演奏

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TEXT:鈴木亮介

本誌特集「rock girly parfait」でも追い続けている、4ヶ月連続リリースを展開中のねごと。みんなに立ち止まってほしい「nameless」、恥じらいやためらいなどの高い壁を越えてもっと音楽のきらめきを共有したい「greatwall」。そして、その次へ…。ねごとの自身初となるホールツアーが12月に東名阪で開催された。
 
集まった観客も慣れ親しんだ様子という感じではなく、どんなライブになるのだろう…と初めて訪れる場所への期待とちょっぴりの緊張を両手に抱えているような様子だ。そんなホールツアーファイナルの東京公演は、「ファイナル」どころか「ここから始まります」という開会宣言となった。
 
◆ねごと メンバー:
蒼山幸子(Vocal & Keyboard)、沙田瑞紀(Guitar)、藤咲佑(Bass)、澤村小夜子(Drums)

「本日は座席の指定がございます。チケットと座席番号が合っているかもう一度ご確認をお願いします。」普段はほとんど気に留まらないアナウンスにも、何となく耳が傾く。おや、何だろう。ぎこちなさとは言わないまでも、流暢に機械的に済まされるアナウンスとはちょっと違う感じ…
 
「操縦者である私たちの方から『アリーナ!1階!2階!3階!』と呼びかけることがありますが、その時はぜひ声をお聞かせください」…聞き覚えのある声。アナウンスをしていたのは、沙田瑞紀だ!「ワタクシ、瑞紀による記念撮影がいきなり始まる可能性が高いです」「気持ちのいい素敵な夢が見られますように。まもなくこちら『ねごとドリーム号』がライブ空間へ突入します!」早く入場したファンには嬉しい計らいだ。
 
ねごとメンバー自身が選曲したという洋楽がBGMで流れる中、徐々に埋まっていく客席。そしていよいよ、出発時刻の午後6時を回る!純白のカーテンの幕で覆われたステージ。その布一枚挟んだ向こう側から、軽やかにピアノのアルペジオが奏でられ、蒼山幸子の透き通る歌声が重なる。歌詞の通り「雲よりも白い」、「空よりも青い」、清廉さ。澤村小夜子がスティックを叩いたのを皮切りに、そこにドラム、ギター、ベースがミルフィーユのように重なり、ゆらゆら揺らめく夢の世界が広がる。自然と体が揺れる。なんて心地良いのだろう。
 
間髪入れずに「greatwall」のあのイントロが重なる。9月にリーダーに就任したという藤咲佑が、前に出て客席を煽り、手拍子を求める。その藤咲佑が、最初のMC。「ねごとのライブ、初めて来た人?」「東京都民の人!」徐々に温まっていく客席。「素敵な夜を作っていきたいので、よろしくお願いします!」「一つになりたい」「みんなで楽しいなって思える空間を作りたい」…藤咲佑の言葉からは、引っ張っていくんだという気合いというか気負いのようなものを感じる。言葉がどれも、真っ直ぐだ。
 
「自然と体を揺らしてくれるような曲をやります」と、続いては「drop」。タイトル通り、ポロポロと雫がこぼれるような世界観が楽しい。インタビューでも語られていたが、ねごとの楽曲はワールドワイドに彼女たちが「好きなものを吸収しまくった」幅広い音楽性、そして蒼山幸子が紡ぐ絵本のような優しい歌詞の世界観、カラフル感が魅力だ。ピアノを弾いている人なら、つられて自然と指が動いてしまうのではないか。この日に向けてホットヨガと飲むヨーグルトで体を作ってきたという蒼山幸子、元気いっぱいに踊り回る。
 
澤村小夜子の快速ドラムが印象的な「Lightdentity」、4人の力強い音が揃うフレーズが印象的な「季節」と、アップテンポな2曲が続く。その明るさのまま、続いてのMCは澤村小夜子がハイテンションに担当。「男の子元気ですか?女の子元気ですか?」
 
沙田瑞紀がリードし、続いての「Tonight」は観客とコール&レスポンス。「ワンダーワールド」でもゆったりと「オオーオオー」の大合唱。そして映画『今日、恋をはじめます』のテーマソングにも起用された「ながいまばたき」。軽やかなギターリフが、水槽を、あるいは海底をプクプクと漂う泡を再現する。
 
