演奏

共同激情二組対番 頭脳警察対放蕩息子 2012.03.10@吉祥寺ROCKJOINT GB

TEXT:児玉圭一 PHOTO:鈴木亮介

吉祥寺ロックシーンの奇跡再び!春は名のみの風の冷たさを感じる3月10日土曜日、頭脳警察THE PRODIGAL SONSのダブルビルライブが開催された。日本ロックのパイオニアであり、1969年のデビューから43年の長きに渡ってレボリューション・ロックを体現して来たPANTA率いる頭脳警察と、80年代後期以来、数多くのロックファンから絶大なる支持を受け続けているZIGGYのリードギタリスト、松尾宗仁がフロントに立つ極めつけのロックンロール・バンド、THE PRODIGAL SONSの夢の共演!
会場となった吉祥寺「ROCK JOINT GB」はオープン直後にフルハウス。フロアーに詰めかけた幅広い年齢層のギャラリーは、期待に満ちた表情を浮かべ開演の時を待望している。

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午後7時にステージに登場したのは、今夜のオープニングアクト、クレヨンイーター。編成はapple-市川マコト(Vocal&Guitar)、olive-アキヤマカズヒロ(Guitar)、mint-アンプリファーとーばる(Bass)、lemon-武藤琢磨(Drums)のフォーピース。平均年齢22歳、2010年代のROLLING STONESチルドレンと言うべき彼等は海賊風コスチュームに身を包み、ROLLING STONESTHE PRETENDERSIGGY & STOOGES等の影響を感じさせるハートビートに直結したガレージ・ロック・チューンを次々と繰り出す。瑞々しい詩情と独自のビート感に溢れたクレヨンイーターのパイレーツ・ロックは多くの観客から暖かいリアクションを得ていた。

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◆クレヨンイーター 公式サイト
http://crayoneater.xxxxxxxx.jp/
 
◆セットリスト

M01. おめん
M02. レッドブルジャンキー
M03. 甲本ヒロトは僕の人生の一登場人物に過ぎない
M04. 水槽
M05. イス取りゲームとアンコール
M06. クレヨンイーター

 
◆インフォメーション
2012年4月12日(木)【新宿】MARZ
2012年4月16日(月)【新宿】JAM
2012年4月21日(土)【渋谷】チェルシーホテル

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午後8時前、ステージが暗転。たちまち巻き起こる女性客の華やかな歓声。オープニングSEはやはり、ROLLING STONESの「Prodigal son」だ!たおやかな手拍子の波に合わせてステージに姿を現すTHE PRODIGAL SONSのメンバーたち。五十嵐”Jimmy”正彦(Guitar/EASY WALKERS)、市川“James”洋二(Bass/ex:THE STREET SLIDERS)、大島治彦DrumsZi:LiE-YARama Amoeba)そして、最後に登場するのは、70年代にアルバム「Ziggy Stardust」を出した頃のDavid Bowieを彷彿させるシャープな髪型とルックスが印象的な松尾宗仁。彼の白いグレッチギターから繰り出される「Lost Flowers」のクールなオープニング。放蕩息子たちの帰還を高らかに告げるギターリフ!そして、五十嵐”Jimmy”正彦の野性味溢れるボトルネック・ギターがキラリと光り輝く。
 
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間髪入れずにメンフィス・ソウルのエッセンスをふんだんに含んだ極上のロッキンブルース「Ride on, Slide on」へ突入。優しげな笑みを浮かべている市川“James”洋二と躍動感溢れるビートを繰り出す大島治彦が生み出すソウルフルなリズムに乗って、ステージを席捲する松尾宗仁五十嵐”Jimmy”正彦のツインギターの絡みは怒涛の迫力。「こんばんは、THE PRODIGAL SONSです。今日は1時間くらいですが、ロックンロールするので、よろしくお願いします」挨拶に続いて奏でられたのは、五十嵐”Jimmy”正彦のワイルドなスライドギターがまばゆい光を放つルージーなブギー「O.K」、そして松尾宗仁のスリージーなボーカルと闇を切り裂くようなカッティングが鮮烈な「バッドタイミングブルース」へとつながる。力のこもったパワープレイにオーディエンスは大狂喜!

