演奏

TEXT & PHOTO:鈴木亮介

軽音の夏、始まる―――――本誌BEEASTでは今夏、首都圏を中心に高校生の各都県高等学校軽音楽連盟が公式に開催する軽音楽コンテストに注目!各都県の情報を随時ニュース配信するとともに、決勝大会、そして8月21日(火)に開催される関東大会の模様をリポートする。本記事では埼玉県大会を取り上げたい。

「高等学校軽音楽コンテスト埼玉県大会」は今回で2回目。1学校1バンドのみのエントリーとなるため、応募者総数は27組(27校)。その中から7月8日に一次予選となる音源審査を行い、20組が選出。8月2日(木)に開催される決勝大会に臨んだ。

決勝大会の舞台は、尚美学園大学川越キャンパス。JR、東武川越駅および西武本川越駅から学園専用シャトルバスが出ており、炎天下のバス停には多数の高校生が行列を作った。猛暑のじりじりとした日差しに負けず劣らずの熱気が既にバス内外を取り囲んでおり、期待が高まる。

今回の決勝大会で受賞した上位2校が、埼玉県代表として8月21日開催の関東大会へ進出する。関東大会への切符を手にするのは、どのバンドか?

 


 


午前11時を少し回り、開場。続々と制服に身を包んだ高校生たちが入場していく。埼玉県大会は一般公開をしていないため、今回の観客はほとんどが軽音部員とその保護者、OB、OGということになる。ホール内は一般のバンドコンテストのようなにぎやかさとは少々異なる、まさに「試合前の部活」といった様相。筆者は学生時代陸上部に所属していたが、運動部の大会のスタンドと同じような空気感が出ているのは不思議な感覚だ。

冒頭、会場提供した尚美学園大学の学生ミュージシャン3組によるオープニングアクトが披露され、先輩からのエールも贈られる。そして同じく尚美学園大学の女子学生2名が司会進行を役として登壇。早速、本大会の審査員を紹介する。審査委員長を務めるのは、フェアに審査するために他県から招かれた、千葉県立京葉工業高校の飯嶋典子先生。さらに審査員には、平素プロミュージシャンを目指す学生を指導している目線から、尚美学園大学芸術情報学部音楽表現学科の八木良太助教授、そしてなんとゴダイゴタケカワユキヒデも審査員として参加!なんとも豪華な顔ぶれだ。

 


 


いよいよ開演!全20組による怒涛のステージが幕を開ける!各バンド1ステージ1曲のみの勝負で、制限時間の5分以内に収めないと失格になってしまうということで、実にスピーディーなステージ展開が繰り広げられる。制服がある高校には着用義務を課すというのも埼玉県大会の特徴だ。

トップバッターは浦和西高校ミュージックアソシエーション部のShandy-Area!キーボードの音色が際立つオリジナル曲「午前0時」で勝負。続いて浦和北高校軽音楽部のチロるピエロは重低音がしびれるロックテイストな「ひょっこりひょうたん島」!山村学園高校軽音楽部のGeekはV系the GazettEのカバーでクールに決める!HiーStandardのカバーを披露した川口青陵高校軽音楽同好会のデトロイトビーチサンダルⅡは力強いボーカルが印象的。SCANDALをカバーしたガールズ5人組・川越南高校ギター部のNOI’z(ノイズ)は激しいヘッドバンギングで魅せる!

 


 


 


続いて6組目。オリジナル曲「No End!」で勝負、草加東高校軽音楽同好会のNEXUS!バンド名(nexus=絆)の通り仲の良い男女5人組。東野高校軽音楽部のCountry Marblesもオリジナル曲で勝負!最前列に陣取った後輩たちからこの日一番の熱い声援が送られる!男女5人組、越谷北高校ギター部の清楚100%チャットモンチーのカバーを力強く披露!松山高校軽音楽部のDeepはジャジーでアダルトな東京事変のカバーで魅せる!埼玉平成高校軽音楽部のGrooviesはスローバラードのオリジナル曲「Moon Light」で会場のムードを高める!

 


 


 


ここまで10組の演奏が終了し、いよいよ折り返し地点。男子5人組、県立川口高校フォークソング同好会のp.bはハードロックナンバーで勝負!日高高校軽音楽部のアンティーク賞味期限は、ボーカルの声が好きというASIAN KUNG-FU GENERATIONを力強くカバー!市立浦和高校音楽部のThe RoundelsRed hot chili peppersの「By the Way」を綺麗なハモリと個々の高い演奏力でクールに決める!所沢高校フォーク部のプールと銃口は、パワフルな高音ギターリフがクセになるオリジナル曲「街について」を披露!三郷北高校軽音楽部のThe SARSは、叙情的な女性ボーカルが「夕焼け」をモチーフにした歌詞とマッチしていい雰囲気!

 


 


 


残す所はあと5組!川口北高校フォークソング愛好会のレイは女性の低音ボーカルでGLAYのカバーを妖艶に奏でる!立教新座高校ジャズ研究会のお前、ダルシムに似てるなはサークル名の通りジャズ・フュージョンの定番「SPAIN」を6人で楽しく披露!朝霞高校ジャズバンド部のWood Stockは管楽器も加わり今大会最多の8人でブラスロックのオリジナル曲を太く力強く演奏!岩槻高校軽音楽部のラヴェルは男女それぞれの魅力が相乗し、パワフルかつキュートな阿部真央を披露!そして最後は男女5人組、岩槻北陵高校音楽部のmystery spaceはアニソンのカバーをポップに演奏!

