演奏

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TEXT & PHOTO:鈴木亮介


2012年はSCANDALにとって激動の一年、そして記録づくめの一年であった。3月にガールズバンド史上最速となる結成から5年7ヶ月での武道館公演を敢行したかと思えば、シングル「太陽スキャンダラス」「ピンヒールサーファー」を相次いでリリースし、連日テレビにラジオに引っ張りだこ。さらには9月にアルバム『Queens are trumps -切り札はクイーン-』をリリースし、ガールズバンド史上初となる1stアルバムから5作連続オリコンウィークリーチャートトップ5入りを果たす。そして、全国ホールツアーの旅へ。その道中では、「今、一番可愛い!ファッションなども真似したい!と思うガールズバンド」ランキング1位に輝いたこと、日本人アーティストとして初の快挙となるWindows 8のCMへ楽曲が起用されたことなど…ニュースが途絶えることはなかった。そして、来年3月にはデビュー以来の夢である大阪城ホールでのワンマン公演も決定…瞬く間に2012年を駆け抜けて行ったトップランナー、SCANDALのツアーファイナルが11月22日に中野サンプラザにて開催された。

 

 

開演前に既に夕陽は沈み、冬の寒さが広がる中野だが、開場を待つファンのハートは”アツイ太陽”のごとく燃えている!10代、20代の男女が圧倒的に多く、制服のまま訪れた女子高生や、メンバーTシャツを4枚分着こんでいるファン、そして中には男女のグループの姿も。「SCA連」といって、ライブを通じて知り合い、仲良くなったという。「今回のツアーは3回参戦した!」「一番遠い所だと京都、新潟まで行った!」と、次々にその情熱を語ってくれた。

 

 

午後6時、待ちに待った開場!ホールツアーなので座席は全席指定なのだが、それでも少しでも早く入りたい!というファンが行列を作っている。開場前からグッズ販売は行っていたため、既に真っ赤なツアーTに着替えて臨戦態勢のファンが多数。物販スペースには男女問わず、普段の私服としても重宝できるファッショナブルなTシャツが数多く並ぶ。そして、ホール内に入ると、そこはもうテーマパークのアトラクションに入場した気分。お城の大時計が出迎える壮大な舞台に、期待が刻一刻と高まる!

 

 

そして午後7時、ついにこの時が来た!大時計の針が動き出し、SCANDAL城に立ちこめるスモーク、パッと照明が光るとそこに、4人のクイーンが降臨!まずは今作の中でも彼女たちの決意表明的な「Rock’n Roll」から、今宵のライブはスタート。MAMIの力強いギターリフが幕を切り裂き、呪文から解けたオーディエンスが一斉に手拍子を揃える!「Hey!Hey!」かけ声も高まる中、間髪入れず2曲目「瞬間センチメンタル」で全力疾走!さらに3曲目はイントロのギターソロが「バリバリロックするぜ!」と訴えかけてくる「Queen are trumps」。アルバムでは冒頭に収録されたこの曲、メジャーリーガーのような重厚感があり、オーディエンスも全身を揺さぶってビートを刻んでいる。

 

曲が終わった瞬間に大歓声が沸き起こる!「てぃも~!」「リナ~!!」まるで闘技場に来ているかのような迫力だ。「ファイナルだよ!みんな気合い入ってんな?もっと声出せるな?もっともっと踊れるな?アホになれるか?」HARUNAが一言一言煽るたび、RINAがバスドラを踏むたびに、湧きおこる大歓声!ライブというより、試合を観戦しているかのような錯覚に陥る。「最高の夜にしようぜ~!」HARUNAの絶叫、そこにMAMIのギター、もう何十回何百回と聴いてきた耳馴染みのリフに、またも歓喜の雄たけびを上げるオーディエンス!和田唱からの贈り物、ニューアルバムを代表する1曲「ピンヒールサーファー」だ!

 

5曲目「Rising star」、6曲目「ビターチョコレート」とニューアルバムからの選曲が続く。切ない歌詞とメロディが涙を誘う「ビターチョコレート」は、TOMOMIHARUNAそれぞれの切ない歌声にキュンとしてしまう。
さらに、7曲目は映画『デッド寿司』の主題歌にも決まった「Kill the virgin」。RINAがドラムセットから下りてきて、キーボードをプレイ!実はドラム歴以上にピアノ歴があるRINAが華麗に鍵盤を弾き、さらにHARUNAはターンテーブルを回す!TOMOMIのキュートなボーカルに、MAMIのセクシーなささやきも加わって、まるで違うバンドに変身したかのよう!4人の引き出しの多さ、そしてファンに新たな一面を見せようという意欲を感じる。

 

ファンを飽きさせない工夫は随所に垣間見える。テーマパークのアトラクションそのままに、煌々ときらめく照明にウキウキする音響、さぁ次は何が出てくるのか…と待ち構えていると、関西人なら誰もが知る「六甲おろし」が流れてきた!舞台の階段上には、阪神タイガースの野球帽とハッピを着てメガホンを握ったRINATOMOMIの姿が!ここ東京で、コテコテの「OSAKA」を2人で熱唱し、サインスポンジ砲を発射する。「ですやん、やん」がたまらなくキュート!

