連載

lead_simple

DAZZLE VISION『FINAL ATTACK』

先日、BEEASTの「BEEAST太鼓判シリーズ第27弾アーティスト『DAZZLE VISION』」で紹介した、日本ラウドロック界の要注目バンドの一つ、DAZZLE VISION。その彼らが待望の新作『FINAL ATTACK』をリリースした。今回は彼らのアルバムとしては6枚目となるこの作品を紹介する。また、合わせて2014年3月28日に渋谷のTSUTAYA O-WESTにて行われたワンマンライブの模様をレポートする。
 
ボーカリストMaikoの、キュートなルックスと緩急自在のボーカルパフォーマンスのギャップが話題となり、大きな人気を呼んでいる、今もっともホットなバンドの一つが彼ら、DAZZLE VISIONだ。昨年はアメリカ公演の模様を収録したライブアルバム『LIVE in Pittsburgh』をリリースした彼らだが、オリジナルアルバムとしては前作『SHOCKING LOUD VOICE』より2年9カ月ぶりの作品。また、ギタリストとしてTONYを迎えた後の、初めてのアルバムでもある。
 
先述のBEEASTの記事におけるインタビューで彼らが語っているとおり、前作の『SHOCKING LOUD VOICE』が、新曲数曲に過去のナンバーを再収録したものであったのに対し、今回は「セカンド」「エボリューション」を除いた全てがアルバム制作に向けて書き起こした新曲で構成されている。全編を通して感じられる印象は、かなりバラエティに富んだカラーとなっているというイメージ。
 
たとえば「CIRCLE」や「ALL OUT」のような楽曲は、今までのDAZZLE VISIONのイメージと比較するとかなり近い感じの楽曲であるが、曲によっては打ち込みのシーケンスサウンドを大胆に取り入れるなど、今までの彼らでは想像できないサウンドを取り入れられた楽曲も多く存在する。もちろんこれはコンポーザーとして台頭したTONYの影響によるもの。しかし特筆すべきは、これだけのサウンド変革を行いながらも、やはり彼ららしさを失わない魅力が感じられるところだ。
 
DAZZLE VISIONの魅力の中心はやはりMaikoのボーカル。アメリカ公演にて現地メディアに命名された「SHOCKING LOUD VOICE」と呼ばれるその声は、彼女の声の中でもっともインパクトのあるスクリームのことを指しているが、それはあくまで曲において彼女が歌うメロディの中で、微妙な表情や感情を表現するための一つの手段に過ぎない。曲中で目まぐるしく変化する彼女の歌は、通常のメロディでもかなり情感を意識した歌い方を行っており、今回のアルバムでもその変動は曲の印象を決定づける大きなファクターとなっている。
 
さらに今回は今までの表現から幅を広げ、通常のメロディではポップソングのようなフラットな歌い方をしてみたり、スクリームでは「吸い」(通常は息を「吐く」歌い方)を多く導入したり、タイトル曲「FINAL ATTACK」や「A BRAND NEW WORLD」のようにボーカルエフェクトを多く取り入れてみたりと、テクニック的なチャレンジもかなり多く、あくまでDAZZLE VISIONらしさは損なわない一方で、より楽曲としての完成度の高さを増した印象もある。他のジャンルの音楽が好きなリスナーにも受け入れやすく、またラウドロック専門のリスナーが他ジャンルを聴くきっかけにもなり得る可能性もあり、非常に面白い仕上がりとなっている。
 
また「A BRAND NEW」や「BE FREE」など大胆な打ち込みサウンドを取り入れながらも、ラウドロックらしい荒々しさ、DAZZLE VISIONのイメージである激情感をうまく取り入れた楽曲もあり、一方で「BLACK STAR」のような、従来の彼らでは全く想像できないナンバーも存在するが、それでも「DAZZLE VISIONのアルバム」と安心して聴けるイメージがあるのは、TONYの持つ作曲センスの高さ、そしてMaiko、Takuro、Haruがしっかりと彼ららしさをジャッジする真の強さを持っているからに他ならない。
 
千変万化する展開の中でも、彼らが身上とする勢い十分のビート感は、アルバム全般からもしっかりと伝わってくる。また、今回はコンセプトアルバムとしてテーマを掲げている作品でもあり、全編を通して聴くことにしっかりした意味を感じることも注目すべきポイントの一つだ。新たなステップを迎える彼らが、進化を遂げるために打ち込んだ『FINAL ATTACK』。そこには聴く人によって様々な解釈も生まれることだろう。表現の可能性を広げた彼らの新作、是非深く味わってみてもらいたい。

 


 
FTCS2597DAZZLE VISION『FINAL ATTACK』
発売中
SMRA-1008/2,762円(税抜)
収録曲:
M01. FINAL ATTACK
M02. エボリューション
M03. CIRCLE
M04. ALL OUT
M05. TO THE END
M06. A BRAND NEW WORLD
M07. セカンド
M08. HEARTLESS
M09. BE FREE
M10. スフィア
M11. BLACK STAR
M12. OPEN THE GATE


 

