演奏

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TEXT:鈴木亮介 PHOTO:矢沢隆則

メンバー4人は全員現役の読者モデル。2010年夏の結成以来、原宿のオシャレ好き女子を中心に人気急上昇。結成からわずか2年、2012年11月にシングル「Sweet Pop!」でメジャーデビュー。翌月にはワンマンライブも敢行…そんなガールズバンドの新星・Silent Siren(サイレント サイレン)が今年4月にメジャー1stフルアルバム『Start→』をリリースし、それを記念したツアーがこの春開催された。
 
東名阪3公演が全てソールドアウトし、急遽静岡公演も追加。その人気が全国規模であることが伺える。本誌では5月3日に渋谷AXにて行われたツアーファイナル・東京公演の模様をレポートしたい。
 
Silent Siren メンバー:
すぅ吉田菫/Vocal & Guitar)、ひなんちゅ梅村妃奈子/Drums)、あいにゃん山内あいな/Bass)、ゆかるん黒坂優香子/Keyboard) ※サポート:みっちー(Guitar)
 

 
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会場に入ってまず驚くのは、その熱量!ほとんどの観客がピンクのTシャツかタオルを身につけ、既に臨戦態勢。そしてステージ前方の一部に設けられた「女性専用エリア」はすし詰め状態に!
 
そんなサイサイファンの”圧”に感心していると、早くも開演の時間になり、ライブへの意気込みをメンバーが語るインタビュームービーが流れる。「サイサイらしさが出るようなライブにしたい」「激しかったわーって言って、汗かいて涙流して超気持ちいいって言って帰らせるような、そんなライブにしたい」…そんなメッセージに反応し上がる歓声、そしてついに、あいにゃんひなんちゅすぅゆかるん、そしてサポートのみっちーの5人が順番に登場!
 
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待ちに待ったライブ1曲目、1stフルアルバムでも冒頭1曲目に収録されたインスト曲「start」から早くも綺麗に揃った手拍子で盛り上がる会場。「サイサイツアーへようこそー!」すぅのかけ声を皮切りに、イントロの軽やかなキーボードが春風のように心地良い、2曲目「→」がスタート。ゆかるんも積極的にキーボード前に出て観客を煽る。
 
そのゆかるんの指がポップなイントロを奏でると、観客は即座に反応し、ピンク色のタオルを手に、ぶんぶん回し始める。3曲目、「イブニングスター」だ。続く4曲目も2ndミニアルバム『ラブシル』からの選曲、パワフルなベースとドラムが印象的な「LOVEのしるし」。すぅの切なげなリードボーカルにあいにゃんのコーラスが優しく寄り添う。
 
「AX、来たー!」興奮を抑えきれない様子のすぅが思わず叫ぶ。「最後の最後の一秒までみんなで楽しんでいきましょう!」「楽しみにしてた人?うちらもだよー!」「みんなで燃え尽きるまで盛り上がっていきましょう!」他のメンバーも同様にテンション高く意気込みを語る。「ピンクの伝説を残して帰るぞー!」とひなんちゅが高らか宣言し、会場も一気に沸点上昇!
 
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続く5曲目はロックテイストの強いナンバー「URARA」。「誰に評価されていようと 自分の道を貫くの」すぅの書くこの歌詞こそ、今の彼女たちのステージへ懸ける思いを凝縮した一言だ。批判にも困難にも立ち向かう意志を、堂々とした演奏で見せる。
 
そんな彼女たちを強力に援護射撃するかのごとく、サポートギターのみっちーが強力なギターリフを幾つもぶち込んでくる。衣装も振りもしっかり揃えつつ、サポートという立ち位置で控え目ながらも、確かな演奏力、そして時折弦を弾く際に見せるロッカーな仕草がキラリと光る。
 
6曲目「want CHU♡」、7曲目「ねぇ」と、この2曲も「URARA」と同様、1stフルアルバム『Start→』の収録曲。これまでほとんどの曲の作詞をすぅが手がけているが、「want CHU♡」は初めてSilent Siren名義での作詞。そのせいか、メロディも4人それぞれの見せ場が作られていて、カラフルなナンバーだ。
 
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雑誌の撮影時に初めて出会ったすぅひなんちゅが、たまたま流れてきた10-FEETの3rdシングル「RIVER」に反応し、意気投合したのがバンドを組むきっかけだった…そんな、Silent Siren結成のエピソードを、すぅが振り返る。
 
「読者モデルをやっていると、それだけをやっていればいいじゃないかと言われるし、対バンした時にナメられたりもするし、お客さんが数えきれるぐらいしかいない時も…それでもこのメンバーでやっているバンドが好きだし、音楽が好きだし、何人にでもいいから、うちらの音楽が届くんだったらずっとやっていきたいなって思いました」そんな等身大の言葉が心を打つ。
 
決して「特別な才能がある」とか「幼少から音楽一筋にやってきて」とかではなく、「どこにでもいそうな女の子」がバンドと出会い、その純粋に音楽が好きだという思いを突き詰めて、一生懸命頑張っている。そんな彼女たちが今まさにガールズバンドの”モデル”として、10代女子から支持を集めているのだ。
 