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「明日で東日本大震災から1年経ちますが…いろいろ考えてね…自分達の無力さを知った時に俺たちなりに曲を作りました」丁寧に語る、松尾宗仁。マイナー・コードの哀愁を帯びたギターに導かれて、ほろ苦いボーカルを聴かせるバラード「Vallay of the sun」。五十嵐”Jimmy”正彦の泣き叫ぶスライドギターは圧巻だ。その後は、放蕩息子の矜持を誇らしく宣言するアメリカ・ディープサウス・フィーリングに満ちた「愚か者のパレード」、ファンクするリズムセクションがギターチームのグルーブを煽る極上のミディアム・チューン「透明なのは俺じゃない」と続く。そしてシカゴ・スロー・ブルース「救いの手」からのメドレー、最高にご機嫌なジャンプナンバー「風になる」がフロアーに大いなる高揚感をもたらす。

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「久々にやります」と言って歌い出したのは、ウエストコーストの風を感じさせる、泣けてしまうメロウチューン「いびつな宝石」。そして最後に演奏されたのは、焼け焦げそうなほどホットなロックンロール「VENUS, QUEEN, ANGEL」。楽しそうにステージ中央まで進み出てファットなベースラインを供給する市川“James”洋二、ダイナミックなドラムを叩き続ける大島治彦、驚異的なうねりを聴かせる五十嵐”Jimmy”正彦のスライド、そしてKeith Richardsのアクションでテレキャスターを弾きまくる松尾宗仁……放蕩息子たちの凱旋を熱狂的な声援で迎えるオーディエンス。ロックンロールの醍醐味を感じさせてくれた、新生THE PRODIGAL SONSのライブはこうして終わりを告げた。

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◆THE PRODIGAL SONS 公式サイト
http://www.the-prodigal-sons-japan.com/

◆セットリスト
M01. Lost Flowers
M02. Ride on, Slide on
M03. O.K
M04. バッドタイミングブルース
M05. Vally of the sun
M06. 愚か者のパレード
M07. 透明なのは俺じゃない
M08. 救いの手~風になる
M09. いびつな宝石
M10. VENUS, QUEEN, ANGEL

◆インフォメーション
2012年04月06日(金)【吉祥寺】ROCKJOINT GB
2012年05月26日(土)【吉祥寺】ROCKJOINT GB
2012年06月30日(土)【佐 賀】RAG-G
2012年07月01日(日)【大 阪】Vi-code

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しばしのインターミッション後、幕が上がり、遂に頭脳警察がステージに姿を現す。今宵のバンドメンバーは、菊池琢己(Guitar)、松本慎二(Bass/ex:NIGHT HAWKS外道)、小柳”Cherry”昌法(Drums/ex.LINDBERGGLANZ)、石川洋(Keyboard/ex.MEN-SOUL)。そして、鉄壁のバンドをバックに登場したのは全身黒ずくめのPANTA(Vocal&Guitar)。冒頭、サードアルバムからのセリフ「指名手配された犯人は殺人許可書を持っていた」をつぶやく。劇的なオープニングにどよめく観客。曲はそのまま、菊池琢己のヘビーなギターリフが脳天を直撃する「仮面劇のヒーローを告訴せよ」へなだれ込む。情念渦巻く強力な磁力がステージから放射されると、幻惑されたオーディエンスはすぐさま思い思いのダンスを踊り始める。
 
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小柳”Cherry”昌法のドラムイントロに被せて、「頭脳警察!!」と高らかに宣戦布告するPANTA。曲はやはり、「ふざけるんじゃねえよ」。聴いているだけで全身の血が熱く燃えたぎって来る、頭脳警察の代名詞とも言うべき名曲だ。狂爆の火花を撒き散らす強靭なリフレイン。オーディエンスの熱烈なリアクションに呼応して、熱く革命をアジテートするアッパーチューン「扇動」をプレイ。観衆を踊り狂わせるレベル・ミュージック(=反抗の音楽)は頭脳警察の真骨頂だ。