 


 


 


4時間以上におよんだ熱戦は終了。そして埼玉県大会の特長は、「コメント用紙の交換」だ。来場者には事前に「コメント用紙」が配布されており、他校のバンドへ感想や応援メッセージを送ることができる。勝負とは離れて他校と交流を深めたり、バンド間の演奏力やパフォーマンス力を高められるこうした取り組みは大変有意義なものだ。

そして、当初予定されていた40分の休憩をさらに10分以上オーバーするほど、審査は難航に難航を極めた。午後5時、ようやく審査結果が発表!タケカワユキヒデを筆頭に審査員と大会関係者が登壇した。今回の入賞バンドは以下の通り。
 


◆グランプリ
Groovies
(埼玉平成高校軽音楽部)
 
◆準グランプリ
Wood Stock
(朝霞高校ジャズバンド部)
 
◆奨励賞
p.b
(県立川口高校フォークソング同好会)
お前、ダルシムに似てるな
(立教新座高校ジャズ研究会)
The Roundels
(市立浦和高校軽音楽部)
 
◆特別賞
The SARS
(三郷北高校軽音楽部)
 


今回グランプリに選ばれたGrooviesWood Stockの2組が関東大会に埼玉県代表として出場する。Grooviesはボーカルのしっかりとした声量や間奏の泣きのギター、歌詞の世界観が高い支持を集めていた。8人で挑んだWood Stockは、やはりオリジナル楽曲の完成度の高さと息の合った演奏が評価されての受賞だろう。審査員からは次のようなコメントが発表された。
 

◆飯嶋典子審査委員長(千葉県立京葉工業高校)
音楽の三要素プラス、パッションを感じたグループに私は点数を入れました。バンドで、歌がいい所は何か感じるものがあります。バンドの顔はやはりボーカルなのかなと思いました。今日もらった力を(千葉県大会へ)持ち帰り、少しでも伝えて、千葉県の大会も成功できればと思います。
 
◆八木良太審査員
(尚美学園大学芸術情報学部音楽表現学科)
どのバンドもクオリティが高くて、何よりも音楽の演奏の楽しさを感じながら、全面でそれを表現しているのが、僕の方にも十分に伝わってきました。私個人として注目した所はオリジナリティ、独自性です。バンドの個性を重視して賞を決めさせていただきました。バンドを始める時は憧れのバンドがあると思います。自分の好きなアーティストを模倣して、そこで終わってしまうのか、あるいはそこから一歩抜け出して自分らしさを演奏やパフォーマンスで表現していく、ということに気付くかどうかが、バンドを続けていく上で一番大事だと思います。
 
◆タケカワユキヒデ審査員
本当は一つ一つのバンドに演奏が終わる毎に声をかけたかったのですが、時間の関係上できなかったので、その代わりに各バンドへ渡す用紙に伝えたいことをまとめました。みんなとってもよかったです。急にこんな大きなところでやるというと、高校生の皆でなくても大の大人も慌ててしまいます。なのに、いつも通りに演奏できたバンドがたくさんいたんだなと思いましたし、音楽に対して、自分たちの地に足を付けた音楽をやっているのだなということがよく見えました。
ギタリストでもベーシストでもドラマーでも、真面目な奴じゃないと楽器はうまくならないよ、という話をよくします。皆さんにもその(真摯な)姿勢を感じました。これからその姿勢を音楽だけでなく生きていくこと全般に持ったまま、このまま進んでもらいたいと思います。グランプリだとかグランプリじゃないとかは、今日のこの演奏一発で決まっただけなので、それ自体が君たちの音楽性とか君たちの立とうとしていること、君たちのオリジナリティ、君たちの好きなことを貶めているわけじゃないので、その辺はあっさりと感じてください。
もちろん、何かあるからグランプリを獲ったんだということはあると思います。でも、グランプリを獲れなかったバンドが何もないなんてことは絶対にないです。みんなものすごく良かったです。それだけは忘れないでほしいと思います。

 
 


 

 
最後はやはりこの人の歌を聴かないわけにはいかないだろう。タケカワユキヒデからの歌のプレゼントだ!「ごめんね、銀河鉄道はやらないんです」と前置きし笑いを誘った上で、10月14日に自身が主催しさいたま市民会館おおみやにて開催される「夢KANA・ストぱふぉチャリティーコンサート5th」の主題歌「Love can do」を熱唱!

「埼玉の音楽を盛り上げる」「ケニアの子どもたちを助ける」と言った趣旨のチャリティコンサートのためのテーマソングだが、この日のタケカワユキヒデの歌声は、音楽を始めて間もない高校生たちを勇気づけ、自信を持たせてくれるエールになったに違いない。大会終了後、川越駅までのシャトルバス内で、「最後洗脳されたね(笑)」なんて冗談を交わしつつ、サビの「La la la la la la la la la 愛して」を口ずさむ高校生たちの笑顔がまぶしかった。
 
 


 

 

◆タケカワユキヒデ オフィシャルホームページ
http://www.mediatv.ne.jp/musicpro/takekawa/
※インフォメーション
夢KANA・ストぱふぉチャリティーコンサート5th

【日付】2012年10月14日(日)
【時間】16:30開場 17:00開演
【会場】さいたま市民会館おおみや
※詳細・チケットは公式サイトへ
http://yumekanaumachi.jimdo.com/
 
◆埼玉県高等学校軽音楽連盟 ホームページ
http://music.geocities.jp/keionsaitama/index.html
 
◆高校軽音楽・関東大会は8月21日に
日本工学院八王子専門学校にて開催!

 【日付】2012年08月21日(火)
 【時間】開場12:15/開演12:30
 【会場】日本工学院八王子専門学校片柳ホール
 http://www.neec.ac.jp/access/hac.html


 
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【連載】YHMF熱血現場最前線
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