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続いてHARUNAMAMIの2人が「帰ってきたよ~東京~」と登場。「ホールはみんなの表情がよく見える!みんなが一緒に歌ってくれてるのとか無我夢中で踊ってくれてるのとか、丸見えなわけ。結構それが面白い!」と語るHARUNAは喜びに満ち溢れた表情。心底からファンを愛しているのだなぁと感じる。そして、先ほどのはっちゃけた2人と対照的に、MAMIがアコースティックギターを奏で、2ndアルバム収録の「会いたい」をしっとりと披露。HARUNAの子守唄のような優しい歌声に、MAMIの低音のコーラスが優しく絡み合う。

 

ゆったりとした演奏で充電したら、ここから先は突っ走るぞ!再び立ち上がり、臨戦態勢のオーディエンス。RINATOMOMIも戻って、再び4人でロック全開!まずは「HARUKAZE」「Bright」とHARUNA & TOMOMIボーカルで魅せ、さらに「声」でMAMIが力強く歌い上げる!そしてオーディエンスの野太いかけ声と拍手が響き渡る中、「Welcome home」で、一体となって前に進む!

 

この一体感!HARUNAも思わず「楽しい~!」と絶叫!「もっともっと踊ろうぜ!」もうその勢いは止まらない!インディーズ時代に作られた、冒険に出かけるワクワク感が歌詞にもメロディにもちりばめられている「スペースレンジャー」を皮切りに、タオル回しが壮観な「DOLL」、2009年リリースの「SAKURAグッバイ」「少女S」と、デビューシングルから3枚目までをリリース順に披露!「まだまだ踊れますか?」「OK、踊り狂っちゃおうぜ!」オーディエンスとステージとの息のぴったり合った対話がたまらない!最後は「SCANDAL BABY」で、オーディエンスもサビを大合唱し、興奮冷めぬままに終幕!

 

アンコールに応えて再登場の4人。MCでは、HARUNAから「来年1月19日に横浜BLITZでSCANDAL MANIA(=ファンクラブ会員)限定ライブを開催する」とサプライズ発表もあり、最後の最後までファンをドキドキさせっぱなし!さぁ気になるアンコール、1曲目は「懐かしい曲を…」と、Windows 8のCMテーマソングに起用された「サティスファクション」!そして2曲目は「トゥトゥトゥ」を練習したのち、みんなで「Right here」を歌い、一つになる!その勢いのまま、最後はやはりニューアルバムの中から、「太陽スキャンダラス」!全員で踊り、歌い、ジャンプ!最高以上のツアーファイナルは、「終わり」という感じが全くしない、とにかく楽しさ満ち溢れるステージであった。

「終わり」感がないのもそのはず、メンバーがステージを後にして、そこで流れた曲は「ハッピーコレクター」。ツアーファイナルの2週間後から公開が始まる映画のテーマソングだ。そして、この後SCANDALはマレーシアでの初の単独公演を成功させ、コピバンコンテストで審査員を務め、さらにはクリスマス直前に開催されたファンクラブ限定ライブは全国の映画館で同時上映も実施…と、とどまることなく走り続けている。さらに、2013年3月には大阪城ホールのワンマンが彼女たちを待ち構えている。「年中ライブをしていたい」というHARUNAの言葉通り、SCANDALは2013年も独走態勢で走り続け、記録にも記憶にも残るバンドとしてさらなる進化を見せてくれるに違いない!

 

 

※本記事のステージ写真はEpicレコードの提供によるオフィシャル画像を使用しています。

 
◆セットリスト
M01. Rock’n Roll
M02. 瞬間センチメンタル
M03. Queens are trumps
M04. ピンヒールサーファー
M05. Rising star
M06. ビターチョコレート
M07. Kill the virgin
M08. OSAKA
M09. 会いたい(アコースティックver)
M10. HARUKAZE
M11. Bright
M12. 声
M13. Welcome home
M14. スペースレンジャー
M15. DOLL
M16. SAKURAグッバイ
M17. 少女S
M18. SCANDAL BABY
-encore-
E01. サティスファクション
E02. Right here
E03. 太陽スキャンダラス
 
◆SCANDAL 公式サイト
http://www.scandal-4.com/
 
◆インフォメーション
スペシャルコレクションアルバム『ENCORE SHOW』
・初回生産限定盤:DVD付(ESCL3994-3995 )
2013年02月06日発売予定 ¥3,500(税込)

 
◆大阪城ホールワンマンライブ
・2013年03月03日(日)大阪城ホール

 
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