REPORT丨2012.12.17
THE LAST PIRATE IS SCUTTLING THE ROAD
90年代ギターロックの逆襲はここから始まった?!ここ数年、同世代バンドの復活や再結成が多い中、それに先んじた2007年1月に結成されたGHEEEのメンバーは、近藤智洋(Vocal & Guiter/ex:PEALOUT、以下:近藤)、深沼元昭(Vocal & Guiter/PLAGUES、以下:深沼)、Hisayo(Bass/tokyo pinsalocks)、YANA(Drums/ZEPPET STORE)。
’90年代中盤よりUKロックの流れを受け独自の解釈で衝撃的なギターロックを生み出し、それぞれに存在感を放っていたバンドから新たに集結、さらにガールズニューウェイヴバンドから紅一点ベーシストを得て、奇跡の融合を果たしたGHEEE。これまでに3枚のアルバムをリリース。GHEEE結成後に、Hisayoは2010年にa flood of circleに正式加入。YANAはNACANO、DRYASDUSTに加え、数々のバンドのサポート・ドラマーとして活動、中でも再結成したZEPPET STOREは8年ぶりの新作『SHAPE 5』をまもなくリリースする。
近藤はソロでの弾き語りや自身のバンドを含め年間160~170本のライブを全国各地でこなしながら、2012年1月に新バンドThe Everything Breaksを結成。深沼はMellowheadでのリリース、BORZOIQのメンバーとしての活躍、そして活動再開したPLAGUESの11年ぶりとなる新作『CLOUD CUTTER』を2012年10月に発表。…この通りメンバー全員が超多忙でありながら、ギターロックに餓えたオーディエンスのため、今年もコンスタントにライブや東名阪ツアーを行い、いくつかの新曲も披露してきたGHEEE。しかし早くも年内最後のライブとなるかも?との情報もあり、2013年へと続くGHEEEの現在形を知る上で、絶対に見逃せない下北沢CLUB Queでのライブの模様をレポート!
この夜のトリとして登場したGHEEE。fresh!のライブ終了後、大幅なセットチェンジが行われているステージに、GHEEEのメンバー自らがエフェクター等の機材を抱えて姿を見せた。アンプやエフェクターをセットする様子は、逆にワンマン等では見られない特典。ギターの試し弾きでわずかに聴こえる覚えのあるフレーズから、今日の演奏曲を予想するのも楽しい。徐々にステージ前はお客さんの密集度が高まり、完全にGHEEEモードへとチェンジしていく。会場内に恒例のSE、GHEEEのテーマソング(この独特の浮遊感のあるサウンドは、バンド名にちなんだ“G/H(B)/E/E/E”というコード進行で作られている)が流れ出した。
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メンバーがステージに現れると、待ってました!の拍手と歓声が沸きあがる。それぞれの楽器の音が打ち鳴らされ、いよいよライブが始まる合図。その中から次第にグルーヴィーなドラムのリズムが輪郭を表わした。バンドから放出される圧倒的なパワーが伝わってくる、1曲目は「The brilliant mexican blues」!軽快なメロディを英語詞で荒っぽく歌う近藤の迫力のボーカルに、両サイドから重なるコーラスが特徴的。間奏での空高く突き抜けるような、のびやかな深沼のギターソロも爽快な一曲だ。間髪入れずに、イントロで近藤が弾く高音のギターのリフが印象的な「Silver tongue」。MVも公開されている3rdアルバム『III』のリード曲で、深沼Vo.から近藤Vo.へ突入する瞬間のサウンドがガラリと替わる場面は、まさにGHEEEならではのツインボーカルの醍醐味で鳥肌モノ!さらにHisayoが艶っぽく歌うシーンもあり、メンバーの見せ場が次々にやってくる“3分間のミュージカル”仕立ての密度の濃い楽曲。続けて「Pretty insane ride」「Guess」と、これで名盤『III』からのファストチューン4連発!息つくヒマもなくガンガンぶっ飛ばしていくライブに、たまらずにオーディエンスから笑みがこぼれる。
