特集

TEXT:桜坂秋太郎、鈴木亮介 PHOTO:桜坂秋太郎

BEEASTがオフィシャルメディアを務めてきたYHMF(ヨコハマ・ハイスクール・ミュージック・フェスティバル)。14回目となる今夏の2012YHMF決戦大会をレポートしよう。長年継続されてきた高校生による手作りのイベントは、諸般の事情により、昨年から開催スタイルが変化した。バックアップする大人達の事情に左右されない、熱く若いパワーは、新しい道を切り開き、本イベントを今年も開催することになった。

私はYHMFの前身である、Hot Wave(ヨコハマ・ハイスクール・ホットウェーブフェスティバル)に、80年代前半に何度か足を運んだことがある。友人の応援をするために、学友らと出かけていった淡い記憶が残っている。若いからこそできること、はじけるパワーをイベントとして継続することは大変すばらしい。毎年そのような想い出をたくさん生むことは、例えば甲子園球児を応援しに行くこととも、繋がる要素があるはずだ。




 

 

そんなことを考えながら、渋谷の暑い雑踏を抜け、会場の渋谷O-EASTへ。会場に入ると、最終の準備に追われる高校生スタッフが慌ただしく走り、大声を出している。開演時間になると、外は長蛇の列。「わぁすごく集まっている!」と緊張と喜びでハイテンションなスタッフが微笑ましい。今日はきっと良い日になるはず。オープニングは、私立横浜創英高校のバトン部の演舞からスタートだ。

 

 

▼Russet
 

 

いよいよバンドタイム。一番手の登場は、Russet。いきなり曲を始めるかと思いきや、オーディエンスをあおるところから入る。決勝戦のトップバッターという緊張するシチュエーションでも、楽しんで演奏をしようとする気持ちが伝わってくる。スリーピースのガールズバンドながら、ポップテイストなロックが、会場を包みこむ。全員がマイクを使ってのサビのコーラスハーモニーも可愛らしい。

▼CHROME CORONA
 

 

二番手に登場は、CHROME CORONA。豪快なドラムとグルービーなベースがかっこいい男子バンド。フォーピースながらギターは2本鳴っているので、静と動のコントラストが上手に描けている。唄を中心に構成されたナンバーは、会場を温かく包み、福島から来たという彼らの、ある意味アウェーな状況をブッ飛ばしてくれたように思う。今後も音楽を続けてほしいバンドだ。

▼高校生パフォーマー・Legends(ダンス)
 

▼彗星color
 

 

ピンク・オレンジ・ブルー・グリーンと4色の衣装で登場した三番手の彗星color。カラフルな衣装と弾けるようなナンバーで、ステージ上をパッと明るくする。若さあふれるフレッシュさは、高校生の持つ良い面だけを集めたようなバンドだ。演奏力もあるが、何よりステージングフォーメーションがバッチリなのが観ていて楽しい。LIVEは楽しみ、楽しませる、そんなツボを押さえている。

▼Bottle’s Bottom
 

 

しっとりと始まった四番手のBottle’s Bottom。ツインギターの5人編成。持っているギターからすると、ハードロックかと思いきや、クリーントーンを使ったAORサウンド。リズム隊がとても良い。高校生とは思えない落ち着いたビートを刻む。まっすぐに気持ちを伝えるヴォーカルと、ツインギターを生かしたミドルテンポナンバーに、オーディエンスも肩を揺らす。

▼きゃとる
 

 

五番手に登場は、きゃとる。元気いっぱいのMCからステージをスタート。緊張しているという話とは裏腹に、演奏が始まると元気に弾けるガールズのスリーピースバンド。ヴォーカルの声がよく通る。取材は2F席から行っているのだが、まるで目の前で歌っているかのようだ。女子高校生らしい内容の歌詞も良く、演奏も上手い。フルステージを観てみたいと思うバンドだ。

 

 

 

 

 

