演奏

TEXT:河内香奈子 PHOTO:矢沢隆則

Photo至るところに人・人・人。チケットがソールドアウトとなり、動く隙間もないほどに膨れ上がったフロア内には、たくさんの人々がこのイベントを楽しみにしていた。
 
佐賀県唐津出身の5人組ガールズバンド、たんこぶちんの自主企画イベント「We are the Girls Band !!!!! vol.11」が2015年6月13日(土)、渋谷TSUTAYA O-Crestにて開催された。どちらもメジャーデビューをしているChelsyたんこぶちんによる2マンとなったこのイベント、ガールズバンドシーンを揺るがす2つの勢いが混ざり合うことで白熱の舞台が繰り広げられていた。その模様をここにお伝えしよう。


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先攻はMIO(Vocal & Guitar)、SHIZUKA(Bass & Chorus)、AMI(Drums & Chorus)によるChelsy。SEとともにメンバーが足取り軽やかに登場。早くも熱気あふれる会場にChelsyが放つオープニングナンバーは「SistAr」。軽やかなサウンドにMIOの声が重なると、暖かで伸びやかな熱を灯しだす。「ロックオン!!」の掛け声を会場が一体となって叫ぶと、ただでさえ熱い会場内のボルテージがぐんぐんと上昇していくのを感じる。
 
青い照明に色濃く照らされる中、続く「Please Please Me」では、聴く者の心に寄り添うような澄んだMIOの歌声に心が溶け込んでいく。そこにSHIZUKAの色味を帯びた歌声がユニゾンすることで、より聴く者の心の深くまで浸透していくのを感じた。
 
続く「Organ」では駆け抜けていくエモーショナルなサウンドとステージングに触発され、会場後方ではサークルが形成される。SHIZUKAがモニターへ足をかけ、クールな表情ながらも熱をもった重低音を暴れさせると、フロアからより一層大きな歓声が起きる。

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ここで会場が一転、照明が落ちた光のない空間へと姿を変えると、そっとMIOの歌声が鳴り響き「I will」へ。映画『アオハライド』の挿入歌となったことで話題を集めた楽曲。これまでよりも感情的になりくすぶったMIOの歌声に、胸が切なく締め付けられるミディアムバラードだ。
 
そして、じんわりとにじみ出る熱が心地よい「Blue Moon」へと流れ込む。Chelsyの楽曲には、シンプルなようで光に透かすとその中にも何色もの色味を感じられるような透明感があり、3人が作り出す音の世界に触れると、とたんに心に風が吹き抜けるような気持ちになる。
 
AMISHIZUKAが奏でる重低音がぐっと空間を押し広げた「Happy End」で、再び勢いを加速させる。曲中、MIOSHIZUKAがそれぞれの立ち位置を入れ替えると「待ってました!」と言わんばかりにオーディエンスが熱を上げる。それを見たメンバーが笑みをこぼす様が印象的だった。

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弾ける爽快なロックナンバー「My Way」では、掛け声に合わせて歓声が上がると、その歓声さえもサウンドの一部に取り入れカラフルな世界を作りだす。「君が好きだった歌」という一節では、オーディエンスを指さし愛らしく歌うMIOの姿にときめいた人がたくさんいたことだろう。
 
そして、これまでよりもどこか大人の色気を感じるロックナンバー「YES」へと流れ込む。一体どれだけの姿を見せてくれるのか、次々と変わる印象とギャップにどこまでも驚かされる。最後はビターな空気をはらんだポップなサウンドが愛らしい「escape」。曲中、このイベントを主催するたんこぶちんへの敬意を込めて「ドレミFUN LIFE」の一節をキュートに歌い上げる一幕も。次、彼女たちに出会った際にはどんな表情を見せてくれるのだろうかと今から楽しみになるステージだった。

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◆セットリスト
M01. SistAr
M02. Please Please Me
M03. Organ
M04. I will
M05. Blue Moon
M06. Happy End
M07. My Way
M08. YES
M09. escape
◆Chelsy 公式サイト
http://honeybeestudio.jp/chelsy/
 