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ここでようやく最初のMC。GHEEEのソリッドなサウンドとは対照的な、ボーカル2人の絶妙なボケ&ツッコミのゆるめなMCはもはや名物!口から出るにまかせた滑らかな軽口の近藤のトークに、戸惑いながらも素早い反射神経を見せる深沼という図式は、昔からのPEALOUTやPLAGUESを知っている人には新鮮を通り越して驚きのシーンかも?!近藤「じゃあ、次は俺が書いた新曲を聴いてくだ…」深沼「違いますから!!」といった曲紹介(?)の後、新曲「Flicker sign」(深沼曲)と「Heaven knows」(近藤曲)を続けて披露。「Heaven knows」は、近藤のPEALOUT時代のボーカルを彷彿とさせる雰囲気も。
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怒涛のロック・サウンドで攻め続けるGHEEE、ライブ終盤から会場を包む熱気はさらにヒートアップ!スピードの落ちることのないYANAの爆裂ドラムに乗せ、複雑なギターリフをかき鳴らしながらの深沼のリードボーカル、そして自在にステージを動きまわって客を煽る近藤がステージ下手(しもて)に移動すると、センターを譲られたHisayoが華麗なステップでベースを弾き、堂々たるステージングを魅せつける。ついに「New world」でギターを置いてしまうと、近藤のパフォーマンス魂が爆発!激情ボーカルと圧巻のマイク・スタンド・パフォーマンスを、降り立ったフロアのオーディエンスの真ん中でも強行!近藤の予測不可能な動きに、お客さんは咄嗟に離れたり近づいたりの軽いパニック状態に。これら一連の状況こそ、本人曰く「近藤イリュージョン」にして「近藤エクスプロージョン」!その間ステージ上のメンバーは、動じることなく淡々と熱い演奏を続けているが、近藤の暴れっぷりを温かく見守っているのがわかる。「The last chord」のエンディングで、熱狂の場外ステージから近藤が無事に戻ってきたところで本編終了。
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興奮冷めやらぬ客席からのアンコールに応えて、再度メンバーが登場。しばしセッティングを直しながらのMCを挟んだ後、「Runaway Pigeon Bus」から「Beautiful stungun」へ、渾身の演奏でオーディエンスと共に駆け抜けた。深沼の最後の決め台詞「ドゥモアリガトォー!」の声が余韻となって耳に残る。収録アルバムを遡っていくような流れの爆走セットリストは、アンコールも含めて約50分間で14曲。一曲の中でも目まぐるしいほどの展開を見せ、一筋縄ではいかないGHEEEのサウンド。その激しく打ち鳴らされ、あふれだすロックに、観る者は魂をグッとつかまれてしまう。キャリアを重ねたバンドマンにしか出せない迫真のオーラを、ぜひライブハウスで感じ取ってほしい。
さて、GHEEEへの期待値は最高潮に高まるばかりだが、2013年のGHEEEの展開や如何に。メンバーそれぞれの別プロジェクトも気になるが、2012年夏の東名阪ツアーで披露しながらも、この日はセットリストから外れた新曲も数曲あることだし、最高のアルバム&リリースツアーの知らせを期待して待ちたい。
M01. The brilliant mexican blues
M02. Silver tongue
M03. Pretty insane ride
M04. Guess
M05. Flicker sign(新曲)
M06. Heaven knows(新曲)
M07. Fancy vendetta
M08. Fast as nozomi
M09. Can’t hug a hater
M10. New world
M11. Lucifer
M12. The last chord
-encore-
E01. Runaway Pigeon Bus
E02. Beautiful stungun
◆GHEEE 公式サイト
http://www.lavaflowrecords.com/gheee/top.html
◆インフォメーション
・2012年12月31日(月)【下北沢】CLUB Que
<Que’s COUNTDOWN2013 PART1>
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