「初めてできたサイサイのオリジナル曲、大切な曲をきょう、たくさんの人たちの前でやりたい」そうMCを締めくくると、「チラナイハナ」をしっとりと披露。ひなんちゅのバスドラ、あいにゃんのベースがしっかりと音を刻む。続く「ずっと…」もバラードナンバー。ゆかるんのピアノの旋律に、すぅの切ない歌声が綺麗に乗る。
 
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さてここでいったん気分を変えて、4人によるクロストーク、題して「サイサイコーナー」。やはり現役読モバンドというだけあって、キュートな衣装も見どころのSilent Siren。文化服装学院の学生とのコラボレーションで、ツアーのテーマである「ピンクの花咲く」がテーマになっているという。
 
「背中に大きいリボン」(あいにゃん)、「ハイウエストのきんちゃく型スカートに、(胸元には、クレヨンしんちゃんのような)春日部フラワー」(ひなんちゅ)、「フィットアンドフレアの今流行りの形のワンピースに、マーブルみたいな色は一から染めてもらいました」(すぅ)、「お花とリボンをいっぱいつけてもらって、あとここ(ウエスト周りの露出)も、夏なんで」(ゆかるん)、とそれぞれが衣装のポイントを紹介すると、観客から都度「かわいいー」コールが起こる。
 
さらに「サイサイサイコロ」を使ったトークで、「中学時代にマルエツのお兄さんに恋をした話」「公式LINEアカウントで事前に募集したファンからの質問に答える」など、Silent Siren4人の個性が存分に引き立つトークで、大盛り上がり!「昨日の晩ご飯は?」という質問では、「昨日の夜一人で餃子の王将に行った」(あいにゃん)、「今日の昼渋谷で一人で歩いていて、丸亀製麺(うどんチェーン店)食べてきた」(ひなんちゅ)というメンバーの意外な一面も!
 
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さあライブは後半戦。「次の曲は、サイサイの夏ソング」ということで、爽快感溢れる10曲目「Soda」。大きな風船が天井から下りてきて、パーンと割れて中から小風船が一斉に飛び出す!サビでは「しゅわっしゅわっ」「what do you want?」のコール&レスポンスも決まって、いい感じ。その波に乗ったまま、11曲目は新曲「ビーサン」。「今日のAXのために新兵器持ってきました!」とゆかるんは自身初のショルダーキーボードを抱えて登場。ステージをいっそう動きまわり、夏先取りのうちわを振りまくる観客と一体となって、楽しむ。ひなんちゅの軽やかなドラミングもいっそう夏気分を盛り上げる。
 
ポップなキーボードの旋律が観客の手拍子をいざない、引き続き爽快なナンバー「ユメオイ」、そして1stミニアルバム『サイサイ』から「サイレン」。「暴れろ~!」積極的に観客を煽るすぅも、いっそう力強くギターをかき鳴らす。曲が終わると観客から「かっこいい!」と「かわいい!」の2種類の歓声が同時に飛び交う。これもまたSilent Sirenのステージならではだ。
 
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あいにゃんからツアーグッズの紹介もあり、いよいよライブも終盤。14曲目「Remember」、15曲目「Sweet Pop!」と1stフルアルバムの収録曲が続く。まだまだ盛り上がり足りない!とばかりに観客もいっそう勢いよくサイサイタオルを振り回し、AXをピンク一色に染める。
 
そしてついに、本編ラスト、「All Right ~”今”を懸ける~」。サビ前にすぅが何度も「飛ぶよ!」「一緒に!」と呼びかける。「弱気になったとき 思い出すのは みんなのコト」「ひとつひとつ 光が集まって 大きな力になるの」そんな歌詞からもわかる、今宵ここに集まった全てのファンへの感謝の思いを、メロディに乗せて届ける。笑顔の絶えることないSilent Sirenのステージは、しゅわっしゅわっと弾けてあっという間に駆け抜けていく。
 
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決して予定調和ではない、大きな大きなアンコールの大合唱。その声に応えてステージに戻ってきたのは、すぅ一人。アコギを手にしている。「わぁヤバい!泣きそう!やめてやめて!」必死に涙をこらえ笑顔を消さないように努めるすぅを、みんなが大きな声援で支える。緊張しつつ、「アルバムは最後の曲まで聴いてくれましたか?」とゆっくり語り始める。1stフルアルバム『Start→』の最終トラックは、「甘草」。すぅが2年前に、作詞だけでなく初めて作曲にも挑戦した曲だ。シンプルで、でもとても力強い旋律。涙を誘う、綺麗な裏声。彼女は、こんな風に前置きして、ゆっくりと音を鳴らした。
 