◆インフォメーション
・2015年07月04日(土)【東京】イオンモール稲毛店
・2015年07月11日(土)【東京】Tokyo bootleg 2015
・2015年07月19日(土)【東京】SHIBUYA eggman
・2015年08月23日(日)【東京】日比谷野外大音楽堂
 ※「NAONのYAON 2015 ~SUMMER~」への出演
・2015年09月05日(土)【東京】渋谷duo MUSIC EXCHANGE
 ※ワンマンライブ


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たんこぶちんたんこぶちん!」熱烈なコールに迎えられ登場した本日の主催、たんこぶちんMADOKA(Vocal & Guitar)、YURI(Guitar)、NODOKA(Bass) 、HONOKA(Drums)、CHIHARU(Keyboard)からなる5人組ガールズバンド。ステージへと現れると、各々のイメージカラーを灯すサイリウムを客席へと投げ入れるパフォーマンスにオーディエンスからは喜びの雄叫びが上がる。
 
早くも自分たちの空気を作り出す彼女たちはまだ20歳を迎えていないメンバーもいることを知り驚愕する人もいることだろう。しかし、年齢で侮ることなかれ。彼女たちは小学6年生からバンドを始め、今年で既にバンド歴9年のベテランなのだ。そして、常に音楽を楽しむ気持ちを持つ彼女たちの愛嬌ある笑顔には、ついついこちらも笑顔になってしまう魔力がある。

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YURIのギターリフが駆け抜ける「We are the Girls Band !!!!!」からライブはスタート。メンバー同士が会話をするように歌うキャッチーさが耳に印象的だ。自己紹介替わりの1曲にオーディンエンスは会場内の温度を上げることで答える。
 
一転して、赤い照明に照らされギターをかき鳴らし鬱憤を解き放つように歌った「トゲササル」では、ちょっぴり大人なたんこぶちんを提示。続く、「Alright」では、ポップに跳ねるサウンドに合わせ、にこにこと笑みを浮かべ音を奏でるメンバーの姿に嬉しく心がくすぐられる。前日に同イベントvol.10を大阪で開催。連日のライブでも、彼女たちはパワフルにステージを駆け回っていた。それに負けじと盛り上がるオーディエンスの勢いも負けていない!
 
「初めての人もいるかもしれないですが、今日はここにいるみんなでいい時間にしていきましょう。よろしく!」(MADOKA)パンチの効いたハードサウンドから嫋やかな昼下がりのような空気を作り出した「バビロン」では、MADOKAがしゃがれた歌声で叫ぶように歌う姿に触発され、会場の揺れがより一層増したように感じる。
 
続く、どこか硬派で重々しいサウンドにしびれた「泣いてもいいんだよ」は、たんこぶちんの事務所の大先輩である中島みゆきが、ももいろクローバーZへ提供した楽曲のカバーバージョンだ。
 
ポップでキャッチーな印象が強い楽曲だが、ハードで切り刻むような重たいビートを轟かせる一面を持っている。彼女たちのバンド力がもたらす幅の広さに驚きを感じる。

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「6月9日はのんちゃんとほのちゃんの誕生日でした!初の20歳でお酒が飲める」と、MADOKAが双子の2人の誕生日を3度にわたって開催したことを説明。ビールについて2人に尋ねると、「大人の味ですね」(NODOKA)、「美味しくな~い」(HONOKA)とそれぞれのリアクションに和やかな空気が流れる。
 
そして、8月5日に発売されるニューアルバムより新曲「花火」を初披露。哀愁漂うギターサウンドと共に、重低音がずっしりと心の奥底まで響き渡る。そこにMADOKAの凛とした伸びのある歌声がすーっと体へ染み入ることで、夏の記憶がすっと呼び起こされるような懐かしい感覚を覚える。夏の終わりにぱっと華やかに散る花火のように、最後まで必死に咲き誇ろうと振り絞るようなステージングに胸が熱くなった。
 