バンドが5組終わると、ヘアメイク部門がスタート。ステージ上にカラフルなモデルと、裏方の黒づくめのヘアメイク班が登場。舞台上で仕上げの作業をすると、モデルがポーズをステージで決める。さらに純白のウエディングドレスのモデルと裏方のヘアメイク班が、仕上げの作業からモデルのポーズへと続く。最後は、華やかなモデルが全員そろってオーディエンスに素敵なオーラをプレゼント。舞台袖でそれを見守る黒づくめのヘアメイク班が拍手をしている。夢のある素敵なヘアメイクタイムだ。音楽だけがクリエイティブなわけじゃない。そんな当たり前のことを強く思う。

 

 

 

 

 

 

▼The Funny Bones
 

 

後半のバンドタイムは、凄まじい音圧の六番手The Funny Bones。男子スリーピースのアグレッシブなワイルドさが全開!激しいナンバーでオーディエンスを引っ張る。特にタイトでビシッと締まったドラムは、すでに高校生バンドのレベルではない。高いキーの唄と、かき鳴らされるギターにベースラインがからみつく。実にゾクゾクさせてくれるロックで、プロデュースしてみたいバンドだ。

▼myi
 

 

七番手はシンガーソングライターのmyi。バンドと違い、パートナーがいない弾き語りは、大きな会場でやりにくいのではないか?と思うが、彼女は堂々として見事なステージをおこなう。歌詞が会場の隅々までハッキリと聴こえるほどに、澄み切った声が素敵だ。街のガード下で唄うストリートミュージシャンとは違い、ステージの上でこそ生きてくるシンガーではないかと思う。

▼the persimmons
 

 

5人編成で登場は八番手のthe persimmons。会場から歓声がおこる。多くのファンが駆けつけているようだ。始まってすぐの第一印象は、とにかく唄が上手い。そしてグルーヴするベースに耳を奪われる。単純にカッコいいバンドといってしまえばそれまでだが、機材トラブルをものともしないパワフルなステージに感動。まだ高校生なんだよね?とつい言いたくなってしまう貫禄だ。

▼高校生パフォーマー・FMTK(ボイスパーカッション)
 

▼シーラカンス
 

 

九番手は、メンバー全員が東京事変をリスペクトしているというシーラカンス。モダンでソリッドなナンバーを展開。先入観なく観ていると、大学軽音の上手いバンドと錯覚してしまうが、まだ彼らは現役の高校生。音楽センスを磨く時期に、これほど演奏ができるというのは素晴らしい。数年後にまた観てみたいバンドだ。これからも音楽を愛し、良質な演奏をしてほしい。

▼oneneo
 

 

オーラスの十番手に登場するのは、oneneo。静と動を上手く取り入れたリズミカルなナンバーを、笑顔で演奏するメンバー。バンドを楽しんでいる様子が伝わってくる。高校生というくくりで観てほしくない、安定した演奏力を持つ彼らは、そんな熱い男子の想いを胸に秘めているのではないだろうか。初めて聞くナンバーでも、唄のメロディが心地よく、ファンになるオーディエンスも居たことだろう。

▼BUZZ-BUZZ(YHMF2011 Grand Prize )
 

 

最後のバンド演奏は、ゲストのBUZZ-BUZZ。昨年の2011年YHMFグランプリを受賞したバンド。久しぶりに4人が集まったということだったが、グランプリを受賞した実力派の彼女たちは、オーディエンスを巧みにあおりながら、会場を一つにする。気持ち良く伸びるヴォーカルに、グルーヴィーなリズムとギターのカッティングが絡み合う。オーディエンスも最後のバンドで完全燃焼しようと大きく手を振り上げる!




