演奏

PLAGUES

TEXT:桜坂秋太郎

「あらゆる世代を震撼させる唯一無二のロックバンド」と言われるPLAGUES。そのステージを観るため、渋谷クラブクアトロへ足を運ぶ。2010年9月20日、すでにチケットは完売状態で、会場内は熱気あふれるオーディエンスで埋め尽くされている。年齢層は本当に“あらゆる世代”だ。PLAGUESがシーンに登場したのは90年代。2002年には活動休止となってしまうが、あれから8年。今年2010年、復活ののろしを上げた。開演までの時間、オーディエンスの会話が耳に入ってくる。そのどれもが復活を喜ぶ声。まさに待ちわびていたという表現がピッタリだ。
 
メンバーは、オリジナルの深沼元昭(Vocal)、後藤敏昭(Drums)に加えて、TRICERATOPS林幸治(Bass)。そして堀江博久(Keyboard)という形。会場を見渡すと、友人同士もいるが、一人で来ているファンも多いことに気がついた。腕組みをして待つ男性、天井を見つめる女性。今、何を思っているのだろうか。開演時間。SE、そしてメンバー登場、「Silver chips」でスタート。いきなりステージ前付近のオーディエンスが白熱!それが見えない波のように、曲が進むにつれ、客席の後方まで押し寄せてくる。
 
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4曲目「ヴィルヌーヴに憧れて」の前に、堀江博久が登場。PLAGUESのナンバーは、3ピースロックバンドとして、リズムがタイトなのはもちろん、どのナンバーもギターリフが抜群にカッコ良い。それだけでもバンドとして十分イケてるのに、メロディや詩の世界も素晴らしいということで、人気が出ないわけがない。今夜はワンマンだから、たっぷりとそのPLAGUESワールドを堪能できるだろう。MCをほとんどはさまず、ステージは進行していく。
 
ギターと歌から始まる「New horizon」。このナンバーの構成は完璧だ。このカッコ良さ、身震いする。ギターソロも安定していて、歌も安定しているという、深沼元昭の実力を思い知らされる。ライヴでこれだけ表現できるアーティストは数少ない。洋楽テイストあふれる「Frozen beach」にも心奪われる。PLAGUESを知らない若者、例えば本誌BEEASTに登場しているティーンエイジャー達に、何も言わずに聴かせて、その驚く反応を見たいくらいだ。
 
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激しいロックだけでなく、メロウなナンバーも素晴らしい。「どうしようもない世界、寛容な僕ら」のプレイが、体に染みわたる。「最後のハイウェイの夢」では、会場後方までが揺れる。開演前はお互いに他人だったファンが、一緒になって笑っている。この一体感がまたPLAGUES好きにとっては、たまらない空気なのだろう。ステージ付近のオーディエンスが「凱旋門」でさらにハイテンション。そして私の大好きな「ハイビスカス」!文句なしのカッコ良さ。最高だ。
 
本編ラストは「RIDE RIDE RIDE」をじっくり聴かせてくれる。気がつくと、かなりな時間が経過している。良いライヴは時間の感覚が完全に狂う。陳腐な表現をすれば、本当に“あっという間”だ。オーディエンスはもちろんアンコールを要求。バンドが登場し「Twins dolphin ring」や「Wild blue paint」の古いナンバーをファンサービス。そして二度目のアンコールでは「トランキライザー・ガン」で完全燃焼!でもまだオーディエンスは物足りない?三度目のアンコールで「眠っているのなら」。
 
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トータル2時間を超えるステージを通じて、頭の中はPLAGUES一色だ。バンドはクオリティの高いナンバーを、多彩なバリエーションで聴かせてくれた。今夜来れなかったファンを含めて、活動再開を喜ぶファンに押されて、さらなる活動へと繋げてほしい。リアルタイムにPLAGUESを知らない読者は、ぜひ30曲入り!のベストアルバム『OUR RUSTY WAGON』を聴いてほしい。PLAGUESというバンドの実力は一聴しただけでわかるはずだ。買って損のないアルバム。★OUR RUSTY WAGONのお求めはコチラ
 
深沼元昭はMCで、また来年PLAGUESはライヴをやると言っていた。もしも古くからのファンで、この記事でPLAGUESの復活を知った方は、90年代ではなく今のPLAGUESをぜひ観てもらいたい。そしてあの頃と同じ、いやそれ以上の熱い思いを抱いて、ロックを向き合ってもらいたい。大切なことが何なのか、今なら良くわかるはず。音楽は人生の中で切り離して捨てていく物ではなく、生涯に渡りパートナーとしてすぐそばにある物だから。

◆PLAGUES 公式サイト
http://www.lavaflowrecords.com/plagues/
 
※2011年2月 初のライブDVD発売&全国ツアーも決定!

 
◆セットリスト
M01. Silver chips
M02. Tomorrow’s sorrow
M03. Wonder wonder
M04. ヴィルヌーヴに憧れて
M05. Hey,Mr.Dreamer
M06. New horizon
M07. Blue from the bathroom
M08. Frozen beach
M09. Spin
M10. Good moon rising


M11. どうしようもない世界、寛容な僕ら
M12. シトロエン幻想
M13. プルメリア・レイ
M14. 最後のハイウェイの夢
M15. ハッピー・プレイス
M16. ファントムガルシア 最後のレース
M17. 凱旋門
M18. ハイビスカス
M19. Soup up bug
M20. RIDE RIDE RIDE

M21. Twins dolphin ring(encore1)
M22. 音速の箱庭(encore1)
M23. Wild blue paint(encore1)
M24. トランキライザー・ガン(encore2)
M25. 眠っているのなら(encore3)