
国内のロックシーンの最先端を駆け抜け、輝き続けるフロンティアたちの横顔に迫るインタビュー特集「ROCK ATTENTION」。第62回に登場するのは、第61回の
HIROに続き
HEAD PHONES PRESIDENTの
ANZAである。
日本を代表するヘヴィロックバンドの
HEAD PHONES PRESIDENTのヴォーカリストである
ANZA。シングル「Dream」でのデビュー以来20年以上のキャリアの中で、意外にもアルバムのリリースはなく、6月27日発売の『Voice of my heart』自身初のソロアルバムとなる。多彩な表現力を誇る
ANZAだが、ソロアルバムにはこのアルバムの為に書き下ろされた新曲とソロライブでのレパートリーとしておなじみのカバー曲が収録され、
ANZAの魅力的な歌声が存分に味わえる内容となっている。
その1stソロアルバムのレコ発イベントが6月27日椎名町Off zaにてマチネとソワレの2公演形式で新型コロナウイルの感染対策が十分行われた上で開催された。ライブ後の貴重な時間をいただき、ソロアルバム『Voice of my heart』について、そしてコロナ禍での音楽制作に関して話を伺った。ソロアルバムに込められた思い、コロナ禍での音楽制作の苦悩など興味深い内容となった。多彩なゲストを迎えたソロライブと10周年を迎えた
ANZAと
RIHOのファッションブランド
RAZのミニファッションショーのレポートも併せてお届けしよう。
ソロアルバム 『Voice of my heart』 について
—宜しくお願いします。
ANZA:私だけでBEEASTさんのインタビューもあまりないので、なんか変な感じですね(笑)この前HIROのインタビューやっていただいたんですよね?
ANZA:HIROは夏は全然外に出ないんで、出不精になっちゃうから外に引っ張り出さないと危ないんですよ(笑)
—今日はレコ発のライブが終わりまして…
ANZA:「レコ発」って響きがソロでは私の中にはなかったから…
—いいですよね(笑)
ANZA:レコ初ワンマンでしたからね(笑)ツアーが今回できないから…今回は東京だけだったんだけど、名古屋とか大阪にも待っていてくださる方もいるので、ちょっと落ち着いたらイベントがてら参加しようかと思っています。
—今回のライブもゲストが多彩で、おなじみの方もいらっしゃいますが(笑)
ANZA:MISAKOちゃん(岩名美紗子)は絶対ね!(笑)セーラームーンのお客様もいらっしゃるから。
—昨日(6月26日)はセーラームーンのファンミーティングでしたもんね。
ANZA:生配信のイベントですごい緊張しました。慣れないんですよ。セーラームーンっていうカテゴリだけに限らずアニメファンの方達って思い入れが強いじゃないですか?特にセーラームーンミュージカルっていろんな方が主役をやっているんだけど、その人たちのファンの方の思いが詰まりすぎちゃって、正直出演している自分たちよりファンの方たちがつないでくれているというか、その機体に答えなきゃいけないって強い思いがあるから。
—しかもネットでなんで難しいですよね。
ANZA:ネットライブって何回かはやりましたけど慣れなくって、もうこういう時代なのかなって。
—難しいですよね。
ANZA:スタッフさんいらっしゃったんで拍手とかしてくれたけれど、最初はどういう気持ちでやればいいんだろうって思ったけど、何か昔のアイドルをやってた時にテレビ番組でカメラを通して歌うっていうのもあって、歌番組ってお客さんがいないってこともあったから逆に懐かしいなって思いもありましたね。
—そのような話をこの前HIROさんともしたんですよ。ネット配信ってそうは言ってもまだやりにくい手探りの状況ですよねって。
ANZA:HIROはそういうところが結構早いというか、最先端じゃないんだけど切り替えが上手いというか、こういう状況だったらこうしようとか、機材オタクなのもあっていろんなことを試しながらやるっていうことが彼は好きだから。私は逆にアナログ人間なので、やっぱりお客さんがいてこそのライブっていう思いもあるから、もちろん歌に込める気持ちは変わらないんだけど、配信だけのライブだとお客さんの目を見て歌っているのとはさすがに違うから。今のこのご時勢では仕方ないのかなと思います。
—そんな中、初のソロアルバム『Voice of my heart』がリリースされました。
ANZA:申し訳ないんですけど、自分では本気でソロアルバム出したつもりでいたんですよ。ライブでも色々歌っているから。
—持ち曲は結構ありますもんね。
ANZA:一応何曲かはあるから出した気にはなっていたけど、出してなかったことに気づいて(笑)いつかはという気持ちはあったんでしょうけど、 HEAD PHONES PRESIDENTと並行しちゃうとレコーディングというところまではなかなか辿り着けなくて、今回このコロナのステージには上がれないっていうタイミングで制作まで漕ぎ着けました。ここ最近曲数を増やしてのアルバムが私があまり好きじゃなくて、作り手側からは捨て曲っていうのはないんだけれど、「なんかこれいらなかったんじゃない?」って思われるくらいだったら元から減らしてちょっと足りないぐらいの方がいいと思って収録曲を7曲にしました。
—ぎゅっと凝縮された感じですね。
ANZA:まだ入れたかった曲、今日演奏したRoseの「Dearあなたへ」も入れたかったんだけど、まあ…
—次もあるってことですか?