『SHOCKING LOUD VOICE 2014 Spring』レポート
2014/03/28 @渋谷TSUTAYA O-WEST
TEXT&PHOTO:桂 伸也  

 
この日行われたニューアルバム『FINAL ATTACK』のレコ発ライブステージは、DAZZLE VISIONが行った東京でのワンマンライブとしては2012年12月に渋谷QUATTROにて行われた『SHOCKING LOUD VOICE 2012 Final』以来。(BEEAST記事『密着レポート第16弾 DAZZLE VISION』参照。)そんな彼らを待つべく、フロアにもたくさんの観衆が集まり、ステージの始まりを今か今かと待ち構えていた。そしてSEとして「A BRAND NEW WORLD」が流れた中、彼らはいよいよステージに登場した。

KSIG_01
SEがフェードアウトしないうちにHaruのけたたましいドラムが打ち鳴らされ、Takuroのあおりが観衆を猛烈にあおる。リズムも感極まったところで一瞬のブレイク、そしてMaikoの渾身のシャウトからステージはいよいよ幕を開けた。オープニングナンバーは「FINAL ATTACK」。スタートからフロアはすでにモッシュを繰り出す観衆たち。このナンバーは、そんな観衆たちをさらに興奮させるのに最適なナンバーだ。その怒涛の勢いを保ったまま、ステージは「BE FREE」から「TO THE END」まで、一気に駆け抜けるように展開していった。「ワンマンでしかできないことを、たくさんしていきましょう!」Maikoの叫びに、観衆も気合いの入った歓声で応えた。TONYを中心として大胆なサウンドサウンド変革を行い、新しいDAZZLE VISIONの姿を見せながらも、Takuro、Haruにその変化を気負った表情は見られなかった。
 
 
「いつも一曲一曲を大切に歌おうという気持ちはあるけど、気合いとか緊張とか、いろんな思いからなかなか自分が思うように歌えないことがたくさんあります。でも今日はね、いつも以上に一曲一曲、大切に歌いたいと思います!」猛烈な熱気を呼んだ序盤から一息つくようにMaikoが語った。その言葉が示すように、彼らは普段もステージの上でもナチュラルだ。だからこそ、ステージの彼らは、素の自分の激情や思いを、ありのままに表現しようとする。その心からの声、音が観衆の気持ちをグッとステージに引き込んでいく。中盤はビートナンバーの「HEARTLESS」から展開を変えて「バラバラ雨」「月と太陽」、そしてTONYのピアノバックアップによる「桜」「Camellia」と、Maikoが語った「大切に歌いたい」という気持ちを強く表した場面が現れた。
 
 
「まだまだ終わらないよ!」いよいよステージも後半。ゆったりしたリズムの中にたくさんの激情感がこもった「ALL OUT」から、徐々に激しさを増していった彼らのプレー。それに合わせフロアにいる観衆の動きも、ラストスパートとばかりに活発さを増していった。ラストは「One for all,all for one」。彼らのライブでは定番ともいえるエンディングナンバーだ。そこには「多くのファンに支えられて自分たちがいる」、そんな彼らの思いが込められているのかもしれない。エンディングを迎えた後も、彼らを呼ぶ観衆の声。そしてアンコールとして、Maikoの「皆さんの未来が、これからも希望に満ち溢れていますように」というメッセージとともに、彼らの代表曲ともいえる「キラリ」から「OPEN THE GATE」で、この日のステージは幕を閉じた。
KSIG_01
次のステップへの一歩を踏み出したDAZZLE VISION。さらに新たな進化を遂げるべく、果敢に音楽への挑戦を続ける彼らが次に見せてくれるスタイルとはどのようなものか?この日、ステージに先立って新ギタリストのステージオーディションが行われたという。大きな可能性を常に追求し続ける彼らの、次の「ATTACK」に期待したい。


 
セットリスト
M01. FINAL ATTACK
M02. BE FREE
M03. セカンド
M04. エボリューション
M05. OVER
M06. HERE
M07. TO THE END
M08. HEARTLESS
M09. バラバラ雨
M10. 月と太陽
M11. 桜(ピアノ)
M12. Camellia(ピアノ)
M13. ALL OUT
M14. REASON
M15. Eternity
M16. CIRCLE
M17. One for all,all for one
encore
M18. キラリ
M19. OPEN THE GATE



オフィシャルサイト
公式ホームページ
http://dazzlevision.net/
ニコニコチャンネル
http://ch.nicovideo.jp/channel/dazzlevision (毎週月曜、23時~)
Facebook
https://www.facebook.com/dazzlevision2010

◆関連記事
【NEWS】DAZZLE VISIONの新PV公開!ニューアルバムのリリースも間近!
http://www.beeast69.com/news/rockinfo/98476
密着レポート第16弾 DAZZLE VISION
http://www.beeast69.com/feature/50479
DAZZLE VISION SHOCKING LOUD VOICE 2012 2012/6/16 @渋谷clubasia
http://www.beeast69.com/report/29422
Editor’s Note…PASSION Mind6(桂伸也)
http://www.beeast69.com/feature/54585