さてライブ中盤は恒例「お口ポカーン」タイム!これまでメンバーさえ知らされていない状況で「かえるの合唱」などを即興披露していたこのコーナー。クリスマス1週間前であるこの日は、クリスマスソングの即興披露!「一緒に歌いましょう~!」と澤村小夜子がいざないつつ、キーボードの前に立つ。沙田瑞紀もアコースティックギターを構える。何かリクエストは?という声に客席から「きよしこの夜!」とすかさずレスポンス。それに応じて澤村小夜子はイントロを弾きつつ「これ歌うの難しいよね…羊の御子(みこ)が食べられちゃう話だよね?」とすかさず天然発揮。
 
まるで4人のリハスタにお邪魔しているかのような、すっかり和やかまったりモードになったところで、まずは「ジングルベル」を披露することに。サビのハーモニーがたまらない。そして、沙田瑞紀が語る。ライブがうまくいかないと悩むこともありつつ、「それでもたくさんライブをやりたい」「もっといい景色が見たい」という思いでここまで進んできたのだという。この4ヶ月連続リリースが始まってから歯車が合い始めて、「私たちスパークしてる中!」そんな思いを表現したくて…と選んだのが、続いて披露する「we wish a merry X’mas」!オルガンの温かいサウンドに、4人の温かい歌声が調和する。
 
確かに、今年来年の感謝と祝福という歌詞も現在の彼女たちの偽らざる思いなのだろうし、この楽曲もねごとの魅力を十二分に引き出してくれる。最後は4人が1人ずつサビを歌い、夢の国に静かに粉雪を降らす。
 
さあ終盤に向けて再び走り出そう!インターバルを挟んで、各々赤をあしらった衣装に着替えて再登場。まずは2011年6月リリースの2ndシングル「メルシールー」を披露し、そのまま新曲「街」へ。「高い高い空の上には 冷たい風が吹いていました」そんな語りから、都会の喧騒の中で沈みゆく夕陽、誰かの悲しみ…そんなテーマを歌ったような、重たさのある曲だ。さらに、こちらもどこか憂いを含む「week…end」と続く。
 
「4人で演奏している時の気持ちは、ねごとを結成した高校2年生の頃から変わらない」と語る蒼山幸子。そんなねごとにとっての原点とも言うべき、高校2年生の時に作った曲「AO(あお)」。人の心に生まれる、様々な思い。”哀愁”と一言で片づけてしまうのは簡単だが、思いはもっともっと深く織り込まれているはず。その一つ一つのひだにゆっくりとじっくりとスポットを当てていく。そんなこの曲、蒼山幸子はいっそう力を込めて歌い上げる。
 
そして続いても初期の曲、藤咲佑沙田瑞紀が作詞に携わった「NO」。前半は何度もステージ前に出て引っ張っていこう!というスタンスであった藤咲佑も、この曲では演奏に120%没入し、後半テンポアップしてくる所ではもう完全に陶酔モード。そしてこの曲が終わると、客席からは前半比1.5倍?2倍?まるでオペラ公演が終了したかのような大喝采が起こる。
 
ここからはアップテンポナンバー!「私たちが初めて、聴いてくれるみんなのことを思って作った曲」、そう、CMソングにもなり、この曲を以て日本国内隅々にねごとを知らしめた、「カロン」だ!沙田瑞紀がジャラーンと6弦を弾き、蒼山幸子がポロンと白鍵を弾いて、藤咲佑澤村小夜子が重低音をうならせて…これはもう、爆弾だ!右手を挙げて、全身で揺れる客席!何という一体感だろう。
 
2ndフルアルバムのタイトルが『5』であること、そして卒業旅行ツアーを経て5月にZEPP TOKYOで凱旋ライブを行うこと…サプライズが次々と発表される。そして、「泣けてきちゃうほど辛い」一人ランを経験した沙田瑞紀から、5月のライブまでにメンバー4人それぞれがトレーニングのために各々走り、その走行距離を競おう!ということに。
 
そして4ヶ月連続リリース第1弾「nameless」で、爆弾投下!ホールで披露される「nameless」は力強い。満杯の観客、すなわち5人目のメンバーを加えて、いっそう爆弾度合いを増しているように思える。さらに、「ループ」では天井に吊るされていた大きな風船爆弾が落下!曲中にふわふわ飛び跳ね回った末、パンと割れて中から小さな風船が弾け飛ぶ!風船を持った観客が手を左右に振り、より一層カラフルな景色に!さらに「sharp#」でラストスパート!
 