ANZA:いや、ちょっとわかんないですけど一応は考えています。ここ1年間はソロに重点を置いちゃったから、来年はアイスショー(美少女戦士セーラームーン Prism On Ice)もまだ残っているので状況を見ながら。今度は1から新曲として作っていかなければならないから、雰囲気も変わるでしょうし、もうちょっと練りたいなって感じです。
—アルバム制作なんですけど、コロナ禍の厳しい時期でそれが制作に影響したところはあるんでしょうか?
ANZA:例えば、本当だったらバンドサウンドをもうちょっと取り入れたかった曲もあったんです。やっぱり制作期間もあり、とにかく直接会えないってことで、2曲目の「my will」とかはデジタルサウンドを取り入れて…
—Thundercatかと思いました。
ANZA:みなさんにはサカナクションのイメージがあるみたいですけど(笑)以前ライブで歌った時はしっとりとしたバラードだったんですが、何かガラッと変えたいってことでTOMO(加藤智子)に相談した時に、その時だけは会って作業したいってことで、もちろん感染対策もしっかりした状態でTOMOのスタジオに行ったんです。その時にTOMOが「ANZAごめん。すごい怒られるかもしれないけど、ガラッと変えちゃったアレンジ文句言わないで1回聞いてみて」って聞いたら、細かくは違うけど大まかには私のイメージ通りで「TOMO!来た!これだよ!」って(笑)この曲の歌詞はすごく今の時代に合っていると思うんです。生きてることってすごく難しいことじゃない?生きてることこそ奇跡なわけで。
ここ最近若い子たちが色々悩みがあったりとかで自殺する人が多くなっちゃって、年齢を聞くとみんな若いの。多分コロナでね、地方から大学とかで上京してアルバイトしながらなんとかやっていたけど、寮も追い出されアルバイトもなくなり、田舎はコロナに厳しいから実家には帰ってくるなって行き場所がなくなってって。本当は1番までしか歌詞がなかったんけど、「彼方へ」の作詞をしてくれた伊藤緑さんに急遽お願いをして、この今の状況を歌詞にして欲しいと。2番に「荒れ地からも芽吹く力よ」って部分があるんですけど、今のコロナの状況では東京も荒れ地のようなものじゃない?「芽吹く力」を希望として持ちたいという思いを私がこういう気持ちがあることを何とか歌詞にまとめてくれて、今の時代だからこそ欠けた歌詞なのかなと思います。
3曲目の「Guiding Light」ですけど、どうしてもこういう環境だと自分を見失ってしまいがちで、見失うと光が当たって手も光を感じずに周りが全部羨ましく見えてしまう。よく周りを見渡せばそんなことはないんだけど、知らない間にマイナスな方向に自分を持っていって、そのせいで自分が見えにくくなったり辛くなったりっていうことが多いから、何かそこを上手い形、ストレートな形で伝えたいなと思って、自分で歌詞を書いても良かったんだけど、重くなり過ぎるというかあまりにも直接的になりすぎるので、英語に直すと少し柔らかくなるんだけど、日本語の歌詞ので同じニュアンスでももう少し優しい言葉を選んで欲しいといことで、作詞家でアーティストでもあるんだけどルウイちゃんにお願いしました。
総合的にはアルバムには昔からやってきた曲と新しい曲とがあって、新しい曲は他にHIROが書いてくれたスキャットの曲「Voice of my heart」とセーラームーンミュージカルで共演した笠原(竜司)さん作詞作曲の「旅の栞」があります。MCでも話しましたけど、笠原さんがコロナ禍で何かしないと自分を見失ってしまいそうだということでウクレレを始めたようで、曲をすらすら描いちゃうから頭に来るんだけど(笑)私がこんなに悩んでるのに(笑)久々に会って、こういう感じで昔の私たちはこうだった、でも今でも繋がっているよねみたいな感じの歌詞の曲が欲しいって言ったらスラッと書いてくれて、デュエットは初めてなんです。それが作品として残せたので良かったと思います。
—最後になんですけど、7月にはHead Phones Presidentのワンマン、10月には第二弾の…
ANZA:いよいよ第二弾の(笑)Head Phones Presidentとしては2021年になって1回もワンマンライブができていない(6/27現在)状況で、本当は去年の9、10月にやる予定だった今年ようやくできる予定で、コロナの状況が分からないから言えないんですけどようやく発表ができて、2016年のミュージカル『Stand In THe World』の続きの話ではあるんですが、内容は時系列が前後する話です。昔に戻って何でヒカル(Anza)が歌を歌う事になったか?からスタートして、要はタイムスリップしたところからの話で、新曲もありつつになると思います。第2部は全く新規のショーを作る予定で…
—これからですか?
