演奏

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TEXT:鈴木亮介

あの感動的なShima-chang復活ライブ(すかんち結成30周年記念TOUR Final!)から早4ヶ月。すかんち30周年のツアーファイナルライブのDVD化が決定し、その発売を記念したワンマンライブが赤坂BLITZにて開催された。またしてもユニークなタイトルがBLITZ前の電光文字板に流れる。
「30th TOUR Final LIVE DVD発売記念 ファンタスティックすかんち2013サバイバル 天国と地獄のリバーシブル!表と裏を付け損なっては大変だ。アメイジングすかんち!今夜 自由を 喜びを ファンタスティックすかんち!今夜 愛を 微笑みを リバイバル&サバイバル!バンドはどこか謎めいてみえる。」
 
事前に「1stアルバムから3rdアルバムまでの曲のみを披露する」とアナウンスがあった今回の公演。往年のファンから”新参者”まで、どのようなショウが展開されるのか、いつも以上に期待に溢れている様子だ。
 
すかんち メンバー:
ROLLY(Vocal & Guitar)、Shima-chang(Bass & Vocal)、小畑ポンプ(Drums)、ドクター田中(Keyboard & Vocal)、小川文明(Keyboard)、佐藤研二(Bass/※サポート)

 

 

まだステージに誰も立っていないと言うのに、場内は既にすかんちショウの世界観が出来上がっている。SEが一曲終わるごとに歓声が起き、次第に曲中にも手拍子が起こるようになる。待ちきれないのだ。
 
午後6時、あれ、サザエさん?と思うSE(60年代後半に活躍した1910 Fruitgum Companyの「Bubble Gum World」)の流れる中、ステージが真っ赤に照らされると、小畑ポンプを先頭にすかんちメンバーが登場!1曲目は3rdアルバム『恋の薔薇薔薇殺人事件』から、そのタイトル通り王道のロックンロールフレーズがたまらない「栄光のロックンロール★キング」!曲中に「日本一の美食家!」「日本一のキーボーディスト!」とメンバー一人ひとりを紹介しながら、まずは一人ひとりの、一つひとつの音を、しっかりと聴かせる。
 
 

「今日は我々20年ぶりくらいに演奏する曲が多いのでドキドキする」とROLLY。2曲目は1stアルバム『恋のウルトラ大作戦』から「魅惑のYoung Love」。心地良いミディアムテンポに観客も一つになって体を揺らす。そんな心地良さげな赤坂BLITZという大きなゆりかごを揺らすように、ROLLYも伸びやかに、切なげに歌い上げる。すかんちの屋台骨・小畑ポンプも、一つ一つの太鼓に「今日は頼むよ、息子たち」とささやかんばかりにスティックを落としている様子。空気が温まってきた所で、3曲目は再びハイテンポな爽快ロックンロールナンバー、「恋はB・O・M・B・E・R」!ノリノリのギターに合わせてタテノリ!沸き立つ観客に小川文明もとびきりのスマイルで応える。ドクター田中との間奏でのキーボード対決も心地良く、感極まった客席から「最高!」と賛辞が飛ぶ。
 
   

いつも以上に(?)饒舌なドクター田中がマイクをとり、普段のライブとは違った選曲、「大逆転~涙の卒業写真」と「涙のサイレント・ムービー」の2曲を少年のような爽やかポップに歌い上げる。「若い頃の曲はわざとノリにくく意地悪なことばかりしてたけど、だんだん年を取ると親切になってきて、みんなと一緒に楽しみたい!となってきました。男も女も、楽しも!」とROLLY。1stアルバムのレコーディング以来ライブで一度もやってないのでは?という「秘密の24時」が披露される。奇才・ROLLYによる複雑怪奇な奥深いメロディ。メルヘンチックな歌詞に小川文明の不可思議な音色のオルガンが重なる。さらにドクター田中作詞・作曲の「星空のジュリエット」、そしてROLLY作詞・作曲の王道ロックンロールナンバー「109で待っててよ」と続く。
 
 

ノリノリの軽快なロックンロールギターに合わせて、ステージ下手からまさに待ち合わせ場所にやってきたかのように、あの人の姿が。Shima-changだ!コーラスに参加し、そしてROLLYから紹介を受けると、なんとその場で車いすから立ち上がった!きょうのためにリハビリを続けてきたShima-changROLLYから何か一言と促され、笑顔で客席にその思いを、シンプルに届ける。「えー、元気です!」
 
Shima-changですけど何か問題でも?」DVD発売記念のライブだ、というROLLYの説明にも「そうなんですか?」と調子よく応える。そんな愛らしいShima-changの立ち上がる姿に皆勇気を与えられたことだろう。「(近況報告は)何にもないです。ハハハハ…生きてます!」飾らない言葉が何よりShima-chang復活の証拠。もう涙を流している場合じゃない。「好き好きダーリン」をステージの皆、そして客席の皆と一緒に熱唱し、「さいなら、バイバイキーン!」最後まで笑顔のままステージを下りる。
 
