特集

lead_counterparts

TEXT:菅野美咲 PHOTO:鈴木亮介

7!!_Asya_Sきっかけは1枚のフライヤーだった。そこにはカウンターパーツは日本じゃ売れない、センスが良すぎる。」という沖野俊太郎のインパクトあるメッセージが書かれていた。堂々と「日本じゃ売れない」と標榜する彼らはいったい、どんな音楽を作っているのか…そこから、取材は始まった。
 
本誌BEEASTが自信を持ってプッシュする太鼓判アーティストの特集、第20弾はcounterparts(カウンターパーツ)をお届けしたい。メンバーはモリ ダイキ(Bass)、サワイ ノリヒロ(Vocal & Guitar)、コダマ トモノリ(Guitar)の3人。2006年より始動し、2007年には渋谷apple storeにてインストアライブを成功させ、各方面から注目を集める。以降も精力的なライブ活動を展開し、OKAMOTO’SMOP OF HEADとも対バン。エレクトロ・クラブミュージックの影響を表しつつも、ギターロックをベースに UKロック、特にマンチェスター周辺を思わせるサウンド、浮遊感と攻撃性を 併せ持った楽曲を特徴とする。アクセントとして加わる印象的なギターフレーズ・独特なバンドアレンジはアーティスト側からの評価も高い。
 
今年に入り、札幌、仙台、大阪と地方ツアーを経て、3月13日にこれまでの集大成とも言えるアルバム『edge curve square』をリリースする。そんなcounterpartsというバンドの魅力を解明すべく、ツアー真っただ中の先月、ボーカル&ギターで楽曲制作を手がけるサワイ ノリヒロに話を伺った。
 

 
 

 

—本誌BEEAST初登場ということで、まずはバンドの結成の経緯から教えてください。

 
サワイ:僕が和歌山から上京して最初に組んだバンドがcounterpartsの前身です。「メンボ(メンバー募集サイト)」に闇雲に掲載して、出会った感じですね。
 

—ということは、和歌山で組んでいたバンドで上京したというわけではなく…

 
サワイ:そうです。1人で上京しました。
 

—なるほど。そもそも、サワイさんは音楽をいつ頃から、どんなきっかけで始めたのですか?

 
サワイ:中学、高校で友達がバンドをやっていたのに憧れたのがきっかけです。元々家にアコースティックギターがあったので、中学校くらいから触り始めました。ただ、それ以来音楽一筋!という感じではなくて、ハマってはまたやめてというように休み休みやっていました。20歳くらいから本格的にバンドをやりだして、21歳頃から曲も作るようになりました。その時、バンドでのパートはギターで、まだボーカルはやっていませんでした。
 

—高校生でバンドを組んで曲作りをしたり大会に出たりして…といった人達に比べると、比較的遅いスタートなんですね。そこから、なぜ上京しようと思ったのですか?

 
サワイ:きっかけは…「(東京には)なんかあるだろう」って思ったのです。自分のいる場所に狭さを感じたんですよね。よく言われる「夢がどうこう」っていうより、単純に自問自答した時に、自分はやめないだろう、音楽。…って思ったんですよ。だから、環境というか、人のつながりというか、そういった面での可能性が広がる東京に出たい、と思ったのです。
 

—それで、単身上京し、前身のバンドを結成するわけですね。

 
サワイ:そうですね。5人編成で、名前は既にcounterpartsでした。その時出会ったモリ ダイキコダマ トモノリと今でも同じバンドで続けています。当時は別のメンバーがボーカルだったのですが脱退して、2006年に僕がギターボーカルになりました。
 

—ということは、モリさん、コダマさんとは上京以来ずっと一緒にバンドを組んでいるということなのですね。互いの印象はどうですか?

 
サワイ:そうですね。ギターの相性が良くて、この3人で楽曲の方向性などでもめたことがないんです。ストレスがなくて、お互い勝手に好きなことやってます。
 

—みなさん好んで聴いている音楽は一緒だったんですか?

 
サワイ:いや、ばらばらですね。それが良かったのかもしれません。フライヤーに「counterpartsの曲はクラブで回せる」って書いてありますけど、俺行きませんからね、クラブ(笑)。ギターのコダマがクラブ通なので。そういう風に、個々が好む音楽が異なる分、トータルで見ると非常にバランスが取れています。
 

—ちなみにサワイさんはどういう音楽を聴いていましたか?

