆RADIOACTIVITY ホームページ
http://radioactivity.xxxxxxxx.jp/

■蠍擬

2組目は女性ボーカルの蠍擬(さそりもどき)!ドイツを代表するHRバンド・SCORPIONSのトリビュートを激しく披露!サソリが這いずり回るかのような高速ギターリフに、オーディエンスも激しく頭を振って応じた。

Photo Photo
 
Photo Photo

◆蠍擬 ホームページ
http://sound.jp/sasorimodoki/

■RAINBOW MOON

続いて3組目は男性5人組のRAINBOW MOONJoe Lynn Turner期のRAINBOWをカバー。この日が現メンバーでの初ステージということだったが、心地良いサウンドを安定感のあるリズム隊が支え、オーディエンスも気持ちよさそうに身を委ねていた。

Photo Photo
 
Photo Photo

◆RAINBOW MOON ホームページ
なし

■Chykes

4組目は男女4人のChykesJohn Sykesのトリビュートバンドとして、ヘヴィメタルサミットは2回目の出演。両手を挙げて出迎えるオーディエンスに応えて、心地良い疾走感、グイグイ引っ張っていく熱いステージを展開。

Photo Photo
 
Photo Photo

◆Chykes ホームページ
http://chykes.jimdo.com/

■BON YOUNG

続いて5組目は衣装にもこだわりが見られる、AC/DCトリビュートのBON YOUNG!激しいステージングに重厚なギター音、そしてハイトーンヴォイスが心地良いボーカル!オーディエンスを熱狂の渦で包み込んだ。

Photo Photo
 
Photo Photo

◆BON YOUNG 公式mixiページ
http://page.mixi.jp/view_page.pl?page_id=133722

■BLOOD SABBATH

そして大トリはBLOOD SABBATH!ここ福島にOzzy Osbourneが降臨?憑依されたかのごとく不敵な笑みを浮かべ、首を振り、歌詞を紡ぎ出す水野王子(Vocal)に、オーディエンスもロック、オン!突っ走るギターリフ、沸き立つベースサウンド、雹(ひょう)のごとく叩きつけるドラムロールに合わせて、そこかしこでモッシュが発生!

Photo Photo
 
Photo Photo

◆BLOOD SABBATH ホームページ
http://www.bloodsabbath.com/

 
倒れそうになるほど前のめりで暴れるファンの姿には圧倒された。話に聞いていた通り、福島に潜在するロックパワーは半端でない。今宵の出演者はいずれも口を揃えて「このメタルサミットは普段東京でライブやる時よりもお客さんが盛り上がってくれるんだよね」と語っていた。もちろん出演者は東京でもファンの多い実力者ばかりだ。普段客が入っていないわけではない。東京の客に、福島ほどの情熱がないということなのか。

Photo Photo
 
Photo Photo

終演後、出演者とオーディエンス、スタッフが全員集合して、乾杯!杉岡実行委員、C-moonスタッフの菊地実行委員、そして三谷実行委員長による挨拶を経て、乾杯!

3回を重ねて、「サミット」は地元福島の人達、とりわけ音楽を愛する若い世代にとって特別なものになっているらしい。毎回、数週間も前から「そろそろヘヴィメタルサミットだね」と話題がのぼりはじめるそうだ。そして、「サミット」の翌日から数週間は「まだ首が痛い」「あの時盛り上がったね」と話題にするのだという。そうして、前後計1ヶ月間は、震災の悲しみ、原発の苦しみを少しだけ忘れられるという。募金やボランティアとは形が違うが、これも復興支援の一つの形だと確信した。
 
Photo Photo


第3回「TOKYO×FUKUSHIMA HEAVY METAL SUMMIT」 1日目ダイジェスト映像

 
2日目 被災地視察のレポートはこちらへ
http://www.beeast69.com/serial/mukanshin/35786

photoTOKYO×FUKUSHIMA HEAVY METAL SUMMIT 公式ページ
http://www.heavymetalsummit.jp/

東京&福島ヘヴィメタル・サミット第4回は
9月15日(土)&16日(日)開催!
元祖直訳ロッカー王様を筆頭に、BLOOD SABBATHコジーンオズボーンSIXX TIMES CRUELアルプスの撃墜王ハイジBLAST GATEの出演が決定。
詳細は公式HPへ

photo
ライブハウス C-moon(福島市)
http://c-moon.net/

 
◆関連記事
【連載】脱・無関心 バックナンバーはこちら
http://www.beeast69.com/category/serial/mukanshin
【特集】Editor’s Note…PASSION Mind1 被災地の音楽店は、今 ~仙台/石巻で聞く~
http://www.beeast69.com/feature/22950
【レポート】映画『オジー降臨』
http://www.beeast69.com/report/2745