   

「今回は二本足で立ってもらいましたので、今度はお習字をしてもらいましょう。どんどん社会復帰をしてもらおうと…」そんなROLLYの宣言に期待も高まる中、ここからは後半戦だ。すかんちの超大作「ボヘミアン・ラプソディII」は清流のように心地良い小川文明のキーボードに、小畑ポンプの深淵のような雰囲気を醸し出すシンバル、と物語が見えてくる。続いて「ラヴレターの悲劇」では佐藤研二が一段登って陽気にリフを奏で、ドクター田中もタンバリンを手に楽しそう。そこにROLLY小川文明の即興掛け合い!この日が1st~3rdアルバム縛りのセットリストということもあってか、「バンドって楽しいんだぜ!一緒にやろうよ!」そんな30年前の様子そのままに、いやそれ以上に?童心に返って楽しみまくるすかんちが堪能できる。
 
もちろん「童心に」とは言えどもそのテクニックは30年トップランナーでい続けた彼らのこと、ここで形容するまでもない。続く「スローソンの小屋」では「日本一のブルースギタリスト!」小川文明もギターを持ち、さらにドクター田中もギターを手に。3本のギターと歌声のハーモニーがあまりに綺麗で、ミステリアス、ややホラーな歌詞とのギャップにハッとする。間髪入れず続いた「ハロー・エヴリバディ」もコーラスが心地良い!
 
   

続く14曲目は軽快なギターの旋律に合わせてドクター田中が歌う「涙の転校生」。「何しろ今日は20代の時に作った曲ばかりだからね…小学生の時の作文を読むような気分」とROLLY。自ら「青春丸出しソング」と紹介し始まった15曲目、歌い出しが全力で「愛してる」の絶叫連呼!確かに青春全力疾走な「炎のロックマシーン」を全力で披露。
 
さらに小畑ポンプがバスドラを沸騰させる「怪傑!笑い仮面」。そしてついに最後の曲は、「ボクはジーザス」!中毒性の高いメインフレーズが何度も繰り返され、やがてスローペースに。名残惜しい中、ステージ本編は幕を閉じる。
 
   

アンコールの声は、いつの間にか「Shima-changShima-chang!」コールに。ステージに戻ったROLLY、メンバーに向けて「平均年齢80歳まで頑張りましょう」と宣言。「デビューしたのが23年前さ。よもや…やってると、思ってた?ワシ、思ってた。なぜだか分かるかい?これしかできないから…」そしてアンコールの3曲は、懐かしい歌詞も登場する「恋のショック療法」、そしてやはりこれを聴かずには帰れない!「恋の1,000,000$マン」で客席も大合唱!
 
 

「もう一度Shima-changを呼びましょう!」新しい課題(お習字?)に挑戦することも決まったShima-changもそろって、すかんちフルメンバーで最後に演奏するのはもちろんこの曲、「恋のマジックポーション」!観客も持てる体力を全て使い果たさんとばかりに全身で踊り、歌い、すかんちに恋する!全20曲、ファンタスティックで、アメイジングなすかんちのロックンロールショウ、ここに完成!「今夜の感動は東京ドームに勝った!(=同時刻に某バンドの解散コンサートを開催)」去り際にドクター田中が叫んだが、勝ち負けなどないと分かっていても、やはり同調せずにはいられない。今日の日本、ロック、すかんちの勝利!
 

◆セットリスト
M01. 栄光のロックンロール★キング
M02. 魅惑のYoung Love
M03. 恋はB・O・M・B・E・R
M04. 大逆転~涙の卒業写真
M05. 涙のサイレント・ムービー
M06. 秘密の24時
M07. 星空のジュリエット
M08. 109で待っててよ
M09. 好き好きダーリン
M10. ボヘミアン・ラプソディII
M11. ラヴレターの悲劇
M12. スローソンの小屋
M13. ハロー・エヴリバディ
M14. 涙の転校生
M15. 炎のロックマシーン
M16. 怪傑!笑い仮面
M17. ボクはジーザス
-encore-
E01. 恋のショック療法
E02. 恋の1,000,000$マン
E03. 恋のマジックポーション
 
◆ROLLY 公式サイト
http://www.rollynet.com/
 
◆ROLLY オフィシャルfacebookページ
http://www.facebook.com/rolly.official
◆インフォメーション
ROLLY生誕50周年前・後夜祭
<前夜祭>
・2013年08月31日(土)、09月01日(日)、
09月02日(月)←完売
【東京】青山円形劇場
<後夜祭>
・2013年09月09日(月)、09月10日(火)
【大阪】心斎橋 JANUS
詳細はこちら:http://www.rollynet.com/
 
筋肉少女帯ツアーにすかんちがゲスト出演
・2013年10月31日(木)【名古屋】BOTTOMLINE
 

◆関連記事
【レポート】すかんち結成30周年記念TOUR Final!
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