 
サワイ:特に好きなのはUKロックです。Oasisは学生の頃から好きで、未だに否定できないですね。
 

—そんなサワイさんがcounterpartsでは主に楽曲制作をされているということですが…

 
サワイ:そうですね。曲の骨組みだけメンバーで作って、メロディラインは自分で作っています。曲作りはやはり音から先に作って、そこに歌詞を載せるということが多いですね。
 

—歌詞のこだわりはありますか?

 
サワイ:押しつけがましいことは書かないようにしています。メロディが先にあるんですけど、言葉選びとして4文字だったら4文字で、これは違うなとか、これがしっかりくるなっていう消去法で紡いでいます。英語の方が洋楽っぽくてかっこいいと思うんですけど、僕は英語できないので、日本語で。でも、パッと聴いた時に(英語か日本語か)どっちかわからない感じになるように意識しました。あくまで「音ありき」だと思っています。
 

—では、ライブについても話を聞きたいと思います。これまで東京を中心に活動をされていたと伺っていますが、今年に入って札幌、仙台と地方ツアーをされたとのこと。地方ツアーを振り返って、どのような感想をお持ちですか?

 
サワイ:今回初めて地方を回ったのですが、客層が全然違いますね。土地柄というか、対バン相手もそうですけど、東京とは雰囲気が違いますね。札幌は東京に比べて人見知りするというか、仙台もそういう感じがして。
 

—あんまり心を開いてくれないという感じですか?

 
サワイ:そういうわけではないのですが、おそらく「どういうバンド」というのが分かりにくく、ノレるのに時間がかかったのかなと思います。counterpartsの音楽自体、自分たちでやっていても1回聴いてわかりやすい音楽じゃないと感じているので。ライブハウス自体は、東京よりやりづらいっていうイメージを持っていたのですが、そんなことはなく、とてもやりやすかったです。
 

—ここまで東京中心にライブを重ねてきて、初の地方遠征ということで、メンバーの中で「こういうライブにしよう」っていうイメージはありましたか?

 
サワイ:ホームが東京なので、結構なんでもやっちゃっていいんじゃないかって気はしていました。自分たちのことを知らないお客さんばかりだからこそ、「こうしなきゃ」という今までの習慣や固定観念にとらわれずに、好き放題やりましたね。「実験」とは言いませんが、「お試し」みたいなことはありましたね。東京でやるばっかりだと見えてこないものが、見えてきました。
 

—良い刺激になったのですね。

 
サワイ:お客さんの層や対バン相手も違うし、極端なことを言うと、もう一回新人バンドになったような気持ちになって、それが新鮮で、バンドの活動も活性化されたと思います。
 

—そして、3月13日にいよいよcounterpartsとして初のフルアルバムとなる、1stアルバム『edge curve square』がリリースされます。このアルバムが今お話を伺った地方遠征、そして次に3月19日に高円寺HIGHで行うライブの核にもなっていると思います。まず、このアルバムのコンセプトを教えてください。

 
サワイ:そうですね。1stアルバムですが、敢えて暗めに作ったというか、明るくてポップな曲はあまり入れないでおこう、というのはなんとなくありました。バンドが今の体制になって6~7年目になりますが、自分たちのカラーを整えていこうということで、割と考えあぐねた末に答えを出しましたね。「暗い方に行こう」というわけじゃなくて、「明るいのを抑える」って感じです。
 

—アルバムのタイトルについても教えてください。『edge curve square』…直訳すると「エッジ=ふち、端」、「カーブ=曲面」、「スクエア=四角」となりますが…

 
サワイ:このタイトルは僕が考えました。counterpartsの楽曲は宇宙飛行みたいなギターの音が強みなので、アルバムのタイトルとしてスケール感みたいなものを表現したかったのです。スケールを大きめにとって、あとは聴き手に自分のスケールに合わせてもらう。「まる、さんかく、しかく」っていう立方体に基づくような、奥行きを表現したいと思い、このタイトルをつけました。
 

—アルバムの制作にはどのくらい時間がかかりましたか?

 
サワイ:元々録りためていた曲が4曲ほどありました。それに加えて、レコーディングで3~4日で、ミックスで2日以上かかって…トータルで1週間以上ですね。
 

—収録する曲はメンバーで話し合って決めたのですか?