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「一番好きな街、吉祥寺で頭脳警察をやるなんて…個人的にすごく盛り上がっています!」PANTAは今夜不在の長年のパートナー、石塚トシの網膜剥離による入院を観客に告げ、「健康な状態ですぐに戻ってくると思います。何か悪いものを見過ぎたんじゃないかな」と愛情たっぷりのジョークでオーディエンスを和ませた。続いて先の東日本大震災について触れ、天災や宿命の前ではあまりにも無力な人々に捧げたバラード「PEOPLE」を優しく語りかけるように歌う。
 
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「1990年に頭脳警察を再結成したときは、ちょっとした覚悟が要りました。1970年に俺たちは大暴れしていて、俺たちが世の中のイニシアチブをとった時には、世の中少しは良くなるんじゃないかな?と思っていたのですが、どんどん悪い方向へ行ってしまった…。世の中何も変わらないんじゃないかと。世の中はバカなことを何度も繰り返す、しかし、前と同じではないんだ。少しずつ良くなって行かざるを得ない、変わらざるを得ないということを、今は希望の光として歌っています…」
たおやかなギターリフに導かれた、雄大なグルーヴに身を任せつつ、「万物流転」に続いては、疾走感溢れる「オリオン頌歌 Ⅰ」を情熱的に披露。さらに、イラク戦時下の知られざるドキュメント作「七月のムスターファ」。「彼も母の子、誰も母の子…」その鮮烈な鎮魂歌が胸に染みる。

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ステージは後半に入り、オーディエンスからひときわ大きな歓声が起こった「R★E★D」、菊池琢己の最高にカッコいいギターリフがどこまでも突き抜ける「飛翔」、そして再びたおやかなグルーブがフロアを揺らす「時代はサーカスの象にのって」。気がつけば、早くもラストナンバーの時間だ。猛り狂う、混じりけのない純生ロックンロール「俺たちに明日はない」が我ら明日なき者たちのグルーヴを煽ったまま、ライブ本編は終了した。

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当然巻き起こる、盛大なアンコールの歓声と手拍子に応えて、再び姿を現した頭脳警察。フランスの伝説的女性シンガーBrigitte Fontaineがベースに描かれた名曲「まるでランボー」、そして、「後で悔やむような生き方はするな、権力を出し抜いてサバイバルし続けろ」と諭すプロテスト・ソング「歴史からとびだせ」を渾身の迫力でプレイ。今なおカウンターカルチャーの象徴であり続けるPANTA率いる頭脳警察のライブは、圧倒的な余韻を残しつつ、幕を下ろした。

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◆頭脳警察 公式サイト
http://brain-police.net/
◆セットリスト
M01. 指名手配された犯人は殺人許可書を持っていた
M02. 仮面劇のヒーローを告訴せよ
M03. ふざけるんじゃねえよ
M04. 扇動
M05. PEOPLE
M06. 万物流転
M07. オリオン頌歌 Ⅰ
M08. 七月のムスターファ
M09. R★E★D
M10. 飛翔
M11. 時代はサーカスの象にのって
-encore-
M12. まるでランボー
M13. 歴史からとびだせ

◆インフォメーション
2012年04月21日(土)【下北沢】Que
※響(PANTA&TAKUMI)としてゲスト出演
2012年05月12日(土)【曙 橋】Bar461
※PANTA with 菊池琢己として出演

思春期の頃、初めてロックに目覚めた時のことが、今夜、鮮烈にフラッシュバックした。ヘヴィーなテーマを扱っていても、ライブは自分自身を解き放ち、踊り狂うマジカルな瞬間であることを改めて思い出した今宵のイベント。今は亡きSteven Jobsの至上の名言、「ハングリーであれ、馬鹿であれ」。それを、頭脳警察THE PRODIGAL SONSは体現しているのではないか。生まれた時代は違えど、脈々と受け継がれるロックンロールの遺伝子を宿した「放蕩息子」たちの矜持に撃たれた、歴史的な一夜。彼等の旅はまだ終わらない。そして僕は思う。「俺も負けていられないぞ」と。

 

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