 

 

 

 

 

 

【グランプリ】きゃとる
ミヤリ(Vocal & Guitar)・サキ(Bass)・コハル(Drums)
http://kyatoru.jimdo.com/
 
めちゃくちゃ嬉しいです!ぶっちゃけ、グランプリは獲れないかなと思っていて…でもオーディエンス賞とか何かには入賞したいと思っていたので、嬉しいです。このバンドは元々知り合いだった高1の10月に結成し、約2年経ちました。サキコハルは小学校からの同級生!曲はミヤリが作っています。今日演奏した2曲は、かわいらしい感じの曲とシリアスな曲の二面性を狙いました。この後、ミュージックレボリューションや、連盟の関東大会にも出場します。高校最後の夏なので、残っている大会も全力を尽くして頑張りたいです!
 


 
【オーディエンス賞 & 特別審査員賞(ダブル受賞)】シーラカンス
ひゅうご(Vocal)・つるみのっと(Guitar)・たかきょん(Bass)・なあちょむ(Keyboard)・KEITO(Drums)
http://coelacanthhhh.jugem.jp/
 
僕らは結成して1年に満たず、今回が初めての大会。ライブ自体もこれが7回目です。正直言うと、音源審査が通って二次選考に進んだ時点で驚きでした。今回YHMFにエントリーしたのは、去年の大会を見て「高校生ってこんなにレベルが高いんだ!ここに来年出られたらいいな」と思ったのがきっかけです。最初は東京事変のコピーバンドだったのですが、YHを見てから、オリジナルにも挑戦するようになりました。予想外に(笑)ライブ選考を通過してしまい、「ここまできたら、やるしかない!」と気合いを入れて臨みました。今後も校内で人気のバンドになることと、様々な大会で結果を残すことを目標に頑張ります!
 


 
【ゲストバンド(昨年グランプリ)】BUZZ-BUZZ
http://05.mbsp.jp/BUZZBUZZ/?guid=on
大島真帆(Vocal)・原彩芽(Guitar)・渡辺真奈(Bass)・佐藤みのり(Drums)

RADWIMPS藍坊主を過去に輩出したYHMFは、水準の高いバンドがしのぎを削り決勝を目指す。決勝進出は、どの出場者も高レベルなのは言うまでもないだろう。しかしコンテストである以上、勝敗を決めなければならない。甲乙つけがたく、審査する側も簡単ではない。

結果発表タイム。オーディエンス賞と特別審査員賞が発表されるが、なんと両方ともシーラカンスが受賞。これは驚きだ。シーラカンスのメンバーも驚いてはいたが、周りの出場バンドの多くは、え~マジやられた~的な表情を見せる。確かにこれは悔しいかもしれない。グランプリは無理でも、何か賞を取りたいのが本音だろう。

いよいよグランプリの発表があり、受賞はきゃとる。トロフィーに、景品のギターやアンプを手に、喜びまくるメンバーの姿が微笑ましい。この段階になると、周りのバンドも惜しみない拍手をきゃとるへ送る。YHMFのグランプリを取るということは、今後の音楽人生に大きなプラスとなることは間違いない。

この日、ステージ上だけでなく、この場所にいた高校生全員の胸に何かが残っただろう。それがYHMFの素晴らしさであり、継続してきたパワーの源。このようなコンテストを今後も絶やしてはいけないし、音楽好きな大人達が、もっと次世代へのバックアップをすることが必要だ。それこそが日本の音楽文化の礎を築くことになるのだから。
 

◆YHMF2012 公式サイト
http://yhmf2012.jimdo.com/
◆YHMF2012 Twitterアカウント
https://twitter.com/yhmf_info


 
◆関連記事
【レポート】YHMF2012ライブ選考会
http://www.beeast69.com/report/31749
【連載】YHMF熱血現場最前線(2011、2010決戦大会など)
http://www.beeast69.com/category/serial/yhmf
【レポート】第12回高等学校軽音楽コンテスト神奈川県大会
http://www.beeast69.com/report/32542
【レポート】第2回高等学校軽音楽コンテスト埼玉県大会
http://www.beeast69.com/report/32151


 
 
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