MADOKAYURIの先導に合わせ、応援団のような振付を行った「Re:GiRL」では、たんこぶちん流の応援歌にコール&レスポンスで会場が一体となる。ポップなサウンドにどこかいびつなグルーブが心地いい「シアワセタランチュラ」では、サビに差し掛かるとキュートなサウンドに合わせタオルがくるくると天高く舞う。煽りの勢いのまま突入した「走れメロディー」はドラマチックで駆け抜けていくような疾走感ある展開の中に温かみを感じた。メンバー同士が笑みを向け合う姿に、心からステージを楽しんでいることが見て取れた。
 
YURIのエッジの効いたギターサウンドが切り開いた「We Gonna ROCK」では、MADOKAの掛け声に続いてオーディエンスが歌い上げ、見事な一体感を作り出す。ここではステージの上だとかフロアだとか関係なく、ただひたすらにその場にいるみんなで一つのステージを作り上げていた。それを引き出すことができる彼女たちの力こそが、今後のガールズバンドシーンへと影響を与えていくのではないかと感じた。
 
本編ラストはオープニングを飾った「We are the Girls Band !!!!!」。MADOKAの「今日一番の大きな声を!」という掛け声に食らいつくようにボルテージを上げた会場は大きく揺れ、それを見た彼女たちは嬉しそうなはにかんだ笑顔を見せてくれた。

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再びの「たんこぶちん!」コールに迎えられたアンコール。MCではアルバムを引っ提げてのワンマンツアー開催という嬉しいお知らせが届いた。東京は、きょうの会場であるTSUTAYA O-Crestにて8月23日(日)と30日(日)の2日間開催するという。
 
今後の楽しみが増えたところで、8月発売ニューアルバム『TANCOBUCHIN vol.3』より夏の香りが漂う「Qui LaLa の夏物語」を披露。夏の始まりへの期待感を募らせる、愛らしくもポップなサウンドに合わせ大きく揺れる掌がゆらゆらとゆらめいていた。”10代最後の夏”というアルバムのコンセプトの通り、この曲は10代の淡さから一歩進んだ大人の夏を感じさせてくれた。
 
ラストは弾けるサウンドがカラフルな世界を作り出した「ドレミFUN LIFE」。イントロの決めの部分で駆け上がるサウンドに合わせ気持ちが盛り上がり、最後は会場が一体となって歌うとたんこぶちんのライブは幕を閉じた。
 
この日、イベントを作り上げた2バンド。数多のガールズバンドが産まれ、激戦を極めるシーンの中できっと面白いことをしてくれるのではないだろうか。今後の動向に是非とも注目してほしい。
◆セットリスト
M01. We are the Girls Band !!!!!
M02. トゲササル
M03. Alright !!
M04. バビロン
M05. 泣いてもいいんだよ
M06. 花火
M07. Re:GiRL
M08. シアワセタランチュラ
M09. 走れメロディー
M10. We Gonna ROCK
M11. We are the Girls Band !!!!!(Reprise)
-encore-
E01. Qui LaLa の夏物語
E02. ドレミFUN LIFE
 
◆たんこぶちん 公式HP
http://tancobuchin.jp/
◆たんこぶちんモバイルファンクラブサイト
「たんこぶちゃん」

https://fc.tancobuchin.jp/
 
◆ライブ情報
『TANCOBUCHIN vol.3』
リリース記念フリーライブ

・2015年08月05日(水)【東京】TSUTAYA O-nest
 
『TANCOBUCHIN vol.3』
リリース記念ワンマンライブ

・2015年08月23日(日)【東京】TSUTAYA O-crest
・2015年08月26日(水)【福岡】Beat Station
・2015年08月28日(金)【大阪】VARON
・2015年08月30日(日)【東京】TSUTAYA O-crest
・2015年09月06日(日)【愛知】名古屋ell.SIZE
 
※8/23・30の公演は手数料無料のpeatixで販売中
(23日) http://ptix.co/1NooIB1
(30日) http://ptix.co/1BMjLRz
◆リリース情報
『TANCOBUCHIN vol.3 』
・2015年08月05日(水)発売

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