2015年1月17日（土）、Silent Sirenは念願のステージに立っていた。ピンク色に身を包んだ、9000人のオーディエンス、そして熱狂を背に。
 
2014年11月の神奈川・横浜公演を皮切りに、「Silent Siren Live Tour 2014→2015冬 ～武道館へ GO! サイレン GO!～」と題したツアーで彼女たちは全国22カ所をまわった。そのファイナルを飾るのが、この日の日本武道館ライブである。デビューから2年2カ月での武道館公演はガールズバンド史上最速の快挙だ。
 
◆Silent Siren　メンバー：
すぅ（吉田菫／Vocal & Guitar）、ひなんちゅ（梅村妃奈子／Drums）、あいにゃん（山内あいな／Bass）、ゆかるん（黒坂優香子／Keyboard）

振り返れば、武道館ライブが明らかになったのは2014年5月3日に日比谷野外音楽堂で行われた「Silent Siren Live Tour 2014 春 ～31Wonderland ぐるぐる全国まわっちゃうよツアー～」のライブMCにさかのぼる。野音でのライブを成功させた彼女たちに待っていた“重大発表”こそがこの日本武道館でのライブだったのである。この時の会場の雰囲気は凄まじかった。あの瞬間からこのライブを楽しみに待っていたオーディエンスは数知れずいたのではないだろうか。そんな期待をしっかりと受け止めて、Silent Sirenは武道館を自分たちの空気に取り込んだ。
 


冒頭、これまでのSilent Sirenの歴史や、メンバーが思いを語った映像がステージの幕に映し出される。
 
静かに見つめられた幕が落ちると、そこにはメンバーの姿が。一気にオーディエンスのテンションが上がる！1曲目はメジャーデビューを決めた曲「Sweet Pop!」最初からアクセル全開！熟練された安定感のある演奏に、Silent Sirenの代名詞であるガーリーなサウンドに会場が盛り上がる。「ラッキーガール」「LOVEのしるし」と冒頭から勢いのある曲を連続で演奏していく。初武道館ライブという緊張を全く感じさせない、いつものSilent Sirenの楽しい空気に会場が包まれる。
 
今回の衣装は武道館仕様ということで、ピンクで可愛らしい。最初のMCではこの日のライブをどれだけ楽しみにしていたかを語った。そして、オーディエンスを煽って突入した曲は「stella☆」。イントロから会場に手拍子と声が響き渡る。勢いそのままに、「ユメオイ」を演奏、さらに次の曲は「LOVE FIGHTER！」。Silent Sirenの応援歌であり、ライブでは盛り上がり必至の定番曲である。オーディエンスの一糸乱れない振り付けが会場の一体感を生む。そのパワーはメンバーにも伝わったのではないだろうか。
 
今回もステージのスクリーンには”サイサイくん”がキュートに踊っている映像が流れた。恋愛応援歌ならではの可愛らしいサウンドだが、その中にしっかりとキーボードのサウンドがピコピコとスパイスを利かせている。
 
 

ここで毎回ライブでは定番の”サイサイコーナー”に突入。メンバーがゲームをしたり、フリートークするこのコーナー。演奏以外のメンバーの個性が全面に表れる時でもあり、毎回楽しみにしているファンも多い。Silent Sirenのライブの特徴と言ってもいいだろう。今回はメンバーであっちむいてほいをするという企画が用意された。しかもこの勝負で負けたメンバーはバンジージャンプをするという罰ゲームが待っていた。この勝負に負けたのは・・・すぅ！「次みんながサイサイ観る時ボーカルいないね～」などギャグを飛ばし、会場の笑いを誘った。
 
サイサイコーナーで会場が和んだ後に演奏された曲は「Limited」。アッパーなサウンドに歪むギターの音色、セクシーな歌い上げが混じり合い、「これぞガールズバンドサウンド！」と言わざるを得ない楽曲だ。可愛いからカッコイイまでしっかりとライブで魅せられるガールズバンドはなかなかいないからこそ、Silent Sirenのライブの質の高さ、エンターテイメント性の高さを感じる。
 
MCを挟み、演奏されたのは新曲「KAKUMEI」。Silent Sirenが結成して初めて作った曲「チラナイハナ」のアンサーソングになっている。音楽で成功をしたいと祈っていた当時の等身大の気持ち、パワーを含んでいる「チラナイハナ」に対して、この曲は武道館でライブまで出来るバンドとして成長した自分たちが過去に送るメッセージのように感じた。強い思いを各々の楽器のサウンドに変換し、オーディエンスに届けるメンバー。「LOST.W」と2曲続けてロックサウンド色が強い曲を披露した。
 
終盤は「DanceMusiQ」や「BANG!BANG!BANG!」などアップテンポのノリが良い曲が続く。そして「サイサイの『さい』は祭りだー」というすぅの掛け声から「What show is it？」が始まる。会場には「わっしょいわっしょい」が響き渡る。さながら夏祭り会場のような熱狂ぶり。勢いそのままに最後の曲「ぐるぐるワンダーランド」。ゆかるんが作詞した曲で、彼女のキャラクターそのままのポップでキュートでファンシーなサウンドにオーディエンスはグルグルとタオルを回す。別れを惜しむかのように、何度もサビの部分を繰り返す！繰り返せば、繰り返す程、オーディエンスの声は大きくなり、メンバーの演奏にも力が入る。
 


Silent Sirenがステージから姿を消した瞬間に響き渡るアンコール。ファンの熱い声援に引き寄せられたように、彼女たちはステージに再度登場。
 
アンコール1曲目は「チラナイハナ」。Silent Sirenにとってとても大切な曲。しかも今回はサウンドプロデューサーのクボナオキがメンバーに交じってこの曲を演奏した。彼はSilent Sirenの活動が始まった当時から彼女たちに楽器を教えたり、当時のライブに一緒にステージに上がったりしていた。そんなクボナオキと武道館のステージに上がったSilent Sirenにとっては思い出になった瞬間であっただろう。
 
いつもはダーティーなサウンドにもガーリーさを感じるサウンドだが、この日は温かさも感じた。丁寧に一音一音放たれるサウンドはしっかりと会場の心を惹きつけた。そしてアンコールの最後の曲はお馴染み「ビーサン」！すぅの優しい声が熱い夏の夕方を彷彿させる。
 
そこからドラムの音を切っ掛けに、カラッと晴れた夏を感じる爽やかな楽器の音と彼女の楽しそうな「オッオ　オオ　オッオ～♪」という歌声が武道館にも響き渡る。メロディーも歌詞もガーリーでありながら、テンションが上がる。このライブを締めくくるのにピッタリな曲だ。
 

こうして内容盛りだくさんの武道館ライブ。以前にも私は書いたが、すぅはよく曲の間に「みんな一緒に行くよっ！」と叫ぶ。この叫び、思いがファンとSilent Sirenを武道館に連れてきたのではないだろうかと感じた。そしてこのライブをゴールと考えず、さらに前に進んでいこうとする彼女たちの姿は逞しくみえた。
 
早くも2015年のツアーは決定している。今絶対行っておきたいガールズバンドのライブであると強く推していきたい。そしてその姿、パフォーマンスを是非多くの人に見てほしい。
 


 

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