「2年前は…震災があったよね?ちょうどその時期に書いた曲なんですけど、私は地元が福島ということで、地元が被害に遭ったり、友達、親戚、知り合いも被害に遭った方がいました。もちろん地元じゃないっていう人もそういうので辛くなったり胸を痛めたり、みんながしてると思うんだよね。でもすぅは上京してきてしまったから何もできないし、電話もつながらない状況で、どうすることもできなくて、ただもどかしい気持ちのままでした。その時に、募金とかをしても自分のお金が一体どこにどう使われて、どの人がどれくらい助かって、どこの場所が復興して…っていう目に見えて分かるものはなくて。テレビからは『復興しました』っていう言葉は流れてくるかもしれないけど、それって表の部分だけで、実はもっともっと苦しんでる人もいるし、まだまだ全然時が止まっている場所だってあるよね。そんな時の気持ちを、『頑張れ』とか『元気出してよ』とか、そういう言葉は出てこなくて、でも、自分の気持ちをちゃんと形に残したいと思ったのがきっかけで、曲を作りました。この曲をメンバーが、アルバムの一番最後に入れようって言ってくれたので、すごくすごく嬉しくて、私にとってはすごく大切な曲で、短いけれどそこにはたくさんの思いが詰まっているので、今日こんなたくさんの人の前で一人で前に立つのはすごく緊張するし怖いけれど…不器用ですが、一生懸命やります」
 
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ここで暗転すると、バックのスクリーンに「重大発表」という四文字が。冬の全国ツアー開催が決まったこと、東京はZepp DiverCityで12月7日に開催されることが明らかになり、どよめく会場。そんなサイサイファン、サイサイファミリーの顔が早く見たくてたまらない!とばかりにすぅあいにゃんひなんちゅゆかるんの4人がステージへ。
 
涙がこぼれ落ちるすぅにそっと寄り添う3人。「ここまでこれたのもみんなのおかげ!ありがとう!」一人ひとり心からの感謝を伝える。Silent Sirenには途中から加入したゆかるんも、ツアーグッズを両手に語る。「私すごい色々持っててサイサイ大好きな子みたいになってるんだけど(笑)でも本当にサイサイが大好きなわけですよ。半年前、9月に新メンバーとして入る時は悩んだし、入った後も葛藤とかたくさんあったけど、いつもメンバーがいてくれて、本当にみんなに支えられて半年間ここまで駆け抜けてこれたなってすごくすごく感じます。あの時サイサイの曲に背中を押されてサイサイに入って良かった!」
 
みっちーも加わり、5人で再び演奏するのは、ファンのみんなを引っ張っていきたいという決意表明の曲「stella☆」。今年2月に2ndシングルとして発売され、日本テレビ系「ハッピーMusic」のエンディングテーマにもなった、元気な曲だ。そしてアンコール最後は昨年リリースした1stミニアルバムの1曲目に収録された「ランジェリー」。
イントロの陽気なドラムとギターが流れ、「最後まで楽しんで帰ろう!頭の上にハートを用意!」とすぅに促され、全員でハートを揺らしてメロディに乗り、最後は「ラーララー」の大合唱!2時間半のサイサイ遊園地は、それはそれは楽しいメリーゴーラウンドで、あっという間に幕を閉じた。
 
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前半のMCではここまでを振り返ったコメントが多く聞かれたが、アンコールのMCでは「サイサイはここから始まったばっかり。次はZeppでライブがあるし、その次は武道館でもライブやりたい。でも武道館はゴールじゃない」(ひなんちゅ)、「悲しいことやモヤモヤを発散できる場所を作っていきたい」(すぅ)と、次を見据えた展望が多く語られた。
 
全国の10代バンドガールたちのモデルとして、シーンを引っ張っていく”覚悟”をこの日見せてくれたSilent Siren。この次はどんなキラキラな夢を見せてくれるのだろう。
 

◆セットリスト
M01. start
M02. →
M03. イブニングスター
M04. LOVEのしるし
M05. URARA
M06. want CHU♡
M07. ねぇ
M08. チラナイハナ
M09. ずっと…
M10. Soda
M11. ビーサン
M12. ユメオイ
M13. サイレン
M14. Remember
M15. Sweet Pop !
M16. All Right~“今”を懸ける~
-encore-
E01. 甘草
E02. stella☆
E03. ランジェリー
 
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◆Silent Siren 公式サイト
http://silent-siren.com/
 
◆リリースインフォメーション
3rdシングル「ビーサン」8月14日発売決定!

1st Album『Start→』 2013.4.10~発売中

 
◆ライブインフォメーション
ESP学園presents COLORS2013
 ・2013年07月06日(土)【新木場】STUDIO COAST
平安堂×長野CLUB JUNK BOX presents「Hey! and JOY!!-Summer-」
 ・2013年07月07日(日)【長 野】CLUB JUNK BOX
日本工学院ミュージックカレッジ presents 「OVERHEAT 2013~僕たちがつなげる20年日記~」
 ・2013年07月13日(土)【赤 坂】BLITZ
a-nationヒートアイランドカーニバル2013
 ・2013年08月04日(日)【代々木】第一体育館
MTV ZUSHI FES 13 supported by RIVIERA
 ・2013年08月11日(日)【逗 子】リビエラ逗子マリーナ
GIRLS ON THE BEACH 2013
 ・2013年08月13日(火)【鎌 倉】SEACRET BOX BY OTODAMA
DISK GARAGE MUSIC MONSTERS -2013 summer-
 ・2013年08月25日(日)【渋 谷】※会場未定

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