ANZA:これからです。大体の構想はあるんですけど、まずは20周年が去年ちゃんとできなかったのでそれを今年10月にやりたいなと。
—去年よりコロナ対策のやり方も曲がりなりにも希望が見えていますよね?
ANZA:ようやく劇場がお客さんを入れて普通にやっているのと、ある程度の感染対策とか、それでも今の状況のままだと劇場はソーシャルディスタンスを取らないといけないから。今のままだと通常より半分のお客さんの入りにしなければいけない状況で、状況は緩和されれば追加の座席が用意できると思うんですけど、もしかしたらチケットの争奪戦になるかもしれないです。
—まだ状況が分からないですもんね。
ANZA:コロナの状況は本当に私たちにはどうなるか分からないんですが、なんとか無事にできるとは思っていますんで、演者も感染対策をしっかりしていきますので、お客様も楽しみにしていただければと。HPPワールドでしっかりと頑張りたいと思います!
—楽しみにしています!
ANZA:またよろしくお願いします!ありがとうございました!
RAZミニファッションショー
ANZAとRIHOのコラボレーションにより生まれたファッションブランドRAZが10周年を迎え、ライブの開演に先駆けてミニファッションショーが行われた。モデルにはANZAの他にiPO、AREAが起用され、HEAD PHONES PRESIDENTのベーシストNARUMIもモデルとして登場し、華やかな書が展開された。今期の新作も発表され、興味のある方はRAZのBASE(https://raz.thebase.in)にて詳細をチェックしてもらいたい。
ANZA solo Live 『Voice of the heart』
1stソロアルバム『Voice of my heart』の発売イベントとなる「Voice of the heart」は、多彩なゲストを迎えマチネとソワレの2公演形式で行われた。ソロアルバムの制作もサポートしたピアノのTOMO、パーカッションの坂口勝が堅実な演奏で楽曲を支え、ANZAのソロライブではお馴染みの岩名美沙子、そしてYUKI(ソワレのみ)がゲストヴォーカルとしてライブに彩りを添えていた。伸びやかな歌声で歌い上げるANZAのヴォーカルは、HEAD PHONES PRESIDENTの時とはまた違った魅力を放っており、彼女のヴォーカリストとしての懐の深さを感じられる貴重なライブとなった。
◆ライブ情報
HEAD PHONES PRESIDENT 20th Anniversary
『COLORS』
Divide Ⅰ 【The Reflection of Musical Stand In The World】
2016年に開催し大成功を収めたロックミュージカルショー『STAND IN THE WORLD」のジェネシスな舞台。
Divide Ⅱ 【Colors of emotions】
HEAD PHONES PRESIDENTが多彩なゲスト迎えて喜怒哀楽を表現したLive show !!
■公演日:2021年10月23日(土) / 24日(日)
■会場:浅草 花劇場
http://hanayashiki-kagekijo.com 東京都台東区浅草2-28-1
■公演時間 :
2021年10月23日(土) 昼公演OPEN 13:00 / START 14:00 夜公演OPEN 18:00 / START 19:00
2021年10月24日(日) 昼公演OPEN 12:00 / START 13:00 夜公演 OPEN 17:00 / START 18:00
■料金:前売9,000円 / 当日9,500円 *別途ドリンク代
■Cast:
HEAD PHONES PRESIDENT (ANZA / HIRO / NARUMI / BATCH)
山川恵里佳 / 小田マナブ / 笠原竜司 / 岩名美紗子 / 奥山桃子 / 望月祐多 /
Ricky / 松浦美佳(Key) / 都志見久美子 / 村田智哉子 / 彩未理加 /柚希かおり / 平塚あみ / 黒田歩 / ピ・ピカル
■主催:株式会社トニックコード
■制作:株式会社ALIVE
■問合せ先:株式会社トニックコード toniccode@gmail.com]
■公演内容
divide Ⅰ:【The Reflection of Musical Stand In The World】
2016年に開催し大成功を収めたロックミュージカルショー『STAND IN THE WORLD」のジェネシスな舞台。
divide Ⅱ:【Colors of emotions】
HEAD PHONES PRESIDENTが多彩なゲスト迎えて喜怒哀楽を表現したLive show!!
■チケット
*公式ホームページ
http://headphonespresident.com/2021/06/26/211023_24_colors/
*各社プレイガイド
一般発売:9/25(土)12:00~
ローソン
https://l-tike.com/headphonespresident/
ぴあ
https://w.pia.jp/t/headphonespresident/
e+
https://eplus.jp/headphonespresident/