 
サワイ:そうですね、もめながら(笑)。今でも「あれ入れた方がよかったかな」と思うことはありますが、ひとまずこれで1回答えを出さないと、という感じでこれらの曲になりました。
 

—アルバムの聴きどころはたくさんあると思いますが、「中でもこの曲だけは!」という、イチオシのような曲はありますか?

 
サワイ:冒頭3曲ですね。アルバムを視聴する時、大体みんな最初の曲から聴きますよね。そこで数曲聴いて良いと思ったら手に取ってくれるので、最初が勝負です。冒頭の3曲で「counterpartsはこういうバンドだ」ってわかってもらって、あとはじっくり聴いてもらおう、と意識して選曲しました。「最初に聞いて微妙だと思った曲でも、1ヶ月後に聴いたらすげーいい!」ということってありますよね。そういうマジックみたいなものを信じているので、全部を聴いてほしいし、そのためにはまず1、2、3曲目に詰め込もう、と。
 

—ジャケットもお洒落です。これは誰が作ったのですか?

 
サワイ:これは友人に描いてもらいました。先ほどお話ししたような「スペース(宇宙的)なイメージ」です。「回転する」「無重力」みたいなイメージで作ってほしいとお願いして、モノクロのものやカラーの強いものなど6点ほど作ってもらい、その中から選びました。
 

—配信が主流の今、敢えて「盤」にしたのは、何かこだわりがあるのでしょうか?

 
サワイ:今は曲をダウンロードしようと思ったら大抵はまず視聴できるから、選ぶのに失敗しないですよね。そもそもYouTubeやSoundCloudがあって、そこで満足することもできるから、CDって結構買わないじゃないですか。でも、一度あれ?って思っても、聴き返すと良くなるところが音楽のおもしろみだと僕は考えています。だから、自分たちが曲を作って世に出すからには一回きりではなく何回も聴いてほしいし、そういう思いで今回のアルバムを作りました。クラブでその夜だけ聴き流す音楽じゃなくて、手元に置いて何回も繰り返し聴いてほしいので、CDにするということにこだわりました。
 

—確かに、「目に見える形にする」という意義はありますよね。

 
サワイ:正直に言うと、今は配信の方が強いので、CDを出すべきか迷いました。でも、いい音楽を作り続けていくために、自分たちの活動の活性化、刺激という意味でもアルバムを発売したいと思ったのです。
 

—本当に、一人でも多くの人にこのアルバムが届いてほしいと思います!では最後に、バンドの今後のビジョンを教えてください。

 
サワイ:今回1stアルバムをリリースしますが、これで満足ということはなく、すぐに次のアルバムをつくりたいと思っています。年内にはセカンドに向けて動ければいいなと思います。「こういう人に聴いてほしい」と限定したくはないですが、とりわけ洋楽好きな人には自信を持って聴いてほしいですね。これまで僕らの音楽を聴いてもらった人達には、counterpartsのジャンルは「UKロック」とか、「マッドチェスター」のようだ、とか色々評してもらいますが、自分たちがいいと思う音楽を追求した結果そうなったってだけで、ジャンルにこだわるつもりはありません。ただ、日本でこういう音ってないんじゃないか、と自負しています。
 

 
「ホンモノのサウンド」へのあくなき追求、そのために「売れるか否か」よりも「その曲をいかに大事にしてもらえるか」という観点を重視して活動をしているのだなということが伝わってきた。敢えて「日本じゃ売れない」をキャッチコピーに掲げる理由が、そこにある。個人的には、聴き手に解釈を委ねるスタンスや、無重力だが重みのあるギターサウンドとそれらを引き立てるハイセンスな歌詞に共鳴する。
 
インタビュー中、「大丈夫ですか?地味じゃないっすか?」と漏らすサワイ ノリヒロのその人柄からも、「売れるための脚色」をよしとしない、本物へのこだわりが垣間見える。外見より、中身。このインタビュー記事では、もちろんその「中身」の魅力を伝えるために努めたつもりだが、あくまでこの記事は「外見」の一つ。是非、本物の「中身」を、読者の皆さんご自身の耳で、聴いて確かめてほしい。
 

◆counterparts オフィシャルサイト
http://www.counterparts04.com/
 
◆counterparts ニューアルバム
『edge curve square』

2013年03月13日発売
ESCL-3997/1,020円(税抜971円)

 
◆ライブ情報
1st album 「edge curve square」Release Party

・2013年03月19日(火)【高円寺】HIGH
 
 

 
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