今日一番の拍手大喝采が鳴り止むのを待って、語り始める蒼山幸子。「こんなの意味あるのかなって思うような日々や、誰かがくれた一言のようなすごーくちっぽけな記憶ほど、後から見たらすごく確かなものなんじゃないかなって私は思っていて、それだけでいいんじゃないかな、そういう予感を信じることができることが大事なんじゃないかなと思っています。そんな未来への予感を少しでもみんなに贈りたい。今一番気持ちを込めて歌いたい曲です。」そして、ゆっくりと演奏を始める。1月23日リリースのニューシングル「たしかなうた」。「ライブは盛り上がって幕を下ろす」「アンコールがあって」…そんなセオリーを打ち破ってでも伝えたかった、ねごとから「5人目のメンバー」たちへの思い。それは確かに、そこにいた一人ひとりの胸に届いたことであろう。「次章へ続く…」そんな余韻をたっぷりに残したまま、ステージは幕を閉じた。

 
◆セットリスト
M01. インストゥルメンタル
M02. greatwall
M03. drop
M04. Lightdentity
M05. 季節
M06. Tonight
M07. ワンダーワールド
M08. ながいまばたき
M09. ジングルベル
M10. we wish a merry X’mas
M11. メルシールー
M12. 街
M13. week…end
M14. AO
M15. NO
M16. カロン
M17. nameless
M18. ループ
M19. sharp♯
M20. たしかなうた

 

 
◆ねごと 公式サイト
http://www.negoto.com/
 
◆インフォメーション
◆お口ポカーン!! 卒業旅行は全国ツアー ~GREEN and motion~
・2012年02月15日(金)【千 葉】LOOK
・2013年02月16日(土)【水 戸】LIGHT HOUSE
・2013年02月17日(日)【宇都宮】HEAVEN’S ROCK VJ-02
・2013年02月23日(土)【神 戸】太陽と虎
・2013年02月24日(日)【京 都】磔磔
・2013年02月28日(木)【浜 松】窓枠
・2013年03月02日(土)【岡 山】IMAGE
・2013年03月03日(日)【出 雲】APOLLO
・2013年03月09日(土)【鹿児島】SR-HALL
・2013年03月10日(日)【熊 本】Django
・2013年03月23日(土)【高 知】X-Pt.
・2013年03月24日(日)【高 松】DIME
・2013年03月30日(土)【仙 台】MA.CA.NA
・2013年03月31日(日)【新 潟】GOLDEN PIGS RED STAGE
・2013年04日06日(土)【盛 岡】CLUB CHANGE WAVE
・2013年04月07日(日)【郡 山】CLUB #9
・2013年04月13日(土)【福 岡】BEAT STATION
・2013年04月14日(日)【広 島】CLUB QUATTRO
・2013年04月19日(金)【富 山】SOUL POWER
・2013年04月20日(土)【金 沢】van van V4
・2013年04月21日(日)【長 野】LIVEHOUSE J
・2013年04月29日(祝)【札 幌】PENNYLANE 24
・2013年05月18日(土)【沖 縄】桜坂セントラル

 
◆お口ポカーン!! 東名阪ワンマンツアー ~spark of FLOWER~
・2013年05月04日(土祝)【大 阪】なんばHatch
・2013年05月06日(月祝)【名古屋】CLUB DIAMOND HALL
・2013年05月11日 (土) 【東 京】ZEPP TOKYO

 
「ステージに立つのがすごくすごく怖いなぁって時がありました。でも今は本当に本当に、ここに立てることが、楽しいなぁって素直に思えてます。」心の内をしっかりと伝える藤咲佑
 
このままでいいのかと自問自答の末、4人が出した答えは、今この瞬間、確実に実を結び、花開こうとしている。曲を終える毎に大きくなる拍手の音。ライブの最中、その瞬間瞬間に成長し続ける様子を目の当たりにする…そんなライブは初めてだ。2012年、ねごとが放った爆弾は、あまりにも大きい。
 

 
◆関連記事
【特集】rock girly parfait ねごと(part2)
http://www.beeast69.com/feature/47297
【特集】rock girly parfait ねごと(part1)
http://www.beeast69.com/feature/43537
【レポート】「今日、恋」公開前夜祭 今日、恋をはじめナイト!!
http://www.beeast69.com/report/48303


 
 
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